「だからね一緒にスクールアイドルやろうよ!」
廊下で千歌が梨子を引き留め、スクールアイドルの勧誘をしている。これで何回目なのだろうか。もう数え切れないほど勧誘され、ことあるごとに梨子はそれを断わっているのだが、それでも千歌はめげず、再度勧誘してくるため、梨子は嫌気が指していた。
「ごめんなさい!」
そして、いつも通り逃げるように千歌達の元から去っていく。
「また逃げちゃったね。」
千歌の隣で毎度同じやり取りを見ている曜は苦笑いを浮かべる。
「あぁ、女子高って不便だな。男子トイレが一個しかないとか辛いよ。」
すると、2人の後ろから光助が愚痴をこぼしながら2人の方へ歩いていた。そして、光助を見るや否、千歌は光助に話を聞いてもらおうとした。
「ねぇ、聞いてよこうちゃん!」
「あぁ、どうせ梨子ちゃんにまた断られたんでしょ?」
「嘘!こうちゃんってエスパー⁉︎」
「千歌ちゃん……。」
毎度同じことを聞いてくるため、光助も千歌の話したいことがわかっており、千歌が言う前に光助が言ってしまった。すると、千歌は光助
「まぁ、梨子ちゃんがやりたくないならしょうがないんじゃないかな?」
「でも、可愛いし、作曲出来るんだよ!」
「とりあえず、何であろう勧誘したいわけね。」
まるで話を聞いていない千歌に光助は苦笑いをせずにはいられなかった。しかし、それほど梨子の力が必要なことは十分理解は出来た。
「それで、光助君はどうするの?」
すると、曜が光助の顔を覗き込み、光助の答えも聞いた。光助もマネージャーという立ち位置でスクールアイドルの手伝いをしてくれないかと2人から誘いを受けていた。
「俺?あぁ、手伝えるのならそうしたいんだけど……。」
しかし、光助にはやらねばならないことがある。仮面ライダーとしてseadと戦うことに、行方不明の父親を探さなければならず、はっきり言ってマネージャーなどやってる暇などなかった。その為、断ろうとしているのだが、梨子と同じようにすぐに断るのは何か申し訳ないと思い、多少考えるフリし、そして断る理由を伝えた。
「仮面ライダー……だから。」
「うん……。」
案の定、曜はやっぱりという様子で、特に千歌のようにしつこく勧誘などはしてこなかった。
「そうだよね……。」
千歌も流石に光助にしつこく勧誘も出来ず、そのまま引き下がる。微妙な空気の中、チャイムが鳴り、光助はやるせない気分のまま授業に参加するのであったり
♢♢♢
学校が終わり、光助はバイクの後ろに梨子を乗せ、風を感じながら、帰り道を走っていた。
「ねぇ、どうして梨子ちゃんはそんなに千歌ちゃんの誘いを断るの?」
「それは……。」
特に深い意味など考えず、光助はただ気になっていたことを梨子に聞いてみた。しかし、梨子にとってそのことはとても重要な問題であった。かと言って
「あのね、光助君。1つだけ言っておきたいことがあるの。」
「何?」
あまり他の人にこんなこと言うのは光助になら言ってもいいと信頼し、梨子は思い切って悩みを言ってみた。
「私は作曲が出来るって千歌ちゃんから聞いているでしょ。でも、今は出来ないの。」
梨子のその告白に光助は前を向いたまま、黙って聞いていた。
「実は自信が無くなっちゃって……最近はピアノにすら触れてないの。」
「そう……いわゆるスランプってやつだね。」
光助は冷静にかつ、慎重に言葉を選びながら、会話を続ける。
「だけど、海の音さえ聞ければ……。」
「梨子ちゃんは本当にピアノが大好きなんだね。」
表情こそ見えなかったが、背中が小刻みに震えていたことから梨子は光助が笑っていることに気がついた。
「スランプになったらそれから逃げ出すのが常なのに、梨子ちゃんははちゃんと振り払おうとするなんてすごいよ。」
「そんなことないよ……。」
光助にそんなことを言われて、梨子は照れて、恥ずかしくなってしまう。
「でも、だからっていきなり海に飛び込むのは関心しないけどね。」
「もう、光助君ったら!」
あのことを意地悪そうにからかう光助に顔を真っ赤にしつつ、
