コードギアスlostcolors (オリキャラ) 作:オムロン
本当に申し訳ありません!!
ゲットーの地下に延びる路線をライとカレンの無頼は走っていた。
かつてエリア11が日本と呼ばれていた時の名残……
地下鉄の路線はブリタニア占領後も封鎖されることもなくいまだにトウキョウ租界の外に延びたままだ。
そのお陰で黒の騎士団や他のレジスタンス達の逃走経路として有効利用されている
ライは無頼を操作しながら自分の膝の上にいる女性に目をやった……
突き飛ばされた時に負った傷からは血が流れてはいるが、傷自体は深くなさそうだ。
身に付けている服は無惨に破られ、裂け目からは下着が見え隠れしている。
その光景にライは思わず目を反らした。
「その……隠してくれないかな……目のやり場に困る……」
「あっ!?」
綾音は自分がどの様な格好をしているかやっと気が付き、両腕で前を隠すが、正直全く隠れていない……
ライは操縦幹から手を離し、自分の着ていた上着を綾音に渡した
「ありがとうございます……」
ライから上着を受け取り、羽織った。
上着にはまだライの温もりと香りが少し残っていた……
綾音はその香りと温もりに安らぎを覚えた……
「ライ。ゼロから通信が……って!?何その女!?」
不意にライと綾音の乗る無頼のコックピットに女性の叫び声が響き渡る。
モニターを見れば一人の女性が映し出されていた。
紅い髪に力強い瞳を持つ女性で綾音はどこか見覚えのあるような気がした。
モニターの女性の視線は綾音に集中しているような気がする……
「さっきゲットーから助け出したんだ。怪我もしてるみたいだからこのままアジトに連れていく」
「それは良いかもしれないけど、何でライの膝の上に居るの!?」
ライが事情を説明したが納得がいかないようだ……
「無頼のコックピットが狭いんだ。仕方ないじゃないか……」
量産機である無頼のコックピットはライが言うように狭い。
元々一人で乗ることが前提で設計されている以上、二人乗ろうとすれば無理をしなければならない。
ましてや無頼は旧式のグラスゴーのコピー機体。
内装は当時の設計のまま……
快適性など求められてはいない……
そんな事はモニターの女性も理解はしているようだが、その状態にやはり納得がいかないようでイライラしているのがモニター越しでも彩音とライに伝わってきた……
「ゼロからの通信の内容は……」
「さぁ?今のライには関係ないでしょ?女の子と楽しくドライブでもしてれば!」
「……怒ってる?」
「……」
無言のまま通信を切られてしまった……
カレンの無言の主張を受け入れるしかなかった……
「いいんですか?」
「今の彼女に何を言っても意味がないよ……それに彼女の後に着いていけばいいだけだ」
「すみません。私のせいで……」
綾音は申し訳なさそうに謝り、俯いてしまったが、ライは優しく語りかけた
「気にしないで。カレンには後でちゃんと説明するから」
紅い無頼についていくと開けた空間に二機の無頼は出た。
恐らく駅のホームであった場所だろう。
長年、手入れをしていないため天井だった部分が老朽化で朽ち落ち、吹き抜け状態になっていた。
吹き抜けに向け、スラッシュ・ハーケンをうち、無頼の本体を引き寄せ、地下鉄道の外に出る事が出来た。
外に出ると真っ先に目にはいるのは朽ち果てた高層ビル……
どうやら先程のゲット―からはそう離れてはいないようだ。
すると遠くから2台のトラックがこちらに近づいてきた。
「どうやらお迎えが来たみたいだ」
そう言うとライの無頼と紅い無頼は2台のトラックに近づいていった。
「おかえり……どうしたの?」
カレンとライを迎えにきた井上が真っ先に目にしたのはカレンの不満に満ちた顔だった……
「別に……」
そんな事を言われても信じれるわけがない……
出撃した時はこんな表情でなかったから、てっきりゲットーで見た光景のせいだと思ったが、カレンの表情は悲しみにくれる顔ではなく、どこか嫉妬や怒りからくるものの様な気がした。
理由は直ぐに分かった……
無頼から降りてくる二人の人影が見えた……
「……なるほどね」
カレンの想い人……ライが一人の女性を抱えて無頼から降りてきた。
しっとりと美しい長い黒髪に、目を引く顔立ち、服はボロボロになっているが、彼女から出ている育ちの良さそうな雰囲気。それははまるで絵に書いた大和撫子のようだった。
カレンの不機嫌は彼女が原因だろう……
カレン本人が自覚しているかは分からないがカレンがライに異性としての好意を抱いているのは井上を含めカレンの周りの人間は皆、気がついている。
その意中の相手が自分の知らない女性とあれだけ一緒にいれば気にならないハズがない……
それに、等の本人達はまるで気が付いてはいないようだ。
「大丈夫?歩けないなら僕が抱き抱えていくよ」
「そんな事までしていただかなくても大丈夫です!!」
足の怪我を庇い歩きづらそうにしている彼女にライが優しく手をさしだし、その手を掴んだ
「あれは確かに堪えるわね……」
端から見たら仲睦まじい恋人同士に見えるほどライと彼女を包む雰囲気は甘いものだった……
カレンでなくてもあの雰囲気には怒りを覚える……
「何だ?ライのヤツあんな美人拾ってきやがって!こっちはゼロに怒られたってのに!!」
「玉城うるさい!」
