阿修羅転生   作:サボリ魔ー

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あしゅらにっき 五之話

 ◎月◯日

 

 自信という自分の武器を手に入れてから、二年。

 俺は日々、自分に何が出来るかを探し続けてきた。

 

 結果、何もなかった。

 なんでや! と声を大にして言いたい。

 なんでや!

 

 現実はやはり、思った以上に優しくはなかったようだ。実際問題、感知できる兄の気配は日が経つにつれて強大になっていく。逆に俺は、成長期だからかチャクラ量の上昇は分かるが、それも影分身に盗られていて話にならない。

 一応、チャクラの練り方と仙術チャクラの練り方をすり合わせつつ、チャクラの質を上げているが、奪われていくだけではどのようなチャクラとなっているのかも分からない。

 ……まあ、超回復のように、奴等が奪うからチャクラ量が増えているのかもしれないが。

 

 チャクラ以外にも、何もできないとはいえ、他の修行も進めている。螺旋丸への性質変化は完璧にできるようになり、形態変化も十分だ。他にも、木遁のバリエーションを広げたり、医療忍術の応用でカブトのような戦闘法も編み出した。無論、綱手やサクラのような馬鹿力も発揮できるようにしてある。

 これで全てを破壊できる。

 

 武器などで戦術の幅を広げようかと思ったが、現在の時代にはクナイやら手裏剣は存在しない。ましてや、起爆札や巻物なんていう高度なものは、名前すら出てきやしない。

 一応、クナイとかは構想はあるようなのだが、製鉄の技術さえも確立された時代背景が悪影響し、鉄の扱いが雑であり、それから生まれる物なんて、目も当てられないくらいに粗悪だ。

 もう俺が作ったほうが早い気がするくらい……。

 

 ……。

 

 …………。

 

 俺は天才か……!

 

 その手があった。

 確かに飛雷神使わなくても、というか寧ろ使ったほうが遅いくらいに俺の身体能力は高いから、今までクナイの存在を忘れていたが、よくよく考えれば未知の武器というのはそれだけで脅威だ。飛雷神以外に使い道がないわけではなかったのだ。単純に、俺が飛雷神がカッコよすぎて価値を飛雷神にしか見出せなかったのが悪いのだ。ごめんなさい。

 

 あの兄が怖がるとは思えないが、しかし、これはいい考えだ。

 何がいいかって、俺の身体能力にクナイが耐えられるとは思えないが、俺の身体能力に耐えられるクナイがあれば、それだけで核兵器並みの破壊力になる。

 よくある話だが、見た目と内容はイコールではないのだ。現に俺は、筋肉こそあるがムキムキではない。なのに、本気で殴ろうとすれば、地図を書き換えなくてはならなくなる位の破壊行為が出来る。

 だいたい、この世界の人間にムキムキというのは極少数だ。それも、忍にとって大切なのはスピードであって、それを削ってしまうようなものは忌避されるからだ。逆に、スピードを削らないのであれば、どれ程の重装を取ってもいいのだが。

 それで、話は逸れたが、死門の力を出せる俺が、俺の力に対応するクナイを投げればどうなるか。そんなものは決まっている。

 大量破壊だ。

 

 まあ、自然エネルギーを使う俺は、そんな自然破壊をする気は毛頭無いが、俺の力に対応できる物質など大体の基準が決まっている。

 それは質量だ。

 

 普通、鉱石というのは硬度と比例するように質量は重くなる。まあ、詳しくは割愛するが、重さとはそれだけで武器たり得るのだ。

 ならば、俺がいとも容易く振るうクナイが実はトンデモない重量だったとして、その破壊力は如何程だろうか。

 

 一見の価値アリだ。

 

 

 

 ◎月×日

 

 なんかサンドボックスゲームをやってる気分だ。掘る掘る、とあの果てのない苦行を課せられているようだ。

 ツルハシの代わりに俺の手で掘っている。この時代にツルハシなんて高度な物品は存在しないから。とはいえ、身体能力が高い俺だ。そこはパワーショベルも真っ青な力で掘って掬って放り投げている。

 

 俺は炭鉱に売られた奴隷か。

 

