とある魔術の禁書目録(真理の扉)   作:まーぴん

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第七章

 

 

 

 

 

 

 

本来の理由を当然知らないお前達には痒(かゆ)くなる話さ。誰だって頭の中に得体の知れない何かを埋め込まれていると知ってしまったら大層な顔をする。

 

それはいつ、どうやって?

 

学園都市の技術で頭の中をいじられていない者は学園都市にはいないだろう?『身体検査』やら『能力開発』という能力向上を都合にな。

 

だがそれは目に見えるような者ではない。

学園都市でありながら、科学的なモノではなく、それは魔術によるモノだからな。

 

全ての人間を自分の思い通りに洗脳、操ることが出来た。当然、レベルファイブと称される七人の超能力者も例外ではない。俄(にわか)には信じがたいことだが、あの男にはそれが出来た。あの男の力だから出来た。

 

アイツの求めている場所、プランには狂いもなく、正確に事が進んでいた。

 

学園都市という膨大なヤツの集落。

 

 

レベルファイブ。

 

 

エイワスという切り札。

 

 

そしてもう一つ。

 

 

 

 

アレイスターのお気に入りにして、プランに最も重要でもある。

 

三年前のあの日、プランを狂わせ、計画を歯止めている…。

 

 

 

 

特殊な右手を持つことで洗脳されずにいる私の助手。

 

 

 

 

 

 

上条当麻

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイツはな、あの運命の日

 

 

 

最も大切な『理解者』を失ったんだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1

 

 

「そして後日、エリザベートの銘で学園都市に派遣されるはずであったナイスバディーの私は、デンマークのミミルの泉の近くで倒れているアイツを拾ったんだ」

 

 

ズズ…と。

お茶をすすり、腰をかけながら、ザッくりと、こんな感じの話さ。と、ひと悶着置く。

 

 

「詳しい詳細はまあ、まず、ある『山』を越えた後に話してやる」

 

 

お洒落な机に置いてある、英語で商品メーカーが記されている紙袋を複数手に取り、ショッピングは終わりだと、立ち上がる。

 

 

「………」

 

 

「なんだ、薄い詳細しか話してないのに、もう感情移入したか?」

 

 

右手を握りしめ、ただの人間の五体で怪物に挑んだ男の話を今日、聞いた。

 

 

いつだってその男は、

 

 

悲劇に眩み、一歩も進めなくなってしまい、真っ暗な世界に一人でいるような、そんな重圧のようなモノに押し潰された人を、おこがましく救いたいと、手を差し伸べたのだと。

 

とある女の子を護り、記憶喪失になっても。

 

戦争を終結せんと、世界を護っても。

 

一人の女の子を護るために世界と戦っても。

 

自分の護りたいモノのために彼は戦って来たのだ。

 

 

「何も知らない私が可愛そうだな、と。おこがましいし、そう思うこと事態失礼なのかも知れないけど、やっぱし、あの人は辛かったんだと思う。…だったら私が出来る範囲で手を差し伸べなきゃね。おこがましく、ね」

 

 

私が右手を恨んだあの日。彼が私に手を差し伸べてくれた。こんな右手を持ってて良かったと、少しずつ、今、思えるようにしてくれたのだ。

 

 

「……そうか、そうだな。

 

ああ、そういえば、憶測の話だがな」

 

 

博士は忘れてたと言わんばかりに言う。

 

 

 

「お前の右手はな、大切な理解者を失ったアイツから生まれたんだ。

 

 

魔術師の願い、……上条当麻、

アイツの願いからお前に宿ったんだ」

 

 

「え、……それって…」

 

 

 

それ以上は出なかった。

 

 

ドドッッッ!!!!!……と。大きな爆発があったからだ。

 

 

揺れで床に座ってしまっている私を守るように前に立ち、荷物を捨てて片手を背中にまわしながら博士は言う。

「学園都市に住む者全てを自分のモノとしているアイツはな、私(魔術師)という不純物が学園都市に入り込んだことにはすぐ気づいてしまう。お陰で視線がここに来てからずっと感じる」

 

 

背負っていたモノを下ろし、異様で大きな『Relief』と記された銃のようなモノを取り出し構える。

 

 

「例外で、右手のせいで学園都市にいても確認が出来ない。更にずっと座標に行方を眩ましていた上条当麻を私を通して確認したんだろう。今頃サイコーにハイだな、『アレイスター』」

