仮面ライバーサンシャイン 光の導き手   作:シママシタ

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お待たせしました!
今回はファーストライブ回!
ですが……何やら不穏な影が……


みんなのおかげ

Aqoursと名前が決定してから一週間。町の放送や、チラシ配りなどありとあらゆる手段を使って、初ライブの宣伝をした。

 

そして、ライブ当日。初めてのライブに千歌たちは不安を隠せない。上手く踊れるだろうか。上手く歌えるだろうか。もし、観客が少なかったらどうしよう。塵のように不安が積もる。

さらにこの日に限って、今季最大規模の台風が上陸し、轟々と唸る雨風がより一層不安を掻き立てる。

 

「大丈夫かな。」

 

あの元気な曜ですら弱音を吐いてしまうほどの緊張。

 

「きっと大丈夫だよ。今までずっと練習してきたんだからな。」

 

そんな空気を打開しようと光助は励ましの言葉をかける。

 

「きっと成功する。てか、必ず成功する!ずっと近くで見てた俺が言うんだからさ。」

 

何も根拠もない言葉。それは光助自身もわかっていた。あくまで気休め程度になればと思ってのことだ。

 

「……そうだよ!あんなに頑張ったんだもん!必ず成功するよ!」

 

「千歌ちゃん……。」

 

だが、光助の言葉は思っていた以上の効果を上げ。その証拠に今まで曇っていた千歌の表情がまるで太陽のようであったこと。

 

「ねぇ、みんなで円陣組もう!」

 

千歌の提案に他の3人はすんなりと受け、手を差し出す。しかし、光助に突然、鈍い頭痛が襲い掛かる。

 

「この感覚!」

 

どうして、こんな時にseadが現れるのかと苛立ちが募る。だからと言って、無視する訳にもいかず、光助は手を引いて、すぐに現場に急行しようと体育館から出ようとする。

 

「光助君!」

 

「ごめん、ちょっとだけライブ見れないかも。だけど、安心して。俺が守ってみせるから!」

 

梨子に呼び止められ、光助は足を止める。そして、ライブを全部見れないことを謝罪し、そして、その代わりとは言わんばかりに、絶対にみんなと守ると誓った。

 

「わかった!私達も必ず成功するから!」

 

千歌も光助に負けじと絶対にライブを成功させると誓った。すると、光助は薄く笑みを浮かべ、サムズアップし、たった独りの戦場へと向かっていった。

 

♢♢♢

吹き荒れる風と横殴りの雨の中、びしょ濡れになった光助は浦の星のバス停の前に急行すると、そこにはこの前取り逃がした、ウインドが不敵な笑みを浮かべながら、光助をまじまじと見ていた。

 

『遅かったではないか。仮面ライダー。』

 

「てめぇ!何しに来た!」

 

『seadとしての役目、人間を闇に落とし、同志へと生まれ変わらせるというのをね。』

 

両手を広げ、さながら魔王のように振る舞う。2人がかりとは言え、先日の戦闘ではライダーが圧倒していたにもかかわらず、よく傲慢な態度とれるなと光助は不思議に思っていた。

 

『どうやらこの学校では何やらたくさんの人が集まるようで。』

 

「……あぁ、そうだ。たくさんの人が……集まるな。」

 

あれほど宣伝していたのだ。ウインドにも噂が届くというのもないことはない。しかし、生憎、今のところ観客はあまり集まっていない。

 

「だが、お前の思い通りにはさせない!」

 

覚悟を決め、光助はドライバーを取り出し、腰に巻く。

 

「変身!」

 

そして、光に包まれ、仮面ライダーホープへと変身する。

 

『仮面ライダーホープ!悪を断ち!光を紡ぐ戦士だ!』

 

『さぁ、来い!仮面ライダー!』

 

ホープはウインドは互いに一気に距離を詰め、拳をぶつける。

その衝撃は周りの空気をも震わせる程であった。

♢♢♢

ホープとウインドとの火蓋が切って下されたころ、ステージの幕が上がり、ライトが可愛らしい衣装に身を包んだ千歌達を煌びやかに照らす。

 

「そんな……。」

 

