記憶喪失の神様   作:桜朔@朱樺

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死の騎士

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「うわああああっ!!寝過ごしたあああっ!!」

 

ガバリと起き上がり、時間を確認するために目覚ましを確認しようとして――――――ポカポカと、暖かい日差しに思い出す。

 

「あ・・・、そっか、もう仕事行かなくていいんだった・・・」

 

べしゃりと寝床でつぶれたスライムは、サワサワと風に揺れる木の葉を眺めながらどれほど眠っていたのだろうかとぼんやりと考える。

 

「―――もう起きなきゃ、やることはいっぱいあるんだし・・・。ああ、そうだ。モモンさんにも挨拶に行かなきゃだし―――」

 

しかし、優しい木漏れ日と森の音楽がスライムを優しく撫でる。ストレス社会で生きてきたスライムの心を癒してくれる場所に、なんだか瞼が重くなっていく―――。

 

「・・・もう、ちょっとだけ―――寝てもいいかな?」

 

二度寝どころか睡眠もままならなかった頃とは違うのだ。ウトウトと幸せな睡魔の誘いに誘われるように瞼を閉じる。

 

「次起きたらにしよう。もうちょっとだけ―――あと、5、ふんだ、け」

 

スゥーと眠りについたスライム。ちなみに彼のもうちょっとはこれで二桁を越え、繰り返されたもうちょっとは一ヶ月を越えた。

 

 

 

 

 

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その頃エ・ランテルに到着した漆黒の剣は冒険者組合に呼ばれていた。モモンが一緒でないことに組合長が少しがっかりしたようだが、ペテル達もアダマンタイトに相応しい実力を持っているので、気を取り直して事の顛末を説明し始めた。

 

以前エ・ランテルで事件を起こしたズーラーノーンの二人が襲われたのだ。犯人はおそらく、他のズーラーノーンの幹部だろうと予想されている。

 

「二人は拘束されていたとはいえ実力はオリハルコンに匹敵する。その両名を襲撃したのだからただの構成員のはずはないだろう」

 

それは実際に対峙したペテル達も納得する。あの二人を襲うとなると相当の実力者である。

 

「それで、カジットとクレマンティーヌは殺されたんですか?」

 

ペテルの問いに、意外にも組合長は首を横に振った。

 

「命に別状はない―――ただ、記憶を消されている」

「記憶を?」

 

ちらりとニニャを振り返れば首を振られる。記憶を消す魔法はニニャでも知らないようだ。もしかしたらモモンが知っているかもしれないが、少なくても"普通の人間が行える範疇"を越えている。

 

「魔術師組合でも総力を挙げて調べているが今のところいい結果は得られずにいる」

 

ズーラーノーンの貴重な情報源を失ったことに、組合長は悔しげである。

降伏したとはいえ、高弟の二人の実力を警戒し慎重に情報を引き出そうとしたのが仇となった。

大きな事件も立て続けに起こっていたので、たいした事情聴取も出来ていなかった。

 

「―――それで、二人は今どうしているんです?」

「それは見てもらった方が早い」

 

そういって、ある部屋に通された。そこには手足を拘束され俯いた状態で座っているカジットがいた。

 

ゴクリと喉をならしたペテル達はその部屋に一歩踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

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「ゴウン様が、ここを出て行くとおっしゃられた」

 

ザワリと、カルネ村の村人達は元村長であった男の言葉に驚いた。隣には俯いたエンリもいる。

 

「な、なぜですか?!ゴウン様は我々をお見捨てになるのですか!?」

「違います!・・・ゴウン様は私たちを守るために村から出て行くと」

 

悲しげなエンリの顔に、声を荒げた男が口を噤んだ。

 

「村に、強いアンデッドがいることが知られたら国から討伐隊がくるだろう。もしかしたら、アンデッドに支配されたと見なされて村を焼かれる可能性もある。だから、村に迷惑が掛からないように出て行くと―――」

 

そう、ゴウン様はおっしゃったのだと言う言葉に、村人は悲痛な表情を浮かべた。―――そしてどうしてと、怒りが沸いている。

アインズは自分たちの救世主だ。襲われた村を救い、村を焼かれてしまった他の村人すら受け入れ、復興に尽力してくれた。さらには村のために冒険者にまでなって金を稼ぎ、守護してくれた。

―――そんなアインズを、アンデッドだからと排斥し、害そうとする者に殺意が芽生えてくる。

王国が我々に何をしてくれた?アインズを傷つけようと言う者こそ悪ではないのか?

