仮面ライバーサンシャイン 光の導き手   作:シママシタ

12 / 20
年内最後の投稿!
明るく終わると思わせて?


逃れぬ運命

重い衝撃が戦場に響き渡る。ゴウダメは強く地面を踏み抜くと、大きな衝撃が起き、ライダー二人は吹っ飛ばされてしまう。

 

『こいつ……強い。』

 

よろよろと立ち上がりながら狼渦は思わず本音を漏らす。

ウインドにとどめを刺そうとした瞬間、二人の必殺技を簡単に止め、現れたオニseadのゴウダメ。大きな一本角に鋭い目、そして赤く強靭な肉体を持つその姿は名の通り赤鬼のようだ。

そして、ゴウダメが乱入しておかげで、ウインドは逃げてしまった。というのもわざわざウインドを逃がす為にゴウダメは乱入したのだ。

 

『ははっ!その程度かよ!』

 

満身創痍の二人とは対照的に、ゴウダメは余裕の様子でまだ戦い足りないといったところだ。

 

『くっ!言わせておけば!』

 

『落ち着け!あいつとまともに戦って勝てる訳がない!』

 

ゴウダメの安っぽい挑発にホープは乗せられそうになるも、狼渦が止める。狼渦はゴウダメとの間に圧倒的な力の差があることをしっかりわかっていた。ゴウダメの強さはその強靭な破壊力だ。ひとたび足を踏み出せば大地は揺れ、拳を振るえば風が巻き起こり、直撃すれば肉塊と化す。その力の強さは直撃してないにもかかわらず、衝撃だけでひび割れている生態鎧が物語っていた。

特に力が特徴のゴウダメに正面からまともに戦うのは最も相性の悪い戦法であり、無鉄砲に突っ込むホープを止めたのはその理由だ。

 

『だけど、あいつを倒さなくちゃ、みんなが危険な目に遭う!』

 

『光助!』

 

しかし、ホープは狼渦の制止を振り切ってゴウダメに立ち向かってしまう。ホープの後ろには千歌達がいる。守るべき存在が近くにいると、どうしても守らねばという責任感に駆られ、ゴウダメを倒すことしか考えられずにいた。

 

『ほお!いいね!そういうのは!』

 

恐れもせず向かってくるホープにゴウダメは楽しそうにはしゃぐ。そして、ゴウダメはホープに拳を振るうも避けられる。

 

『貰った!!』

 

そして、ホープは懐に入り、腹に渾身の一撃を叩き込む。しかし、ゴウダメの鋼鉄の肉体の前には意味を成さない。

 

『いい動きだ!だが、力が足りん!』

 

すると、ゴウダメは地面を強く踏み、大きな震動を起こし、ホープを宙に浮かせる。そして、踏み込んだ左足を軸に残った右足でホープに強烈な一撃を浴びせる。

その重い一撃に、呻き声すらも上げることは出来ず、ホープはサッカーのシュートように勢いよく壁に叩きつけられる。

 

『よくも!』

 

内心で言わんこっちゃないと舌打ちをするが、それでも仲間を傷つけられ、怒りを覚えないはすがなく狼渦は目にも止まらぬ速さでゴウダメに迫り、爪で斬り裂く。

 

『野生味溢れる攻撃!最高だな!』

 

しかし、ゴウダメはダメージを受けながらもまだ楽しそうに叫ぶ。そんなゴウダメを無視し、再び狼渦は攻撃を与えよう、突っ込む。

 

『だがな!その程度じゃ!俺は倒れん!』

 

『何!?』

 

狼渦の電光石火の攻撃をゴウダメは片手で防ぎ、そして首を掴んで高く上げる。狼渦の素早さは正に目にも止まらぬ速さで、残像すら見えるほどである。しかし、ゴウダメはその速さを諸共せず、狼渦を掴む。

ゴウダメは生粋の戦士。戦うことに喜びを感じ、戦いこそが生きる全て。その為、幾たびの戦いを経験し、当然、狼渦のように素早い相手とも戦っていた。その時、ゴウダメは速い相手の対処を見つけ出したのだ。

そして、狼渦を目一杯地面に叩きつけ、クレーターが出来る。

 

『ははっ!まぁまぁ、楽しめたかな?それじゃあ、終わりにするか。』

 

「やめて!」

 

そして、ゴウダメは目の前に力なく倒れる気を失った狼渦を踏み潰そうと脚を上げた瞬間、千歌が物陰から現れる。

 

