第一章
第七学区の学生寮に住む、髪は白と黒で混ざりあって、ロングヘア、
身長が高い方で細い身体付き、モデル体型ではあると自負している。が、私はいたって普通の何処にでもいる高校生である。、、、
この右手に何も宿っていなかったらだが、、、
いつもならば、不幸やついてないの一言で上ノ恵はこんな状況を耐えしのいで来たのだが今日は違う。
この右手に宿す、少し、いや、かなり謎な能力に終止符を打つ、そんな可能性を秘めた出会いがあったからだ。
紹介しよう、そこで死んだ目をして、一日中同じ場所で座っている彼、多分、上条当麻?である。
「あの、一応、協力してくれると助かります」
「…………」
この私の住む家の中で、永遠に洗面所の蛇口の側で座り込んでいるのは昨日、ここで居候している碧眼の例のあいつである。
「あの、暗闇の場所は一体何だったんですか?」
「……、」
碧眼は言う。
「俺もよく分からない」
変わらず表情は固かったが、自分の右手の掌を見ながら。
「あそこは、あの魔神しか入り込むことが出来ない……人間界との接触を絶つ場所…かな」
「……魔神?となると、貴方も魔神なんですか……?」
「俺は、贋作、出来損ないだよ」
それだけ言うと会話を放置するのでこちらから会話を降らないといけないと思い。
「じゃあ、私は何故、あそこに行くことが出来たんですか?」
「……何かを願ったからだと思う、そこに来れるだけの何かを、」
上ノ恵はあの時、助けて欲しいと、彼に願ったのだ。
「じゃあ…、」
「………?」
「貴方が、あの、『上条当麻』、さんで…あってますか?」
「私、ただ、願ったんです。全然知らないけど、世界を救った彼の事を」
「……救ってはないけどね」
「じゃあ、やっぱし貴方が上条当麻さんなんですか?」
答えに困るように少し固まったが、頷く素振りだけをした。
「上条当麻、あの上条当麻さんならやっぱし右手に私と同じで不思議な能力が宿ってるんですか?」
「……昨日も言ってたけど、君の右手には俺と同じようにイマジンブレイカー(幻想殺し)が宿っているのか?」
「い、いまじん、ぶれいかーですか???」
「異能の力を打ち消したり出来るこの右手のことだよ」
「そ、そうなんです!右手が異能の何かを打ち消したり右手から変な紋様のルーン見たいのが出て来て金属やら水やらが出たりとかで、」
「俺のそれとは違う…のか…あいつのそれとも違うだろうし」
少しずつ興味が出たのか表情の固さもなくなっていく。
「その、右手に変なのが宿ったのはいつのことだ?」
「はい、確か三年前の4月辺りだと思います。4月の初旬から毎日不幸なことばっかし起きて、右手に変なのが宿って居ることも多分最初に何か打ち消したときに気づきました」
「……そう、か、」
何か確信があったのだろうか、それから少し間があり、俯きながら上条当麻は一言、ごめんよ、と。
「え、なんですか?」
「……何でもない、」
そう言い上条当麻は申し訳なさそうにこちらを見て、やっとその重い腰を上げ右手をかざし。
「……やっぱし、ダメか……帰れない」
「帰るってあの黒いとこにですか?」
「うん、あそこに行きたいのだけれど思うようにいかない」
その後も右手を動かしたり、あちこちうろちょろしながら考え事をしたりとしているが。
「え、でも、どうやって、、」
最終的に私もそこに行ったのなら行けるんじゃねとのことで、色々と試してみることになった。
「む、無理です、、色々やってるけど、無理です!私、貴方に助けを求めたからあっちに行けたはずだと思うんですけど、貴方が此方に既にいますし」
「それを、何とか……」
「それに、あそこに帰る意味あるんですか??」
そう言うとまた表情が固まり、一人になれるから、とだけ呟き。
「君の右手だけど、それはどうにもならないと…、そう思う」
「…あー、期待したんだけどやっぱし、終止符は打てなかったよ~…」
納得は出来なかったが話は一旦一段落し、外に目をやる。
「私、これからスーパーに行って食材買ってきますので、留守番しててください」
「留守番?……別に俺も迷惑だろうし出ていくよ」
「え、イヤ、その格好で外に出る方が迷惑になると思いますよ…?」
上条当麻は自分の格好を改めて見て『ズーン』と落ち込むように天井に顔を上げている。
……………
