仮面ライバーサンシャイン 光の導き手   作:シママシタ

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今回は新しい仮面ライダーが現れます!


狼の雄叫び

夕方、果南とレイは晩御飯の材料を買いに、交差点にあるスーパーに来ていた。

 

「やけに嬉しそうだね。」

 

鼻歌交じりで果南の隣を歩くレイを見て、果南もつられて嬉しくなり、つい笑みがこぼれてしまう。

 

「だって、果南の料理が大好きなんだもん。それに、こうやって一緒に買い物なんて家族みたいだしね。」

 

まるで子供、否、新婚夫婦のようなことをレイは言う。レイは誰かと一緒に何かをすることが好きだ。

そんななか突然、買い物していた客がカゴに入れていた物を置いて一斉に逃げ出し始めた。

 

「何?」

 

レイは突然、頭の中を紐で縛られたような鈍いを痛みに襲われ、頭を抑える。この痛みはあれかと、予想はつき、果南との買い物を邪魔されたことにイラつき舌打ちしつつも、人の流れに逆らい、その元凶の元へ急いだ。

 

『ひゃっはー!あばれてやるしっなー!』

 

たどり着くと、そこには赤や黄色などの奇抜な色で、体にはぶどうやオレンジがたくさんの種類の果実が実っているフルーツseadが棚などを倒して、暴れていた。

 

「あれって!」

 

レイの後を追ってきた果南はseadを再び目の当たりにし、ひっと小声で悲鳴をあげる。

 

『まだ人間がいるのか!』

 

レイと果南に気づいたフルーツは突然、頭から液体を噴射し、射線上にいた果南にぶちまける。

 

「果南!」

 

咄嗟にレイは果南のそばに駆け寄り、異常がないか、確認する。果南の体は果汁でベトベトになってることは以外は問題はなかった。どうやら、あの汁はただの果汁らしく、害はない。むしろ甘くて美味しい。

 

「sead!」

 

果南が無事だと安心すると、レイはおもむろに立ち上がり、キッとseadを睨みつける。その目は、獲物を狩る野獣のよう。

 

「果南をこんな目に合わせて……絶対に許さないわ!」

 

大切な人に被害を被ったフルーツに怒りを露わにし、レイはバッグから銀色のラインがはいったホープドライバーに酷似したものを取り出す。それを見た果南の脳裏にあの出来事が浮かび上がる。

 

「ちょっとレイ!それはまずいって!」

 

「離して果南!私はこいつを倒さないと!」

 

咄嗟に果南はレイの後ろから抱きつき、変身させまいと身を呈して止める。しかし、レイはそれでも戦おうと制止を振り切ろうとする。

 

「でも、それを使ったら!」

 

「わかってる!でも、これが私の役目!仮面ライダーとしての役目なの!」

 

レイの言葉には明確な責任感と覚悟が備わっていた。その言葉を聞いて果南は初めてレイが目の前で変身した時に言った言葉を思い出した。例え、自分が自分でなくなっても、自分が犠牲になっても世界の平和の為なら戦える。

だが、変身した後のレイを見てしまっては簡単に変身なんてさせたくないと思ってしまう。立つのも困難になるほどボロボロになり、見ていて胸が痛くなる。

 

「……わかったよ。だけど、無理はしないでね。」

 

「ありがとう果南。お礼はベッドの上でね。」

 

果南にウインクをして、レイはドライバーを腰に巻く。

 

「変身!」

 

すると、ドライバーの中心にある玉から黒い霧が発生し、レイを包み込む。その霧は一点の淀みもない、純粋な黒。まるで、光を通すことのない、純粋な闇。

その闇の中から、鋭い爪が顔を出し、闇を斬り裂いて、中から銀色の戦士が現れる。

 

『仮面ライダー……狼渦(ロウズ)

 

薔薇のような真紅の複眼に、狼のような仮面。肩や膝、胴体の生態鎧はシャープで角ばっている。そして、鋭い爪が生え、その姿はまさに狼、否、人狼のよう。

 

『さぁ、喰らってあげる!』

 

『ひっ!』

 

狼渦のその殺気にフルーツは小さく悲鳴をあげて、一歩後ろにたじろぐ。そして、狼渦を標的を定め、野獣の爪を立て、右手を後ろに、左手を前に出し、姿勢を低くして構える。

 

『ウォォォォォォォン!』

 

そして、狼渦は野獣のように雄叫びをあげ、獲物を狩るため、フルーツに飛びかかる。

 

『く、来るなぁ!』

 

