お寺の息子   作:龍やん

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21話

「勝者、第一高校九重迅君」

 

最終セット、俺は普通に本気を出しました。

 

はい、正直言えばやり過ぎたかなぁと思わないことも無いかな。

 

ちょっと楽しくなっちゃったんだよね。

 

まぁ、簡単に説明するとコートにボールが2つになる事が無いくらいにはボコボコでしたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観客席...

 

「おい、誰だよ今更迅に関しては驚かないとか言ったやつ!」

 

「とりあえず優勝はしたね...」

 

レオ君が頭を抱えながら叫び、吉田くんはもはや理解するのを諦めかけていた。

 

「いやぁーまさかアレまでつかうとはなぁ。よっぽど楽しかったんだろうね。達也君はなんだかわかるよね?」

 

「纏衣の逃げ水ですよね?」

 

僕の振りに対して驚きもせずに淡々と返答、しかし内心はかなり驚いているはずだ。

 

「正解だよ!流石だね。」

 

「ありがとうございます。迅も使えたんですね。」

 

「そりゃあ僕の息子だもん!!」

 

((うわぁーめっちゃ嬉しそう...))

 

「ところでその、纏衣の逃げ水ってなんですか?」

 

美月君が首を傾げている。

 

「あれは、古式魔法だね。本体とは離れた場所に本体そっくりな物を映し出す魔法だよ!しかも、音とか、熱なんかも本体そっくりなんだよ!」

 

「あんな古式魔法が...」

 

吉田くんがさっきと打って変わって興味深々のようだ。

 

僕のオリジナルだからあまりお目にかかれるものじゃないよね。

 

「まぁ、本物そっくりな物を映し出しているだけで、実際は本物のボールも飛んでいるんだけどね。

そこはしっかり視線を誘導したり、映し出す場所を工夫したりして、本物が見つからないようにしていたね。」

 

そこは流石忍びだね。

 

「でも、迅君CAD持ってないですよね?」

 

ほのか君が当然の疑問を呟く

 

「多分4セット目の最後位から準備してたんじゃない?」

 

CADを持ってなくても魔法を発動させる事はできる。

 

ただ発動するまでにかかるラグが長いため、実戦で使い物にならないと言うだけなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ〜疲れた〜」

 

まぁあんだけ動いて久々に纏衣の逃げ水まで使ったのだ。

 

そりゃ疲れるよな...

 

なんて考えながら会場を出るとそこには仁王立ちで一色さんが出迎えてくれた。。

 

ものすんごい何か言いたそうだ。

 

「あ〜、えーと、なんざんしょ?」

 

この先起こるめんどくさそうなやり取りがありありと想像出来てなんともやる気のない声で話しかけてしまった。

 

「あなたに聞きたい事があります!」

 

でしょうね、顔が物語ってますよ。

 

とは言えないけどね。

 

「はい、なんでしょう?出来れば手短にお願いしたいところなんですが…」

 

疲れてるんですよ私しゃ...

 

「あなたはさっきの試合、ずーっと手を抜いていたんですか?」

 

あぁ最後が最後だもんなぁ。そういう訳じゃないんだよね。

 

「いんや、全然。確かに最後は俺がストレートで取ったけどそれはそこまでの過程があってのことだから。むしろかなり全力だったし、かなり楽しめたよ。」

 

まぁ最初の一球で雑魚ければ終わらすつもりだったけどね。

 

「そうですか…正直私にはあなたが何をしたのかは分かりませんでした。それどころか高宮君が負けたのすらまだ信じられないんです。」

 

どうやら、怒りよりも今のところは困惑が勝っているのだろう。なんともやり切れない感じがにじみ出ていた。

 

「だからとりあえずあなたに言いたい事があります!」

 

一色さんは勢いよくそう言い、そのままの勢いで頭を下げた。

 

「無礼な物言い本当に申し訳ございませんでした。」

 

てっきり罵詈雑言を浴びせられるのかと思っていたのだが、これは意外だった。

 

「とりあえず別に気にしてないけど、急にどうした?」

 

