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以上
序章
五月二十一日。
学園都市第七学区。
今日も相も変わらず人際賑わう地下街。
学生が半分を占めていることから制服姿の学生が多く、若さゆえの身のこなしをした若者も多く見られる。
だがしかし、有象無象したこの地下街でも、どうやらこの格好は浮いてしまうようだ。
「はぁ……」
歩きながら溜息を着くのには理由がある。
一つ目は学園都市第七学区にて人と会う約束をしているのだが花崎駅というとこで降り、地下街に入った所で頼りにしていた携帯《GPS》のバッテリーが切れてしまったことだ。
おおよそ行きたい先の場所は携帯で確認済みではあったのだが、それでも心持ちとしては不安である。
二つ目は支障をきたすほどの事ではないが仕事柄のせいか人混みがあまり得意ではない。大きな荷物を背負っているのもあり早めに目的地に着きたいのだ。
三つ目は一人称に自分の名前を二回繰り返し喋る、私と同じで頭にゴーグルを着けている者と出会ったことだ。私の勘が正しければ、あれは人工的に造られたモノであると、とても興味深い出会いだったのだが、バッテリーが切れ戸惑っている間に目を放して見失ってしまったのだ。
そして四つ目。コレが一番肝心なのだが私は…
「おい、そこのサングラスの者」
「んー俺か?」
「ああ、お前だ。ここ第七学区のとある女子寮に行きたいのだが、地下街からはどこから出れる?」
「ん、?ここ真っ直ぐ歩いていけばとりあえず外には出れるはずだぜ」
「そうか、すまなかったな」
「御安いご用ぜよ。外からのお客様さん」
(前から思っていたが、学園都市のセキュリティはザル過ぎやしないか。これもアイツの余裕の表れなのかね)
だが、学園都市に着いてから警備員(アンチスキル)は良く目にかかる。それは私が関連していないことは勘で分かるのだが、嫌にこの町は賑やかである。何かあったのだろう。
先程道を伺った金髪のサングラスをした男性の言う通り地下街のショッピングモールを抜け、額に着けているゴーグルを装着する。
(そういえば、)
「外からの来たことを言った覚えはなかったな」
1
『フォックスワードじゃ長いしキツネで良いかも』
自分で言って『そんな、捻りもない』と自分で安直過ぎると思う上ノ恵ハルとフォックスワード(自称)。
今更ながらこのキツネの当初の目的はあの何もない暗闇の世界に帰ることである。
『何故?』
『……安息の静寂を得たいのかな……。右手の体質のせいかこの世界にいると何かとトラブルに巻き込まれやすい。彼処には誰も居ないし誰も干渉してこない』
一区切りおいて続ける。
『それに、何処か感傷に浸れる……あの二人しか居なかった真っ黒なあの世界を……』
と、先程も述べたがこのように彼の目的は何もない暗闇の世界に帰ることである。
そして、今、
「……一体どうしたの?」
「いやね」
キツネは力のない言葉で、
「俺の居た世界では時間の流れが現実(こっち)のとは違って何年、何十年、何百年あっちに居たのかわかんなくてな」
とんでも発言をされたが上ノ恵はここで言葉を遮りはしない。驚きはしたが修羅場を乗り切ってきた実績は伊達ではない。『へ~、』で済ませられるような、そんな女の子である。
「見知っている相手の筈なんだが、妙によそよそしい感じになっているわけだ」
「うん、そのわりには相も変わらずキッチンの下にもたれ掛かってると。てか、いい加減こっち来て下さいよ」
半場強引に部屋に連れ込むと定置を見つけたのか部屋の隅っこで再びもたれ掛かる。
もう諦めたのか部屋に連れ込んだ上ノ恵は、
「それで、もう来るんですよねその人は」
「ああ、もう『家の目の前』だ」
2
『女子寮に野郎から呼ばれて来たわけだが、』
「人の家に入って第一声がそれか……」