 疲れが押している。大分、元気がない。こいつも全ては採掘の所為だな。まあ、仕事と思うと力が入るような気がしないでもない。

 ただ修行のほうが楽しい。そいつも全ては退屈の所為だな。

 

 面倒くさいな。

 鉱脈が何処にあるか分かればいいのだが。

 

 

 

 ◎月□日

 

 俺の転生眼に弱点などなかった。

 透かして見えた鉱脈を掘りまくった。無論、鉄はあるだけいいので掘り下げまくった。途中、金や銀、銅に目が眩んで掘り当てたりもした。

 他にも、温泉や石油の発掘も出来た。これは俺一人で扱うには、と困ったので、お世話役の人達に久し振りに会い、これらの提供をした。

 そもそも金などを所有した所で、父が健在の今は父のネームバリューが大き過ぎて、息子というだけでも殆ど全ての事柄を融通してもらえる。つまり、障害さえなければ、金など無くとも俺は生きていけるのだ。

 

 障害さえなければ、な。

 

 さて、それよりも良い報せと悪い報せがある。

 この日記を目にしてしまった君はどちらからが良いだろうか?

 

 俺は断然、悪い報せから派なので、悪い報せを先に書こう。

 

 悪いニュースとは。

 先程書いた、お世話役の人達に俺が掘り当てた諸々を提供したというもの。

 それ自体には何の悪い意味もない。しかし、この行いによって発生した俺の噂に問題があるのだ。

 

 次期当主の話が、大筒木の家の中で発生し始めた。それにより、選挙のような感覚でポスターを作成してあるのだが、無論のこと紙などはなく、壁に直に書き込まれているのだ。

 これを今日の昼間に目撃し、内容を確認した。

 

 アシュラ様は、慈悲と愛情の深い御方である。

 

 なぁにこれぇ、と思わず愕然としてしまった。

 なんだこれ、と思うと同時に丸くした目を元に戻して、下の隅っこの方に書かれた小さな文章を見た。

 

 インドラは、クソ野郎。

 

 これで分かった。

 兄がクソすぎて、相対的に俺が愛情深い人間に見えたのだ。

 あのクソ兄は何やってやがる、と頭を抱えたかった。が、これは悪いとも言えない展開ではある。何故なら、大衆の中には兄をクソと公言できる者がいるのだ。ひとえにそうとは言えないが、ただ、単純に考えて、俺の味方が兄の味方よりも多いということだ。俺の悪口は書いてないからな。

 

 これでは良い方向に話が進んでいるようだが、ぶっちゃけ温泉や石油、金を渡したからと愛情深いと言われるのは、何とも言い難い感情なのだ。

 賄賂という概念も微妙なのだろうが、俺の感覚から言って、愛情を金を買った気分なのだ。いや、愛情云々は、これを書いた奴らが勝手に言い出したことなのだが、一応、言われているのは俺だ。俺の行動でこんな風評が生まれたのなら、俺にも多少なりともの責任はあると思うのだ。

 

 だから、この評価に文句はない。

 もっと言うなら、表現の自由だからね。

 

 だが、俺の中では、賄賂で愛情がなんだと祭り上げられると言われている感が拭えず、愛情(笑)と真顔で言われているようなものなのだ。

 これを悪い報せと言わずに何を悪い報せと言うのだろうか。

 例を出すなら、変態仮面を正義の味方と思い込むのと一緒のことだ。……これ以上、良い例が無かったのです。許してください。

 

 さて、良いニュースの方はだが。

 

 なんと霊脈を掘り当てた。

 

(´・ω・`)こんな顔をしてしまった自信がある。

 ただ、霊脈と言っても何かよくわからないと思う。

 

 だから説明しようと思ったのだが、俺もよく知らない。

 だけど、何となく力が湧いてきた。特に目の辺りが強く反応している。

 

 俺もよくは理解していない。ただ、この霊脈は自然エネルギーの結晶とも言える、異常に濃密な自然がある場所だ。その程は、自然を高次に舞い上げて、聖域に至らしめるものだ。