 

 

「ということは…あの爆発は!?」

 

 

状況を感じ取った上ノ恵も博士の後ろを守るように立ち上がる。

 

 

「いいか…お前も例外の一人だ、上ノ恵ハル。これをきっかけにピエロに狙われることになるかも知れないからな」

 

 

「トラブルにも巻き込まれるのにも慣れてます」

 

 

ニッ…と。互いに笑みを浮かべる二人の目線の前に爆発の煙から大量の人影が歩いて向かってくる。

 

 

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 

 

「曖昧な説明で取り押さえろなんて無茶を言う。第一見ろよ、何だってんだこの男は…」

 

「………おいおい、そうめんどくさがるなショチトル。これも大事なお仕事なんだ。だからさっさとお片付けだ」

 

爆発の煙の中で十代後半の女性が異様なコスプレの男に近づいて行く。

 

「……おい、そこの魔女の帽子を持っているお前。お前には女子寮不法侵入の疑いが掛かってる。さっさとお縄に付きな」

 

「それは、仮ね。何の罪か知らんけど、重罪を犯したとかの名目があるらしいじゃん。どうなのツンツン頭のお前さん、身に覚えありありでしょ?」

 

距離十メートルくらいで立ち止まって質問してる二人に対して聞く耳もたずと言わんばかりに、爆発による火災のせいでスプリンクラーの水を浴びていながらもそっぽを向きながら黄昏(たそがれ)ているツンツン頭である。

 

「おい、こいつ捕まえていいんだよな……?」

 

「ショチトル、反応がないからって銃をぶっぱなすのは良くない」

 

おいおい、と。銃を押さえつつも警戒を怠らないでツンツン頭を見ている学生の服を着た少女は言う。

それは、その男を反応させるだけのモノであった。

 

「こうしてる間に外から来たとかいう危険因子はヤられてんじゃねーかな」

 

二人の少女は直後ツンツン頭の少年を見失う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3

 

 

 

 

 

 

 

 

ッッッドン!!!!! という衝撃。

 

 

 

胸を強調するようなピンクのドレスを着たとある少女の細い、だが明らかに改造が施されていて、ピキビキ…と、なる腕が、小さな拳が、上ノ恵の胸板の真ん中、心臓へと突き刺さっていた。まるで木槌のように上ノ恵の体を背後の太い針葉樹へと叩きつけていく。衝撃と慣性の力で上ノ恵を縫い止めている少女は、至近距離で呟く。

 

「ねえ、今のでゲロを吐かないなんてつまらないよ」

 

ッッッドン!!!!!!

 

「あんたがどこのどいつだろうと、『上条当麻』とどのような接点があるのか、価値があるのかなんて、」

 

ッッッドン!!!!!

 

「私には関係ないのよ。私はただ、邪魔なヤツは消してこいとしか言われてないんですもの」

ッッッドン!!!!!!

 

 

胸に、腹に、顔に。立て続けに振り抜かれる超重量の鉄拳は、本来なら上ノ恵の意識を刈り取るほどのモノで、気絶するだけでは許さずと言わんばかりに、再びその意識を揺り戻すために何度でも何度でも何度でも何度でも…。

 

 

されるがままの上ノ恵はコンクリートの上をバウンドし、地面に血が付着していく。

 

「……がっ、あぅあ……くぅ……」

 

(…博士の魔術防御の加護がなければもう……)

 

 

「くっ……上ノ恵、待ってろ…」

 

 

博士と称される女性は、

 

 

「「「「「…………、」」」」」

 

 

無数の人の形をした、一人一人が様々な武器を持つマネキンと相手をしていた。既に何十と破壊しているがまるで減りを見せない。

 

 

「ああああああああああああ!!!!」

 

 

 

地面を一瞬で削り建物を貫く赤い特大レーザーのようなモノで何十とマネキンを薙ぎはらう。

 

だが、

 

 

「「「「「…………、」」」」」

 

 

マネキンは建物の中から、上から、至る所から出没しミサイルやらチェンソー、液体による誘爆など攻撃の嵐は止まらない。

 

 

「あー、あっちは凄い楽しそう。それに比べてあんた、全然面白くないんだよ!!」

 

 

「ああ!!、あ……は…はぁ…」

 

 