すると突然、光助か急に道の真ん中でバイクを止めた。
「どうしたの?」
「……梨子ちゃん。ちょっと降りてくれない?」
梨子は何事かと疑問に抱きながら言われた通り、バイクから降りる。そして、不意にヘルメット越しに光助の顔を見て、思わずあっと言ってしまう。
「seadが現れた。」
「ちょっと!光助君!」
再びエンジンをかけ、光助はもと来た道を戻ってしまった。
梨子は見てしまった。光助がseadを反応した途端、瞳孔が開き、さらに血走って、まるで蛇のような恐ろしい目になっていたことを。
♢♢♢
「ねぇ、2人とも可愛いんだからスクールアイドルやろうよ。」
ゆっくりとバスの走るなか、千歌は一緒に乗り合わせていた、一年生、黒澤ルビィと国木田花丸をスクールアイドルへと勧誘していた。
しかし、梨子と同様に二人は断っていた。
「何?」
ふと後ろを見ていた千歌は、追ってくる何かに気づいた。それは徐々にバスとの距離を詰めていき、小さく見えなかったそれの正体がはっきりと見えるようになった。
「う、後ろ!」
「か、怪物……ずら……。」
長い耳を持った人型の異形、ラビットseadがとてつもないスピードでバスを追ってきていた。
「うわぁぁあ!」
『ウジャァ!暴れてやるぜ!』
「ななな何だ!」
千歌たちと運転手は迫り来るラビットに耐えがたい恐怖を覚える。逃げるにしても追いついてくるという絶望的な恐怖。すると、ラビットはジャンプして、千歌たちの視界から消える。
一体何なのかと、訳がわからなくなったその時、運転席の窓からラビットが勢いよく蹴り破って侵入してきた。
『あひゃひゃひゃひゃ!』
「ひっ!」
そして、入るやいな、奇妙な笑いを響かせながら運転手をがむしゃらに殴り始めた。そのため運転手は全く運転することは出来ず、壁に激突し、大きな衝撃と共に強制的にバスが止まった。
車内には窓ガラスは散乱していたが幸いなことに千歌たちに怪我はなく、逃げることには問題はなかった。しかし、逃げられるということは確実ではないが。
『あぁ……可愛い女の子がいっぱぁい……。』
ラビットは千歌たちを狙いを定める。
千歌は咄嗟に周りを見回す。すると、道路側の窓が割れて、何とか人が通れるほどの大きさの隙間ができていた。
「みんな、こっち!」
千歌は急いでみんなを窓から逃がそうとするがそれを黙ってラビットが見ているわけはなく、ジリジリと詰め寄ってきた。
「それ!」
『こんなもん!』
千歌が時間稼ぎとしてラビットに向け、バックを投げる。それをラビットは軽くあしらう。しかし、曜、花丸とルビィも次々と物を投げ、流石の物量に対処出来ず、千歌たちの作戦通り、時間稼ぎに成功し、その隙にバスからの脱出に成功した。
「はやく逃げないと!」
曜は車内から脱出したみんなを急かすように言って、その場から逃げようとする。
『と思うじゃん?逃げられないんだなぁ……これが!』
しかし、いつの間にかに後ろにはラビットが立っていた。この距離から逃げられわけがない。そう、諦めたその時、エンジンの唸りが千歌たちの耳に届く。
「……まさか!」
ラビットの背後から1つのバイクがスピードを上げ、そのままラビットに突撃した。
『ぶげら!』
ラビットはその衝撃で大きく吹っ飛ばされた。
「だいじょうぶ!」
「こうちゃん!」
バイクの乗り手である、光助はヘルメットをとって、千歌たちに声をかける。
そして、バックからドライバーを取り出し、腰へと巻く。
「変身!」
光助の掛け声ともにドライバーから光が発し、光が光助を包み込む。そして、その光が消えると、そこには仮面ライダーホープがいた。
『何⁉︎お前は!』
『仮面ライダーホープ!悪を絶ち、希望を紡ぐ戦士!』
『かっこつけやがって!殺してやる!』
名乗り
ホープはラビットの向け攻撃を仕掛けるも、ラビットの俊敏な動きを捉えることは出来ず、かわされるばかりであった。
『くそっ!』
『ほらほら、俺はこっちだぞ!』
