仮面ライバーサンシャイン 光の導き手   作:シママシタ

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お久しぶりです!
他の作品に手を出していたら、なかなか進めることが出来ず、かなり期間が空いてしまいました。
ごめんなさい


本音と建前

「それじゃあ、この辺で今日は終わりにしようか」

 

陽が落ちる頃。長い時間続けた練習は光助の一言で終わりを告げる。

Aqoursメンバーと花丸とルビィは大きく深呼吸し、汗を拭う。

 

「お疲れ様! 」

 

練習でかなり体力を消耗した全員に光助は丁寧にスポーツドリンクを渡していく。

 

「それじゃあ、ある程度休憩したら、着替えて、帰ろっか」

 

「了解であります! 」

 

梨子の提案に曜は敬礼して、了解し、他のメンバーは同様に了解を示す。

そして、荒れた呼吸を落ち着かせ、メンバーが着替えに行こうとする時、光助は花丸を呼び止める。

 

「あ、花丸ちゃん。ちょっとだけ待って貰っていい?」

 

「何ですか?」

 

一体何なのかと不思議そうな様子で花丸は光助に歩み寄ってくる。

そして、光助は花丸の幼さの残る顔を何か、確かめるように凝視し、今日の感想を問いかけた。

 

「今日、スクールアイドルを体験してどうだった?」

 

「えっと……凄く楽しかったです!」

 

何も偽りも感じられない真っ直ぐな笑顔で花丸ははっきりと答えた。

 

「まるにとって、何もかも新鮮で……ルビィちゃん達と一緒に入れて、歌えて……楽しかったずら」

 

感想を語る様子はまるで子供のようにはしゃいでいた。

疑う余地もなく、花丸はスクールアイドルにのめり込んでいたのは明白だった。

 

「でも……反面……少し、きついかったです……」

 

「まぁ、初めての人にはなかなか大変な練習だよ、あれは。でも、毎日こなせば、大丈夫だよ」

 

今まで、楽しい話だったのが急に角度を付け、テンションは滑り落ちていく。

 

「でも……おらは全然ついていけなかったし……」

 

「出来もしないのにいられたら迷惑とか思ってる?」

 

「えっ!?」

 

「そんなことはないよ。あいつらはそんな辛辣じゃないし。少なくとも俺はそんなこと思ってない」

 

花丸は以前に自分は運動が苦手だと言っていたうえに自分に自信がないようなことを言っていた。

今日、体験してみて、もしかしたら楽しさを知った分、代わりに自分の今の限界を知ってしまい、挫折しかけてるのかもしれない。

 

「やりたきゃやる。単純だけと、1番大事なことだと思う。そして、やりたいことがあるなら我儘になってもいいと思う」

 

「先輩……」

 

折角、楽しいスクールアイドルを自分から捨てるようなことはして欲しくなかった。

 

「俺から言いたいのは以上だよ。ごめんね、引き止めちゃって」

 

「大丈夫です!寧ろ……為になりました」

 

花丸は深々と頭を下げる。その表情は何か付き物のようなものが剥がれたようにスッキリととしていた。

 

「花丸ちゃん……君は……優しすぎる」

 

会話を終え、花丸は一人に着替えに向かい、光助は一人屋上に取り残され、ポツリと呟いた。

 

♢♢♢

夕日が地平線に顔半分を沈める頃。光助は誰もいない部室に鍵をかける。

 

「戸締りはOK。うし、みんなに追いつかないと」

 

他のメンバーは既に校門に移動しており、光助を待っている。

女性を待たせるのは、あまり褒められたことはないだろうと思い、光助は走りだす。

 

「こら!廊下は走ってはいけませんわよ!」

 

小学校から言われ続けた禁止事項を守らなかった光助を呼び止め、渋々光助は後ろを振り向く。

この時、光助は後悔した。廊下など走らなければ良かったと。後悔が重りとなって、光助に押し潰そうとする。

 

「すみません!……げっ!生徒会長! 」

 

「げっ、とは何でしょうか?まるで、私に会うとまずいことでもありますの? 」

 

「い……いや……」

 