勢いよく自分の体が地面をから浮いていると気づくのに数瞬。

少女のビキビキッッッ…と、ボコボコ筋肉が膨れ上がる足にお腹の溝を踏まれその場で静止する。

 

 

「げふっ、がはごほ!!…あ、あああ……」

 

 

上ノ恵が押さえ込まれている足を両手で薙ぎはらうとするも、メキメキッッッ!!!!……と、足の裏で溝で揺らすように固定しながら踏む。

 

 

 

「…くそっ……上ノ恵……」

 

 

一瞬の隙だった。

ペンチブレスのようなモノを後頭部の目の前まで突きつけようとしているマネキンの影が迫っていた。

 

 

(………油断っ………)

 

 

バチッッッ!!!!と、バッドで殴られたような音が響いた。

 

 

「ああ、そっちも期待ハズレ、?というかあんた、魔術師のあんたさあ、完全に舐めてたでしょ」

 

 

溝を足でゴリゴリッッ!!…と踏みつけながら少女は博士の方を見る。

 

「くぅ…ああああ……!!!」

 

 

「今すぐ上ノ恵を放せ!!」

 

 

「もうちょっと、下の、弱いのが来るとか思った?もう甘々だよ。あの人はどんだけ『上条当麻』を必要としてるって知らない訳じゃないでしょーに」

 

 

「放せっていってる……」

 

 

 

「私はね、あの人の、最も期待にある直属のナンバーだよ?といっても……ナンバー5だけどね」

 

 

「ああああああ!!!!」

 

 

 

 

ブチッッ……頭の線がキレる音がした。

 

 

 

「道理を知れ……Relief038」

 

 

ッッッバッッ!!! という衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 

「………あ、はあ、……は」

 

「大丈夫か……上ノ恵……」

 

「……はぁ…博士…今のは……?」

 

「私の魔法名、……私の覚悟だ」

 

「………………」

 

ボロボロの体を押さえながらフラフラと立ち上がり、豪腕な少女を見つめる。

 

鋭い一直線に抑圧した風の弾丸を腹に食らい、そのまま後ろのビルまで勢いよく吹っ飛ばされた少女は、心臓や内臓をも貫かれて、腹から大量の血を流し、貫通して穴が空洞のように空いている。後ろに控えるビルの幾つかも大きな穴が空き、貫通している。

 

数々のマネキンも、あの少女がヤられたからか、バタバタ倒れていった。

 

「…………、」

 

「ああしなければ、こちらがヤられていた……だからそんな顔をするな。まだ一つの『山』を越えただけだ」

 

「……最初に言ってた山ってそういう……」

 

「はっはっは、取り合えずまず、傷を治すぞ」

 

上ノ恵の背中に手を置き、回復魔術を行うからじっとしてろと、博士の体を緑のオーラのようなものが包み込む。

 

 

「骨は、折れてないな……」

 

「博士の魔術の何かのお陰で…助かりましたよ、あたたたたたたた!!」

 

「あばらがイっているんだ。よく我慢できたな」

 

「慣れっこですから……」

 

「なら、まだお相手を願えますね………!!!!!!!!」

 

 

『彼』は、それを目撃していた。

 

 

のびていてた、気絶していたなどではない、完全に死んでいたであろうその少女はお腹の傷もなく、血だらけで立ち上がっていた。

 

 

「なんで死んでいない……?そんな顔をしてますね。」

 

ニタニタと笑うそれの体の筋肉はボコボコと水に空気を入れたようにしている。

 

「因みにあと私は十数回……死ねますよ。カルト神話の人の血肉を食べることにより新しい生命を得る、それが私の魔術のテーマ!!人を殺した数だけ、私は魂を得ることが出来るんですよ」

 

「……貴女は……何十人と人を殺したと言うのか…」

 

「上ノ恵さん、でしたっけ……上ノ恵さんだって人を殺して永遠の命が手にはいると知ったら殺すでしょう?」

 

 

 

この人とは根本的に違う…。

 

感じている価値観が違うのだと…。

 

 

 

『彼』は、それを目撃していた。

 

 

 

 

「今度こそ、私に殴り殺されて、私の血肉となってください!!!!」

 

バキゴキガキリゴリゴリッッッ!!! と立て続けに血だらけの少女の筋肉が盛り上がる。何度も、何度も。自分の体が計り知れないパワーに耐えられないのか皮膚が剥がれてもいく。骨さえもがゴキゴキッッ!!と、イヤな音を鳴らしている。