「それ以上、レイちゃんに手を出さないで!」

 

『何だてめぇ。ただの人間だろ。さっさと失せろ。』

 

「嫌だ!そうしたら、レイちゃんが!」

 

『はぁ〜、俺はただの人間と戦うのが嫌いだが……てめぇがこいつを守る為に戦うってならいいぜ。』

 

初めは気乗りではなかったが、千歌の蛮勇を気に入り、ゴウダメはゆっくりと迫っていく。

 

「千歌ちゃん!逃げよう!」

 

後ろから曜が袖を引っ張るが千歌は石像のように動かない。否、動けないのだ。迫り来る恐怖に怯え、竦んでしまったのだ。

 

『させ……ねぇ……よ!』

 

『まだ、立つか!』

 

すると、背後からボロボロのホープはおぼつかない足取りでゴウダメへと迫っていた。

 

「光助君!やめて!それ以上無茶したら!」

 

「先輩!」

 

梨子とルビィはボロボロになっても戦い続けようとするホープを引き止めようとするも、ホープは全く聞く耳を持たない。

 

『しぶとい野郎だな!』

 

ゴウダメはクルリと振り返り、再びホープに迫り、渾身の一撃を浴びせる。

 

『何!?』

 

『俺は……みんなを守る!』

 

直撃すればただではすまない一撃を、ホープは片手で受け止める。その受け止めた片手には大きなガントレットが着いていた。そして、次第にホープの体が変化していく。鎧は重く、厚いものへと変え、まるで甲羅のよう。そして、鎧に色は灰色へと変わる。頭はターバンを巻いたようなものになる。

 

『貴様!その姿は!』

 

ホープ グレーフォーム

強靭な防御力で全ての攻撃を受け止め、その隙に重いカウンターを叩き込むことに特化したフォーム

 

『オラァッ!』

 

そして、ホープは空いた片手を思っ切りゴウダメの腹にめり込ませる。

 

『グアッ!』

 

鋼のような肉体をめり込ませるほどのパンチに流石のゴウダメもダメージを受け、腹を抑える。

 

『はは……いいねぇ!てめぇ!おもしろい奴だな!いいぜいいぜ!』

 

すると、ゴウダメは対等に渡り合える好敵手を目の当たりにし、目を輝かせ、興奮する。そして、ゴウダメも負けじと強烈な一撃を浴びせる。

 

『くッ!』

 

さらに強化された生態鎧でもゴウダメの攻撃は完全には防げない。だが、それでもホープは踏ん張り、再びゴウダメを殴る。

 

『ハァッ!』

 

『ガアッ!』

 

ゴウダメはホープの攻撃を受け、よろめきながらもホープにアッパーをくらわせる。

重い一撃をくらいながら、重い一撃を与える。そんな泥臭いを応酬を数え切れないほど繰り返す。

終いには互いはボロボロになる。だが、それでも戦いを止めることはない。大切なものを守る為、自らの喜びを満たす為。どちらかが倒れるまで終わることはない。

 

『ハァハァ……やるじゃねぇか……こんなに激しくやりあったのは久しぶりだなぁ。なぁ、輝惡澄。』

 

『ハァハァ、輝惡澄ってのは俺のことか……?それなら違うぜ……俺はホープ!』

 

ホープは左手を前に出す。すると、光が集まり、玄武ロッドとなり、かの孫悟空のように華麗に扱う。

 

『悪を断ち、希望を紡ぐ戦士だ!』

 

『……そうか……どーりで戦い方が違うってのかい!』

 

すると、ゴウダメは一瞬寂しそうな表情を浮かべるがすぐに笑みを浮かべる。

 

『なら、ホープ!この俺を楽しませてくれよ!』

 

新たなに見つけた好敵手にゴウダメは嬉しそうに叫び、尊敬の念を抱きながらゴウダメはホープに向け駆け出す。

ホープはロッドを構える。するとロッドの中にはチェーンが仕込まれており、伸縮自在の多節棍になる。

 

『俺はお前を倒す!』

 

ホープはロッドを振るい、ゴウダメは拳を振るう。ロッドと拳が混じり合う時、まるで決闘を邪魔をするものを吹き飛ばすかのように衝撃波が起こった。

♢♢♢

夕暮れの会議室。

 

「大分、被害は大きいな。」

 

