女神を連れて帰るだけの簡単なお仕事   作:白黒しぐま

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やっと和真達の出番が来ました。海斗は無事手紙を渡すことが出来ますがその中身とは…

基本誤字脱字等はあると思って読んで下さい。

思い付きで書き始めたので不定期更新のため今後もどうなるか分かりませんが

よろしくお願いします。


第三話:女神アクア

「おーし、ご苦労さーん! 今日はこれで上がっていいぞ! ほら、今日の日当だ」

 

「どうもです。お疲れ様でしたー!」

 

「お疲れさまでしたー!」

 

「でーす!」

 

親方の仕事の終了の合図で、俺たちは日当を受け取ると挨拶と共に頭を下げる。

 

「じゃあ、皆さんお疲れ様でーす!」

 

「おーう、お疲れさん!また明日も頼むな!」

 

先輩にも挨拶をすませ、俺たちは現場を後にした。

 

俺は同じ異世界からきた佐藤和真と自称女神アクアと共に街の大衆浴場に向かう。

 

大衆浴場は日本の銭湯とほぼ変わりは無い作りだ。日本に比べれば、平均賃金に換算すると入浴料は割高だが、仕事終わりの風呂は日本にいた時からの習慣もあり多少高くてもやめられない。

 

ところで、俺がなぜ女神に会えたというのに未だ土木工事の仕事をしているかと言うと…

 

 

 

 

あれは俺が土木工事の仕事を紹介してもらった初日だった。

 

仕事内容は街の外壁の拡張工事をしていた時だった。

 

日本にいた時と違い、重機が無いため全てが人力での力仕事だ。しかし俺は土木工事など日本にいた時にバイトで経験があったので初日からテキパキと作業をこなしていた。隣で倒れている男と違って…

 

それが俺と佐藤和真との初めての出会いだったのだが、最初の印象は貧弱男子だった。

 

その後も和真のフォローをしながら作業をこなしていた。何故こんな男がここで働いているのか疑問だったがその答えはその日の夕飯で解決した。そう、色々と解決したのだ。

 

 

 

 

 

「へー、和真も転生してこの世界に来たんだな。」

 

「そうなんだよ、いやーまさか異世界に来てこんなに早く同じ日本人と会えるとはな。」

 

俺と和真、そして青い髪の少女と一緒に食事をしながら夕飯を食べていた。正直、半日しか働いていないので夕飯代がかなり厳しかったのだが、和真が少し負担してくれたので助かった。こいつ良い奴だな。

 

「ところで和真、この世界に来て何日目だ?」

 

「確か今日で三日目だったかな、全く胸躍る冒険が出来ると思ったのに何が楽しくて土木工事なんてしないといけないんだよ、そう思わないか波風。」

 

「海斗でいい、俺も名前を呼ばせてもらっているしな。」

 

本音で言えば、名字で呼ばれるのは好きではないのだ。

 

「なあ和真、お前と一緒いてあそこで酒をラッパ飲みしている女は誰だ、彼女か?」

 

「ぶっ、ち、ちげーよ海斗。あいつは……。」

 

そこで和真が話してくれた内容は、俺にとって驚愕の真実だった。あそこでオッサンたちと酒を飲んでいる女が探していた女神アクアで、目の前で食事をしている相手が俺がこの世界に送られた全ての元凶なのだ。どうしよう、こいつ良い奴っぽいけどこの事話すべきだろうか…

 

「ってことでよー、ってあれ海斗大丈夫か?顔色が悪いぞ、水飲むか?」

 

「ああ、ありがとう。今日一日で色々ありすぎてな…取りあえずあとで女神に話があるんだが、時間空いてるか?」

 

でもこれで俺も役目を果たせるなら話す必要は無いだろう、俺はこの事は話すのは止める事にした。しかし本当に女神かあの女?

 

 

 

 

 

 

 

他の冒険者が宿に戻ったため、ここには俺と和真そして酒の飲みすぎで先ほどまで吐いていた女神アクア様?と数人のウェイトレスだけとなった。

 

俺は一通の手紙を渡した。

 

「女神アクア様、俺はこれを渡すよう頼まれました。」

 

実は中身が気になり開けようとしたが何故が開けることが出来なかった、その為俺も中に何が書かれているか知らないでいた。

 

「んん?これって手紙よね、しかも封印までしてある。何々差出人は…って、天使長様からー!やった帰れる、帰れるわよ和真!」

 

先ほどまで倒れそうなくらい顔色が悪かったのに、今は嘘のようにはしゃいでいる。

 

「おいアクア、お前何勝手に帰ろうとしてんだよ。ふざけんなよ!」

 

そう言えば和真の特典で付いてきたのがアクアだったな。あれ、俺特典貰ってないけど、これから貰えるのかな?