 

ニィ……………と、異形の少女は嗤う。嗤う。嗤う。

「あははははあははあはああはあはは!!!!うううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

ぞくりと見る者の背筋を震わせるそれはコンクリートに足跡をドッッッ!!!…と、付ける破壊力の踏み込みの衝撃で、たった一歩で二人の目の前まで現れたのだ。

 

「私のエサァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」

 

「「…………ッッ!!!!」」

 

 

 

『彼』は、それを目撃していた。

 

 

 

 

 

 

だから。

 

 

 

 

ゴクシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!という粘ついた爆音が炸裂した。

 

 

 

 

その男、上条当麻が二人の目の前に迫る少女の間に割って入った事で起きた大音響だった。

 

彼が取った行動は至ってシンプルだ。その左手を使って迫る少女の腹の真ん中に拳を突きつけたのだ。

 

男は、表情一つ変えなかった。

 

今もなお迫る少女の勢いを利用し腹の真ん中へこちらも勢いよく。

 

「……が、かっ………ッッッ!!」

 

自分の血に溺れ、粘ついた呼吸音を漏らす少女。

 

意識が明滅するのが分かるが、しかし同時に少女の腹の真ん中の何かがゴキゴキと音を鳴らし、正常な顔つきになる。

 

 

 

「ふふ、やっと、やっと、やっと!!!!来てくれたのですね……お待ちしてましたよ上条当麻」

 

 

「上条さん……!!」

 

 

「近くにいることでやっと分かりました。その膨大すぎて、感じることも出来ない魔力!!!!!!!!!!」

 

ドッッッ!!! と再び凄まじい踏み込みにより一瞬にして彼の目の前に拳をすりおろす少女。だが、

 

「すごい……すごい………すごい!!!!!!!触れることさえ出来ないなんて!!!!」

 

力強く向かってくる拳を払うように軌道をずらせる。ただ、それだけの事で拳をかわしている。

 

「…………………」

 

興奮でヒートアップしている少女とは裏腹にヒールな彼は庇うように後ろにいる二人を見る。

 

「…………このくらいの傷…かすり傷だ……」

 

「……上条さん…大丈夫ですよ……」

 

「イマジンブレイカーの所有者であり、魔神になり損ねた上条当麻。本来こんな所で遊んでいて良い方ではないはずですよねぇ?くだらない、死人にばかり拘(こだわ)って、くだらない現実に拘束されて、まるで、私にその魔力を奪えって言ってるようなモノじゃないですか!!!うふふふふふふふふ!!!!!」

 

 

たが、さっきと同じで少女の攻撃は届かない。

次はその膨大な魔力が上条を覆うように、

 

 

「ああ、!!!その、魔力が欲しいんですぅ!!!」

 

少女の筋肉が体全体を更にボコボコとさせ、確実に大きくなっていく。

 

 

「上条さん……!!!!」

 

 

 

 

来るな、邪魔

 

 

 

 

魔力で空間にそう文字を出し、遠くへ離れていく

 

 

 

「彼女達を巻き込みたくないんですね。……ふふ、お優しい。

 

 

 

ねえ、知ってます?

 

 

 

 

人間の体にはリミッターが掛かってるんですってねぇ。

 

 

 

 

 

 

だけど、命のストックが掛かっている私には関係ありません。

 

 

 

 

 

百パーセント!!!!!!」

 

 

 

筋肉の皮膚が全て剥け、細かった少女の腕とは思えなかったモノが魔力を宿って彼の魔力で覆っているモノを殴り付ける。

 

 

 

 

 

「百五十パーセント!!!!!!」

 

更にさっきよりも増殖させた力で殴り付ける。

 

 

「二百パーセント!!!!!!」

 

 

ドゴォッッッッッ!!!!!!