『お前の家でもないだろう。そうだったら監獄行きだ』
インターホンが鳴り、迎えに行こうと立ち上がる前に入って来たこの人、
「貴女が…博士さんですか?」
『ああ、お前が話に聞いた野郎の夜のお供か』
「んな話、した覚えがねえ」
「夜のお供???」
『…おっと、ピュアに育ったお子さんだったか。それは失礼』
「お子さんって……」
『おい、私のほうが年は上だぞ『上ノ恵ハル』とやら』
笑いながらお怒りマークを浮かべるこの博士と呼ばれる方がキツネが呼んだ人である。
『何十年振りだ?私からしたら二ヶ月振りくらいなもんだが』
「……さぁ、どれくらいになるかな……。自分でもよくわからん」
『そうか。だが、私の事は忘れていないようだな』
博士と上条はしばし見つめ合う。
しばらくして、博士の方から話を切り出す。
『さて、本題に入る前に私は腹が減った。食事でも食べさせてくれ』
「あ、分かりました」
博士という方が来て再びキッチンにもたれ掛かっているキツネを退かし、台所に立つ。
『せっかく、来たんだ。日本食で頼む』
「ハイ。……外国の方ですよね?どちらの方ですか?」
『さあ?』
「おい」
『国籍はイギリスということになっているが、これでも別の血も混ざっている…』
「ハーフなんですか」
『さあな、英国紳士の血だけではなくアジア系統の血も流れているそうだ』
「へー…あ、キツネさんはどうします?ついでに食べちゃいます?」
『キツネ?この家にはペットでもいるのか、?』
「いえ、この眼帯さんのことです」
『は、』
「本名、訳あって隠してるらしいんですよ。あ、これ言っても大丈夫ですかね?」
『こいつの名前くらい当然知ってはいるがな。それに有名人だぞこいつは。ーーーーーーーだとしても、何故こいつがキツネ何だ?』
「いや、『フォックスワード』と名乗ったもんで、キツネと………」
『何の捻りもないな』
「グフ,,」
『ほぉ、それにしても偽善使い(フォックスワードね)とね、』
「………」
「ほ、他にもベアトリーチェやら」
『イタリア人かお前は。それにベアトリーチェはイタリア語圏の女性の名だぞ』
「あと、ジュリユスやバードウェイやら」
『何で、ここであの明け色の陽射しの『バードウェイ家』の名が出てくる』
「え、知り合いの名ですか?」
『……あの妹とは真逆の生意気な子供何て知らんよ。それより何の意図があって……ベアトリーチェやジュリユスもお前の知り合い関連の名か』
「いや、たまたま思い付いただけだ。顔見知りには、まあ、そういう名の奴がいるが」
「思い付きで知り合いの名前使ったんだ……」
『まあいい、それよりもお腹が空いた』
3
『ほぅ、日本食を作って貰うのはこれで二度目だが、最初の奴よりは上的だ』
「やかましいわ」と上条が突っ込む。
『それにしても箸というのは良くないな。綺麗に食べれないではないか』
「フォークなど出しましょうか?」
せっかく日本に来たのだから、と、断られつつも何度もこぼした所で無言でフォークを手にとる。
『さて、本題に入りたいのだが…どこまで我々『魔術師』について知っている?』
「魔術師、ですか。博士さんもキツネの言ってた通り魔術師何ですね」
博士でいいという返事を後に加え、『ああ』と、断言する。
『どこまでこの上条、、キツネとやらに聞いたんだ?』
「んー魔術とは、科学とは法則が無関係であるオカルトであると。私の右手のように火やら水らやが無法則に出ると…」
『手から火や水が出るのか…まあ、そういう科学的法則で生み出せないのが魔術であるぞ。他にも傷を癒したり空間を歪めたりな』
本当にそんな便利なものなら、科学的な超能力よりよっぽど普及しそうなものである。
そんな事柄も踏まえた上で上ノ恵は聞いたことを話す。
「便利そうに見えて実は便利ではないのが魔術で、『才能のない人間が、才能のある人間へ追い付くために』存在するモノだと」