ラビットの翻弄され、思うように動けないホープ。
『グワッ!』
一瞬だけ出来た隙をラビットにつかれ、ホープはよろめいてしまう。それからラビットの猛攻が始まり、ホープはただ蹂躙されるだけだった。
「こうちゃん!」
千歌達はただ一方的にやられるホープを眺めるだけで、歯がゆい気持ちになる。
『はは、他愛もない。』
ホープはラビットの攻撃に耐えきれず、地面に伏せてしまう。そして、ラビットは再び千歌達を標的に定め、じりじりと詰め寄っていく。
「ピギィィ!」
「こ、来ないで・・・・・・。」
『ほおら、怖いのは一瞬だから。』
ルビィと花丸は迫り来るラビットに恐れてしまい、逃げることも出来ず、ただ
しかし、再び立ち上がったホープはラビットの肩を強く掴み、後ろへと投げ飛ばした。
『チッ!まだ諦めねぇのかよ!』
ラビットはすぐに立ち上がり、ホープに怒りを込め、睨み付ける。
『これで終わりにしてやる!』
そして、ラビットは助走をつけ、ホープに飛びかかり、渾身のパンチをくらわせようとした。だが突然ホープドライバーから思わず目を瞑ってしまうほどの青い光が発し、ラビットはその光にやられて、空中で体勢を崩してしまい、その場に落ちてしまう。
『何⁉︎』
『あんたはもう……許さねぇ!』
青い光が消えるとそこには黄金だった肉体が青に変わり、竜を象ったような仮面に変わったホープが佇んでいた。
『ダァッ!』
ホープはラビット以上の跳躍力で一気に間合いを詰め、倒れているラビットをサッカーボールのように蹴り飛ばす。
『何なんだよ!お前!』
ついに怒りが最高点に達したラビットはすぐに立ち上がり、ホープに殴りかかる。しかし、ホープは先程のラビットの同じように俊敏な動きでその攻撃を避ける。そして、ホープが右手を前に出すと、青い光が集まり、直刃の刀、青竜刀へと変化する。
『ハァァァァァァ……。』
青竜刀を構え、ホープは跳躍力し、ラビットに斬りかかる。
『ライダァァァァァスラッシュ!』
青い光に纏われた青竜刀でラビットを両断する。すると、ラビットは黒い影となり、真っ二つに割れる。その影の中から青年が現れ、地面に倒れる。
「ハァハァ……。何なんだよ……今の……。」
変身を解除するやいな、ドライバーを見つめる光助。どういうわけ突然、青い姿となっていたことに光助は驚きを隠せずにいた。今まで体感したことがない感覚。体の中から何か生
「こうちゃん!」
そんな中、後ろから千歌に声をかけられ、一旦考え事を止めて、咄嗟に振り向く。
「曜ちゃん!それに千歌ちゃん!怪我はない?」
「うん。私達はだいじょうぶだから。」
取りあえず二人の安全を確認して胸をなでおろす。すると光助は後ろのほうにいる、花丸とルビィの存在に気付いた。
「そっか。って、その2人は?」
「あ、この2人は花丸ちゃんとルビィちゃん。」
曜が光助に花丸とルビィのことを紹介する。
「あ……えっと……あ、ありがとうございます。」
「あ、あの……助けてくれてありがとうございます……。」
2人は光助に丁寧に挨拶するも何処かぎこちない様子だった。無理もない。目の前で光助が別の何かに変身して、怪物と戦っていたのだ。そう簡単に理解することは出来ないうえ、そんな光助にすぐに心を開けるわけはない。
「そっか……見られちゃったのか。」
あまり正体を知られたくなかった光助はバツの悪そうな表情で頭を掻く。そして、花丸とルビィにゆっくりと近づき、ある約束してもらおうとする。
「2人とも、このことは内緒にしてもらってもいいかな?」
唇の前に人差し指を出し、秘密にするように伝えると2人は静かに頷いた。すると、遠くからサイレンの音が聞こえてきて、数台のパトカーがこちらに向かってきた。
「これは……面倒なことになった。」
その後、警察の事情聴取され、千歌がうっかり仮面ライダーの正体を明かしてしまう場面もありながら、1時間後には解放されたのだった。
サンシャイン見てると書きたいシーンとかがたくさん湧いてくるけど、言葉にするのは難しいです。