既に狼渦の殺気に気圧され、戦意の無いフルーツは完全に背を向け、みっともない声を発し、逃げようとする。しかし、狼渦に一度でも標的に定められれば逃げる切ることなど不可能。

 

『逃さない!』

 

フルーツの背後に狼渦取っ組み合いになり、二体は地面にゴロゴロと転がる。すると、転がってる最中に狼渦は上手く、フルーツに馬乗りになる。そして、身動きが取れないフルーツの顔面を狼渦は殴り始める。

 

『ハァッ!ガァッ!』

 

一方的に殴り続ける狼渦には、あの美しいレイの面影は一切ない。ただ獲物を仕留めるために本能の赴くままに襲う野獣の血生臭さしかない。

 

『い……いい加減にしろ!』

 

一方的になぶられるフルーツは狼渦に対し怒りを通り越して、殺意を抱く。そして、今まで貧弱だったフルーツは力いっぱい、上に乗る狼渦を突き放し、ゆっくりと立ち上がる。

 

『もう怒ったぞ!お前なんか、ギダギダにして殺しやる!』

 

『ガルルルル……。やってみなよ……。』

 

地面をダンダンと踏みつけ、激しくいきり立つフルーツ。野獣のように唸り声を上げる狼渦。純粋な感情と純粋な本能のぶつかり合い。

 

『うぉぉぉぉぉ!』

 

『どうせ無駄な足掻きだけど……。』

 

まず先にフルーツが頭から果汁を吹き出し、狼渦へとかけようとする。先ほど、果南が受けた時は何もなかった為、普通なら避けずに突っ込むのが最善手だろう。しかし、狼渦の本能はあの液体は危険だと察知し、咄嗟に避ける。

避けた後、ふと液体のかかった地面を見る。地面はドロドロと溶け、まるでマグマのようになっていた。

 

『ほらほら!まだまだ行くぞ!』

 

ようやく、本気を出したフルーツは薬物を摂取したように興奮し始め、その酸性の果汁をあたりに撒き散らす。果汁はまるで雨のように降り注ぎ、全てを避けるのは至難の技。

 

『なら!』

 

雨は絶えず、狼渦の体にあたり、ジワジワと体を溶かしていく。だが、狼渦は動かず、次の一手のために耐える。

全てを避けられないのなら、ある程度受けつつ、速攻で狩る。それがこの状況で選択した最善の手。

酸性の果汁の雨の中、狼渦は地面に這い蹲るように、体勢を低くする。そして、腕を地面につき、狼のように4本足にし、ギッとフルーツを睨み、逃さないように標的を定める。

 

『ウォォォォォォォン!』

 

周囲の空気を震わせるほどの雄叫びを上げ、二本の腕と二本の脚を使って、尋常ではないスピードめフルーツに迫る。

二本の脚だけではでない爆発的な瞬発力。狼の本能を持つ、狼渦にしか出来ない技。その人間を超越した技で一気にフルーツの懐に入り、鉄をも切り裂く爪で脇腹を抉る。

 

『ぎゃぁぁぁぁ!』

 

突然、気絶するほどの痛みを感じ、フルーツを果汁を噴き出すのをやめて、甲高い悲鳴を上げる。

そんなフルーツの背後では狼渦が再び、体勢を低くし、止めの機会を伺っていた。

 

『喰らえ!』

 

フルーツが痛みで悶え苦しみ、体の重心が偏ったその刹那、再び4本脚で飛びかかる。そして、両手の爪で何回も切りつけ、次に軽くジャンプして、空中でフルーツを何度も踏みつけるように蹴り、とどめのに両脚を突き出す。

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!』

 

必殺技、「ウルフアクロバット」が完全に決まり、フルーツは爆発し、炎に包まれる。

 

「レイ!?」

 

戦いが終わった瞬間、果南は足元がふらつきながらも立ち続ける狼渦の元にすぐさま駆け寄り、その大きな体を支える。狼渦の体は所々が火傷のようにただれており、果南は泣きそうなほど心配になる。

 

『ハァハァ……だいじょうぶ……まだ……喰われてない……から……。』

 

慢性的なダメージと痛み。そして、仮面ライダーという呪いによって狼渦は既にボロボロで一人で立つことさえ困難。しかし、少しでも果南に心配をかけまいと必死に平静を装う。

 

「あっ……。」

 

『油断したな!死ねぇ!』

 

フルーツは大きな腕を振り下ろす。万事休すかと思ったその時。

 

『ガァァァァァダァッ!!』

 