 

「―――ゴウン様が出て行く必要なんかない!王国がなんだ!ゴウン様を追い出そうというのならオレは戦うぞ!」

 

家族を亡くした男がそう叫べば、同意の声がそこかしこから上がる。しかし、国を相手に勝てるはずもない。そこで、静かに話し合いに参加していたゴブリンが手を挙げる。

 

「さすがに国相手じゃみんな死んじまいます。―――ここは王国に知られる前に口封じしちまいましょう」

 

エンリを危険にさらすわけにはいかないと、ジュゲムはそう提案する。

アインズが出て行くことでとりあえずの危険は回避できるだろうが、その後強い外敵が現れたら?エンリを絶対的に守護してくれるアインズを失うのはジュゲムたちにとっても打撃である。

だから、アインズが出て行く原因を取り除けばいいと考える。

 

「旦那の存在が国にバレなきゃいいんスよ。あの集団が外に漏らす前に殺しちまえばいい。―――なに、皆さんはなにもしなくていい。傷ついた冒険者がモンスターに殺されるなんてよくあることですから」

 

その言葉に戸惑う者もいるが反対する者はいなかった。エンリでさえも仕方がないと思う。

・・・・・・ただの通りすがりの人間とアインズを比べる必要もないと。今まで同じ人間にひどい目に遭わされてきた村人は極度の人間不信に陥っていた。

 

 

 

 

 

 

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「失敗したな~」

 

は~あ、とため息を吐くアインズは荷物の整理をしていた。

 

「まさか部外者が村の中にいるとは思わなかったもんな~」

 

特に確認もせずに<転移門>を使ってしまったのが間違いである。まあ、それだけだったらいくらでも誤魔化しようがあったのだが、まさか探知系魔法を使っていたとは―――。

 

「だいたいはただのスケルトンとかエルダーリッチだと思われて、警戒はされてもほっといてもらえたんだけどなぁ」

 

ゴブリン達もそうなのだが、そこまで強いモンスターと思われていないので、どうにかなると思うらしく村に移住した住人もしばらく警戒するがだいたいは慣れてしまうのだ。

慣れてしまえば親切だし、いろいろと手伝ってもらえて便利だし、たいていの問題はアインズが解決してくれるのでなかなか友好な関係を築けてきたと思う。

しかし、今回はアインズの実力を見抜かれてしまっている。超絶強いアンデッドが友好的に接してきても何かの罠だと疑うだろう。むしろ問答無用に殺しにかかる。

 

「探知阻害の指輪外してたもんな~」

 

西の主に手っ取り早く自分の実力を知らせるために指輪を外したのだ。うっかりそのまま帰ってきてしまいこの惨状である。

 

「まあ、仕方がない。いつかはバレると判っていたしな」

 

無防備にも、村の中では骸骨の顔を晒していたのだ。これでバレない方がおかしいだろう。

 

「さて、荷物の整理も終わったし―――と、ちょうどいい」

 

連絡しようとしていた相手からの<伝言(メッセージ)>に、アインズはこめかみに手を当てた。

 

「ああ、ニニャさん。ちょっとご相談があるので皆さんで来てもらってもいいですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええっ?!村を出て行くってどうしたんですか!?」

 

<転移門>で招いて早々仰天する漆黒の剣に、ばつが悪そうにアインズは頬骨を掻く。

 

「いやー・・・、うっかり部外者にこの姿を見せちゃいまして」

「なにやってんすか・・・」

 

ルクルットの呆れ顔をニニャが杖で黙らせ、ペテルは困った顔をする。

 

「それじゃあ漆黒の剣もやめてしまうんですか」

「え?やめませんよ?」

 

何でそういう話にと首を傾げるアインズに、ペテルも首を傾げてしまう。

 

「村を出て行くという事は遠くに行ってしまうのでは―――」

「違いますよ。村のアンデッドの事はバレましたけど、モモンの正体が私だって事は知らないわけだから、しばらくはモモンのままエ・ランテルに引っ込むんですよ」

 

そう頻繁に村に顔を出せなくなるが、様子を見にはこれる。その説明になあんだとペテルたちはあからさまにホッとする。

 

「ビックリしましたよ。てっきり王国領から出て行かれるのかと・・・」

「いやいや、東の森の主の件もありますから今離れるのは―――と、ちょっとすいません。どうしたデスナイト?」

 

突然こめかみに手を当てて視線を外したアインズに顔を見合わせていると、少し焦ったように振り返った。

 

「―――デスナイトが助けを求めています。もしかしたら拘束していた者たちが暴れているのかも」

 

会話はできないが、不思議なつながりがあってアインズはデスナイトから焦ったような助けを求める感情を受信した。

思い当たるのは拘束し、見張らせていた集団が反撃に出たか。とにかく村に被害が出る前に何とかしないととアインズは走り出す。

 

「我々も手伝います!」

 

そう言って後ろから追いかけてきた漆黒の剣に、少し考えながら幻術の魔法をかけた。

 