まるで説教する前の母親のような佇まいでダイヤは光助をじっと見つめる。

しかし、ダイヤに隠し事をしている光助にとって、対面していること事態、気まずいことである。

隠し事がバレてしまうのではないかと緊張感し、不安に駆られる。あまりの緊張にダイヤに見つめられているだけなのに、まるで蛇に睨まれているような感覚に陥る。

 

「ちょうど良かったですわ。あなたとは話したいことが山程ありますわ」

 

光助の背筋が凍る。もしや、隠し事がバレてしまったのか。最悪の事態が脳内に浮かび上がり、嫌な汗が止めどなく流れ、不快な気分になる。

 

「外で千歌さん達が……ルビィが待っているのでしょう?おそらく話が長くなるので、連絡しておいたほうがいいですわ 」

 

ダイヤは光助に気遣いの言葉をかける。

しかし、さりげなく発せられたルビィという言葉に光助は絶望した。

光助の奮戦虚しく、作戦は失敗した。そして、このまま話し合いという名の尋問、否、拷問が始まるかもしれない。

あまりのパニックに光助の被害妄想がビックバン並みの速度で広がっていく。

終いにはダイヤの気遣いの言葉も脅しや脅迫にしか聞こえない状態になっていた。

 

「あ、梨子ちゃん。……先帰ってて。先生に宿題やってないのバレてさ。……だ、大丈夫だよ……ちゃんと生きて帰ってくるから……」

 

震える手で梨子に電話をかける。もしかしたら、これが最後の会話になるかもしれない。

もし、そうならば、遺言を残して置いたほうがいいかもしれない。

だが、光助は踏み止まった。野暮なことを話して、梨子達を不安にさせたくなかった。

 

「それでは、始めましょうか」

 

そして、ダイヤは話しやすい場所ーー生徒会へと連れて行く。この時間はあまり生徒や先生はいないのだが、万が一、話が漏れるのは嫌だったので、生徒会室を選んだ。

しかし、今の光助にはそんな気遣いなど理解しうることは不可能であった。

生徒会室はダイヤの根城。ここなら、誰にも邪魔されず、様々な方法で聞き出せる。

 

「い、いやぁ……小指とか詰められたくない……」

 

「人聞きが悪いですわ!私はそんな野蛮なことはしませんわ! 」

 

うっかり、口を滑らせ、ダイヤに聞かれてしまい、光助は怒られる。

そんな一層張り詰めた空気の中、いよいよ生徒会室の中へと連行される。

 

「まず、何から話しましょうか」

 

夕日が沈みかけ、窓の外の蜜柑色と群青色のグラデーションのかかった空を見つめながら、ダイヤは話を始める。

一方の光助は地獄のど真ん中に連れてかれたような絶望した気分であった。

 

「す、すみませ「別に怒っていませんわ」

 

「はへ?」

 

「ルビィをスクールアイドルの体験入部の件は別に怒っていませんわ。ただ、黙っていたのはあまりいい思いはしませんわね」

 

別にルビィの件に関しては怒ってはおらず、寧ろ好意的なよう。

本音を言うならば、スクールアイドル部はこのまま廃部させられ、光助自身も消されると思っていたの。緊張の糸が切れ、安心しきって、光助は女の子座りで床にへたり込む。

 

「黙っていてすみません! 」

 

「いえ。元はと言えば私が強くスクールアイドル部に対して威圧的に接していたのがいけませんでした」

 

ルビィの件を黙っていたことに対し、光助は深々と謝罪するが、ダイヤも自分に非があると、同様に頭を下げる。

 

「あの……生徒会長はどうして……スクールアイドルが嫌いなんですか」

 

「……自分勝手な我儘と言えばいいんでしょうか」

 

「自分勝手な理由?」

 

「えぇ。ただの私の我儘ですわ。そのせいでルビィに辛い思いをさせて……私は最低な姉ですわ」

 

ダイヤは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、目を伏せる。後悔しているのは目に見えていた。

窓の外の夕日が完全に沈み、暗い夜が始まる。

 

「……そんなことないですよ。生徒会長は今後悔してるんですよ。十分過ぎますよ」

 