『そうだな。『こいつ』のような例外も一部いるが私たちは無能なのを他の何かで補っている』
「そして、その便利でない魔術は私達科学の能力と違って能力に制限はないと、科学サイドの私達が魔術を頼ると体中の血管や神経に負荷がかかると、」
『他には?』
「うーん、他には大きな魔術師の組織があったり、単体で動く魔術師の組織があったりと、こんな感じかな?」
『ざっくりだが要点が分かっているなら大丈夫だろう。キツネとやらにも人を教育できるみたいだな。…因みに私は魔術師と名乗るがどの組織にも介入していなかった外れものさ。』
「いなかった、ということは今は何処かに所属しているんですか?」
『はっは、組織と言っても小さなモノだがな。人員は私と…』
博士は部屋の壁にもたれ掛かるキツネを見て指を指す。
『それと、キツネのそいつだ』
「え、てことはキツネさんは魔術師だったんですか?」
『だ、そうだが?』
「……恩と、交換条件として仕事を手伝っただけだ。魔術師かどうかは自分でも曖昧だがな」
キツネが怪訝な顔をして右手を見ていると、上ノ恵は一番聞きたかった事を問いだした。
「私のこの右手は、一体何なんでしょうか……」
『……明確なことは言えないが、それは人の、『魔術師達』の願いだ』
「願いですか?」
『ああ。私達、魔術師の人生にはどこか挫折がある。全を救うために1を見殺しにせざるを得なかったり、大切な人を救えなかったりな』
「…………」
『その挫折した魔術師達の言葉には表しきれないようなモノ、願いから宿っているのが…例えばそのキツネの右手に宿っている人の願いから生まれた幻想殺し(イマジンブレイカー)もそうだったりする。お前のもそのはずだ』
「どうして私に宿ったの?」
『さあ、このキツネが言うには普通の平凡な人間が選ばれるらしいが、上ノ恵という人間のあり方や概念みたいなモノが選ばれたのだと、そう思うぞ』
「それじゃあ、この右手の能力がなくなったりは…」
『魔術の99%以上を占めるのが魔術を極めた頂点の存在、魔神なのだが、そこのキツネが右手に力を宿したのは魔神の願いからのはずだ。
…だか、魔神はこのキツネによると全員死んでしまったらしい。それでもキツネの右手の力が消えていないのなら無くなるようなモノではないのかもな』
「そ、そんな…」
『切断でもすればいいんじゃないか?』
「…そうしようかな…」
『おい、』
4
『一休憩がてら買い物がしたい』、博士の一言で外に私、上ノ恵を連れて先程居たと言う地下街のショッピングモールに向かっている。
「上条さんはまだ大事なことを聞いてないと言ってましたが」
ついでに言うと、安直に名前を出さなきゃ上条でいいとも言っていた。
『ああ、上条が私を呼んだのはお前の右手のこともそうだが、一番は暗闇の世界とやらに帰れなくなったことだ』
「…それ、私のせいなんですよ」
『む?』
「どういうわけか私が助けを求めたら彼の、上条さんがいた真っ黒な世界に飛ばされまして」
『……ほう、興味深いが、憶測ならできるぞ?』
「……実は博士ってかなり凄い人ですね」
『ああ、私は天才だからな。それで憶測を話す前に一つ、』
右手に宿った力を恨んでいるか
博士はそれを踏まえた上で話をすると言う。
「恨んでますよ。それはもう絶対に、」
『……』
でも、
「それでも、この右手のお陰で救えた人がいるんですよね。無能力な私に勇気をくれたこともありましたし、そこは感謝してます」
『……はっはっは、そうかそうか。上ノ恵、お前は本当にあのバカとそっくりだな』
「ば、バカ?バカに似ているというのは癪ですが??」
『ふふ、そうだな。じゃあ、憶測ともう一つ話してやろう。
科学サイドにいて魔術サイドにも関わりを持つ。
だが、どちらでもない英雄と呼ばれたアイツが、
今に至るまでのお話を』