「アダマンタイト冒険者がアンデッドの味方をしたら大問題ですからね」

 

亜人種の姿になったペテル達は、互いの姿に驚き幻の耳を触ろうとしてすり抜けてしまう。

 

「見事な技であるな!」

 

感心しながら笑うダインに皆互いに笑った。

 

 

 

*****

 

 

 

 

「・・・・・・なにをやっているんだ」

 

現場に到着してアインズは思わずそうつぶやいてしまった。

 

確かに、拘束していた者達がオーガやゴブリン達と対峙し、一触即発の雰囲気を出していた。それだけなら予想していた相手の反撃だと思うのだが―――、デスナイトの立ち位置がおかしい。

 

デスナイトはオーガやゴブリン達に立ちはだかる様にしている。―――いや、実際していた。見た目には判りづらいがかなり困った様子でアインズに助けを求めていた。

 

「コイツラ、タオシテ、あいすくりーむタベル!」

「ヴオオオオオオオッッ!!!」

 

そういって棍棒を振りかぶってくるオーガに、デスナイトはいとも簡単に受け止めると、そのオーガの頬に平手打ちをかました。恐ろしげな咆哮をあげているが、オーガに必要以上の怪我をさせないようにかなり加減している様だ。

その横をゴブリン達がすり抜けようとするが、素早く後ろを取ると脳天にチョップをして押し返す。

 

「デスナイトの旦那!邪魔しないでくだせぇ!!」

「ブオオオオオゥッッ!!」

 

ジュゲムが怒鳴るが、デスナイトは抗議するように吼えた。が、アインズ以外にそれが伝わった者はいないようだ。

そしてよく見れば、オーガやゴブリン以外に村人も斧やら鍬やらを持っていた。

 

「デスナイトさん!お願いですからそこ退いてください!!」

 

そう迫ってくる村人にいっそう困ったデスナイトは、とにかく押し返そうと目にも留まらない早さで張り手を空中で繰り出し、それで起こった風で村人を押し返していた。

オーガやゴブリンならまだしも、レベル差が開きすぎている村人には怖くて手が出せないようだ。もはや泣きそうな感情がアインズに伝わってくる。

 

「皆さんなにをやっているんですか・・・」

「あっ!!ゴウン様良いところに!デスナイトさんをどうにかしてください!」

 

―――何というか、殺気でギラギラしている村人と、泣きそうなデスナイトを見比べて、いったいどういう状態なのか。後ろの拘束されていた集団は警戒心も露わだが、デスナイトに困惑気味だ。

 

「ジュゲム!なにがあったんだ!」

「ゴウンの旦那!デスナイトの旦那どかしてくだせぇ!これじゃ口封じが出来ねぇ!」

 

ジュゲムの言葉に、アインズは事態を把握し―――目眩がする。

つまり、ジュゲム達が一方的に拘束していた集団を襲撃しようとして、デスナイトがそれを阻止していたのだ。

 

「な、に、やってんだあああああああぁぁあぁっっ!!!!!!」

 

アインズの怒号がカルネ村に轟いた。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 

アインズはオーガ、ゴブリン、村人全員を正座させて黒いオーラを発しながら仁王立ちしていた。ちなみにスキルではない。

 

「―――で? 何で口封じなんて考えに思い至ったんだ」

 

さすがのジュゲムも青い顔で俯いていた。村では気のいい優しげな骸骨であるが、本来はジュゲム程度のレベルなら指先一つで消せる死の超越者だ。怒らせて平気なわけもない。

 

「む、村の不利になるようなことを言いふらされる前に殺しちまった方が丸く収まると思ったんです」

 

ジュゲムの訴えに解らなくもないアインズはため息を吐く。しかし、短絡的な考えである。

 

「あのなぁ?殺して済む話じゃないんだぞ?そいつらは依頼を受けている。依頼中に消息不明になったら依頼主が調査をし、そしてこの村で消息を絶ったとなったらゴブリンやオーガを従える村に疑惑が掛かり、最悪討伐隊がやってくるんだぞ?!」

「こ、このまま帰しても同じ事じゃ?」

「無傷で帰した事と斬って捨てたじゃ大いに違う!人間に友好的だったら監視対象にはなってもすぐに討伐対象にはならない!!だがこの場合、村人がゴブリンやオーガを使って人を襲ったとみなされて村全体が危険因子として国から討伐されるわ!!」

 

なんでこうなるんだとアインズは天を仰ぐ。アインズに関しては実力を見抜かれている。国一つ滅ぼせる存在がいてはさすがにお目こぼしはないだろう。ガゼフでも誤魔化せない。

なら、ほとぼりが冷めるまで離れようとしていたのに―――。

 

「ゴウン様!俺たちはゴウン様と共に戦う覚悟が出来てます!!」

 

そうだそうだと立ち上がる村人勢にアインズは呆気にとられる。何でそんな覚悟決めたんだ?!