沼津駅前の惨状を記された報告書を見て、源は眉をしかめる。

 

「まぁ、敵が敵だったしね。」

 

左手に包帯を巻き、右目には眼帯、体の至る部分にはガーゼが貼られ、いかにも怪我人という佇まいのレイがしょうがないと言わんばかりに言う。

 

「レイ、調子はどうだ?」

 

「まずまずかな?ライダーの回復力があっても完全に回復するのに3日はかかるほどだしね。」

 

「そうか。安静にしてなさい。」

 

仮面ライダーは常人より数倍の回復力がある。詳しい理由はまだ解明されていないがとりあえずその回復力があっても時間がかかる

 

「それで、聞きたいことって何?」

 

そして、レイは源にこんな状態の自分を呼び出した理由を問いただした。

 

「光助君……、いやホープについてだ。彼は戦闘中に姿を変えたんだね。」

 

「うん。フォームチェンジみたいに。」

 

「そうか……。」

 

レイは話を聞き、源は顎に手を置き、何かを考え込む素振りを見せる。

 

「それがどうしたの?」

 

「ホープの本来の力を引き出しているのか。」

 

「本来の……力?」

 

「ホープは状況に応じて進化する。ラビット戦でラビットに対抗するために跳躍力に長けたブルーフォームに、ゴウダメ戦ではその破壊力を防ぐためにグレーフォームに進化したんだ。これはホープにのみ許された力だ。」

 

「ホープだけって、じゃあ狼渦にはないの?」

 

「あぁ、その分より安全に扱うことが出来る。」

 

源は解明されている限りの情報を言う。だが、レイはその情報に疑問を抱く。

 

「……そう。それよりホープについてやたらわかっているのね。ホープってつい最近、出現したんじゃなくて。」

 

「……そのことについては無言でいいかい?」

 

するとは源はバツの悪そうにレイから視線を逸らし、窓の外を見る。外は綺麗な夕日に照らされていた。

 

「それはあなたのため?あなたの我が身の可愛さのため?」

 

「3割はそうだが……それ以外は彼ら(・・・)のためだ。」

 

「そう。おじさんらしいね。そういう中途半端なの。」

 

それこそ無言を貫き通せばいいのをわざわざ詳しく言うあたり、経営者である源らしいと思い、レイは信じて、それ以上は言及することはしなかった。

 

「それじゃあね。おじさん。これから私は愛の巣に帰るから。」

 

「あぁ。迷惑だけはかけないように。」

 

すると、話が終わったところでレイは果南の家に帰ることにした。

 

「っと、その前にマリに会いに……。」

 

「レーーーーーイーーー!」

 

「にゃふっ!」

 

その前に、久しぶりに愛しの鞠莉に会いにいこうかとドアノブに触れようとしと瞬間、勢よくドアが開き、そこから鞠莉がレイに飛びつく。

 

「レイレイレイレイ!会いたかった!もう何処に行ってたのよ!」

 

久しぶりの再会に喜びが爆発し、鞠莉は思わず強く抱きしめてしまい、レイから呻き声が漏れる。

 

「ま、鞠莉。それくらいにしておけ。レイが死ぬぞ……。」

 

「レイ!?Why!?その傷!?」

 

源に呼びかけられて、鞠莉はやっとレイの状態に気づき、離れる。

 

「う、うん。大丈夫……じゃない。」

 

「ちょっと!レイ!しっかりして!レイ!」

 

レイはそう言い残す、あまりの痛みに気絶してしまった。

 

♢♢♢

夕暮れの砂浜。現在、千歌達は砂浜を走っていた。コンクリートで走るよりも砂浜で

しかし、3人の横では走る必要のないマネージャーの光助が並んで走っていた。

 

「光助君……。」

 

だが、3人も光助がこんなことする理由はわかっていたので何も言うことはできない。

 

ゴウダメ戦。最後に強烈な一撃をくらい、ホープはあえなく敗れてしまった。このまま、ゴウダメにトドメ刺され、千歌達も殺されると最悪の事態が起きるとホープは予感していた。

しかし、ゴウダメはトドメ刺すどころか、千歌達にも手を出さなかった。

 

『てめぇはもっと強くなる。俺は最強のお前と戦いたい。その為に、てめぇと奴らの命は奪わないでおく。』

 

ゴウダメはseadとしてではなく、一人の戦士としてホープに労いの言葉かけつつ、好敵手として再び合間見えることを宿命づけ、ゴウダメは戦場を後にした。

 