しかし、境界線がなくなると、千歌達に無情な現実が突きつけられる。千歌達の目の前にはそれなりに広い体育館。そこには観客は僅か8人。両手で数えられる程でしかない。

 

「……嘘……。」

 

これには曜も梨子も口元を抑える。あれほど頑張って宣伝したのに、来てくれた観客は僅か。

観客も同じだ。まさか、自分以外の観客がこれだけしかいないとなると、驚かざるを得ない。

現に、見に来ていたルビィと花丸も驚きと不安を抱いていた。

 

「……やろう!見に来てくれた人達がいるんだもん!」

 

しかし、千歌はめげずにライブを始めようとする。見に来てくれた観客のため、そして、光助との約束のため、スクールアイドルとして観客を楽しませようとしているのだ。

 

「そうだね。私達、スクールアイドルだもんね。」

 

千歌によって発破をかけられた曜は一旦、不安を拭い、キリッと前を向く。

 

「それでは、聴いてください。」

 

ダイスキだったらダイジョウブ!

 

千歌の始まりの言葉とともにAqoursのファーストライブが今、幕を開ける。

♢♢♢

場所は再び、浦の星の入り口に移る。

ホープの生態鎧に大量の雨が当たり、滝のように滴る。その傍でウインドの風の弾丸をまともに受け、火柱をあげながら、ホープは砂浜まで吹っ飛ばされる。

 

『この前よりも……強い!』

 

『ふふ、この状況は私のとってかなり追い風でね。正に天命なのだよ。』

 

そう、この荒れ狂う風によってウインドの戦闘力は格段にアップしている。暴風は我が身のように扱い、ホープは手も足も出ないまま、蹂躙されるだけであった。

 

『だからと言って、負ける訳には行かないんだよ!』

 

ホープは立ち上がり、再び闘志を燃やすと、体の色が変化し、グレーフォームに変化する。

そして、ウインドは風の弾丸をホープに撃ち込むがその鋼の鎧の前では傷つけることすら許されない。

 

『ふふ、なるほど。所詮は風。強固な鋼を前にすれば、何も意味を成さんと言いたいか。だがな!』

 

安直な作戦にウインドは馬鹿にされているように思え、苛立つ。そして、右手に大きな風の塊を作り出すと、ホープに足元に投げつける。すると、風の塊は大きな竜巻を起こし、ホープを閉じ込める。

 

『しまった!』

 

『守ってばかりではいかんぞ!』

 

風に捕らわれ、動きが取れなくなったホープはその場で身構えることしかできない。

 

『うむ?この感じは……。』

 

すると、ウインドは何かの気配を感じ、背後にある、道に目を移す。そこには嵐の中だろうと走る大型のバス。

 

『美澄さん!』

 

そのバスに千歌の姉である美澄を含むたくさんの乗客がおそらく浦の星に向かっていた。

 

『そうだ!あのバスは八つ裂きにすれば最高のショーになるだろう。』

 

ウインドは舌舐めずりをし、気持ちの悪い笑みを浮かべると、風を使って体を浮かせ、バスへと向かう。

 

『くっ!させる……かよ!』

 

焦りが最高潮に達する中、それでもホープは冷静に行動していく。まず、跳躍力に長けたブルーフォームに変化する。そして、高くジャンプして、竜巻から脱出。さらに、ウインドのように上手く風に乗り、ウインドを追う。

 

『そこだ!』

 

そして、青龍刀をウインドの目の前に投げつけ、動きを躊躇させる。

その一瞬で、ウインドはバスに追い付けなくなり、バスは無事に浦の星の入り口を通り、学院へと向かっていった。

 

『へへ!お前の好きにはさせねぇよ!』

 

ウインドの目的を阻止し、仮面の奥で得意げな表情を浮かべるホープ。これでウインドは悔しそうに歯をくいしばるのだろうと思っていた。

 

『果たしてそうかな!』

 

『何?』

 

風が音を立てて吹く中、ウインドの高笑いが響き渡る。そして、ウインドは真上に風の刃を発動させ、唯一、学院に繋がっている電線を切った。

 

『なっ……!』

 

『ふふ、これで奴らはライブは出来ない。』

 

