第二章
彼がこの学生寮に居座ってから一週間がたとうとしていた。
相も変わらず今日も不幸に巻き込まれたであろう上ノ恵ハルは部屋に入るとバックを低く投げ、居間に仰向けに横たわる。
「……納豆恐すぎだ……」
端から見たら何を言っているのかわからないであろう台詞を述べ、いつものように何かに追われたりした疲れが出たのか、そのまま眠ろうとしていた。
「……あ~……」
寝転がっている上ノ恵が向けている頭の方にはまるで、『定置』と言わんばかりに相も変わらず洗面所に背中を預け座り込んでいる黒い魔女っ仔の帽子を被った十代後半の男がこちらに見向きもせずそこを陣取っているのだ。
それがいつもの事ではあるが一応気になったのか適当に寝そべりながらため息をついて、
「……いい加減、こっちの部屋使っていいんでそこで座らないでください……」
「……一応、女性の部屋なんで……あと、別にここでも居心地いいかも……」
暗闇、黒で統一されていた世界で初めて出会った頃と同じで、まるで世界に興味がないような、隈のできているような目でただ一直線だけを見ている。
噂が絶えなかった本人、上条当麻なのかと疑った目で見つつ、そのまま本日の愚痴を述べる。
「スーパーで廃棄されそうになっていた山ほどある納豆をですよ、あまりの安さに沢山買い込もうとしただけでですね。どういうわけか麻薬犯に思われ、揉み合いにはなるわ、本当の麻薬犯とぶつかるわで、、何でこんなことになるやら」
確かにあまりの安さに奇声は少しは挙げてしまったが、その場にいた麻薬犯と勘違いされるのはどうかと、ため息をつく。
「……納豆恐すぎ、、新手のまんじゅう怖いの何かかと思ったわ……」
「あ、まんじゅうと言えばまんじゅうも割り引きで売ってて買ってしまった…」
買い物を先程までしてたことを思い出し、冷蔵庫に入れなければと重い腰を起こす上ノ恵なのだが、
「あれ、荷物は……」
先程置いたバック周辺には当然なく、ちゃんとここまで持ち帰った記憶も曖昧である。
「……まさか、……」
また何かやらかしたかと座っていた魔女野郎までこちらを冷めた目で見てきて、
「おい、置いてきてしまったのか」
「……な、………(プルプル)」
最終的に追われる羽目にまで陥った私、上ノ恵は追われている時に買い物袋を持っていたかを思い出し、額から嫌な汗を沢山出しながらこう提案した。
「……今日は外食にしよう……」
…………
………
……
…
行間 一
学園都市、第七学区
とある学生寮の前を彷徨く黒服達、そしてその背後に腰を掛けている研究員の男女二人。
夕暮れの道すがら、研究員の一人が肩を落としていた。
黒服の一人が怪訝そうな顔で、
「……一体どうしたんだ?」
「いやね」
研究員の男の方が力のない言葉で、
「ついこの間返り討ちに会ったていううちのね、第十学区の研究員がね、件(くだん)の少女が『恐い』だの『潰される 』だの進行形で魘(うな)されているわけよ。それなのに今、件本人の家の前に居ると思うと恐ろしくて恐ろしく」
「大丈夫だ、俺なんてこの間返り討ちに会って逃げた張本人だから」
ガクガクぶるぶる震えるのは日が落ち始め、冷たい風が吹き始めているせいなのか、研究員の男と黒服の一人は目的の場所とは逆の方を見て現実逃避をしているところだった。
「情けないわよ、相手はまだ私と同じくらいの年頃で無能力者なのよ。さっさと取り押さえればこっちのモノじゃない」
研究員女の言葉に、そういうもんかね…と、二人の男はにわか成功しないのではと俯きながら。
「許可が入った、くれぐれもバレないように隠密行くぞ」
黒服の合図により仕事モードに入ったとある一味は先頭にいる黒服の指の動きで学生寮の中をドンドン進んで行き。
「……今から五秒後に突入するぞ……」
件の少女のドアの前で銃を構え、
3、2、
1、
、GO!!!の合図に一斉に中に入って行く。
が、
、
、
、
ワンルームの部屋を大人数で銃を構えながらあちこち見渡しながら黒服の一人が言う
「……件の少女はどこだ……!?」
…………
……
…
第二章 中
「……何で一銭も持ってないんですか……」
「……すまん……」
通学路に通る車屋台のラーメンを啜(すす)るのは十代中間の女子高校生。そしてマントやら帽子やら、イチイチ派手な衣装をしていて、私物やら家やら全てすっからかんで涙目の十代後半の無職の男である。
「どうなんですか花の女子高生に奢って貰うのは、全体的に駄目な子ですよ、そこの碧眼さん」
「……ホント申し訳ない……」
今まで何回も言われてきたわと、ラーメンを啜りながら甲斐性なしまっしぐら状態である野郎は。
「ホントに荷物探さなくていいの?」
色々あって追いかけ回され、今、外食になってしまった原因の『それ』について下手(したて)になっている甲斐性なしが尋ねる。
「まあ、納豆とかは惜しいんですけど、生物ばかり入っていたあの袋を今更救出するのは心苦しいので…」
「……ああ、経験あるよ、俺も……」
同居中の二人(似た者同士)が遠い目をしてるのは言うまでもない。
「奢られている上条当麻さんは今、何歳でしたっけ」
「……十九……」
「そして、居候している碧眼は無職と」
「……………、」
「ラーメン代」
「はい、無職です」
「そして、何で、くら~い世界に一人で居たんですか」
普段ならこういう話は基本答えてくれないのだが、流石に今現在は分が悪い無職の碧眼さんは『ぐぬぬ』と困った顔をして、失敗して一人になりたかったんだ、と答えた。