 

「だからゴウン様!どこにも行かないでください!!」

「王国がゴウン様を迫害しようと言うなら命を投げ捨ててでも守ります!」

「我々を救っていただいたご恩を返させてください!!」

「ゴウン様!」

「ゴウン様!!」

 

村人の必死の形相に、アインズは困惑の限りである。隠れていた村の子供達もすがるように見上げてきて、その姿が心にくるが―――、どうしてこんな大事に?

 

そんなアインズに、離れたところで見守っていたペテル達(コボルト風)が嫌な予感を感じながら、小声でアインズに問いかけた。

 

「も―――ゴウンさん、まさか村の人に説明していないんですか?」

「・・・・・・・・・・・・」

 

ペテルの言葉に、アインズは己の言動を振り返り―――天を仰ぎ、片手で覆った。

 

「・・・まぢでなにしてんのゴウンさん」

「・・・・・・スミマセン」

 

ルクルットは頭が痛そうに抱え、ダインも呆れ顔である。

しかしまさかアンデッドである自分をここまで慕ってくれているとは思っても見なかったのだ。出て行くことも仕方がないと受け入れてくれるものとばかり―――。

 

が、ここで感動している場合ではない。ここでの決定で今後のカルネ村の運命が決まるのである。どうしたものかと、ちらりと外部の人間達を見れば、怯えたように固まっている。

しかし、ここで自分たちの運命が決まると解った様で、気丈にも一人の男が声を上げた。

 

「お、俺たちを殺す気か?」

「―――さてね、場合によってはそれも仕方がないが、私としてはあまり選びたくはないな」

 

殺してしまえばカルネ村の不利益にしかならない。仲間やカルネ村に関係がなければ、あっさりと殺すことを選んだかもしれないが―――いや、やっぱり殺すのは悪いことだ。

 

幼いネムの顔を思い浮かべると血なまぐさい事をするのは戸惑われる。子供の教育にも悪い。出来るだけ殺すのはやめようとアインズは思う。

 

「・・・ここは、あの墳墓に支配されているのか?」

「墳墓?」

 

男の言葉に首を傾げると、この村から10Km離れた場所にある遺跡の事らしい。彼らはどうやらアインズはこの村を支配するためにその墳墓から来たモンスターだと思っているらしい。

 

ちらりとルクルットに視線をやると、首を横に振られた。やはり、そんな遺跡のことは知らない。組合の依頼でも遺跡探索なんて無かったはずだよなと考えていると、険しい顔のペテルがその男に問いかけた。

 

「―――帝国の請負人(ワーカー)が、王国領内の未発見の遺跡を探索してたのか?」

「帝国の請負人(ワーカー)?」

 

請負人(ワーカー)とは確か冒険者から脱落し、不正規に依頼をこなす者達の総称だったはずだ。王国にもそういう者がいると聞いてはいたが、ペテルは彼らは"帝国"の請負人(ワーカー)と言った。

 

「なぜ彼らが帝国の請負人(ワーカー)と?」

「この間、帝国に行ったときに見かけましたから」

 

そういえばペテルはこの間、帝国の冒険者組合で情報をもらっていたと思い出す。

 

「結構有名ですよ。ミスリル級の実力を持った請負人(ワーカー)は」

 

冒険者にしても請負人(ワーカー)にしても顔と実力を売らなくてはならない。クラスをわかりやすいプレートで示せない請負人(ワーカー)は特に。

 

「フム」と、アインズは思考を巡らせる。

彼らは王国の冒険者だと思いこんでいた。冒険者であれば正規の依頼を受けて、負傷してたまたまこのカルネ村に来たのだと考えた。

しかし、彼らの帰る場所が帝国なら話は変わってくる。村にいたアンデッドの話は帝国に広がったとしても、帝国が王国領内の村に討伐隊を出すとは考えにくい。なら、このまま帰したとしても問題はないかも知れない。噂は王国にも来るかもしれないが、帝国からの噂ならあまり取り合わないかも―――と、楽観的に考えていたら、ペテルが低い声で請負人(ワーカー)達を睨めつけた。

 

「他国の未発見の遺跡探索は犯罪だ。依頼もマトモなところから来ていないでしょう」

 

軽蔑するような視線に、請負人(ワーカー)達はなにも言い返せない。

 

「消えた彼らを依頼人が探す事もない」

 

その言葉に、ギラリと殺気立つ村人に請負人(ワーカー)達は覚悟を決めて戦闘態勢に入ろうとして―――、アインズのため息に阻まれた。

 

「・・・どうしてそう物騒な結論に至るんですか」

 