あまりの意外さにこっちが心配になっちゃったよ。

 

「あなたは二科生だからと、馬鹿にされながらも高宮君に正々堂々と挑み、そして勝ちました。試合も堂々としていて、それだけで私はどんだけ自分の目が曇っていたのか分かりました。間違えたのなら謝罪は当然です。」

 

なんやかんやしっかりしたお嬢様なのだろう。

 

「いいよ、別に最初から気にしてないよ。まぁ、高宮との試合もスゲー楽しかったし。そう言えば一色さんは女子のクラウドボールで優勝したんだっけ?おめでとさん!」

 

まぁ、あんだけ大口叩くだけあってやっぱり強かったってことだね。本当は女子の試合も見たかったんだけどなぁ。

 

「ありがとうございます。」

 

「楽しかった?」

 

「はい?」

 

俺の言葉に呆けた返事が帰ってきた。

 

「試合、楽しかった?」

 

俺が再び同じ事を聞くと少し考えていた。

 

「...そうですね、優勝もしましたしそれなりには楽しめたかなとは思います。」

 

少し要領を得ない回答だった。何故そんな事聞かれているのか分からないという感じだった。

 

「そうかい!そりゃよかった。これは俺の親父の受け売りだが、人は楽しむ事が出来なくなってしまったら成長は止まってしまう。どんだけ頑張っても楽しみ、挑戦し続ける奴には勝てないんだ。せっかくの舞台だから楽しまないと損だよってこと!まぁあんまり深く考えなくていいよ。」

 

「そうですか。楽しむ...そうですね少し忘れていたかもしれないですね。ではそろそろ私は戻ります。お時間を取らせて申し訳ございません。」

 

「あいよ、じゃあな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後俺はテントに帰った後めっちゃくちゃ質問攻めにされた。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜...

 

俺は食堂での夜飯をめっちゃ貪り食っていた。

 

この時間は一高の選手たちが集まって食事をする。

 

グループは自然と別れるものだが、俺は基本的に食いたいものを食えれば良いので1人でいたのだが、その中でも視線を集めるのは深雪たちのグループだ。

 

「凄かったわよね深雪のアレ」

 

「インフェルノって言うんでしょ?先輩たちが言ってた。A級魔法師でもなかなか成功しないのにって」

 

流石ですね深雪嬢...

 

その後エイミィーや、雫のコスプレの話なんかが出ていたのだが...

 

「雫がスピード・シューティングで使った術式って司波君のオリジナルなんでしょ?」

 

「インフェルノをプログラム出来たのも司波君だからですよね?」

 

「ほのかの幻惑作戦も司波君が考えたって聞いてるよ」

 

うわぁー...凄い褒められてるのに当の本人は凄く居心地が悪そうな顔してる。

 

まぁ、しょうがないよね達也だもん!!

 

実際達也の組んだCADは、俺の目からしても他の奴が組んだCADの2、3世代は先を行くような性能だった。

 

んなもんを、一介の高校生が組んだってんだから波紋を呼んでもおかしくはない。それも1人のだけならまぁ、百歩譲って出来たとしても、達也が見てるのは1人じゃない。

 

スピード・シューティングに関しては達也が見た子達で表彰台を独占。

 

こんだけ結果を出してれば猿だって達也が凄いってわかる。

 

この後1人の女子生徒が「達也君に見てもらえば私も優勝出来たかも」なんて言って深雪に説教されていたが、そう思われても仕方ないよなぁなんて考えていた。

 

そんな和気あいあいしている女子組と対照的に1年男子は少し暗めだった。

 

結果としては、森崎がスピード・シューティングで準優勝。クラウドボールで俺が優勝と決して悪くは無いのだが、あまりにも女子の結果が出来すぎていて自然と後ろめたさを感じてしまっている。特に一科生。

 

準優勝と優勝をしているが、優勝した俺は二科生。

俺としてはそこは気にせず野郎は野郎で盛り上がりたい所なんだけどな。

 

俺がこのなんとも言えない空気を察してどうしようかと思案していると、遠くから視線を感じてそちらに目を向ける。すると、真由美さんが良い笑顔をしながらこっちを見ていた。

 

『よろしくね!』

 

口パクだったが何を言ってるのかはしっかり分かった。

 

これ本来は俺の仕事じゃないよね...