 だから、自然エネルギーを扱う仙術の全てを纏めた転生眼に力が漲るということは、共鳴というか、そんな感じの反応なのだろう。

 自然エネルギーが反応の元ならば、何も心配することはないのだ。大丈夫大丈夫。

 

 NARUTOで霊脈って言ったら、龍脈だよね。

 

 

 

 ◎月△日

 

 全然大丈夫じゃなかった。

 誰だよ、過程に干渉する能力なんて与えた馬鹿。

 出てこい! 今なら褒め倒して崇め奉ってやる。

 

 先日の霊脈の問題が解消されたが、転生眼に固有能力が宿っていた。曖昧で、かなり範囲が広かった為に、把握するのに相当手古摺った。

 

 最初は、移動という手順を省けたのだ。これを当初は瞬間移動と勘違いし、サスケの能力と被ったのか、と少し後悔、大いに歓喜していたのだが、その次にチャクラを練るという手順なしに螺旋丸を作れたことから、違うな、と思った。

 ただ、この時は手順を省いているという事を理解出来ず、全く意味がわからなかったのだ。無論というか、そこに着眼できる一般人は少ないと思う。逆に、そこにすぐ気付くような人間だったら、前世でラノベを読む日々で満足していなかっただろう。

 先日といったが、既に八ヶ月を消費している。結果が分かった今なら、まだ早い方と理解できる。俺のラノベ脳があったからこれくらいで済んだが、気づけない人は、それこそ一生気づけない問題だったことだろう。

 

 さて、俺が気づいた方法は単純なのだが、ラノベ脳をフルに活用したのだ。

 で、あーでもないこーでもない、と考える内に、一つの答えに辿り着いた。

 

 それは、魔法科高校の劣等生の司波達也の使う四葉の秘術、フラッシュキャストだった。

 

 魔法科高校の劣等生は小難しい文章ばっかりだったので、完璧に理解することはできていないが、行程を省略する技だった、と記憶していたことが幸いした。

 移動という行程の省略。チャクラを練るという行程の省略。目標めがけて腕を振るうという行程の省略。これらの行程を俺は省くことができるのだ。

 とはいえ、汎用性に富んでいて、尚且つこんな便利な能力だからか、チャクラの消費は尋常ではなく、一度に俺の自身の保有するチャクラと仙術チャクラとの総量の二割を削るくらいの勢いだ。

 まあ、チャクラ自体一瞬で回復してしまうから何の問題も無いのだが。

 

 これで勝つる

 

 

 

 ◎月▲日

 

 やはり体を動かすのは慣れているが、頭の方はどうにもならない。集中を途切らせまい、と八ヶ月頭を働かせ続けた脳筋の脳みそがどうなるかなど分かりきったことだ。

 なので、休憩とばかりにこの前の温泉に入ったのだが、あれは良いな。本当に気持ちが良い。最近は、段々と修行がルーチンになってきているからか、やる気も精力も削がれている。

 活力がないとも言うが、才能が無いので許してください。

 

 さて、風呂の話もそこそこに、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とは孫子の兵法の言である。

 今まで俺はこの兵法通りに己を知ってきた。己を磨き、日記をつけて、己の無才ぶりに打ちのめされる。よくある話であり、これは全てこれの為だ。

 だが、俺は逆に考えた。

 

 ーーー俺は兄の事、殆ど知らなくね?

 

 と。

 というか、逆でもなんでもなく、普通は相手の事を把握しておくべきなのだ。馬鹿か己は。

 俺が兄の事で知っているのは、時代錯誤の眉毛にクレイジーサイコホモの開祖、そして開祖らしさ全開のクソぶり。

 しかし、ここで一つ疑問なのは、兄のクソぶりとは何かを知らねでいるという事だ。俺自身、意味の分からん事で祭り上げられた人間である。だとするならば、兄もなんらかの誇張を受けているのではないか、と思ったわけである。

 勿論、敵の戦闘法が、というのもあるが、俺は破壊光線で全てを押しつぶせばいいと思うのだ。つまり、全てに強い俺であれば、弱点など考えるべくもないという事。すごいぞー! かっこいいぞー!