………
……
第一章 中
「……案の定、こうなるよね……」
翌々思うと部屋に人を、ましてや男性を残しておくなんて不謹慎なのだろうかと、今更ながら思う。
「……さて、と、………」
スーパーで貧乏高校生の私、上ノ恵ハルは賞味期限より値引き!割り引き!と一世一代の勝負に挑んだ買い物を済まし、いつもの帰り道を歩いているのだった。
そのはずだったのだが
「……不幸だ……!!!」
まてこら~潰してやる~逃がすな~、、など罵倒をとばす、3人の不良らしき人物に追われているとこである。
私とて昨日の今日である。事件や問題には関わりたくは当然なかった。
例え、スーパーの帰り道、何故か私が通ってる道に偶然集団のナンパがあり、偶然人が私以外いなくて、偶然絡まれてる女の子と目があってしまいと、
『スーパーに行くと大体の確率で問題に巻き込まれるからな』
家を出るときにお留守番している碧眼の指摘(経験談)が見事的中し、というか、予想はできてはいたが、こうなってしまっている。
「……あっ……、」
そして、偶然にも人を転ばすために置かれてあるような空き缶に偶然にも躓いてしまい、囲まれてしまう。
そして、いつものパターンである。
その拳を。
強く握り締めて。
「ふ、ぶふふう、やるしかないよね……」
地面から転がり上がり宣言したその直後だった。
「いや、君のような正義のヒーローってのも大変なんだなって思ったよ。『外』から眺めてみて、改めてそう思ったよ」
私の家の方向からこちらに歩いてくるのはあの、碧眼ツンツン魔女っ仔のあの男性である。
「何時だってお前らみたいのは集団で『なんだ、この、痛々しい男は』……」
碧眼ツンツンの言葉を遮る不良の台詞は最もである。
そして、彼を黙らすだけの力もあった。
「ちょ、上条当麻さん、確かに痛々し格好ではありますが、ここで涙目で帰らないでください、ちょっ、お願いだから!」
「き、今日は絶対に服屋に行くわ、上条さんレベルの安めの買いに行くわ、、」
『UNIQLO』でいいか、と、宣言した直後、
ガッギィィィン!!!!! と、鈍い音が学園都市に炸裂した。
上条当麻と反応した一人の男が同時に動いた。全速力、最短距離をなぞえるように至近へ跳び込み、男は能力で生み出した電撃が走る長いナイフのような物を振り下ろす。
対して上条は右手で感電しそうなナイフの柄の部分を強引に掴み取る。
「な、なぜ電撃が効かなっ、ぐ……!?」
ゴドン!! という鈍い音を鳴らし一人の男の顎を上条は左の拳で殴り付ける。
『……な、……』
呆気に取られてしまった二人の男が先程痛々しいと思った男に構えを取り始める。が、先程追われていた上ノ恵ハルは手を前にかざし、相手の方へ向け、口を開く。
「少し、痛いですよ」
残りの二人は直後意識を刈られることになった。
…………
………
……
…
第一章終幕
「……凄いな、それ」
とある男達を撃破した二人は交差点で立ち止まっていた。
方法は至って簡単で上ノ恵ハルが右手をかざし男達に向けただけだった。
「ある研究者が言ってました。まるで、錬金術だと、」
変わった紋様のルーンが右手の前に写し出され人のサイズよりある長方形のコンクリートのようなものを右手から放ち男達を撃破したのである。
「この右手のせいで研究者達は私の身体を研究しようとしてきたり、周りで問題ばかり起こるようになったんです」
「…そっか…」
「でも、良いんです。私はレベル0で特に才能はありませんが、こんな力で誰かに手を差し伸ばすことができるのなら」
上ノ恵ハルがどんなに怪我を覆うと罵られようと、時には傷つき、立ち直れない時もある。でも、それでも私でも出来ることがあるのだと、
「上条当麻さんは、どう思います?」
その右手のせいで色んなことがあったのだと思う。第三次世界対戦に終止符を打ったのはここにいる上条当麻自身なのだから。だから、彼はきっと、私よりも深く深い所にいるのだとそう思った。
「……分からないな……」
「……そうですか……」
「君を見てると、ただがむしゃらに走っていた頃のだれかを思い出すよ。 胸が窮屈になりそうだ」
そう、上条当麻は小さく聞こえない声で呟いた。
「それじゃあ、帰りましょ、御飯作りますから」
そう言い、右手に異能の力を持つ二人は真っ直ぐ歩き出すのであった。