「……失敗……?」
「そう、失敗だよ」
大事な物を失って
皆を傷つけて
最後には逃げたんだと、
具体的なことは教えてはくれなかったが、苦笑しながら答えてくれた。
流石にこれ以上は自分には聞くすべがないと思い、そうですか、と一言だけ言い食べ終わったラーメン屋でお勘定を済ますと店を出た。
……………
………
……
…
行間 二
学生寮から少し離れたところにある公園に黒服やら白衣やらを来ている十人はいる世間体的には怪しい面子がそこにはいた。
白衣を来ている男女はブランコに股がり、
黒服の集団の中にいる一人は声を荒げながら無線のようなもので連絡を取っている。
「話が違うじゃないか!!!」
『俺は居なくなるホンの30分前に帰ってくる所をちゃんと遠くから確認していた、ホントだ!』
「じゃあ、何故いない!?ちゃんと最後まで監視してたのか!!」
『当たり前だろ!居ないと報告を受けるまで俺はずっと監視していた!一度トイレに一分だけ席を外したが、それだけだ!!』
だ~っっっーー!!!、と遠くの誰かと連絡を取っている男は無線機を地面に思いっきり叩き落とし、
「誰だあの最近入った新人を監視につけた奴は!!!」
「いや、あんただろ。てか無線機それ高い……」
一人は無線機を直せるかと回収しようとし、黒服の男達はその場でどうするか話し始めるのだが、後ろでブランコにもたれ掛かっている男が今日は撤収しようと言ったその直後だった。
公園の外、通学路を歩いている男女に気づくのであった。
…………
………
……
…
二章 終幕
突然の出来事だった。黒服の武装を施した集団が前方から現れ銃砲を向けてくるのだった。
「……上条さん……友達か何かですか……」
「……悪いけど今、俺に友達はいない……」
家まであともう少しの所まで来れたのたが銃を向けられ手を上げる羽目になる上ノ恵と上条。
「抵抗を見せないという事は貴女に反撃の手段はないという事ですね。隣にいるもう一人は知りませんがとりあえず、運が味方をしてくれて良かったですよ!」
粉々の無線機を片手に持っている男が離れた公園で残骸を回収しながら高らかに喋っている。
「どなたか存じ上げませんが、何のようですか…」
上ノ恵がそう言うと白衣の女が近づいてきて、
「どうも、初めまして。学園都市第十学区スキルアウト(無能力者武装集団)の者です。お見知りおきを…」
「学園都市内で一番治安の悪い、更にスキルアウトの貴方達が私達に何のようですか」
「あら、酷い言われようですね。否定はしませんが」
後ろにいた白衣の男の方も此方に近づいて来て、
「単刀直入に言わせて貰うなら、貴女の身柄を確保させて頂きたいのです。貴女のその、特殊な右手を私達のために役立て欲しいのです」
上ノ恵ハルは手を上げたままお断りすると直ぐに答えたが研究員は続けた。
「私達は第十学区の治安を、子供達の安全をただ守りたいだけなのですよ。貴女のその右手の力でしたら例えば液体ダイヤだったり、簡単に錬成することが可能でしょ?」
「それを売り、誰も開発したことのないものや実験を行い、生活を豊かにしてあげたいのです」
「上ノ恵ハルさんだけがその力で得するのではなく、皆が得した方がいいと貴女もそう思うでしょ?」
「だから私達に身を委ねて欲しいのです。お願い出来ますよね。ついでに言うとこれ学園都市統括理事会のサイン入りです」
少女は答えた。長い話がやっと終わったと愚痴を溢すかのように、
「却下です。最初に言いましたよね。お断りすると」
「……ほぉ……」
「私はそもそもこの右手で得しようとしたことなんて一度もない。勘違いも腹正しい。」
「そして、銃を向けてきている人達に身を委ねるなんてそもそもありえないし、胡散臭いわ、嘘だとバレバレ」
「というかそこの公園にいる黒服の男の一人、つい三日前にも襲ってきては『出世のため!』って大声で高らかに宣言して、……騙す気あります?」
手を上げながら溜まってた物を一気に言い返してくる少女を見て、やれやれと研究員の二人は、
「そうですか……まあ、手荒くしたくはなかったんですが、」
「貴女だけではなく隣の彼まで被害に遭う羽目になりますよ?」
「全然お構い無し、人質になんてならないので、どうぞ好きに…」
そう言い現在進行形で銃を向けられている上ノ恵は上げていた手を下ろしては相手を改めて睨み付ける。
会話、終わったのか?と、隣でずっとめんどくさそうに手を上げていて全く話を聞かず他所を見てた人質碧眼も手を下ろし
「……やりましょうか……」
「…ハァー…壁のようなもん頼む」
「了解」
『撃てーー!!!!』
直後、決着が着いた。
…………
………
……
…
行間 終
『任務完了』
件の少女が住む学生寮から離れたところのビルにその男は居た。
『何が任務完了ですか、トイレに言って超無線機壊されてるだけじゃないですか』
『だって、手を下すまでもなくあの少女と、もう一人の誰かが倒しちまうしよ』
少女が右手を前にかざし自分達を銃から守るかのように鉄をどうやってか出し、もう片方の魔法使いのような帽子を被ってる男の上から槍のような物をがアンチスキルを襲った。そうここからは見えた。
『後で超何か言われるじゃないですか』
『……だよな……』
『トイレに行ってて目を離したなんて超○○ですね』
『け、結果往来だし、許してくれるだろ……』
(それにしても、少女隣に居たアイツの服装どっかで見たことあるよう……)
ITEMと書かれたバックを背負い、監視していた二人はビルから姿を消した。