あくまで、バスの襲撃は二の次であって、本当の狙いは最初からこれだった。

ライブには照明や音響などの機器が必要になり、それを使うには当然、電気が必要になる。そして、電気というのは当たり前のものである。

その当たり前のものが突然、使えなくなったら?それもライブ中なら?取り返しのつかないことになり、絶望するだろう。

それが、ウインドの作戦だったのだ。

 

『ふはは!見える!見えるぞ!ライブを行う奴らの絶望する顔が!』

 

思い通りに事が進み、ウインドは笑いを止めることができない。それは正に爽快であり、まるでテストで満点を取ったような感覚。

 

『が……あっ!』

 

その一方で、ホープにも千歌達の絶望するのが見えてしまう。

 

『何で……こんなことに……。』

 

ホープの複眼に俯き、涙流す、千歌の姿が映る。これが妄想なのか現実かはわからない。

 

ーちかっちの泣き顔なんて見たくないー

 

『千歌ちゃん……。』

 

そして、千歌の周りに曜と梨子が集まり、慰める。

 

ーやめろー

 

沸々と何かドス黒いものがこみ上げる。生まれてはいけない何かが生まれるような汚物を吐き出すような感覚。

 

『あんなに頑張ったのに……。』

 

ー……こんなになったのはウインドのせいか?=

 

『どうして、守ってくれなかったの……。』

 

=違う、お前(・・・)が悪いんだ=

 

『こうちゃんの……。』

 

=お前(・・・)のせいだ!!=

 

『嘘つき』

 

ドクン

 

鼓動が体の中から槍を突き刺されるように大きくうつ。ホープの体の中から怒り、否、憎しみが激しく燃え上がる。

 

『ゆ……さ……い……』

 

ホープは一瞬、紫色の光に包まれる。

 

『絶対に!許さねぇ!』

 

憎しみは容量を超え、絶叫として漏れ出す。そして、憎しみは肉体にも影響を及ぼす。複眼は赤くなり、生体鎧はより強固になり、肉体も隆々になる。

 

『ウオォォォ!』

 

そして、ホープは地面を踏み潰す程の脚力でウインドに突っ込む。

 

『グゥアァァァァ!』

 

ウインドの首を掴み、地面に何度も何度も叩きつける。

 

『き、しゃ!ぬ、ぬわぁぁ!』

 

ウインドは右手で風の球を作り、ホープにくらわせようとする。しかし、攻撃に気づいたホープは直ぐさまウインドの右手を掴み、阻止する。

 

『ガァァァァァァァ!』

 

そして、攻撃を完全に無力化させる為に、ホープはそのままウインドの右手を引っ張る。

 

『グゥアァァァァ!や、めろ!やめてくれ!痛い痛い!』

 

あまりの痛さにウインドはプライドを捨て、断末魔をあげながら命乞いをするが、今のホープには声も何も届かない。

 

『グゥオォォォォォ!』

 

グロテスクな音と共に、ウインドの右手が引きちぎられ、黒い影のようなものが血のように流れていく。

 

『アガァァァ!』

 

腕が無くなり、言葉にならない痛みにウインドはのたうち回り、悶え苦しむ。そんな裏返った昆虫のような非力なウインドをホープは見下す。

 

『ゆ、許してくれ!もう、何もしないから!』

 

酷く震えた声で再び、許しを乞うも、やはりホープに届かず、逆にホープはウインドを踏み付ける。

 

『グゥエ!ギャっ……』

 

徐々にウインドを踏む足の力が強くなり、ウインドは汚い声を漏らしてしまう。

まるで、ロードローラーに潰されているような感覚。

 

『ぐぅ……オオオオ!』

 

このままでは確実に殺されると覚悟したウインドは最後の力を振り絞り、風の刃を約千枚程作り出し、ホープに食らわせる。

 

『……!!』

 

風の刃をもろに受け、ホープはドロドロとした赤黒い血を傷口から垂れ流す。

そして、傷など諸共せず、ホープはゆっくりとウインドに近づく。

 

『ひ、ヒィィィィ!』

 

最大の攻撃にビクともされず、ウインドは情けない声を漏らしながら、地面を這いつくばって逃げようとする。

 

『……。逃がすかよ。』

 

その時、ホープは悪魔、または阿修羅のような全てを焼き尽くすような覇気を発しながら、・・・に光を集める。

 