だが、光助は後悔しているだけ、十分、姉としての役割を果たしていると思っている。

後悔しているのはルビィのことをしっかり想っているからこその賜物だろう。

 

「実は俺にも姉がいるんですよ」

 

すると、あまりにも黒澤姉妹が羨ましくなり、光助は思わず身の上話をしてしまう。

 

「羨ましいです。ルビィちゃんが。こんなに妹思いの姉がいて。俺の姉なんか……本当に俺のことが嫌いで……仲が悪くて……」

 

あまり姉のことは思い出したくなかった。話しただけでも姉から受けた傷が開いたしまうからだ。

それでも、話しておきたかったのだ。

ダイヤはちゃんと姉としての役割を十分に果たしていると。

 

「だから、気にしないでください。上には上がいるように、下には下がいるんですよ」

 

「光助さんは……お姉さんのことは嫌いなのですか? 」

 

「そんなわけないじゃないですか。大好きですよ。すごく」

 

頭を掻きながら、光助ははっきりと本音を言うの。

しかし、その表情はどこか憂いを帯びていた。

 

「そうだ!お父さんの話!聞かせてください! 」

 

「そ、そうでしたわ! 」

 

すると、光助は手をポンと叩いて、思い出したかのようにダイヤに父の話を要求する。

ダイヤは慌てて、話を始める。

 

「正義先生は私が入学した時に、この学院に臨時講師として来ました。授業も雑談も面白くて、容姿も整っていましたし、生徒からはかなり慕われてましたわ」

 

「やっぱり父さんはすごいなぁ。やっぱり、あの人には敵わないや」

 

ダイヤは正義のことは好きだった。勿論、恋愛的な意味ではなく、一人の良識ある人として、尊敬できる教師としてだ。

 

「いいえ。光助さんも先生とは違った魅力がありますわ。現に、千歌さん達には慕われているようですし」

 

光助にも正義に負けず劣らず、光助なりの魅力がある。

側から見てもそれはわかるし、今こうして面と向かって、話していれば、十分なほどわかる。

光助から滲み出る優しさ、懸命さ、相手にしていた、決して悪いものではない。

 

「それは……ありがたいですね」

 

「……話がそれましてね。でも、先生は突然姿を消したんです」

 

「姿を消したって……」

 

話は元に戻る。

 

「はい。突然、学校に来なくなったんです。他の先生の話だと、本職の研究が忙しくなって、研究室に戻ったと聞いていたんですが……」

 

ダイヤの話の途中で光助を一瞥する。

光助は顎に手を置いて、深く考え込んでいた。どうやら、この話に不審な点があったようだ。

 

「ありえない。父さんはその時は既に学会から追放されてた」

 

「なら、尚更理由は! 」

 

「……わかりません。ただ……きっと何かしら理由はある。とても大切な理由が……」

 

流石に、細かい理由までは光助でもわからない。しかし、わざわざ嘘を吐く程の理由というのはわかっただけでも収穫だ。

ここから先は自分の力で調べるしかない。

そう、決意する。

 

「生徒会長。貴重な父さんの話、ありがとうございました。他に話とかはないですか? 」

 

「他に……一つだけありますわ。明日は淡島神社の階段登り降りをすると聞いたのですが?」

 

「そうですけど……誰から聞いたんですか?」

 

「先程、一年生の国木田さんという方から、来て欲しいと言われまして」

 

「そう来たか…… 」

 

すると、光助は深く考え込む。

 

「どうしたのですか!?」

 

突然、考え込んだ光助にダイヤは不思議そうに見守る。

そして、光助はハッと思い付いたように顔を上げ、ダイヤの手を握る。

 

「生徒会長、図々しいとは思いますが力を貸して下さい」

 

「はい? 」

 

「花丸ちゃんの為なんです!お願いします!」

 

突然のことにダイヤは目を丸くして困惑する。

花丸の為とは一体何なのかわからなかった。

しかし、光助の本気の眼差しを見れば、自然と手を貸したくなってしまう。

 

「わかりましたわ。では、私は何をすれば良いのですか」

 

「えっと……それじゃあ……」

 

ダイヤの協力を得た光助は早速、咄嗟に考えた作戦を耳打ちで伝えるのであった。

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