無表情、無感情で行くリリカルなのは   作:yudaya89

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第22話「組織として甘すぎる」

 

 

そしてホテル・アグスタにてティアナが誤射を犯した。

私はその日両親との月に一度の団欒を済ませ6課へ戻った。しかし空気が可笑しい事に気づき、近くの職員に尋ね事の真相を知った。

 

 訓練ばかりで、自分の実力が分からない状況で実戦へ投入されれば、そうなるのは目に見える結果である。自分の能力がどのくらいなのか、何処までの敵なら戦ってもいいのか・・・訓練は基礎体力をつける、チームの連携を高める等。それらの「基礎訓練」を行うものである。そして途中途中で自分の練度、能力の向上具合を「自分自身」で確かめる必要がある。上官が把握しても、実戦で戦うのは本人なのだから指導するのは必然だ。しかし6課はそれをしなかった。まるでそんなことぐらいわかるだろ?というように。

 

 要は、訓練の成果や結果を本人が知らないから、現場で自分の能力以上の対応をしてしまう。今回の件は正に典型的な指導ミスだ。

 

 現場のレポートやデバイスの記録を見た限り私にはそう感じた。そして上官達の対応に関しても、こちらから指導する必要がある場面が多々ある。

 

例えば

 ミスショット直前に、シャマルとティアナが通信しているが、その時の内容が

シ「防衛ライン、もう少し持ちこたえて、ヴィータ副隊長がすぐ戻ってくるから」

テ「守ってばっかりではだめだと思います。全て撃ち落とします」

シ「ティアナ大丈夫?無茶しないで」

 

 

 この通信でダメなところがわかりますか?もしも私が命令するなら

 

ア「ヴィータ副隊長が戻ってくるまで、防衛ライン持ちこたえろ」

テ「守ってばっかりではだめだと思います。全て撃ち落とします」

ア「容認できない。防衛ラインを死守せよ」

 

 これでティアナが命令無視したならば、命令無視による厳罰が必要がある。しかしこの記録では命令という命令を出していない。はっきりしていない命令は命令ではない。

 

命令とは

上位の者が下位の者に対して、あることを行うように言いつけること

 

 私の聞いた限りでは、シャマルがティアナをキチンと制御出来ず、ティアナが敵に自分の能力以上の対応を実施してしまい、結果味方に対し誤射未遂が生じた。

 では誰が悪いのか?正解はシャマルと私は思う。制御が出来ていれば防止出来た事例である。シャマルの指揮官としての再教育を100時間要請する。

 勿論ティアナにも罪はある。防衛ラインを守れという通信に対し、上官へ「前に出ます」と反論した。これは反逆行為と捉える事が出来、上官への反逆行為は厳罰が妥当だ。

 

 

 

 そして

 

ヴ「ティアナ、このバカ!無茶した挙句、味方を撃ってどうすんだ!!」

ヴ「もういい、後は私がやる。2人まとめてひっこんでろ!!」

 

 

 本当に指導者か?頭が痛くなってしまった。確かにスバルの状況が理解出来ていない言い訳は聞いていて頭が痛くなる。しかしこの怒り方はまるで子供であり、これではティアナの士気が低下し現場の戦力が低下する。

 

 この場合は、如何に現場の戦力を低下させず、そして誤射をしたティアナの士気を下げないようにするかだ。大きな戦いでは、こういう誤射や誤通信、誤認識は数多く見受けられる。そのたびに部下を後方に下げていては、防衛ラインを下げることと同じになる。

 

 そして誤射でショックを受けている当事者に対し、追い打ちをかけるような言動は控えるべきである。衝動的に自殺したらどうするつもりだ?責任取れるのか?さらに現場を混乱させてどうする?

 現場では怒らず、帰還してから怒るのが正しいと私は思う。

 

 

 

 それと現場での情報共有が遅い。そもそも自分が指導している部下の情報を知らないのはどうかと・・・強くなる気持が他の人間よりも強いと感じているなら、大事になる前に対策するのが基本だろ。あと男とイチャイチャする暇があるなら、何故今日誤射をしたのかを分析し、今後に生かす必要がある。

 

 

 はっきり言って、この部隊は新人を育成したいのか、潰したいのか・・・

 

 仕方ない・・・少しだけ手を貸してやるか。

 

 

 

 

 次の日

 

 スバルとティアナが2人で自主練を開始していた。

 

「ねぇ?すこしいいかな?」

「アウイン1等陸佐!!な、なんでしょうか?」

「じしゅれん?」

「そうです」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「アウイン1等陸佐?」

「つよくなりたい?」

「え?」

「てぃあな、らんすたー2とうりくしは、つよくなりたい?」

「もちろんです!!」

「じゃあ、わたしがいつもしている、くんれんする?」

「!!」

「やめとく?」

「「いえ!やります!!」」

 

 

 私は2人に色々と教えることにした。まず初めに教えた事は誤射について、何故生じたのか、原因分析をさせた。勿論最初ティアナは非協力的だった。しかし何故必要かを理論的に説明し、過去の事例を話し、少しずつだがあの時の自分を分析出来るようになった。

 

 今回、誤射による損失、損害は微々たるものだったが、もしも自分の過ちを認めず、このまま経過すると、いつか大きな損害を被る。今被害が微々たる時に自分の過ちを認め、改善する事で、同様の過ちを回避できる。

 

 私が教えた原因の分析を終えたティアナは、私となのはのダブル指導をこなす日々が始まった。しかし相も変わらず自分の能力以上の事をしようとする・・・

 

 

 やはり体験させたほうがいいかもしれないな。

 

 

 

 

 

「きょうのあさのれんしゅうはやらない。よるにとくべつなめにゅーをよういしている」

「夜ですか?」

「そう。よくじつにはえいきょうしないからだいじょうぶ」

「分かりました」

 

 

 

ティアナside

 アウイン1等陸佐の訓練は確かにレベルが高い。この訓練はあの第6犯罪防止課と同じメニューとのことだ。ならこのメニューをこなせれば、私も第6犯罪防止課のように強くなれる。「ランスターの弾丸はちゃんと敵を撃ち抜けるんだって」証明してみせる。

 

 

 

 アウイン1等陸佐となのはさんのダブル指導をこなし、それが終われば疲労でベッドに倒れこみ泥のように眠る。そんな毎日を繰り返す事で私の能力は格段に上昇した。しかし同時に体に蓄積された疲労は解消される事も無く蓄積し続けてた。アウイン1等陸佐にもその事を何度も指摘されたが、自分は大丈夫、自分だけは大丈夫・・・そんな自信が私にはあった。そんな無茶な生活を続けてられるはずもなく・・・私は誤射より重大な事件を引き起こしてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 筆者の偏見が入っています。

 これは間違っている・・・という箇所があれば御指摘お願いいたします。

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