『……散れ!』

 

そして、高く跳び、右足を突き出し、「ライダーキック」がウインドに直撃する。

 

『グゥォォォォォォ!』

 

ウインドは光に包まれ、球体の中に閉じ込められる。そして、球体は大爆発を起こし、中から傷だらけになったウインドの宿主が倒れた状態で現れる。

 

『ハァ……ハァ……。」

 

激しく肩を上下させながら、ホープは変身を解き、光助へと戻る。体は傷だらけ、目は真っ赤に充血していた。

 

「早く……戻らねぇと。」

 

ウインドの宿主には目もくれず、光助は千歌達の元へ急ごうと歩みを進める。

しかし、激しい戦闘と暴走によって体はボロボロでまともに動ける状態ではなく、数歩歩いただけ、地面に膝をついてしまう。

 

「光助!大丈夫か!」

 

すると嵐によって船が出せず、遅れてやってきたレイと果南が後ろから光助に駆け寄ってきた。

 

「舘君、すごい怪我……早く病院に行かないと!」

 

「そうだな、あそこに倒れてるあいつも、助けないとだしな。」

 

ボロボロの光助を見て、果南は一抹の焦燥に駆られ、ポケットに入れているスマートフォンに手を伸ばす。

だが、光助はその手を掴み、救急車を呼ぶことを止める。

 

「そんなことより……みんなの所に行かないと……。」

 

「そんな傷だらけの体で何言ってるのさ!」

 

「そうだ!下手したら、光助、あんた死ぬかもしれないだよ!」

 

光助の自らの身を案じない、我儘にレイも果南も激しく反対する。

 

「それでも……俺は!」

 

しかし、それでも光助は止まらず、再び立ち上がろうとする。彼は心の中で守れなかったと悔やんでいる。

ウインドに電線を切られ、おそらくライブは中断してしまっただろう。そして、千歌達は激しく動揺し、慌てただろう。いや、もしかすれば、そのまま中止になってしまっているかもしれない。

どちらにせよ、このライブのトラブルは全ては自分のせいだ。だから、謝らなくてはいけない。

そして、まだ続いているのなら一瞬でもいいから観たい。そういった贖罪と希望の混じった思いが無理矢理、光助の体を動かす。

 

「……わかったよ。私が肩貸してやるよ。」

 

「レイ!」

 

レイの言葉に耳を疑い、果南は顔をしかめる。しかし、レイも完全に納得したつもりではない。このままでは拉致が開かないため、仕方がなく手を貸すだけ。

 

「あ……ありがとう……。」

 

「……ほら、行くよ。」

 

レイは力が抜け、異様な程軽い光助を肩にかけ、複雑な表情で果南とともに体育館に向かうのであった。

 

♢♢♢

千歌達は歓声と拍手に包まれている。開始直後の閑散としていたあの景色から想像もつかない、満員の体育館。

これには千歌達は言葉を失う。

 

時は少し遡る。

 

ライブの最中に突然、音楽もライトも消え、ライブを進めることが絶望的になったにも関わらずだ。

こういう時に限って何故と千歌は下唇を噛んだ。ただでさえ、観客が集まらなく、せめて、観にきてくれた観客には最高に楽しんでもらえるようにと全力にパフォーマンスをしていた最中にこのザマだ。

 

「気持ちが……繋がりそうなん……だ。」

 

「千歌ちゃん……。」

 

だが、音楽が止まっても千歌は歌い続ける。しかし、その声は掠れ、涙が溢れそうなか弱い声。

そんな千歌の声を聞いて、梨子は胸を締め付けられる。このままでは、取り返しのつかないことになる。一体どうすればいい?

この状況を打開する手段が思いつかず、ただ千歌と同じように歌を歌うことしかできない。

 

どうすればいいの……光助君!

