破邪顕正エビルベイン(機神咆哮デモンベイン×とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのは) 作:ガジェット
一人の女性が慟哭していた。まだ少女と言ってもいい外見である。
かつては、質素ながらもしっかりとした純日本家屋の面影もなく瓦礫しか残されていない。
その瓦礫の中で彼女はなにか形見になるものはないか必死に探していた。
そしてそれを見つけた。
「これは、龍鱗・・・」
瓦礫の中でもその輝きはかわらず、その小太刀を握りしめてそっと呟く。
「行こう・・・」
振り返らずにそのまま歩き出そうとしてふと疑問に思う。
「そう言えば、何故・・・?」
周りに死体が、家族の肉片がないのだろう。
その疑問に突き当たったとき、それは起こった。
突如空間が切り裂かれ何かを吐き出した。
突然のことに彼女は驚きそして・・・それを見た瞬間に恐怖が満たした
「ひ・・・!?」
その空間は極色に彩られ、光が、闇が混じり合いあらゆる感情を凝縮したモノだった。やがて惜しむように、羨むように、憧れるように消えていった。
彼女・・・『御神美沙斗』は、どれぐらいそうしていたのだろう。一瞬かもしれないし、数時間かもしれなかった。
ふと気づけば吐き出されたモノに視線を向ければそこの有ったのは。
「神さま・・・?」
今まで身体を支配していた恐怖や、自身を突き動かしていた復讐の念を拭いさっていた。
ふと我を取り戻し辺りに人の気配を複数感じ、その場所へと向かった。
「誰だ?!」
そこにはまだ壮年を迎えたばかりの男性と。
「赤子・・・?」
死んだように眠っている男性と赤子を見て美沙斗は、一瞬仇かと思っていたことが馬鹿らしく思った。だか、怪しい人物であることには変わらなかった。
「おい!起きろ!」
「うぅ・・・」
男性は唸り声をあげ、目を覚ました。
「ここは?どこだ。確か私は奴に・・・?」
そんな呟きに美沙斗は問う。
「どこも何もここは御神の屋敷だよ。それより貴方は何者でその赤子はなんだい?」
美沙斗の問いに男性は。
「失礼したお嬢さん私は覇道鋼造。そしてこの赤子は・・・」
男性、鋼造の答えに美沙斗は。
「覇道鋼造?待って欲しい。それは可笑しい私の知っている鋼造さんと貴方は違う」
美沙斗がそう問いただすと鋼造を名乗る男性は絶句し、突如笑いだした。
「そういう意味か獣め?!またか!またなのか!!また俺から奪い去るのか。畜生め!!」
突如男性の口調が変わり慟哭した。美沙斗はその姿に自分を重ねた。彼もまた大切な物を奪われだのだろう。そう悟った。
◆◇◆◇◆
美沙斗は何と声をかけるべきか迷っていたがとりあえず声をかける
「とりあえず鋼造さんと呼ばせてもらうよ。貴方はこれからどうするんだい」
美沙斗の問いに鋼造と名乗る男性は。
「これからか、この身を縛る無限螺旋から抜け出した。また大切な物を無くして何をするべきか私もわからない・・・」
男性の独白に思わずかけるべき声を失い、思わず問いかけた。
「なら鋼造さん、貴方に何が起こったことを教えて欲しい。それはこれからの私の為なるかも知れない」
その問いに男性は。
「復讐か」
「わかるのかい」
「ああ・・・かつて私も同じ思いに身を焦がした」
美沙斗の問いに男性が答える。
「ならば聞いてくれるか。私の昔語りを」
◆◇◆◇◆
数時間に渡り聞かされたのは、荒唐無稽でありながら理不尽に立ち向かう物語だった。
「これが昔の私の話だ」
美沙斗は自分より遥かに重く、濃密な時間を過ごしていた。男性は淡々としゃべっていた。それがかえってその重々しさを伝えていた。
「貴方の昔を聞いた。それで改めて貴方はどうするんだい。それに貴方の名前だよ。そのままだと不味いよ」
その答えに男性は黙考し、答えを返した。
「ちなみに問うが御神の名を使っていいかな」
その問いに美沙斗は絶句する。
「正気かい」
「正気だとも。それに名前も変えねばならわんな。くろ・・・兼ねる」
突如呟き出した男性に美沙斗を思わず問いかけた。
「そうだな。御神鉄(くろがね)と名乗ろう。」
「御神鉄か・・・良い名じゃないかな。それで何故御神の名を使うんだい」
「君の言葉から察するに昔覇道は御神をボディーガードとして雇っていたのではないかな」
「よくわかったね」
「何、簡単な推察さ、君の言葉から昔覇道と御神の繋がりを感じたのだよ」
「たったそれだけのことでそこまで推察できるなんてね」
その時鳴き声がした。赤子の鳴き声だ。
「まさか・・・」
鉄が思わず呟く。
「どうしたんだい」
「命が宿ったのか」
「どういう意味だい」
「あの赤子はホムンクルスだ。いざというときの予備だった」
「予備って」
