この素晴らしい世界に聖石を!   作:ホムラ

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プロローグ

「赤月翼さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。

 短い人生でしたが、あなたの人生は終わってしまったのです」

 

口では表現しづらい部屋の中で、唐突に告げられた典型文のような言葉

 

突然の事で状況がいまいち理解してないが、俺は目の前にいる少女に人生終了を告げられたらしい

 

気が付いたらこの部屋にいたので何が何だか、分からないことだらけだが

この部屋に来る直前の事を、俺は思い出してみることにしてみた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

俺は普通の高校生で、今日も変わらず学校へ向かっていた

 

学校で授業を受け、友達と駄弁り、部活に出て、放課後には馬鹿騒ぎをしたりして家に帰る

そんな平凡毎日だった

 

…ただ俺は、そんな平凡な毎日が退屈で仕方なかった

 

そしてそれは社会人になってもずっと続くものだと思っていた

 

帰宅途中、車の追突事故に巻き込まれるまでは……

 

「…そうか、俺はあの時死んだのか」

 

自分でも驚くくらい落ち着いているのが分かった。

いや、むしろ驚きすぎて逆に落ち着いてしまったというところか

 

「不幸な事故でしたね。居眠り運転が引き起こした事故に巻き込まれたのですから」

 

「…居眠り運転の事故、事故を引き起こしたドライバーはどうなった?」

 

俺は目の前の少女にちょっとした疑問を聞いてみた

 

「そのドライバーは病院に運ばれ、一命を取りとめました。

 後日しかるべき罰が与えられるでしょう。因みに今回の事故で死んだのはあなた一人だけです」

 

事故で死んだのは俺一人か、よかったのかよくないのか複雑な気持ちだ

 

「さて、改めて初めまして赤月翼さん。私の名はアクア。日本において、若くして死んだ人間を導く女神です。

 これからあなたには二つの選択肢が与えられます。

 一つ目は人間として生まれ変わり、新たな人生を歩むか。もう一つは、このまま天国に行き、縁側でお茶をすする老人のような生活を送るか」

 

……一つ目はともかく二つ目の老人のような生活って

 

「二つ目の選択肢に悪意しか感じられないんですが」

 

女神と聞いて敬語になってしまったが、この少女には敬意を払う要素がない気がするのは気のせいだと思う

 

「天国っていうのはね、あなた達人間が考えているような素敵なところじではないの。

 本当に何もない世界なの、肉体もないから魂のままその辺をさまよったり、他の魂と世間話をするくらいしかやる事がないわ」

 

天国ってそんなところだったのか、てかこの女神の口調が変わった気がするが、コッチが素なのか?

 

「だとしたらもう一度人生をやり直す選択肢しかないのか」

 

平凡な日常というのはありがたいものだと、何かの本で読んだことがあるが

何も変わらない毎日は、縁側でお茶をすする生活となんら変わりない

 

俺が残念そうにしているのを見てか、女神は笑みを浮かべはじめた

 

「そうよね、天国なんて退屈なところに行きたくないわよね。かといって記憶を無くして赤ちゃんからやり直すって言われても、それはもう他人になるわけだから一々了解を得る話でもないわよね。

 そこで!ちょっといいお話があるのよ」

 

胡散臭いセールスマンのような入り方だなと思いつつ、アクアの話を黙って聞く

 

「あなた、ゲームに興味ないかしら?」

 

「ゲーム?」

 

「そうゲーム!ゲームといってもRPGゲームね」

 

女神の話を要約すると、俺のいた世界とは別の世界が存在し、その世界は魔王によって支配されているらしい

しかもその世界で死んだ者は、死に方が残酷だったのか惨めだったのかは分からないが生まれ変わる事を拒否し、その世界の人口が減っていく一方だということだ

つまり移民政策ということで、他世界で死んだものを肉体と記憶をそのままに転生させてあげようということだ

 

「ただ送っても、すぐ死んじゃうんじゃ意味ないから、何か一つだけ。向こうの世界に好きなものを一つだけ持っていける権利を与えているの。

 それは特殊能力でも伝説の武器でも構わないわ。過去にもとんでもない才能や、神器級の武器を希望した人もいたわ。

 どう?あなたは異世界に興味はないかしら」

 

………異世界に興味がないかって?そんなもの「ある」に決まっているだろ!

 

「俺は平凡な毎日が退屈だったんだ、それを変えられるのなら異世界だってなんだって行ってやるよ!」

 

「案外乗り気で安心したわ」

 

アクアは椅子から立ち上がると、どこからともなくカタログの様な物を取り出した

 

「さあ選びなさい!たった一つだけ。あなたに、何物にも負けない力を授けてあげましょう」

 

敬語になったり砕けた口調になったり忙しいな、この女神は

もしかすると敬語はただの台本なのかもしれないと、俺は疑い始めるが

そんな考えをよそに、カタログに目を通していく

 

「なぁ女神様、このカタログ無い、漫画とかで使われる架空の武器を希望してもいいんですか?」

 

「構いませんよ、それがあなたの力となり、魔王を打倒してくれるのであれば」

 

なら、昔読んで憧れたアレだな

 

「俺が異世界に持っていく物は――」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「では赤月翼さん、魔法陣の中から出ないでくださいね」

 

そういうとアクアは俺の足元に魔法陣を作り出し、光り始めた

光り始めると同時に、俺の体は宙に浮きはじめ、ゆっくりと上昇していく

 

「さあ、勇者よ!願わくば、数多の勇者候補達の中から、あなたが魔王を打ち倒す事を祈っています!」

 

そうアクアが叫ぶと同時に、俺の体は明るい光に包まれた




作者の気まぐれによる小説なので、いつ失踪するか分かりません
他の小説も書いているため、更新は不定期となります
それでも良いという方は、今後ともお付き合いください
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