「んだと!?俺はカレンの代わりに怒ってんだよ!」
「さっきと言ってる事が違うじゃない!」
今、一番居て欲しくない玉城がトラックから降りてきた。
井上と玉城のやり取りに気が付いてライと彼女がこちらに近づいてきた。
「井上さん。彼女、怪我をしているみたいで診てもらえませんか?」
「いいわよ」
「ライ!ゼロが話があるってよ!着いてこい!」
井上との会話に玉城が割って入ってきた。
玉城がライを睨み付けるが、ライも最近は玉城の扱いにも慣れてきたようで相手にはせず、素直に従った。
「分かりました。井上さん。花田さんをお願いします」
そう言い残すとライは玉城の後についていった。
その場には井上と彩音だけが残された
「じゃあ行こっか!えっと~花田……」
「綾音です。花田綾音」
「綾音ちゃんね!私は井上直美よ!こっちに来て」
そう言うと井上は綾音をトラックの荷台につれてきた
トラックといってもKMFを運ぶための物……
荷台にはKMF以外は修理や整備の為の機材が入った箱ぐらいしかなかった
「確かこの辺の箱の中に救急箱が……」
井上が救急箱を探しているとトラックの荷台に井上達以外の人間が入ってきた。
このトラックに積まれている無頼のパイロット……カレンだ
「井上さん。ブリタニア軍の警戒網が……」
そこにいる人物を見てカレンは言葉が出なくなった。
目の前に先程までモニター越しで見ていた女性がそこにいた
「お邪魔してます……」
「あんたが何でここに!?」
「あった~~!!これで手当てが……」
救急箱を探していて気が付かなかった……
その光景に井上は絶句した……
今、絶対に一緒にしてはいけない人物達が鉢合わせしてしまった……
「確か……カレンさんですよね」
「だったら何?あんたには関係ないでしょ!」
「挨拶が遅れました。私は花田綾音です」
「……紅月カレンよ」
カレンと綾音の視線がぶつかる……
口にはしないがお互い本能的に理解した……
目の前の人物は敵だ!と……
そんな様子を井上は冷や汗を流しながら見ていたが、たまらずカレンに声をかけた
「カレン……彼女怪我をしてるみたいたからその手当てをしようと思ってね……」
そう言うと井上は綾音の手当てをはじめたが、正直、トラックの荷台は異様な空気に包まれ、誰も口を開けずにいた……
そんな空気の中、先に口を開いたのは綾音だった
「貴女は彼の恋人ですか?」
「え!?違うわよ!?」
「そうですか……安心しました」
「安心?」
綾音の言葉にカレンは疑問を抱いた……
そして井上は恐怖を覚えた……
彼女が何でそんな事を聞いてくる意味を全く気がついていないカレンに井上は余りにも鈍感で恐怖した……
「手当てありがとうございます」
「それほどでもないわよ。後コレ!」
救急箱を片付けた井上は他の箱から白いワンピースを取りだし、綾音に渡した
「私のお古だけどその格好でいるよりはいいでしょ」
手当てをしてもらっていて忘れていたが自分の服はボロボロ。このままの格好では帰る事など出来ない。
綾音は井上の渡したワンピースを受け取り、それに着替えた
「何から何までありがとうございます」
ワンピースに着替えると、綾音はそう言ってトラックの荷台を後にした
後に残された井上は一緒に残されたカレンに向かって話しかけた。
「……何で彼女って言わなかったのよ」
「だって違うし……」
そう言ってカレンはブツブツと小さい声で何かを言い出した……
恥ずかしかったのは理解できるが、正直、恥ずかしくても言うべきだった事を井上が言った言葉で理解することになった
「あんた。後手に回ったの分かってる?」
「別にライが誰と付き合っても私には関係ないし……」
そんな事を言ってはいるが実際、井上に言われて綾音が何で自分達にあんな質問をしてきたかやっと分かった……
綾音は遠回しに言ってきたのだ……
『ライは渡さない!』と……
先に牽制をされてしまったのだ……
井上が言っている通り何故、自分が彼女だと嘘でも良いから言わなかったのか……
心の底で後悔した……
「あの~」
トラックの荷台から出て直ぐに綾音はライを見つけた。
どうやらゼロとの話は終わったようだが、その顔からライの苛立ちを感じ取ったため、綾音は様子見で恐る恐る声をかけた。
一瞬、苛立ちを残した顔をしていたが、綾音だと気が付いた時、ライはいつもの優しい表情に戻った
「手当てはしてもらった?」
「はい。ありがとうございます」
そう言って綾音はワンピースのスカートを少し持ち上げ、怪我をした足をライに見せてきた。
雪のように白い肌をした足にライは思わず視線を反らした。
「よっ!?良かった!?じゃあ君を送ってくよ」
ライは綾音を無事に家に帰すため、一緒に家まで送ることにした。
先程まで展開していた包囲網が解除された事は偵察をしていた他のメンバーから聞いていた。
今ならブリタニア軍の兵隊に会うこともなく、彼女を送り届ける事ができる……
だが、綾音は動こうとはしない……
むしろ何かを考え込んでいるように見えた……
「何か考え事かい?」
「あの……」
そう言って綾音は俯いてしまった……
ライはその様子を見守る事にし、足を止めた
数分程、綾音は俯いていたが、突然顔を起き上がらせた。
彼女の顔は鬼気迫る様な表情をし、まるで懺悔するようにライに懇願してきた……
「お願いです!私も……黒の騎士団に入れて下さい!」