美沙斗の呟きにく鉄が答える。
「『今回』の私は獣のシナリオから逸脱していたみたいだからな。私は錬金術を研究していたからね」
鉄の言葉に思わず息を飲む。続けて鉄は言う。
「美沙斗。君にこの子を預けたい。」
「な、何を言うんだ。鉄さん」
鉄の言葉に思わず問いかける美沙斗。
「私に子供を預けるだと!私に子供を育てる資格はない。私は目的の為に娘を・・・?!」
思わず激発仕掛ける美沙斗に鉄が言葉を挟む
「汝、慈悲なる剣を取れ」
「慈悲・・・」
「そうだ、たとえ復讐に身を落としても慈悲の心を持っていればたとえ復讐に身を落としてもその先がある。だからこそこの子を預けたい。君の一線を守る為に」
続く鉄の言葉に美沙斗は決めた。
「君の事情はあえて聞かない。追々判ることだがね。ただ先達としていえば復讐の先には何も無い。私も回り道をしてかつては、愛した人をこの手に抱いた」
「もしかして瑠璃ちゃんですか」
い
「ああ、その通りだ。とはいえ今の私も混乱している。様々な記憶が今の私を襲っている。だがこれだけは言える。私は幸せだったと。先ほどの言葉から察するに君の目的(復讐)の為に自分の娘を手放したのだろう」
鉄の言葉に頷く美沙斗。
「それに君だけにはしない」
《御意。御堂》
突如響いた声に驚く美沙斗。
「今の声は一体」
「これが魔導書。私たち魔術師の力の根源そして彼女が原本に最も写本《ネクロノミコンギリシア言語版》だ。多少加筆をされているがね」
その言葉を受けて一人の少女が顕現する
ネクロノミコンギリシア言語版《永久》が呟く。
「機神還元」その言葉にあわせるように巨人が消えていく。その光景を鉄が忌ま忌ましいように見つめる。そして言う。
「いいか、永久御堂は私ではない。その赤子がお前の御堂だ」
「わかりました。親方さま」
そっと跪く永久に鉄が言う。その姿を見た鉄の言う。
「これで。子育て以外にも魔術についても安心だ。これで安全に剣の修行もできる」
跪くいていた永久は立ち上り赤子に唇重ね小さい赤子を見て呟く。
「よろしく。小さな御堂」
その言葉を聞いて美沙斗は。
◆◇◆◇◆
「全く強引だね。鉄さん貴方は・・・」
「これでもかつては、覇道鋼造だったからね機を見るのは長けてるつもりだ」
赤子を抱く手は愛おしい様に揺れていた。
そんな美沙斗に鉄が言う。無念そうに。
「かつて、瑠璃を育てたのは家政婦だったからな。息子の時もそうだった」
「ああ、兼定さんか」
「だから私には子育ては難しい」
そんなぼやきにも付き合わず急に顔引き締める美沙斗
「鉄さん貴方が御神を名乗るたという意味はわかっているのかい。御神には敵が多いその意味は・・・」
「ああ、知っているともこの周りの惨状を見ただけでも君たちには敵が多い」
「これからどうするんだい」
「それに私にはまだひとつ魔導書がある」
鉄の言葉に美沙斗が言う。
「ひとり魔術師には魔導書は一つだと言っていたじゃないか」
「ああ、今回は事故みたいなものだからな。紹介しよう。《ネクロノミコン機械語写本》リトル・エイダだ」
鉄の言葉に反応するように一冊の本からパンチカードから一人の少女が顕現する。
「事情は分かったよこれからの展望を聞きたい」
「商売を始めようと思う」
鉄の言葉に思わず目を見張る美沙斗。
「これから先どうやって暮らしていくつもりかな美沙斗よ。赤子を育てて行くつもりなら先立つ物も必要になろう。その場の稼ぎだけではどうしても物入りだ」
続く鉄の言葉に美沙斗は絶句する
「ここを襲ったのも恐らく魔術た師だ」
「それは本当か!鉄さん何故わかる?!」
「このば残る陰湿な気配、エビルベインの神気で浄化されたがそれでも残滓が残っているこれは紛れもなく魔術だ。そしてそれは導師クラスだろう」
「私の仇は魔術師・・・」
美沙斗の独白に口を挟む鉄。
「勝つつもりか?」
「勝てないとでも?」
「いや魔術師だけが超人だけじゃないのは、いや『過去』でも知っている」
続く言葉に美沙斗は覚悟決めた。
「並大抵の道程じゃないのは『私』は知っているつもりだ。それでも止まらないのなら私に止める権利は無い。ただ・・・」
続く言葉に美沙斗は息を詰める
「君が間違った道を進んだ時君の前に立ちはだかろう」
「分かったよ、鉄さん」
「それとこの荒れた地は私がなんとかしよう」
「良いのかい」
「ああ、任せた前
」
◆◇◆◇◆
「そろそろこの赤子の名前を決めないとね」
よく眠る赤子をあやしながらそう呟く美沙斗
「何かないかい鉄さん」
「名前か・・・兼定のときはすでに決まっていたし、瑠璃の時は夫婦決めていたからな」
「ならこの子名前は私が決めていいかい」
その言葉に鉄が頷く。
「この子名前は御神・だ」