 というか、休憩中に何でそんなに頭を使わなきゃならねえんだ。

 

 と言うわけで、便利な転生眼で、あの男の私生活を覗き見してるわけだ。

 

 まず見かけたのは、何かを掘っている所。

 目に一杯の涙を溜めて掘っている。

 

 うん。

 多分あれは、「貴様ら、下賤の者が入る風呂に俺のように偉い者が入れるか!」とか見栄でも張っちゃったんだろうね。

 で、寂しくて掘ってるわけだ。

 

 ん? なんか言ってる。

 

「アシュラ……に、負けられるか……!」

 

 ……。

 あれ?

 あの人は俺の事、「ゴミ」とか「雑種」とか「無能」とか「無才のクズ」って呼んでた気がするんだが。

 もしかしてツンデレか? ん?

 

「アシュラに……弱い所を、見せてたまるか……!」

 

 ……。

 アイエエエ! ツンデレ⁉︎ ツンデレナンデ⁉︎

 驚愕の事実。

 兄はツンデレだった。

 

 いや、怖えよ!

 何で⁉︎ 何処から⁉︎ 何時から⁉︎

 訳わかんねえ⁉︎

 

 待て待て! まだ慌てるような時じゃない!

 考えろ。向こうにも輪廻眼がある。向こうも輪廻眼で此方の様子を見ていて、動揺を誘っているのかもしれない。

 

「フッ」

 

 あ、ほら。笑ってる。笑ってるぜ。

 ハッハッハ。どうやらお前の目論見は失敗のようだな、インドラ。お前の考えなんて全部まるっとお見通しなんだよ!

 

「彼奴は力をつけた。あとは俺のやられるだけ。こうして俺が死ねば、彼奴は俺という悪を殺して、当主になれる。

 ……俺が当主になることが確定していればよかったのだが、父の言うように大筒木もまた一枚岩ではない。俺のような不遜な男の擁護をしようとする危険思想の者達もいる。そう、確実にアシュラの立場は危ぶまれていた。

 だが、俺が敵対し、彼奴の前でやられれば確実に俺に着いた者達も、意思を変えるか、抵抗して敵対するだけだろう。そうなれば、アシュラの危険はグッと無くなる。

 ただ、当主の座は確実にいいものとは言えない。狙われる事など必中であり、特に俺が言ってきたようにアシュラは才能がなかった。そこを突いて乗っ取ろうと画策する者もまた確実に出てくる。

 考えれば考えるほどに俺、いや俺たちに道はない。やはり大筒木は力を手に入れ過ぎた。平穏を崩すしてしまうのは、何時だって力を背景に持つ情動の変化だ。

 力がなければいいというわけでもなく、しかし、騒乱の目になることの無い力……。結局の所、俺たちは生まれるところが悪かったということか……」

 

 ……。

 …………。

 …………………。

 

 一回によく喋るなおめえ(´・ω・`)

 

 つーか、俺は如何すればいいんだ⁉︎

 兄の話を聞く限りでは嘘はない。チャクラの動きに注視すればどうということの無い芸当だ。しかし、それが表すものは兄の言うことが真実であるという事だけ。

 じゃあ、兄は別に悪い人でもないじゃん! ていうか、イタチと殆ど同じじゃねーか!

 何でこの世界って皆が皆、悪役が良い人なんだよ! 殺り辛くて仕方ねえよ!

 つーか、殺せねえよ!

 

 岸本ェ……。

 改心は良い事だと思っていたが、敵対視していた自分がバカのように見えてくる事を理解した。

 もう〜。

 ……。

 ええ〜。

 本当に兄は悪い人じゃねえーかー。

 

 で? 結局、どうすんの?

 俺は如何したらいいの?




アシュラの転生眼の固有能力が出せました。
よかったです、といきたいところですが、次回で序章はお終いです。注意書きで書いてある通りに、さらっとインドラとアシュラの戦いを記録して、本章・先日譚を書き綴ります。
本編の始まりが今の所見えませんが、先日譚もある程度の本編の理解度を上げる為の話に過ぎませんので、先日譚も区切りがついて、話を進められそうと判断すれば、躊躇なく本編へと入るつもりです。

次回、阿修羅日記 終之話
アシュラ、死す
デュエルスタンバイ!
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