クリアによる思わぬスペシャルサプライズ企画、それに続く全十六人のカントー、ジョウトジムリーダー達の登場により更に室内温度を上げるセキエイ高原ポケモンリーグ。
そんな熱気渦巻くリーグ会場とは打って変わって、ここは穏やかで心地のいい静けさの中で、ラジオの音と四人の人間の会話だけが木霊する世界。
――育て屋老夫婦の家。
リーグ開幕セレモニーが始まる直前に、コガネシティ近辺に位置する育て屋の室内でイエローは静かに目を覚ました。
「ん、ここは……クリアっ!?」
目覚めて早々彼女が意識を手放す寸前で見た少年の名を口にする。
ルギア襲撃の際、一人彼女等から離れてしまったクリス。
その彼女をエースに乗って助け出していたクリアを目視してすぐ、彼が渦巻き列島の内の一つに向かうのを確認してから、彼女等もまた襲い来た高波に攫われてしまう。
精一杯に足掻いてみたはいいものの、あれ程の渦巻く海ではピカの"なみのり"に頼る事も出来なかった為、彼女の叔父ヒデノリ共々そのまま気絶してしまっていたのだ。
だが目を覚ますとどういう事だろう、海にいたはずの彼女等は知らない天井の下、見慣れぬ屋内に寝かされていた。
それも彼女等が負った傷の手当後もある、恐らくは誰かが看病してくれた様だが、勿論イエローにはそんな自覚は無い。
襖の奥では流れ出るラジオの音と、老人達の会話が微かに漏れていた――ので、その襖を開けてまずは状況を整理しようとしたイエローだが、
「……ピーすけ?」
ボールの中で何やらガタガタと騒いでいるピーすけに気づいた。
その様子に気づいたイエローは、ピーすけのボールを手に取り少しだけジッと見つめて、
「何か伝えたい事があるんだねピーすけ」
そう呟くイエローの言葉にピーすけは首を縦に振って答えた。
それを見たイエローは、自身の能力"癒す者"と称される能力の一端、ポケモンの感情を読み取る能力を行使する。
そしてボールに手を翳して、彼女の
『ったくよぉ、こんな事になるかもと思ってたから、だから帰って欲しかったってのにさ……でもまぁ』
そう言った少年の声はどこか優しく、そしてその顔は穏やかだった。
ピーすけの記憶、伝えたかった事はどうやらクリアの事だったらしい。
意識を失った
でもまぁ、と一呼吸置いてそしてクリアはイエローへと視線を向けて、
『久しぶりに会えて嬉しかったぜ、イエロー』
少しだけ照れくさそうな笑顔で、はにかみながらクリアはイエローに笑顔を向けて言っていた。
勿論それは友人として会えた事の喜び、クリアはイエローが女の子だとは知らない。
そしてイエローも、ブルーから恐らくクリアは気づいていないと聞かされていて、その事については承知しているのだが――。
「……あぅ」
それでも真面目にそう言われたら頬を赤く染めるしか無いだろう。
能力の行使を中断し、ピーすけのボールを元の位置に戻して、僅かな眠気等気にせずに、両の頬に手を当てて彼女はその場にへたり込む。
今のイエローの耳には、ラジオから流れるポケモンリーグ実況も、老夫婦の会話も、叔父ヒデノリの
『会えて嬉しかったぜ、イエロー』
クリアが言った何気無い一言、その一言が彼女の頭に反復される。
久しぶりに聞いた彼の声は、彼女が一番聞きたかった言葉で発せられていたのだ。
惜しむべくはその言葉を自分の耳で、リアルタイムで聞けなかった事か。
――これで本人にはあまり"自覚"が無いというのだから吃驚だ。
「おぉ気がついた様じゃな」
いまだ体温が高まったままの彼女だが、そんな彼女に襖を開けながら一人の老人が話しかけた。
育て屋夫婦、穏やかそうなお爺さんと、その隣には少し気が強そうなお婆さんもいる。
「あ、す、すいません! 助けていただいて……」
「いやいや礼なぞいらんよ、もう貰ったからのう……それよりお前さん、まだ少し顔が赤い様じゃが、もうちっと安静にしといた方がいいんじゃないか?」