 

俺は今にもいきり立ちそうな森崎に近ずいた。

 

「女子の方はだいぶ盛り上がってんな」

 

森崎は俺の方を向いて忌々しそうに俺を睨んだ。

 

「九重...」

 

「まぁまぁそんなに殺気立つなよ。男子の方だって成績はそんなに悪くないだろ?寧ろかなりいいと言っても過言じゃない。ここまでの新人戦2種目とも入賞してんだしさ。」

 

俺は軽く、しかし少し諭すように言った。

 

「ちっ...なんなんだよお前らは...」

 

なんだって言われてもねぇ...

 

「適材適所って言葉知ってるか?」

 

俺の急な一言に森崎は先ほどの忌々しそうなを顔しながらも「何言ってんだコイツ」見たいな目をしていた。

 

「何が言いたいかって言うとな、正直達也と俺がお前と一緒のスピード・シューティングに出た所でお前に勝つどころか入賞すら出来ない。これは間違いない。お前がクラウドボールに出たら入賞は出来たかもしれない。それでもスピード・シューティングに比べたら確率は下がると思う。事CADの調整に関しては問題外だ。だから他人を恨めしそうに見た所であまり意味は無いんだよ。だって得意な物が違うんだもん。特に俺と達也は二科生、魔法が得意じゃない。クラウドボールだったら魔法がなくてもたまたま戦えたから俺は出れたし、達也はたまたま座学が出来たからCADの調整をした。適材適所だろ?」

 

さっきに比べれば森崎も大分落ち着いたように見える。流石にまだ納得言ってないと言った顔はしているが、まぁ仕方ないよなぁ。

 

「まぁ、何が言いたいかって言うとな、俺とお前はモノリスコードで一緒に戦う仲間だろ?女子はともかく、野郎は野郎で盛り上がろうぜ!って事。せっかく選ばれて戦うんだから楽しもうぜ?」

 

いやいや柄でもないことを言ってんなとは思ってます。

 

しかし俺の言ってる事が分からない訳じゃないだろうし、周りの男達も「そうだよな」とか、俺達もやってやろうぜ的な雰囲気に少しはなってきた。

 

森崎も納得したみたいだが、お前らには負けんとか言って来た。

 

俺はそもそも争う気もないのだが…

 

そんな感じでひと仕事終えた感が否めない俺は、真由美さんに少し文句を言おうと思い、女子のグループの方に歩いていると女子の会話が聞こえてきた。

 

「そう言えば、男子のクラウドボールで優勝した九重君だっけ?あの人も凄かったよねぇ」

 

「そうそう!特に決勝。流石にダメかなと思ったんだけど、逆転して最後なんか圧勝だったもんね!」

 

「ちょっとカッコよかったよね!甚平めっちゃ似合ってたし!」

 

「一緒に夏祭り行きたーい!」

 

なんか最後変な奴がいたけどきにしたら負けなのかもしれない。

 

「深雪結構九重君と仲いいよね?どうなの?」

 

「迅さんはとってもいい人よ?頼りになるし。」

 

なんであなたが鼻高くなってんだよ...

 

俺はお前の兄じゃないからね?

 

とりあえず森崎達には聞かせられないなと思った。

 

その後真由美さんの所に行き、デコピンしてやった。

 

めっちゃ悶絶してた。




なげー上に進んでねー...

サーセン、仕事忙しすぎてなかなか更新出来ませんでした。

ただ妄想だけは加速してるので、最低でも月1回は投稿できるように頑張ります。

あ!あと日間ランキング25位に入ってました!お気に入りももうちょっとで1000件、UAもあとちょっとで100000!
読んでくれている方々に感謝してます!ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!!
あと、設定に迅君の使える魔法、纏衣の逃げ水追加しました!
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