□月◯日
俺の今までの努力は一体何だったのだろうか……。
俺は父に教えられたように妙木山の門を叩き、蛙に教えを請うて、仙術を教えてもらった。
はっきり言って、楽しかった。
何故なら、俺には仙術の才能があったからだ。それも、才能全てをそれに投げ込んだような絶大なものが。
一日目に基礎をマスターし、三日目には原作の自来也のレベルに至った。五日目にはナルトと同じほどで、十日目で一瞬で仙人モードになれるようになった。そして、それから練り込むチャクラの質と量をグングンと伸ばし、一ヶ月で父と同じレベルまで至った。
その成長の速さは俺自身信じられないほどだったが、こうも気持ちよく成長ぶりが分かると修行が凄く楽しいのだ。おかしなことだが、本当に楽しかった。
ただ、こうして日記をつける時に、チラッと目に映った仙術を知る前にしていた修行の内容を思い出して、こんな風に脱力してしまうのだ。
才能とは恐ろしいものだ……。
ところで、影分身とはどうやったら消えるのだろうか。
□月×日
無想転生!
蛙組手の終着点はそこだったのか……。
妙木山に着いてから一年ほどを不味い飯と共に過ごした。確かに虫を何度も口に入れさせられたり、そもそも人間の味覚に合わなかったり、と食事に関しては最悪の一言に尽きたが、強くなっているのがわかるRPGのような現状、楽しくて不味い飯も箸が進むというものだ。まあ、不味い飯と口に出したことはないし、修行の成長ぶりにいつも綻んだ頬の所為で嬉しそうにしていたことで勘違いされ、日に日に飯が不味くなるのは、やはり人間と蛙の感性の違いだろう。
そんな苦しい中での心のオアシス、修行は、最早教えることはない、と言われるレベルに到達し、それこそ無想転生のようなことまで可能になった。敵の攻撃は当たらず、俺の攻撃は確実に当たる。よもや我に勝てるものなどおらぬ! そんなテンションで毎日を過ごしている。
仙術チャクラの質も量も相当なものになっているし、父の六道仙術と同等のことも出来る。まあ、向こうは輪廻眼も十尾もあるから、俺が戦おうとすれば確実に負けるんだけどね。
ただ、俺の教わることはもう此処にはない。しかし、仲良くなった蛙の話を聞けば、兄は既に完成形須佐能乎を容易に使いこなせているようで、万華鏡写輪眼も眼を見張るような能力らしく、現在の俺が戦っても、若干向こうに軍配があがるくらいだそうだ。
ならば、俺はここで燻っているわけにもいかない。あの兄をぶっ殺してでも俺は生き残りたいのだ。
と言うわけで、俺は妙木山に別れを告げ、感知した自然エネルギーの密集地帯の二つの内の一つに足を運ぼうと思う。
まあ、なんやかんやと世話をしてもらったから、名残惜しいところもあるが、兄からの一方的な因縁が消えたらまた会いに来ればいいだろう。
では、さらばだ、妙木山。
□月□日
ヌルヌルこそ最大の敵だ。
湿骨林というナメクジの里に俺は足を踏み入れた。……初っ端からツルッと行ったけど。
そのあともツルツルと滑りながら、富士山よりも大きく見えるナメクジの前まで歩を進め、仙術の指導をしてもらうように頼んだ。
結果は、快諾。ホッと胸を撫で下ろしたが、条件をつけられた。「この前発見した活性法を少し、あなたの体に施したいのですよ。まあ、要するに臨床実験ですね」と。聞くからに怪しい条件だ。
何のことか、と深く聞いてみると、どうやらこのナメクジは八門遁甲の存在に気付き、其れがどのような効果を及ぼすのか見たいらしい。まあ、根っからの研究者ですね、と言えば、「これで助かる人がいるかもしれない」と否定と肯定の意味が込められた真面目くさった回答をされた。
「弟子だったら何しても大丈夫とか思ってるの?」と聞くと、「いいえ、貴方は私が見てきた中でも最上の生命力ですから、貴方ほどの実験体は無いのですよ」と言われた。
やはりモルモットになるしか道はないらしい。
最終的に、八門遁甲と言えばガイ先生の奮闘だろう、と思い返し、もしあれが出来るなら俺は更に強くなれる、と考えた俺は、了承した。
これで師弟として契約がなった。
ビシッと鋭い音の鳴るような体ではないのに、明日からはビシビシ行く、と言われ、今日はもう休むように勧められた。
……ヌルヌルを引っ込めてくれないと、滑り過ぎて休むものも休めないです。
□月▽日
カツユの野郎、やりやがった……!
俺は現在、赤い蒸気を噴出中である。「間違いました、ごめんなさい」とは、あのデカナメクジの言である。可愛いから許す。
全身がビキビキと異常に痛い。心筋梗塞が全身に来ているような感じだ。こうなった当初は体が痙攣しっ放しだった。動けるようになっただけマシなのか……。
どうやら八門遁甲の開く順番の思索をしているようで、今回は真っ先に心臓にチャクラを流し込んでくれたから、死門が開いて、文字通り死にかけた。さすがに耐えきれずに、流す順番は原作にあった通りに教えた。
しかし、アシュラの生命力とは異常だな。今もわかるくらいに徐々に徐々に痛みが引いていっている。あと一日も経てば、この状態でも何の問題もなく動けるようになるだろう。順応性と回復能力が霊長類のレベルじゃない。
こうして八門遁甲の八門、死門の状態に体を馴染ませれば……、もしかして、俺って最強か?