「あ、そ、それはその……」
まさかピーすけの記憶で見たクリアの所為で赤面してたなんて言えるはずも無く、イエローははっきりしない物言いで更に顔を赤くする。
その様子に何かしらピンと来たのだろう、ニヤニヤとした笑いを浮かべながら育て屋婆さんはイエローへと近づき、
「ほほう、あんたも若いってのに、中々隅に置けないねぇ」
「な、何の事ですかぁ!?」
「うふふ、皆まで言うで無い、お前さんをここまで連れて来たクリアとかいう小僧の事じゃろう」
「あ、あぅぅ……」
育て屋婆さんからそう耳元で呟かれ更にテンパるイエロー、とそれを見て楽しむお婆さん、全く良い性格をしている。
イエローの正体については、このお婆さんも女性だ、当の昔に気づいてはいた――がお婆さんはあえてクリアには教えていなかった。
何の気無しに聞いて、気づいていない風だと感じたお婆さんはそのまま放置する事を続行。
そして今目覚めたイエローの様子から、全てを悟った様である。
ちなみにお爺さんは気づいていない、何やらお婆さんがまた若者にちょっかいを出してる、程度にしか思っていないお爺さんはため息を一つついて二匹のピカチュウ達、レッドのピカとイエローのチュチュを指差す。
「そんな事よりもほれ、そのピカチュウ達はお前さんのじゃろ?」
「い、いえピカは借り……ってピカ、チュチュそのタマゴは一体どうしたんだい!?」
「それがのう、その二匹のピカチュウを一緒にしてたら……ふと気づいたらあったのよ、これが」
「え、えぇぇぇぇぇぇ!!?」
「むふふ、どこかの誰かさんよりかはよほど進んだ関係の様じゃな」
「ちょ、ちょっとお婆さん!? ボ、ボクとクリアはそんなんじゃ……」
あくまでイエロー弄りを止める気は無いらしい、ボソリと呟いたお婆さんの言葉にイエローは再び蒸気でも発するかの如く赤面する。
勿論その呟きは、お婆さんのせめてもの配慮か男性であるお爺さんには聞こえない程度に言われたもので、眼前で繰り広げられるお婆さんとイエローの様子に、お爺さんは一度だけ首を傾げて、
「……それはそうと婆さん、もうそろそろポケモンリーグの開催セレモニーが始まる頃じゃが……」
「あぁそうだった!……ほれあんたもいつまで寝てるんだい! 起きて一緒にミカンの晴れ舞台を応援するよ!」
「んがっ!?」
最早やりたい放題である、イエロー弄りを中断していまだ布団の中で睡眠中のイエローの叔父、ヒデノリを叩き起こし、居候二人を居間へと連れて行くお婆さん。
そしてそれに続く様にお爺さん、ピカやチュチュも入ってきて、襖を閉めラジオへと注目する。
『それではセレモニー第一弾……前回優勝者マサラタウン出身、レッド選手の入場です!』
「レッドさん!?……ってレッドさんは今はシロガネ山で療養中のはずだけど」
早速"レッド"の単語に反応したイエローが身を乗り出す、が彼女の言葉通りやはりレッドが現れる様子はラジオの中からは感じ取れない。
数秒の静寂、その静けさにまさかの放送事故かとその場にいる全員が思ったその時だった。
『あのうすいません、ジムリーダー控え室ってここであってます?』
聞きなれたその声に呆然とするイエロー他三名を残して、そして本物の放送事故は開始される。
「っ、師匠!」
開け放たれたリニアから、白い煙が立ち込める。
急遽予定変更され、セレモニー第一弾を飾る事になったクリアだったが、どうにか役割分は果たす事が出来た。
クリアによって更に熱を持った会場の温度が、限界を超えるが如く更にヒートアップする。
二つの地方の全ジムリーダー達による対抗戦、今大会の目玉とも言うべきそのイベントの主役達が、全ジムリーダー達が今ここに、この会場に満を持してようやく現れる。