 

そして、一筋の光が現れる。

 

「開始時間間違ってるよ!バカチカ!」

 

体育館の入り口から美澄が呆れと笑みが混じり合った表情で現れた。そして、仮電源が作動したのか体育館が再び明るくなる。しかし、先程とは全く違う状況に、千歌達は驚きを隠せない。

スペースだらけの体育館は、たくさんの観客で埋め尽くされ、ざわめきが一層大きくなる。

 

「私……バカチカだ!」

 

先程とは正反対の景色に千歌は嬉しさのあまり、涙を零しそうになる。

 

「千歌ちゃん!もう一回歌おう!」

 

「うん!」

 

曜のキラキラとした表情で千歌にそう言うと、涙を拭い、千歌ははっきりと返事をする。

 

そして、止まっていたライブが再び始まる。

 

〜キラリ!キラリ!ときめいた!〜

 

その歌声とダンスに観客は魅了され、言葉を失う。煌びやかに舞う彼女達に目を奪われ、その綺麗な歌声に魅入られる。

観客の目に千歌達はまるで太陽のような存在に見えた。

輝いてる存在。夢や希望を与えるようなそんな存在に見えていた。

 

〜ダイスキがあればダイジョウブさ〜

 

パフォーマンスを終え、千歌達は激しく肩を上下する。一曲を踊って歌うのは確かにきつい。それでも、やりきった後の達成感は何とも言えないくらい清々しいものだ。

そして、さらに……。

 

「千歌ちゃん!すごかったよ!」

 

「梨子ちゃん、可愛い!」

 

「曜ちゃん、良かったよ!」

 

拍手と喝采が加われば尚、良い。

鳴り止まない拍手に囲まれ、千歌達は照れ臭くなってしまう。

 

「彼女達は言いました!スクールアイドルはこれからも広がっていける!どこまでも行ける!どんな夢も叶えられると!」

 

そして、拍手か終わるタイミングで千歌は自分が憧れる、かのμ’sの言葉を

 

「ちょっと待ってください!」

 

すると、神妙な面持ちのダイヤが観客の中から割って現れる。

 

「あなた達の今回のライブはこれまでのスクールアイドルの努力と、街の人の善意があってこその成功ですわ!……勘違いしないように。」

 

ダイヤの言葉は一語一句間違いはない。このライブは千歌達だけでは成功しなかった。たくさんの人たちがいたからこその成功だ。それは千歌達も重々承知のこと。

 

「わかってます!でも……見てるだけじゃ何も始まらないって……。」

 

そして、千歌はこのライブで初めて気づいた、「見ているだけでは何も始まらない」ことをダイヤに伝える。

 

 

「今しかないこの瞬間だから……輝きたい!」

 

そして、千歌達が高々に言い放つと、再び拍手が巻き起こる。

空は既に陽の光が差し込み、そして、その空を3羽の白い鳥と1羽の黒い鳥が空へと羽ばたく。

 

しかし、黒い鳥は直ぐに力を無く、地面に落ちていく。

 

すると、体育館の入り口の方から何か、大きな物が倒れるような音が聞こえた。

 

「おい!光助!しっかりしろ!」

 

「待って!あまり揺さぶらないで!取り敢えず、保健室に運ぼう!」

 

そして、レイと果南の決起迫った声も出始め、体育館内にはどよめき始める。

 

「こうちゃん!?」

 

光助の名前を聞き、千歌はステージから跳び降り、観客を間を掻き分け、急いで入り口へと向かう。その後を梨子と曜も追う。

 

「光助君!?その傷……。」

 

光助の元に着いた3人はボロボロの姿の光助を見て、絶句する。こんなになるまで戦って

 

「ち……か……。」

 

「光助君!喋らない方が!」

 

無理に喋ろうとする光助を曜は制止するも、光助は聞かず、か細い声と出来る限りの笑顔を見せる。

 

「最後の方しか……見れなかったけど……良かったよ……。」

 

たった一言。いつでも言えるような一言を残して光助は気を失う。

 

「光助!……気を失ったか。果南、足を持って、運ぶよ!」

 

「うん!」

 

そして、光助は果南とレイに運ばれていく。

 

「ありがとう。でも、私達だけじゃ、成功しなかったよ。こうちゃんとみんなのおかげで成功したんだよ!」

 

そして、千歌は遠のく光助に向け、大きな声でこう言った。

そんな光助が運ばれる中、梨子はあることに気づいた。それは光助の瞳から一筋の煌きが溢れたことを。

 




如何でしたか?
光助さんの異変は何なのか?
そして、涙の訳とは?
次回をお楽しみに
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