□月◎日
妙木山と同じように、湿骨林に来て一年が経過し、此処で習えることはすべて習い、習得した。とは言っても、蛙組手のような格闘技術があったわけではなく、ここで学んだのは医療忍術だ。
まあ、それも、死門を開く、自然治癒に任せて回復する、という超回復を繰り返しているうちに、死門の状態に体が慣れて身体能力は化け物並みになり、自然治癒の速さも超速再生と言っても差し支えないほどだ。ほんまに俺は何になろうとしてるんだろうか。
ただ、これで楽観できるか、と訊かれれば頷くことは出来ない。
仙術の腕前が上達するに連れて、比例するように感知範囲が広がるのだが、それで感じたところでは、兄から父と同じチャクラ質を感じたのだ。それの意味するところは、父とチャクラの質を同じくするようなものを会得したことになるのだ。
そうなると、兄が習得するもので候補と言えば、一つしかないだろう。
輪廻眼。
はっきり言って、俺が欲しかったやつ。まあ、輪廻写輪眼の方が欲しいけど。
これの強さは原作の中でも随一だ。というか、使う奴皆が化け物だ。俺的に、化け物量産機兼厨二発症機。
これさえあれば、チャクラを吸収したり、ミサイルを撃てるようになったり、魂を刈り取ることができたり、と他に何も要らないんじゃないか、と錯覚してしまうほどの万能ぶりだ。
兄はこれを会得した。見たわけではないが、恐らく確実だろう。他にも、性質変化の全てを父と同じ次元で操れるようにもなっているようだし、戦闘のセンスもあってか大筒木秘伝の柔術も学び、力を蓄えているようだ。本当に天才というのは怖いよ。
と言うわけだ。兄が強くなり続ける以上は、俺も強くなれねばならない。だって殺されるのは嫌だもん。
そうと決まれば、今日にでも此処を出て行こう。学ぶことはここにはもうないからな……。
て言うか手っ取り早いのは、影分身が消えればいいんだが……。
本当にどうやったら消せるのだろうか。まるで奴らは生きているように、俺の意思に関係なく……。
生きている……?
□月▲日
カツユの承諾を得て、俺は最後の自然エネルギーの密集地帯、龍地洞に来た。
毒蛇がうようよしており、侵入者である俺に警戒心むき出しで噛み付いてきた。
蛇に噛まれた程度では死なない。それに蛇の毒程度で死ねるならもう既に一千回は死ねているだろう。そんな余裕をかまして奥へ奥へと向かった。
其処で仙人と出会い、俺はまたも弟子として迎えられた。まあ、条件として、カツユと同じような人体改造を施す事にされたけど。……大蛇丸みたいにはなりたくないなぁー!
□月▼日
またも一年が経った。最近は日記をつけることを疎かにしてしまっているが、人体改造の時に序でに寝てしまうので、どうにもならない。睡眠欲をどうにかせねばな。
ただ、毎日は同じことの繰り返しであり、大したことのない日々だ。蛇に噛まれたり、毒を体に送り込まれたりとかね。無駄に毒耐性がついた。
そして、裏切り上等な雰囲気を持つ蛇の癖に意外な事だが、体の改造は割と良いものだった。なんと不老化とチャクラの回復力を高める改造であるらしい。
本当は体を蛇にしたかったらしいのだが、俺の人と思えない身体能力の高さ故に断念したようだ。大体、ナメクジも蛇も手が無いのにどうやって肉体改造をやっているのか気になるが、其処ばっかりは、さばかれている感覚のある腹を見たくなかった俺が悪いのだし、それにクリオネのような事になっていたら目も当てられない、と諦めた。
チャクラの回復力を高めるとはなんぞと思ったら、蛇のように物体を丸呑みし、体に取り入れてチャクラに変質させて吸収する方法らしい。だが、ただこれは馴染みがあるものでしかできないようだ。例えば、ナルトであれば、食べ親しんだ一楽ラーメンのラーメンを食べると回復の促進が期待できるとか。要は、何かと馴染んでいる必要があるということだ。この里の蛇の中には、特定の蛇のそばにいるだけでチャクラ回復が速くなるやつもいるらしい。
そんな中でも俺は格別だった。というか、俺は自然エネルギーと馴染みすぎて、自然からもチャクラの吸収が出来るようになっているらしいのだ。つまり、俺は自然エネルギーという別個のチャクラを、自分個人のチャクラに変換できるというのだ。無限機構。本気で人間やめていると思う。
さて、蛇とナメクジ、蛙の仙人モードはどれも違いがある。
まず、感知能力だけで言うと、蛙は、感知範囲が広く汎用的。蛇は、蛙程広くはないが、気温や音の周波数で状況をより細かく得ることが出来る。ナメクジは、極端に狭いが、個人を見れば白眼と同じレベルのチャクラの流れの察知が出来るようだ。
次に、攻撃の技術だが、蛙は、そのまま外部からの破壊を是とし、蛇は、攻撃したところからダメージを増幅していく毒のような攻撃である。ナメクジは、攻撃というよりは防御の方にはいるが、相手の攻撃を軟体のように和らげ、相手に自分の攻撃力もプラスして返すのだ。
何れにも、等しく素晴らしい技術があり、強い。
で、思ったんだ。これ混ぜたらどうなるんだろうなって……。
何になるかは次回で。