仮面ライダーホープの「ライダーキック」がフルーツに直撃する。そして、フルーツは地面に叩きつけられると消滅し、元の人間である、緑色のエプロン姿の優しそうな青年へと戻った。

 

「仮面ライダーが……二人!?」

 

果南は仮面ライダーが二人もいることにただ、驚かざるを得なかった。

そんな果南を他所に、ホープと狼渦は異様なほど冷静であった。金と銀の対称的な仮面ライダー。

 

『あなた……光助なの?』

 

『この殺気……レイか。』

 

仮面をつけ、顔など見えないにも関わらず、二人は互いの正体を見破った。なぜそうなったか説明するとなると難しい。あえて説明するのなら雰囲気。

そして、二人は変身を解除し、素の顔で再び対面する。

 

「やっぱり……通りであの時すごい殺気を感じたのか。」

 

「あなたこそ……そんな可愛い顔して……。」

 

レイらしく冗談を交えて驚くと、膝をガクンと落とし、支えてる果南も一緒に倒れそうになる。

 

「だいじょうぶか?」

 

だが、咄嗟に光助が二人を支えたおかげで、倒れることはなかった。

 

「はは、ちょっと疲れただけだよ。」

 

「……いろいろ聞きたいことがあるけど、とりあえず、救急車を……。」

 

「呼ばなくていい。」

 

光助はレイの状態をすぐさまスマホを取り出し、救急車を呼ぼうとしたが、レイに止められる。

 

「ねぇ、仮面ライダーなら小原家を知ってる?」

 

この時、光助は気づいた。レイがOHRから家出をしたことを。

 

「……あぁ、一応手を組んだ。」

 

「それなら、彼らが必ず来るはず。その時に連れていかれるはずだから。」

 

光助がOHRと手を組んでいることを知り、もう逃げられないとレイは悟り、逃げることを諦める。

 

「折角、家出したのにいいのか。」

 

「しょうがないよ。私が悪いからね。」

 

「ちょっと、どういうことなの!話が全く読めないんだけど。」

 

二人の話に間で勝手に話が進むなか、蚊帳の外に追い出されていた果南は何が何だかわからず、詳しい説明を求める。

 

「私は元々、小原家に引き取られた養子なの。だから、元の場所に帰るだけ。」

 

小原家。果南はその単語を聞くことすら嫌だった。あの二年前のあの苦い思い出が蘇るからだ。しかし、そんな果南の様子に二人は全く気づかない。

 

「なぁ、どうして家出なんかしたんだ。そんな劣悪な環境だったのか。」

 

光助は元からOHRについては未だに信用しておらず、むしろ怪しんでいる。そんな組織がこんな少女に脱走したいまでという感情を抱かせるほどの環境とは一体どんなものかと、怒りを抑えながらレイに問う。

 

「私にとってはね。でも、普通の人なら充分すぎるくらいの環境だけどね。ご飯は一流のシェフが作ったものだし、身の回りのことは使用人が全部やってくれる。

だからかな……冷たいの。空気もご飯も人も。みんな冷たくて……寂しくなるの。あの人達は仕事として割り切ってるおかげで、愛情も温もりも感じないの。

だけど、果南は温かった。ご飯も温かいし、ちゃんと私を叱ってくれるし、褒めてもくれる。こういうの、ずっと憧れてたの。」

 

レイの偽りのないその言葉に、果南は恥ずかしさと照れが混じり、思わず顔を真っ赤にしてしまう。

一方、初めて聞いたレイの家出の真相に光助はどこか昔の自分と近いものを感じ、思い出したくもない記憶が不意に思い出される。

レンジで温めたはずなのに冷たく感じる愛も何もこもってないご飯。町を歩けば痛いほど感じる冷たい視線。世間からの冷たい風当たり。

全てが冷たくて、自分だけが世界から隔絶されたようなあの感覚は今でも忘れない。おそらくレイが感じているものはこのようなものなのだろう。だから、光助にはレイの求めるものが自然とわかった。

 

「あんたは……人の温もりに飢えてるんだな。」

 

「……よく気づいたね。」

 

「似た者同士……だからかな?」

 

すると、レイは光助の悲哀に満ちた目から本心を読み取り、あえて優しく笑いかける。

 

「だけど、もうひとりぼっちじゃない。マリーと果南もいる。さらにあなたもいる。……あーあ、なんかスッキリした。よっと!」

 

溜まっていたものを吐き出し、爽快な気分になったレイは多少、痛みを感じながらも、飛び跳ねるように起き上がる。

するも、三人はあることに気づいて一斉に同じ方向を向く。

 