「俺は強くならないと……。」

 

拳を強く握りしめ、唇を噛む。純粋に負けたことも悔しかった。それだけでなく、相手がゴウダメでなかったら自分も千歌達も死んでいたのだ。今回はたまたま運が良かっただけだ。ゴウダメとの戦いで、本当の戦いで負けることは全てを失うことと改めて思い知り、そして二度と負けない為に光助は自身を追い込んでいるのだ。

 

「まだ怪我も治ったばかりでしょ!あんまり激しく動くと!」

 

「わかってる!強くならないと!強くないと誰も守れない!」

 

しかし、光助は梨子の警告を全く聞き入れない。光助は昨日から「強くならないと」と同じ言葉を連呼していた。

光助も一人の高校生だ。戦いという恐怖を思い知り、そして焦っているのだ。

 

「戦わないでよ……こうちゃん!」

 

「ちかっち?」

 

すると、光助の仮面ライダーとして行為の全てを否定するようなことを千歌が呟く。

 

「怖いよ……あんなに怖いなんて……。」

 

今にも泣きそうな表情、そして震える声。そういえば、千歌はレイを助ける為に身を呈してくれた。その時に、ゴウダメと対峙し、異形と戦う恐怖を思い知ったのだろう。

そんな恐怖をもう光助にさせたくないと思いから言っているのだろうと光助は思った。

 

「確かに戦うのは怖いさ。でも、ちかっち達を失う方が俺にとっては何よりも怖い。」

 

「それなら、私だってこうちゃんがいなくなるのだって怖いよ!」

 

突然の千歌の叫喚に梨子も曜も身をピクリと震わせてしまう。特に曜は初めて見る千歌の様子に、事の重大さを感じざるを得ない。

 

「あんなにボロボロになって……今にも死にそうなあんな姿……見たくないよ……。」

 

「だけど……誰かが傷つかないと!」

 

「今日はここまでにしよっか。二人ともまだ気持ちの整理がついていないし。このまま練習したら不注意で怪我しちゃうもんね。」

 

「曜ちゃん!」

 

おそらくこのまま続けさせれば、状況は酷くなる一方だと曜は判断し、間に入るように言う。

 

「そうだ。今のうちにグループ名決めようよ。」

 

「そ、そうね!私は曜ちゃんの意見に賛成かな?」

 

曜の一瞥に梨子も気づき、その意見に乗る。

 

「……あぁ。」

 

「うん。」

 

残る二人も渋々了解し、一応険悪な雰囲気は振り払われた。

 

♢♢♢

その後、四人はたくさんの案を出した。スクールアイドルガールズ、制服少女隊と出たがイマイチピンとこない。

 

「やっぱり、スリーマーメイドがいいのかな?」

 

「もう光助君まで!そんなに言うならいいの思いついてるの?」

 

光助は先ほど、梨子の出した案を冗談で勧める。すると、流石に怒った梨子はやり返すように光助に案を求めた。

 

「オンドゥル(0w0)ってのは?」

 

「……やっぱり他のにしよう。」

 

「ナゼェダァ!」

 

何ともつまらない案に千歌と曜も苦笑せざる得ない。

そして、なかなか決まらず千歌はふと下を見るとそこには「Aqours」と謎の言葉が書かれていた。

 

「何だろう……アキュア?」

 

「多分、アクアって読むんだと思う。」

 

見たことのない単語だが、曜は何とか知識を駆使して読むことが出来た。

 

「アクア……ねぇ、この名前いいと思う!」

 

「でも、誰が書いたのかわからないのに?」

 

「だって、名前を決めようとした時に、この名前に出会った。運命感じない?」

 

「運命……か。」

 

運命と聞き、初めて仮面ライダーに変身した時を思い出す。運命と聞くと、あの時も運命だったのかもしれない。そして、この3人に巡り合ったのもまた……。

そう思うと、この運命を大事にしたい。より一層、3人を守りたい強く思った。

 

「それじゃあ、これから私達のグループ名はAqours!浦の星女学院スクールアイドル、Aqours!」

 

千歌は夕日に向かって、高く跳び、そう高々に宣言する。

 

そして、Aqoursの伝説が再び(・・・)幕を開ける。




運命とは時に残酷である

次回、いよいよファーストライブ!

それでは良いお年を!
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