呆れたようにジト目で睨むがペテルは動じた風も無かった。帝国の犯罪者と、仲間を天秤に掛けるならそりゃ仲間である。他のメンバーも同じらしい。特に反論することもない。

 

「あのねぇ、人間は人間同士助け合わなきゃだめですよ?」

「嫌ですよ、人間なんてすぐ裏切るじゃないですか」

 

そうだよなぁと互いに頷きあう村人。

 

「人間なんか欲の皮が突っ張ってて信用ならないよなぁ」

「貴族とか役人は無駄に偉そうだし」

「貴族とかほんと死ねばいいのに」

 

「やばい、この村人間不信しかいない!」

 

この村にいるほとんどの人間は同じ人間にひどい目に遭っていて、なおかつアインズやゴブリンに助けられた者たちだ。人間よりアインズ達に傾くのは仕方がないことだろう。

なので、アーグ達のようなよそのゴブリンは受け入れても、傷ついた人間は警戒しまくりである。根本的な大問題が発覚したことにアインズは頭を抱えてしまう。

 

「いやいや、人間にもいい人いますって!え~と・・・そう!王国戦士長とか!!」

 

まあ、確かに戦士長様はいい人だったと顔を見合わせる村人達。アインズは他にいい人を探すが―――これと言った人物が見あたらない。

 

(いや、個人的な知り合いならいるけど・・・、デミウルゴスさんとかいい人だよ。他に代表的な人―――だめだたっちさんは蟲だ)

 

王様もいい人だろうが、ちょっと税金が重くなって村人は不満気味だし・・・。あれ?人間ろくでもない??

 

「てか皆さんも人間でいい人達ですから!!」

 

早めにこの人間不信を治さねばとアインズは決意するが、まずは目先の問題である。どうこの人間達を生きて帰そうか・・・、無い頭をフル回転させ。仕方がないかと、泣く泣く交渉に入った。

 

「交渉―――いや、依頼しよう請負人(ワーカー)諸君」

「・・・依頼?」

 

警戒しながらも答える男にアインズは重々しく頷いた。

 

「君たちは金で雇われて仕事をするんだろう?ならば私も君たちを雇おう。ただし、断ったらただでは済まないことは君たちも解っていよう」

「―――内容は?」

「なに、簡単なものだ。この村のことを黙っているだけでいい。それだけで報酬がもらえるんだ。容易かろう?」

 

アインズの話に顔を見合わせる請負人(ワーカー)達、疑っているのも手に取るように解る。が、命が助かる可能性もこれしかない。

 

「―――ほきに、エルダーリッチは生者との交渉もふるという。たひょうの損はしても命には代えられんじゃろ」

「では、老公は受けるべきと?」

「断っても生き残る可能性はなかほう。―――ほうだんの時間はくれるのかの?」

「いいだろう。大所帯では意見も分かれる。長い相談は許可できんがね」

「ありがほさん」

 

さすが年の功。恐ろしい化け物にも物怖じしないかと若者は感心する。

 

「・・・あのエルダーリッチは意外と友好的ですし、乗ってもいいのでは?」

「それが罠の可能性は?」

「ここで殺さずに罠にはめるメリットはないだろ?」

「墳墓探索の依頼主を探すために泳がせるつもりとかあるかも」

「でも尋問もなにもありませんでしたよ?魔法で聞き出すことも出来たはずだし・・・」

「―――むしろ、あのフールーダ以上の強さを持ってるなら有無を言わせず帝国を滅ぼせるだろ?そんなちまちま交渉するか?」

「アルシェ、間違いないのか?」

「間違いない。あんな量の魔法力見たこと無い」

 

下を向いて顔を青くしているアルシェは、アインズを見ないよう必死である。もうトラウマでその顔を見たらまた吐く。そんなことで奴の不興は買いたくない。―――アインズもまた吐かれたら今度こそ心が砕けて交渉どころじゃないし、村人はブチキレる。

 

「しゃまーに、理性的なエルダーリッチがいることもはる。魔法の真髄にしか興味ないひょかなら、わひらの生死も興味ないひゃろ」

「なら奴―――いや、彼もその類と?」

「ひょうかな?真髄にたどり着きまんひょくしてる可能性は高いかもな」

 

ある意味ドラゴンに近いとパルパトラは思う。長い年月を経たドラゴンは自分より弱い者をどうとも思わない。道ばたの石ころぐらいの認識で、己の脅威になり得ないなら放っておく。

―――このエルダーリッチはそのドラゴンの領域まで到達しているのだろう。ならば下手に尾を踏まずに立ち去るべきだ。

 

「では、依頼を受けることに反対する者はいるか?」

 

しん、と静まりかえる仲間達に、代表者、ヘッケランがアインズに向き直った。

 