 

 

「ふふふふふ!!!……三百パーセント!!!!!!!」

 

 

ドゴォッッッッッ!!!!!!!!と魔力で覆う何かが響いている。だが、少年を守るそれは消えない。

 

 

「四百!!!!五百!!!!!!!六百!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

少女の突き出した拳で彼のいる一体の地面が衝撃で盛り上がっていく。

 

 

 

「す、凄い………」

 

「ああ、だが、アイツはまだ何も見せていない」

 

 

 

 

「く、はあ、はあ……はあ、いい加減倒れなさいよ」

 

 

 

冷めた目で少女を見る少年。

 

また魔力で文字を出す。

 

 

アイツらに謝れ、これが最後

 

 

 

 

「……は、…誰が謝れって……??」

 

 

 

 

これが最後

 

 

 

 

「はっ!!!そもそもあの下の二人はいないも当然、勝手にでしゃばるからああなるんです!!!!あのオティヌスとかいう犬死に野郎もでしゃばるからプランが台無しになるんだよ!!!!」

 

 

 

上条当麻が拳を少女へ突き出した。

 

それだけだった。

 

 

 

 

空間が捻れるような、凄まじい爆発音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「かっ…………うひぃひひはひはひひひ!!!!!」

 

 

少年によってお腹の真ん中を吹っ飛ばされ、確実に死んだそれは、再び笑いながら立ち上がる、が。

 

 

 

ドゴォッッッッッッッッ

 

 

少年は立ち上がるそれに同じ事をする。

 

 

 

 

 

「………あ、ふひふひははははあははは!!!!!」

 

 

ドゴォッッッッッッッッ

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あ、あうあ………あ…あああ!!!!!!!!」

 

 

ドゴォッッッッッッッッ

 

 

 

「……あ、あああああやめろおおお!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

何度も何度も何度も何度も、何度も何度も何度も。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

 

 

 

何度も続いた。

 

 

 

 

 

 

 

「……………早く、シね」

 

「う、ああ、はあ、はあ、はあ、………」

 

「…………立てよ、早く終わらねえだろ?」

 

「……………もう、やめて………」

 

 

 

 

 

 

謝れ

 

 

 

 

二人に

 

 

 

 

オティヌスに

 

 

 

 

謝れ

 

 

 

 

 

 

そう、文字を出した時だった。

 

 

 

七百パーセント、少女は魔力で覆う何かにぐちょぐちょになる腕をねじ込ませ、

 

 

 

少年に両手で触り

 

 

 

 

 

「期待通り、なり損ないでも魔神の力を持つ貴方の力は凄い。なら、こういうのはどうです。

 

全魔力解放。」

 

 

 

上条当麻を取り巻く魔力が、空を突き抜ける魔力の柱が吹き溢れる。上条当麻を、全てを消すかのように、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、少年は消えない。

 

 

「何故、………どうして。しつこい、しつこい、しつこい!!!七百パーセント!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

少年は今の今まで使わなかった右手で少女の拳を押さえる。

 

 

「死にたくても死ねないんだよ。……俺、魔神だから。

 

 

 

アイツに会いに行きたくても

 

 

 

アイツを殺した俺は会いに行けないんだよ」

 

 

「は、はあ……はあ……はあ……え、」

 

「どうやら、……最後の命みたいだな」

 

「……………い、いや………!!!!」

 

「お前は、身勝手に人の命を奪いすぎた。償え」

 

「い、イヤだ………死にたくない」

 

「皆、そう思った。アイツだって、」

 

「イヤ…」

 

「悪は終われよ全て。何もかも……!!」

 

「うあうううあううあうあああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

ドォッッッ

 

 

 

 

 

 

背中の辺りに体温を感じ、上手くいかない。血のたまり場となったここで水をかくようにしながら駆け寄り、上ノ恵は少年の背中へと抱きつく。

 

 

 

 

 

「もう………やめよ……」

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

拳はまだ握っている。まだ止めは指していない。

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

………………背中が暖かい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪っていうのはな、

 

誰かが誰かを見捨てた時に発生する。

 

こいつはもう駄目だと周囲から諦められ、 救う道を目の前で取り上げられた時に。

 

大勢から切り離された誰かさんが、悪という事になってしまうんだ。

 

お前の最大の武器はな、このどうしようもなく根っこの腐った悪だった『魔神』オティヌスさえ奈落から掬い上げた、あの力強い腕にこそあった。

 

『繋がる力』がお前のとっておきの切り札なんだ。だから絶対に間違えるな、安直な答えなんか出すな。

 

絶対に殺しの力なんかじゃない。そういう暴力をも包み込める、人間としての理性の方なんだよ。

 

 

 

 

かつて、アイツは言っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、

 

 

 

 

 

 

暖かい

 

 

 

少年は拳を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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