 

「ふふふ、そんな事知らないわよヒキニート。やっと帰れるの、私やっと帰れるの!」

 

何故か涙目になりながら手紙を破いて中身を確認する。そして

 

「ふざけんじゃないわよあのクソジジイーーーーーーーーーーーー!」

 

誰も居なくなった店内で暴れる女神アクア、俺はそっと手紙の内容を確認した。

 

 

 

 

        お土産よろしく。    by天使長

 

 

 

 

これだけだった。あれ、俺の特典は?この後聞いたら「ないわよ!」と言われた…

 

どうやらこの世界は俺にとって厳しい事しか起きないようだ。

 

たった一日で俺は最後の希望だった女神に助けてもらうという希望すら無くなくしてしまった。

 

異世界に来て一日目、俺は悟ってしまった。これムリゲーだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在に至る、俺たちは今大衆浴場で仕事の疲れを癒していた。

 

「なあ和真~。」

 

「何だ海斗、のぼせたのか?」

 

「ちげーよ、和真俺たち魔王倒せると思うか?」

 

「無理、絶対無理だろ。まあアイツが何とかしてくれるだろうさ、一様女神でアークプリーストだしさ。」

 

「ああ、そうだったな…」

 

俺達はこの一時の平和を満喫していた。この時間だけが全てを忘れさせてくれる。

 

しかし、和真から意外な言葉が出てきた。

 

「なあ海斗。」

 

「何だ和真、明日の仕事の事か?」

 

「いや、実は明日討伐クエスト受けようと思うんだが…」

 

「え?」

 

この男何言ってるの?頭まで溶けちまったのか?

冗談だよな、いくら上級職がいても俺達は最弱職《冒険者》そんな事が出来る訳がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、土木工事の仕事に和真たちが来なかった。どうやら本当に逝ってしまったようだ。

 

いくら女神がいるとは言っても、二人ともまだレベル1の冒険者だ。もし無事に帰ってきたら酒でも奢ってやろう、そう思いながら俺は二人の無事を願った。

 

夕方、二人は帰って来た。五体満足見た所怪我をしている様子は無く帰ってきた。

 

ただし粘液まみれで泣きじゃくる女神を除いては…。聞きたい事は山ほどあるが、まず行くべき所がある。

 

「風呂に行こうか…」

 

近くに居るだけでかなり生臭いので、一刻も早く風呂に連れて行く必要があった。

 

周りの人の視線が痛いのもあったので、これ以上外にいるのは危険と判断したのは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレね、二人じゃ無理だわ。仲間を募集しましょう!」

 

大衆浴場に行って汚れを落とし、冒険者ギルドにて食事をしながら俺達は作戦会議をしていた。ちなみに今日のメニューはカエルモモの唐揚げだ。初めは抵抗があったが食べてみると意外と美味い。

 

「でもなあ…仲間ったって駆け出しでロクな装備の無い俺達と、パーティー組んでくれる奴なんていると思うか?」

 

確かにその通りである。見るからに駆け出しの冒険者の俺達に声をかけてくれる物好きなど早々いない。

 

「だから言ったじゃないか。もう少し金を稼いで装備を整えてからにしろって!」

 

実は昨日、和真から一緒に行かないかと誘われていたのだ。もちろん俺は断った、今の所持金では武器一本で全財産の大半を使ってしまい防具を買う余裕がないからだ。

 

「ジャイアント・トードは金属を嫌うから、装備さえ整っていれば捕食される事は無いって、冒険者なら常識だぞ。それを剣一本と装備無しで行くとか…」

 

自殺もいい所だと言いたかったが、それでも二匹倒してきたので上出来だろうと思った。

 

ちなみにカエル一匹の引き取り価格は、送料サービス込みで五千エリス。土木工事の仕事一日分と同じ金額のため俺が汗を流して働いた金額と和真達が命がけで稼いだ金額は同じなのだ。つまるところこの世界では、命の値段は意外と安いのだ。

 

そんな真剣な話をしている横で、アクアは口一杯にカエルのもも肉を頬張りながらモリモリ食べていた。

 

どうやらこの女神知力が低いという情報は正しいようだ。一番の被害者が全く聞いていない。

 

「悪かた

 

討伐クエストの内容は三日間で五匹の討伐。計算上では達成出来ると思うが失敗すれば二人はカエルのご飯になってしまう。

 

流石に友人がこのまま死地に向かおうとするのを見過ごす事も出来ない。となれば、俺に出来る事は一つしかない。

 

「…わかった、明日は俺も参加するよ和真。」

 

「ありがとう海斗、助かっ「ただし!」」

 

「アクアが言ったように最低でもあと一人は仲間を見つけてからだ。」

 

いくら三人になったとはいえ真面に剣も振ったことがないのだ。せめて真面に戦える人間がいないと危険すぎる。

 

「大丈夫よ、この私がいるんだから!」

 

先ほどまでバクバク食べていたアクアが自信あり気に言い出した。

 

「私は最上級職のアークプリーストよ。この私がちょろっと募集をかければ『お願いですから連れってください』って輩は山ほどいるわ!分かったら、カエルの唐揚げもう一つよこしなさいよ!」

 

と言って、俺の皿から唐揚げを奪い取る自称女神を俺たちは不安気に眺めていた。

 

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂きありがとうございます。

基本休みの日に書くため次回更新も未定です。
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