「―――依頼を受け、ます。この村のことは口外しません」

「よろしい。では、報酬を与えよう」

 

そういってどこか等か取り出したのか?ジャラリと硬貨がぶつかり合う音を奏でる袋を差し出した。一見かなりの量であるが、すべて金貨だとしても、全員に配るには少ない量である。しかし、そんなことに文句は言えない立場だ。たとえ銅貨であっても生きて帰れるならそれでいいと、中身も確認しないまま受け取った。

 

「―――解っていると思うが、契約違反した場合。・・・この村に災厄がもたらされたのなら、どんな手を使ってもおまえ達を探し出し、死すら生ぬるい報復をさせてもらう。―――場合によっては帝国が滅びると知れ」

 

ギラリと睨まれて、ヘッケランは芯から震え、コクコクと頷く。

その後ろにはやや不満そうな村人がいるが、アインズの決定に口を出す気は無いらしい―――、いや、一人だけアインズのとなりに立つ少女が袖を引いた。

 

「どうしたエンリ?」

 

ヘッケラン達にとは違う優しげな声に、少し申し訳なさそうな顔でエンリはアインズにお願いを囁いた。

そのお願いを聞いて、渋い顔をしたが仕方がないなとアインズはヘッケランに向き直った。

 

「あー、悪いがその娘達は置いていってもらう」

 

そういって指さした先にいたのはエルフの奴隷だった。ハーフエルフのイミーナが目をつり上げたが、ロバーデイクに腕を捕まれるとぐっと口を引き縛る。・・・イミーナも己の感情で仲間を危険に晒すほど愚かではない。

 

逆らう気力など無いエルフ達は言われるまま前に出る。その死んだ魚のような目に、アインズは眉を寄せた。

 

「ところで、このエルフ達は耳が短いみたいですが、そういう種族で?」

 

そばにいた魔法詠唱者(マジックキャスター)のコボルトに訪ねると、娘達は震えた。

 

「―――いえ、法国では奴隷の証としてエルフは耳を落とすんです」

 

エルフのプライドである耳の話をされて、僅かに娘達の目にはドロリとした感情と、透明な膜が張られた。

そして説明を受けたアンデッドは不快そうに娘達を眺めると、森祭祀(ドルイド)のコボルトを呼んだ。

 

「なんであるか?」

 

受け取ったスクロールを見て森祭祀(ドルイド)はアインズを見返した。その目には驚きが有った。

 

「いいのであるか?」

「子供の教育に悪い。それにどうせそれは俺には使えませんし、有効活用した方がいい」

「―――やはりゴウン殿はお優しい」

 

そういって、森祭祀(ドルイド)はスクロールをエルフの娘達に向かって使った。魔法の光に怯えて互いにスガリツく娘達―――、しかし、暖かな光と痛みが引いていく感覚に目を開いて―――目を疑った。

 

スガリツいていた仲間の耳がピンと延びている。恐る恐るさわると、確かにそこに存在している。そして、自分の失われて久しい感覚に涙がこぼれ落ちた。

 

「あ、あああ、あああああああああっ」

 

意味のある言葉など発することは出来ない。ただその場にうずくまり、戻った己の耳にふれながら歓喜に泣いた。

 

 

 

 

「―――エルフの切られた耳を復活させた?」

 

そんなことは可能なのかとチームの魔法詠唱者(マジックキャスター)や神官を振り返るが、目を見開いて固まっている。パルパトラでさえも聞いたことはない。

切り取られてすぐになら回復魔法で再生可能だが、時間が経過した奴隷の耳の復活は不可能とされていた。

ならば、目の前で起こったこれは奇跡であろうか?

 

娘達が、言葉にならない感謝をアンデッドに向けているがアインズは軽く答えただけで、横をすり抜けヘッケラン達の前に立つ。

 

「では村の外まで送ろう。依頼の完遂を願うよ、お互いのために」

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

村からかなり離れた辺りで、ようやっとほっと出来たヘッケラン達は崩れるようにその場に座り込んでしまった。

 

「―――なんであんな所にあんなアンデッドがいるんだよ」

 

墳墓とは関係なさそうではあるが、あえて知らないふりという可能性も捨てきれない。が、何にしても命は助かったようである。

 

「武器も防具も返してもらったけど、逆に言えばあっても私たち程度相手にならないって事よね・・・」

 

戦ったわけではないので実感はもてない。けれど絶対的な自信・・・、というか当然のことのように己の力が上であるという態度。モンスター特有の高慢ともとれるが、だからといって戦う気にはなれない。

何度思い返しても彼自身がこちらを害そうとはしなかった。むしろいまだ敵意を持つ村人から守ってもらっていた。

 

「あんにゃエルダーリッチは長く生きとる儂もしらんなぁ」

 