「こんなところにいたのか、レイラ。」

 

「おじさん……。」

 

三人の視線の先にはスーツを完璧に着こなし、ハードボイルドな雰囲気で真剣な表情でこちらを見る源が立っていた。

 

「それに光助君に……松浦さんでいいかな。」

 

そして、光助と果南を見ると、軽く会釈をする。だが、二人とも挨拶を返すことなく、ただ少し怖いくらいに真剣な表情で源を見ていた。

 

「久しぶりおじさん。迎えに来たの?」

 

「それを決めるために私は直接会いに来たんだ。」

 

まるで友達のように接するレイ。だが、源は変わらず固い様子で接する。

 

「レイラ、不調はないか?」

 

「うん、変身した後は辛いだけで、後はだいじょうぶ。」

 

「そうか。なら、問題はないな。」

 

レイラの無事を確認すると、何と源はくるりとレイラ達に背を向け、あっさり引き返そうとする。これには無理矢理連れて行かれることを覚悟していたレイラは唖然としてしまう。

 

「あれ?私を連れて行かないの?」

 

「君が無事なら充分だ。それに、戦いから逃げたわけではないからな。無理矢理連れて帰る必要はない。」

 

「おじさんらしいね。」

 

例え、脱走しようとなんだろうと結果として、seadと戦ってくれればそれでいい。結果至上主義である源ならではの考え方だ。

 

「だが、一つだけ言っておく。たまには鞠莉に会ってやれ。」

 

「そうだね。私もマリーに会いたいから。」

 

最後に源はそう言い残して、近くに停めてあった黒いベンツに乗り込み、元来た道を戻っていった。

 

「なんか……予想外だったな。」

 

「うん。私も拍子抜けしちゃった。」

 

予想もしなかった結末に、光助は驚きを隠せない。だが、レイが一番信頼できる相手とまた一緒に過ごせるのは喜ばしいことだ。光助は純粋に嬉しかった。

 

「ねぇ、レイ?鞠莉とはどういう関係なの?」

 

すると突然、果南が光助とレイの間に割って入り、レイと鞠莉の関係を聞き出そうする。すると、レイの表情がクールなものから乙女のような可愛いらしいものになる。

 

「……大切な家族だよ。」

 

レイは少し照れくさそうに言う。どうやら、レイにとって鞠莉は果南と同様に大切な存在、もしくはそれ以上の存在らしい。それを聞いた果南はどこか難しそうな表情を浮かべる。

まぁ、何はともあれ一件落着だと、光助はおもむろにスマホを取り出す。

 

「げっ!まじかよ!」

 

スマホの画面には千歌からLINEが数十件も来ていた。それも全部が「早く来て」という内容であった。

 

「もしかして、千歌ちゃん達を待たしてるの?」

 

「な、何でわかった!?」

 

「女の勘ってやつだね。ほら、早く行きなさい。女の子を待たせる男は最低だよ。」

 

「わ、わかった!」

 

そして、レイに言われるがまま光助は急かされ、30秒で支度をする。

 

「あっ、その前に!」

 

「何!?」

 

急かした本人が急に光助を引き止め、若干キレ気味で反応してしまう。すると、レイはゆっくりと光助に向け、右手を差し出した。

 

「仮面ライダー同士、助け会いましょ!」

 

これには一瞬だけ戸惑うも、光助もすぐに右手を差し出した。

 

「あぁ!よろしくな!レイ!」

 

同じ苦しみ、痛みと哀しみを背負う者同士、二人は硬い握手を交わす。

そして、光助は愛用のバイクにまたがり、千歌達の元へと向かった。

 

「何だか、嬉しそうだね。レイ。」

 

「だって、また果南と一緒に暮らせるんだよ。嬉しいに決まってるじゃん!それに……大切な仲間が出来たしね。」

 

すると、レイは果南の左腕に抱きつき、密着する。いつもなら暑苦しいと拒む果南だが、今日くらいはいいかなと思い、あえて何も言わずにそのままにした。

 

「じゃあ、帰ろっか。」

 

「うん!」

 

そして、二人はそのまま家路を歩いていった。

 




いかがだったでしょうか。
狼渦に関しては、銀色で狼がモチーフということで、何処の魔戒騎士だよとツッコミたくなるかもしれません笑。
因みに戦闘スタイルはアマゾンズのアマゾンオメガから影響を受けてます。
野生溢れる戦闘スタイル。しかし、変身者は美人の外国人という何というギャップ。よろしければいわゆるギャップ萌えというのも楽しんでもらえれば笑。
それではまた、次回!
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