そしてそれを特等席とも言うべきメイン闘技場の真ん中で、目の前で開かれたリニアのドアから現れた人物を見てすぐさまクリアは叫んだ。
「……クリア、どうしてこんな所に……」
「あぁー! クリアー!!」
「げっ、アカネ!」
「ちょい待て"げっ"って何やねん"げっ"って!」
久しぶりの師弟の再会、まぁ実際正確には師弟では無いのだが、それでもお互いに思う所があっての再会であった――のだが、それはすぐに横槍を入れてきたアカネによって阻まれる。
「なんやクリア、一体こんな所で何してんねん」
「ちょ、ちょっと開幕セレモニー第一弾を……って師匠!? ねぇちょっと無視して行かないで!」
「……ししょ~う? なんやクリア、アンタまさかヤナギのお爺ちゃんがアンタの師匠だとでも……」
「そうだけど?……ねぇ師匠ー、もうこれだけ大っぴらになったんだから隠す必要無いですよねー? ねぇ師匠聞いてる、聞いてますー?」
「な、なんやそれぇ!」
クリアに掴みかかったまま驚愕の表情を浮かべるアカネ、そしてそれは彼等の傍に立つ理事も同様だ。
当然だろう、今の今までチョウジジムにいる人間はヤナギ一人だとこの場の当事者以外誰もが思ってた事だ。
アカネもアカネでラジオの取材でチョウジジムに一度行き、その際ヤナギと顔を合わしてはいたものの、こんな事実は初耳である。
「む、誰かと思えば貴様は……」
「っげげ、イブキさん!?」
「……ほう、よほど私に会いたく無かった様だな、なんなら今ここで勝負するか?」
「来たよアカネ以上の超理論!」
ぞろぞろとカントー、ジョウトのジムリーダーがリニアから降り始め、その中の一人イブキがクリアの顔を見るなり言って、クリアはげんなりとした表情で答える。
答えた瞬間イブキが外に出していたハクリューが威嚇して来て、思わずビクリと肩を震わすクリア。
クリアにとってイブキは、ある意味アカネ以上に厄介な存在だった。
ジム戦としては最後、七つ目のバッジ獲得の為として戦った相手なのだが、そこで何とか勝って以来、フスベに滞在中は事ある毎にイブキは彼に勝負を挑んで来ていたのである。
それも、少なくともアカネよりも更に強者が、加えてクリアは高圧的なイブキの態度が苦手であった。
イブキは女性として美人の部類に入るのだろうが、その格好もフスベの民間男性人はそそられるものがあると言うが、残念ながら彼女はクリアのタイプでは無い。
彼女が"大人しめで一緒にいて楽しい、そして何よりも優しい"女の子ならクリアもここまで苦手にはならなかったのだろうが、
それもアカネよりも性質が悪い――無論、クリアがフスベに滞在した期間はコガネと同レベルのものだったという。
「む、お前はクリアか? こんな所で何をやっている?」
「え……って本当にクリア!? こんな所で何やってるんだい? ゴールドには会えた?」
「クリア、イエローには会えましたか?」
「ふふっ、もう本調子の様だなクリア」
上からタンバのシジマ、ヒワダのツクシ、アサギのミカン、エンジュのマツバ――皆が皆過去に彼と対戦したジムリーダー達だ。
そして続く様に今度は――、
「ちょっ、なんでアンタがこんな所にいるのよ!」
「一年も消息を絶ってたと思えば……」
「クリアよ、また無茶ばかりして無いだろうな……?」
「うふふ、カツラさん、クリアが無茶してない、訳無いじゃないですか、聞きましたわよ渦巻き島の事」
「おうクリア、元気そうじゃねぇか! 渦巻き島以来だな」
「……こいつがマチスが言ってた少年か」
「……本当に、お前は一体何をやっているんだ……」
カントージムリーダーズの登場である。
ハナダのカスミ、ニビのタケシ、グレンのカツラ、タマムシのエリカ、クチバのマチス、ヤマブキのナツメ、トキワのグリーン――共に戦った事もある者から、一度会った事ある者、他人からの情報でしか知らないものと関わり方は様々だが、それでも彼等がクリアの事を知っていたのは事実である。