老公としては、あれほど人間に友好的なアンデッドがいることが驚きである。今まで、会話できたアンデッドは自分の利益になるのなら交渉に応じるというタイプだ。あれはむしろ人間―――それも英雄のように心が広い人物である。

 

「ま、はんにしても、この話はもう止めとくのがええ。どこで誰が聞いてて、契約違反しにゃいとも限らんし」

 

監視されて無いとも言い切れないので、不用意にこの話題はするべきではないとのパルパトラの言葉に全員頷いた。

 

「墳墓の件はどうする?一応調査できたと言えば出来たし、フェメール伯爵に報告すれば報酬はもらえるけど・・・」

「我は遠慮する。再び墳墓の調査を依頼されたくはない。―――報告の過程で村についてもたずねられたら困る」

「儂らも遠慮するわい。報告に行って依頼主もろほも襲われないほも限らんひ」

「だよな~、俺らも行きたくね~。けど、誰も報告に行かなかったら宝の持ち逃げと思われる」

「ほんだら別の人間雇って報告にいかへるか。宝はひょてんに置きっぱなしらし、場所を報告してかいひゅうしてもらえばええ。―――かいひゅうしにいった人間がどうなるかはひらんが」

 

何にしても、あの墳墓には二度と近寄りたくはない。何だったら前金も全額返すから勘弁してくださいと伯爵に言いたい。

 

「あーあ、踏んだり蹴ったりだな。宝は全部無くすし、信用がた落ち、報酬全額返金となるとただ損しに行っただけだな」

「ま、請負人(ワーカー)ならそんな日もあらーなぁ」

「そういえばさっきもらった報酬はどれほど入っているのだ?せめて消費した分の足しになればよいのだが―――」

 

言われて担いでいたヘッケランが確認のために袋をのぞき込み―――固まった。

 

「どひた?全部銅貨らったか?」

「まさかとは思うが、石でも詰められていたか?」

「・・・・・・あー、俺の目がおかしくなったのかな?色がよくわからねぇ」

 

しきりに目をこすり、上を見上げて瞬きをするともう一度のぞき込む、しかし、やはりそれは変わらなかったので困惑顔でパルパトラとグリンガムに声をかける。

 

「・・・なあ、これ何色に見える?」

 

そういって掴みだした硬貨を確認し、二人も固まり目をゴシゴシと擦る。

 

「―――え?マジか?嘘だろ?全部か?」

「こりゃたまげた」

 

グリンガムは素になり、パルパトラは顎を外さんばかりにアングリした。

 

ヘッケランの手には白金に輝く硬貨が鎮座していた。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「あれで鎧新調するって言ってたのに、モモンさんお人好しがすぎますよ」

 

悪魔騒動の時に王からもらった金貨の十倍の価値が有る白金貨をそっくりそのまま請負人(ワーカー)達に渡してしまったアインズに、ペテルもさすがにあきれ気味である。

 

「―――どうせ、同程度の鎧を作れる人が見つかってないし、穏便に済ませられればそれでいいです」

 

内心滝のような涙を流しているが、村の必要経費として割り切ることにする。ペテルが請負人(ワーカー)達が去った先をしばらく睨みつけていたが諦めたように肩を竦めた。

 

「村人達の様子を見てきますね」

 

そういって村の丘から降りていくペテルを見送り、アインズは村を眺めた。しばらくそうしていると、誰かが上ってくるのが見えて振り返る。

それは元村長の男だ。まだ短いつき合いであるが、前より老けたように思えた。

 

「ゴウン様、少し伺ってもよろしいでしょうか?」

 

また請負人(ワーカー)を逃がしたことについて言われるのだろうかと、ややうんざりしながらも先を促すと、意外なことを聞かれた。

 

「ゴウン様は記憶を取り戻したいとお考えなのでしょうか?」

 

その言葉に思わず凝視した。そして、忘れかけていた記憶喪失であることをゆっくりと考えた。

 

「なんですか突然?」

「いえ、友人に聞かれて私も疑問に思いましたので―――」

 

ふーんと思いながら、思いを巡らす。記憶を取り戻す事に特に意欲を感じていないアインズは正直に答えた。

 

「現在は、特に思い出したいとは思わないな。今後必要になれば思い出そうとするかも知れないが―――」

 

自分の過去は未だ謎だが、200年前に封印されていた魔神という説が一番有力である。もしそうであったのなら、このまま思い出さない方が幸せだろう。

そうですかと木訥な男は少し素っ気ない感じに頷いた。

 

「・・・・・・ゴウン様は、これからなにをなさるのでしょうか?」

 

