3ヶ月後
『只今テロリストと思われる集団が5階建てビルの最上階を占拠しています』
『テロリストの要求は、現在拘束中のテロリスト約40名の解放です!!』
『しかし管理局の返事はNOとのこと。人質の安否が気遣われます』
管理局の体制が変化し、犯罪率が低下しても、やはり犯罪は発生する。このような事態への対策として、第6犯罪防止課、通称『木偶狩り隊』が出動することになった。
『管理局の特殊隊が到着しました。今回もやはり木偶狩り隊でしょうか?』
『今、車両から隊員が出てきました!!木偶狩り隊です!!今回も木偶狩り隊が出動してきました!!』
その瞬間、周りの民衆から歓声が沸き起こった。
『今回もやってくれるのでしょうか?』
「こんかいのけーすにたいしては、ぷらんβをてきおうします。ひとじちがさいゆうせん。じょうきょうかいし」
「「「了解!!」」」
どうも、事務員から現場に回された、アウイン、10歳です。事務員→システム管理者→首都防衛隊システム管理者3等陸佐を経て、第6犯罪防止課隊長に就任しました。階級は3等陸佐から2等陸佐へ昇進、現在7名の部下と共に、「第6犯罪防止課」にて日夜ミッドの平和を担保しています。
第6犯罪防止課
レジアス中将直轄部隊。アウイン・アルパインを隊長とする実験部隊。隊員は7名で構成されており、各隊員は小隊長候補生となっている。
魔力運用に難があり、実戦への投入が見送られていた3名の隊員を各方面から集め、育成を経て実戦導入されている。また育成方法に関してもアウイン2等陸佐がマニュアル化し、現在導入が進行している。
また、過去に任務中にリンカーコアを負傷し、退職した4名の隊員へ治療を施し、現場復帰を果たしている。4名全てが隊長クラスであり、実力は申し分ない。4名の元隊長の経験により、3名の育成が短縮されている。この件に関してもレポートが提出されている。
俺は今テロリストが占拠するビルに来ている。まぁマスコミや民衆が多い事。各班が配置に付いたか確認する。
『こちらB班、配置につきました。A班も後10sで配置につきます』
『りょうかい。20sごに、さくせんをじっこう』
『了解』
さて
『さくせんかいしまで、あと10s』
お仕事しますか
『5』
『4』
『3』
『2』
『1』
ビル全体の電気が消えた。しかし消えたのはホンの一瞬。2sにも満たない時間だった。しかし我々にはその時間で十分だった。ビルの中ではテロリスト達が慌てふためく。
『どうした!!なんで電気が消えた!!』
『電気を付けろ!!』
どうした事でしょう?何故か電気が付いているビル内でテロリストが『電気がついていない』と叫んでいる。簡単です。彼らの脳を一時的にハッキングしただけです。ほんの数秒間電気を消す事で、人間の意識は電気が消えた事に向く。その際に脳に電気で干渉するだけ。結果、約3sでテロリストの視界はこちらの手に落ち、ハッキングの効果が薄れる頃には突入した隊員の手に落ちる。簡単で、合理的な手法と俺は思っている。
『犯人逮捕!!犯人は逮捕されました!!』
『またもや木偶狩り隊のお手柄です!!』
『そして今日も始まるのでしょうか!?恒例の私刑!!』
『彼らに黙秘は通用しません!!』
逮捕されたテロリスト10名は目隠し、正座をさせられた状態で、1列に並んでいる。そうして
「ひと思いに殺してくれ!!」
一人のテロリストが叫ぶ。
「頼む!!なんでもする!!」
そして他のテロリストも続いて叫ぶ。
「俺は無関係だ。頼まれてしただけなんだ!!」
無関係を主張する者。
「俺には家族が!!」
懇願する者。
様々な言葉が行きかう現場にアウイン・アルパインは現れた。身長はある程度ごまかしている。BJも本来のBJではなく、上から下まで黒で覆われている。容姿、年齢、その他一切不明。そしてアウインは一人のテロリストの頭を掴んだ。
「ゆ、許しください!!」
懇願するテロリスト。
「許しを請うなら、最初からしなければいい。でもしてしまったものは仕方ない。お前には罰を与える」
「あああああああああああああ!!」
『デービット・アラト、年齢37歳。独身。初等部時代に女の子のスカートをめくり、その報復として、ズボンを脱がされ、パンツ1枚で自宅に帰った。中等部ではそのトラウマから彼女出来ず。高等部に上がると、初等部での出来事がバレ、不登校に。19歳の時にエロゲーを購入した帰りに職質に会い、親に厳重注意され、以降ひきこもりになる』
「やめてくれ!!!」
そう、ハッキングにより、相手の記憶を読み取り、全国中継でそれを暴露する。これは精神的苦痛を相手に与える。勿論当初は反対意見もあったが、犯罪率がある程度低下し、テログループにおいても活動を停止するグループも現れた事で、反対意見も無くなった。
そしてこの『木偶狩り隊』というまさに世紀末に出てきそうな部隊名(出てます)にかんしてだが、これに関しては、全面的に俺が悪い。今現在俺の進行している検証のひとつに『目が見えないリンカーコア持ちの人間と、その人間と同じ性質を持った人間のリンカーコアをリンクさせ、視力を共有する』といった内容があり、丁度私刑を行う人間の中に適応者が居たため、『適応者が居た』と呟いた所、『木偶が居た』と変換されてしまった。その時の呟きが全国ネットに流れてしまいネット上で
『木偶?管理局の闇?』
『木偶狩り隊!!どんな私刑になるんだ?』
『木偶www』
そしてテレビにおいても、大々的に取り上げられた。そして今に至る。
「れじあす。きょうのほうこくしょ」
「ああ、すまない。検証の方は進んでいるか?」
「いじょうなし。こんかいのななめいについては、せいこうでいいとおもう。でもつぎにするばあいは、もしかしたら、ふくさようがあるかのうせいはある」
「他の検証※は?」
※魔力制御についての検証→検証①
リンカーコア復元について→検証②
リンカーコアのリンクについて→検証③
リンカーコアの復元(薬剤による)→検証④
「けんしょう③についてはしんこうちゅう。りんくがとちゅうできれるばあいがあるから、そのぶぶんについてさいけんとうする」
「検証④はどうだ?」
「あれはだめ。けいさんでは、つうじょうのにんげんではたえられない。けんしょう②をすすめるほうがごうりてき」
「そうか」
俺は報告書を渡し退室した。レジアスが何か悩んでいたが、まぁいつもの事なので放置プレイとした。
あと、2年少しであのめんどくさい、機動6課に・・・・・あ~それを考えるだけで、胃が痛い。あ~消えてなくなればいいのに!!