当然、会場は更なるざわめきを起こす。
いくらセレモニーの第一弾を飾る程のバトルを先程見せていたからと言って、いくらジョウトのバッジ七つを集めていたからと言って、実際に見て確かめのと情報でしか知らないのでは大分差がある。
更にはジョウトだけで無く、カントージムリーダー達とも面識がある様子で、更に更に先程はジムリーダーの一人であるヤナギを"師匠"と呼び慕っていた。
「ク、クリア"君"?……君は一体?」
これにはポケモン協会理事も驚きである、思わずクリアを君付けで呼んでしまう程に。
「一体……って、そう言われても、自称ヤナギ師匠の弟子の、ジョウトジムバッジを七つ集めて、四天王事件を解決したトレーナーの一人…って所ですかね?……あ、後この間伝説のルギアとも戦いましたよ」
そう答えたクリアの言葉に嘘は無かった。
実際に彼は、認められていないがヤナギに弟子入りして、ジョウトジムバッジを七つ集めて、ルギアと戦い、そして一年前の四天王事件を解決に導いたトレーナーの一人だ。
今の今まで特に聞かれなかった為あまり公表はしていなかったその情報、それはもう理事やジムリーダー達含めた会場全体を驚かすには十分な素材で。
四天王事件での彼を知らないジョウトジムリーダーの面々や、バッジ七つを集めた事を知らないカントージムリーダーの面々、そしてそれら全てを知らない理事含め会場の一般客達は次の瞬間一斉に――。
(……誰だろうあの人は)
(……誰なのだあの者は)
クリアと一切の面識が無い二人のジムリーダー、キキョウのハヤトとセキチクのアンズを残して、会場全体に驚愕の声が響き渡るのである。
「いやー、まさか俺も特別にジムリーダー席に座らせて貰えるなんて思わなかったよ」
「ヤナギさんが自前の車椅子に乗ってたから、丁度一人分空きがありましたからね」
「いやいやそれもこれも、理事に頼んでくれたミカンのお陰だよ、サンキューなミカン」
「いえ、私もせっかくなら大勢で楽しみたいと思いますから」
会場が驚愕の渦に包み込まれてから少し後、とりあえずの落ち着きを取り戻して全ジムリーダー達はジョウトとカントーに別れて席についた。
メイン闘技場傍に用意された長椅子、東側にカントージムリーダーが、西側にジョウトジムリーダーが腰を下ろす形で席についた――のだが、今の会話通りミカンの進言で、特別にクリアもジョウト側のジムリーダー席に座る事を許可されたのである。
というより恐らく協会側も、このままクリアを観客席に戻したらきっと大会所じゃ無くなると、事前に察知したのだろう。
もしこの状況で彼が普通に退場してしまえば、彼の言葉に興味を持った者達や、ジムリーダー達の事を聞きたい、近づきたい者達が彼に殺到してしまう恐れがあるからだ。
更に言うと、目を離した隙に先の様な予想外の事態を起こされても堪ったものじゃない――そう考えて、きっと彼はジョウトジムリーダー席に置かれたのである。
「おーいクリアー?」
「ん、なんだよアカネ?」
「むぅ、なんやその態度なんやその態度!? なんでウチとミカンちゃんとでそんなに態度が違うんや!?」
「……キャラ?」
「どういう事やねん!」
「あべしっ!」
設営が進むメイン闘技場に、パコーンっという気持ちの良い音が木霊する。
アカネがクリアを勢い良く叩いた音だ、そしていつも通りクリアは涙目になりながら、
「ほらそれ! 暴力反対駄目絶対!」
「やかましいわ! というか自分、今凄く美味しい状況にいるの分かってんの!?」
「美味しい?……なんか食い物でもあるの?」
「こんの……草食系!」
「あだっ!」
再度アカネの激しいツッコミが、横に座るクリアに炸裂する。