また妙な質問だと思いながら考える。村の強化は絶対に必要であるし、冒険者としてバリバリ働かなくてはならない。

それに、今回発覚した村人の意識改善もしなくちゃいけないと考えながら、―――おそらく、この男はそんなことを聞きたいのではないのだろうと気がつく。

 

「俺の、やりたいことか―――」

 

正直困る質問だ。子供なら無邪気に将来なにになりたいと答えるだろうが、大人のアインズはなにをしたいかなどパッとは思いつかない。

アンデッド故あらゆる欲望は抜け落ちている。国を作って王様になるとか、世界征服とか出来るだろうが、興味はない。

 

今はただ、村を守り、冒険し、仲間と遊んでいたい。エンリやネムの成長を見守り、ンフィーレアをイビり、それでも結婚には祝福し、産まれた子供を大いに甘やかすのだ。

 

"向こうで出来なかったことをしたい"

 

ふと、何かがよぎったがまた泡のように消えてしまう。時々あるのだが、よぎった何かを認識できないアインズはすぐに忘れてしまい。男を振り返った。

 

「今はまだ、決めかねるな。だが、そのうちやりたいことが見つかるかもな」

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

「―――カジット・デイル・バダンテール?」

「はい私がカジットです」

 

ペテル達に、ズーラーノーンのことを聞き確認するためにエ・ランテルにやってきたモモンは

 

やたらキレイなカジットと対面していた。

 

「あなたがモモン殿ですね。私の愚かな行いを止めていただき感謝しております」

「ああ、はい」

 

両手両足を拘束されてイスに座らされているが、丁寧にお辞儀し感謝するカジットにモモンは困惑していた。

 

「えーと、記憶を消されているそうですが」

「そのようですね。ズーラーノーンの秘密結社に入信していたそうですが、その辺りの記憶は有りません。・・・確かに母を蘇らせたいと望んでいましたが、他人を犠牲にするような愚か者ではないと思っていたのですが―――」

 

残念なことに自分は道を踏み外してしまったようだと遠くを見つめた。

 

組合長から詳しい話は聞いていた。他のズーラーノーンの者の襲撃があり、拘束していた二人は記憶を消されてしまった。他に被害はない、とても静かな襲撃だったそうだ。

まあ、ズーラーノーンの詳しい情報をしゃべられる前に口封じをしにくることは誰でも予想できたことだ。―――予想外なのは、記憶を消しただけで放置されたことである。

 

(普通殺してしまうものじゃ―――、いや、復活魔法もあるし、記憶消去はいい手なのかも知れない)

 

しかし、記憶操作魔法は高位の魔法である。そんな使い手がズーラーノーンにいるとは驚きである。―――そして記憶消去の結果も驚きである。

 

廊下が騒がしいと気がつき扉を振り返れば勢いよく開かれる扉。そこに現れたのはものすごく見覚えのある女である。

 

「カジッちゃ~ん、お話おわったぁ?」

「・・・また抜け出したのか」

 

頭が痛いと抱えたカジットに女、クレマンティーヌはてててっと寄っていくとカジットの膝に腰を下ろした。

 

「おもい。おとなしく待っていろと言っただろう?」

「だって~、つまんないんだも~ん」

 

足をパタパタと動かす女にカジットは疲れたようにため息を吐いた。そして、扉にすがりつき息を切らした衛兵がクレマンティーヌを睨んでいた。

 

「この、ちょこまかと―――っ!!」

 

血管が浮き出るほど怒る男に、モモンは手を挙げて止める。

 

「―――クレマンティーヌか?」

「ん?そうだよ?おじさん誰??」

 

あれほど怯えていた女は、モモンに対して無邪気に首を傾げていた。

 

「モモンというのだが、覚えていないか?」

「ん~ん、しらな~い」

「そうか・・・、ところでいくつかな?」

「6!」

 

得意げに六本の指を突き出すクレマンティーヌに、モモンは「そうか」と答えるしかない。

カジットはズーラーノーンに入信する前まで記憶を消されていたが、クレマンティーヌは幼い少女の頃まで記憶を消されていた。性格が破綻する前まで戻された意図は分からない。解らないが、やっかいなことに身体能力はそのままなので拘束を外してはこうして周りを困らせているのだ。

唯一なぜかなついているカジットの言うことだけは聞くのだが、やはり我慢が利かず、結局カジットの元にこうしてやってくるのだ。

 

「・・・申し訳ないモモン殿、こらクレマンティーヌ、大人しくしろ」

「やーだー!お絵かき飽きたー!カジッちゃん遊ぼーよー!」

 

すさまじく怪しい光景ではあるが、中身は神官と6歳の少女である。

そう、本人達にそんな気はこれっぽっちも無いのだが―――、後ろに控えた衛兵とモモンからでかい舌打ちが出てしまうのは仕方がないことである。

 

 

 

 

 

 

*****


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