無表情、無感情で行くリリカルなのは   作:yudaya89

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第29話「6課指導します FINAL」

 

 

 

「いまからしぬかもしれない

 だから

 

 しょうべんはすませたか?

 

 かみさまにおいのりは?

 

 へやのすみでがたがたふるえて

 

 いのちごいをする

 

 こころのじゅんびは

 

 OK?」

 

 俺は高町に銃型デバイスを向け、魔力弾を発射した。

 

 

 

 

 

 

 

 高町は俺の魔力弾を悠々回避し、上空に舞い上がった。俺のBJは陸戦用のため、上空にいる敵には不利となる。しかしそんな事は新人でも知っている常識であるが、俺にはそんな常識等通用しない。高町との戦場は廃墟を選んでいる。理由としては過去に高町の模擬戦結果から最も勝率が高かった戦場が、廃墟であったためだ。恐らく上空からの一方的な砲撃で相手を倒したのだろう。そして今回も同じように上空から砲撃を行う高町、その砲撃を回避するために廃墟を駆けずる俺。一見俺が不利に見える。恐らく高町の作戦は、引っ切り無しに砲撃を行う事で、俺にアクションを起こさせないようにするためだ。また砲撃を回避する事で俺の体力を消耗させ、体力が尽きた処で・・・という考えのようだが・・・マジか?本気でそんな考えしか思いつかないのか?

 

 刻々と変化する状況への対応としては落第点だな。自分が有利な状況だからと言って、後先考えず魔力を大量消費するのは減点だ。そして最も減点される理由が、戦闘を長期化しているという点だ。何故速攻で勝負を決めない。砲撃を小出しせず最大出力で廃墟ごと薙ぎ払えばいい。もしもそれで敵を仕留められなかった場合は、残存魔力で逃走する。これなら合格点を与えられる。だが、高町をそれをしなかった。考えた結果のこの戦術なのか、それともこれ以外の戦術を知らないのか・・・前者なら救いはあるが、後者ならクビだな。

 そろそろ砲撃から逃げるのも飽きた。最近は6課でデスクワークばかりで運動不足だったから、ちょうどいい運動になった。さて軽い運動で訛った体が解れた処で、俺はハルコンネを構える。こいつを使うのは久しぶりだ。そういえば、ハルコンネのデビュー戦も相手は高町だったな。

 

 

 

 

 

 

 約2mあるハルコンネを構えた状態での移動は事実上不可能である。よって固定砲台とする以外使い道はない。高町と撃ち合うとなると高町の砲撃を回避する必要がある。しかし俺が砲撃を回避する必要は無い。何故なら高町が砲撃を発射し、次の砲撃を発射するまでの間に、こちらが攻撃を行えばいい。相手は防御に魔力を消費し、砲撃を行うことも出来ない。砲撃と砲撃の間には約5秒程度のチャージ時間がある。

 

 

 

 何?砲撃を防御するのではなく、回避する事で、上記は論破できる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 させないよ?

 

 射撃には誘導制御型、直射型、物質加速型、砲撃には直射型、誘導制御型、集束型がある。高町は集束型というレアスキルだ。しかし俺は射撃の直射型に分類される。基本的に直線型の弾からは一発の魔力弾しか発射されない。だがそれは安直な意見だ。

 ショットガンというものをご存知だろうか?多数の小さい弾丸を散開発射する大口径の大型銃であり、制圧力があるため地球のポリスでは市街地戦で使用されている。またショットガンには、いくつか弾の種類があり、飛び散る散弾以外にもスラッグ弾という単発弾も装填することが可能である。ハルコンネを使用していた初期の頃は、1発の魔力弾を発射していたが、弾の種類に散弾を加えた。デメリットとして長距離における威力は半減したが、かわりにそのデメリットを感じさせないメリットが生まれた。近接における制圧力の向上だ。初期に作製したハルコンネをこれ以上改良することが難しいと感じたため、近接戦、散弾、制圧というコンセプトを元に、ハルコンネ2ndを作製した。近接戦を想定しているため連射力を強化、散弾は半径5mに散乱し複数の敵を即座に制圧する。試射では60発/minの速度で連射する事が可能であった。それ以上の速度で連射した場合、マガジンの不具合が生じる。実戦には未投入だが、今回の模擬戦で実戦データが取れることは幸運だった。勿論このデバイスは

 

 

 

 

 はっきり言って

 

 

 自信作です

 

 

 

 

 

 

 

 射撃VS砲撃が開始された。

 BJには標準装備としてバリアタイプの防御魔法が使用可能だ。高町が現在発射している砲撃には2発程度耐えられると予測し作戦を練る。1発の砲撃に耐えた後、周りに散乱している鉄骨等を利用した即席の固定砲台(電気により作製)を作製する。勿論距離をとられない様に見えないように作製する。2発目の砲撃が俺に直撃した直後、ハルコンネ2ndを高町に向け連射する。高町は防御魔法を発動し防御を行う。

 

 

 いつまで耐えれるかな?

 

 

 

 

 

 高町side

 

 

アルパイン一佐には私の作戦は早々にばれているはず。でもやり遂げるしかない。最初に最大出力で砲撃を行うことも考えたが、一佐に回避された可能性を考えると、砲撃を連射し、相手の体力を消耗させるほうがいいと考えた。砲撃の威力を下げ、連射する事を重点においた場合、一発の威力は低下する。よって高度を下げる必要がある。案の上、一佐は廃墟を駆けずり回っていた。

 

 

 しかし突然一佐が動きを止めた。一瞬何かが始まるのだろうと、私の第6感が警告を発したが、それを無視して砲撃を発射した。その砲撃が一佐に命中したことは目視で確認できた。そしてダメージが入ったのだろう、よろけて廃墟に倒れこんだように見えた。倒れこんだ場所が私の視界から死角であったため、一佐を目視で確認するため魔力を溜めつつ目視で確認できる場所に移動した。この時功を焦って高度を下げてしまった事を後々後悔する。

 一佐を目視で確認し、砲撃を発射した。目視で一佐に直撃した事を確認したが、私は砲撃を継続するために再度魔力を溜める・・・しかし煙が晴れた場所には一佐が立っており、側にはあの凶悪な銃が固定されていた。私は本能的に防御をしてしまったが、幸運にもその選択肢は正解だった。防御魔法を発動した瞬間に体に大きな衝撃が走り、あろう事か衝撃は収まることは無く、断続的に継続した。一佐の射撃から逃れるためにこの場から離脱しようにも攻撃範囲が広範囲であるため動けない。それに連射の間隔が1秒もない。私の防御魔法が破られるか、一佐の魔力弾が尽きるか・・・そんな悠長な考えを砕く嫌な音が私の耳に響いた。そう私の防御魔法に皹が入ったのだ。そんなバカな!!たった・・・たった6発防いだだけで皹が入るなんて・・・冗談じゃない!!散弾で撃たれた人間がどうのように死ぬかは地球に居た頃ゲームや映画で見たことがある。非殺傷だから死ぬことはないと頭で分かっていても、本能が死ぬと警告を発している。しかし無常にも10発目で私の防御魔法は粉々となり、私の体には今まで経験した事の無い衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 薄れ行く意識の中、凶悪な銃を私に向けて発射する一佐の口の動きを思い出す。7発目ぐらいの時に一佐の口が動いているのを確認出来た。なんと言っていたのだろうか・・・

 

 

 

 

 ず?・・・・ず・・・た・・し・・・?た・・・・ん

 

 

 

 ず・・ず・・わたし・・・た・・ん?

 

 

 

 

 

 ああ

 

 

 

 そうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ずっと  わたしの  たーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






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