そしてそれを見て、クリアの横に座るミカンが少しだけ心配そうに彼を見つめる――が、会場内の人物、というか大半の男達はそんな状況のクリアを哀れみを持った目で見つめたりなんかしていない。
むしろ逆――殺意にも似た何かが篭った眼差しを今は向けている。
それは先程まで彼を称えていた者、褒めていた者、貶していた者、とりあえず会場内にいるほぼ全ての男性がクリアに敵意の眼差しを向けていた。
理由は明白、クリアが座るポジション。
長椅子の一番端にイブキが座り、そこから順にシジマ、ツクシ、ハヤト、マツバ、ミカン、クリア、そして長椅子の逆の端にはアカネ、最後に自前の車椅子に座るヤナギと続いている。
――そう、今のクリアは両手に花状態だったのだ。約大半の男達の総意としては、ヤナギの弟子を自称するのならアカネと場所を変われよ、という感じなのである。
更にそんな彼に近づく二つの影に、男達の怒りのボルテージは更に急上昇する。
「全く、アンタってばイエローが心配してたわよ……それだけ元気なら、たまにはあの子がいるトキワシティにでも行ってあげなさいよ」
「ふふっ、連絡を寄越さなかった言い訳でも聞きに来ましたよクリア?」
「えーと、とりあえずなんかすいません……!」
ジョウト方面から来ている男達の怒りのボルテージは既にほぼマックス近かったというのに、今度はカントー方面からお越しになられている男達の怒りのボルテージがマックスまで到達する。
ジョウトジムリーダーを代表する美少女の二人、アカネとミカンを両に置いた状況で、今度はカントーのカスミとエリカの登場だ。
おてんば人魚とも言われる健康系美少女のカスミと、正統派和服お嬢様のエリカだ、そのビジュアルからカントー男衆からの人気が高い事は明白。
そんな彼女たちが、有ろう事か既に二人の美少女と話していたクリアに近づいたのだ。会場内の男達は血の涙を流して、女達はそんな男達にあきれ返る。
――まぁ尤も、別にこの四人と、というかその内誰か一人とすらクリアは特別な仲では無いのだが、そんな事情を知ってる観客達では無い。
(……むぅ、また女の子かいな、全く本当に油断も隙も無い! 何が草食系やクリアのアホ!)
だが一人だけ、内心面白くなさそうに呟く少女がその四人の中に一人だけいたのだが、当の本人クリアがその様子の変化に気づく事は無い。
「さぁ準備が整いましたので、今から電光掲示板に対戦順が発表されます!」
いまだ妙に殺気だった会場に理事の声が響く。
先程のセレモニー第一弾のクリアのバトル、その後片付けが終わり、これでようやくジムリーダー対抗戦の始まりである。
そして理事の言葉通り、会場電光掲示板に対戦表が発表される。
「へぇ、最初はミカンで相手はタケシか、頑張れよミカン」
「はい、応援よろしくお願いしますクリア」
そう言って席から立ち、闘技場へと向かうミカン、カントー側からも同じ様にタケシが向かって来ている。
対戦表から、第一戦目はミカン対タケシの勝負だ。
一度ミカンと戦った事もあるクリアからすれば、この戦いはミカンが圧倒的に有利だった。
彼女が使う"はがねタイプ"は"いわタイプ"使いのタケシからしてみれば相性不利な相手、だがしかし、だからといって相性で全てが決まる訳でも無いのがポケモンバトルだ。
さらに言うとそれは強者同士の戦い程、顕著に現れる、まぁだからこそ面白いのだが。
「それでは第一試合、ニビジムタケシさん対アサギジムミカンさん」
そしていよいよ、待ちに待った日がやって来た。
全ジムリーダー十六人によるエキシビジョンマッチ、ジムリーダー対抗戦。
その開幕の火蓋が今――、
「試合開始っ!」
――切って落とされるのだった。
……イエローが会場にいなくて本当に良かった(震え声)
後今回のサブタイは完全に騙すつもりでつけました。じ、次回からこそはシリアスになると思われ……なればいいなぁ。