無表情、無感情で行くリリカルなのは   作:yudaya89

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第32話「信じる心」

 

 

 

 俺は今オモイカネと一緒にシステムメンテナンスに勤しんでいる。外とは完全に隔離されているため、外で何が起こっているか不明だ。オモイカネ経由で外の様子を探ればいいだろうと思う人もいるだろうが、はっきり言って困難です。何故なら、このメンテナンスの予定は、不測の事態に対応する時間以外は、隙間なく、キッチリ組んでいる。予定外の仕事を入れると、その分予定通りに進まず、俺の休憩時間(超貴重)が無くなってしまう。休憩時間など不要というブラックな考えがあると思うが、それは作業効率の低下を招いてしまい余計時間がかかる。よって貴重な休憩時間を潰すのは有り得ない行為だ。

 

 しかしその貴重な時間を台無しにしてしまうのが、この

「アウイン一佐、そろそろ休憩時間になります」

 

 そう、俺の監視役兼洗脳(出来なければ殺害)のドゥーエだ。何故正体が直ぐにわかったかというと・・・変装している姿が原作と同じだったためだ。そういえば、こいつは最高評議会の秘書兼メンテナンス役だったな。最高評議会の命令で俺を洗脳するために、食事に薬を混入してくる。勿論俺は嫌いな物が入っていると言って食べる事を拒否している(子供特権)が、それも長くは続かない。メンテナンスには集中力を使うため、カロリー消費が半端なく多い。既に飲まず食わずで2日経過しており、残り8日をやり過ごす事など不可能だ。まさに絶対絶命ってやつだ。分かっていたなら何故対策をしていない?と疑問に思うかもしれないが、ナンバーズのドゥーエが来るとか誰が予想する?出来んぞ。他の職員ならまだしも、暗殺や潜入に特化した相手に、武器無し、BJ無し、援軍無しの状況で勝てと?それも精密機械があるこのフロアで?この状況下で勝負しろと?勝利出来てもメンテナンスが未実施となり、2次被害が増大するだけとなる。そうまでしてドゥーエを倒す必要があるのか?・・・不要である。

 

 しかしそろそろ薬入りの食事に手を出さなければ、作業効率が維持できない。スキルで薬を分解出来ればいいが、生憎それを許してもらえそうにない。それに精密機械があるところで、不用意に電気を使うと機器に不具合が生じる可能性がある。食事後にトイレに駆け込み薬を分解してみようと思う。恐らく不可能に思えるが。

 

 覚悟を決めてドゥーエが要した食事に手を付けようとした瞬間、突如として部屋の扉が開き

「遅くなったな、アウイン一佐」

 そこにはBJを身にまとったレジアスがそこに居た。

「レジアス・・中将・・何故ここに?」

 しかしレジアスは変装したドゥーエの質問に一切答えず、不意打ちでドゥーエの鳩尾に左ストレートと入れ、くの字となったドゥーエの後頭部に肘鉄を与え意識を飛ばした。

「大丈夫か?」

 レジアスは俺を心配してくれている。しかし俺は

「ここ、せいみつきかいがある。こわれでもしたら、めんてなんすがぞっこうふかになる」

「そうか。すまないな」

 どうもおかしい。普通助けたのに、この言いぐさであれば「なんだその言い方は!」と怒る。

「どうしたの?」

「ん?なんでもない。ところで、この女性職員は誰だ?」

「しらないのにこうげきしたの?」

「アウインは一人で作業する予定の筈だろ?そこに誰かが居れば敵と判断してもいいだろう」

「・・・そうだね」

「で、誰だ?」

「さいこうひょうぎかいのひしょけん、めんてなんすよういんであり、じぇいる・すかりえってぃの手下」

「な!!ジェイル・スカリエッティだと!!」

「うん」

「では、こいつからジェイル・スカリエッティのアジトと最高評議会の場所を聞き出す必要がある」

「そのひつようはない。わたしのすきるで、いばしょはわかる」

 最高評議会場所とジェイル・スカリエッティの居場所をスキルを使用して読みだしたが、スカリエッティの居場所は分からなかった。

「すかりえってぃのいばしょはふめい。というよりもれんらくさきだけしかしらない。でもさいこうひょうぎかいのいばしょはわかった。このたてもののちかにある。えれべーたーにあんしょうばんごうをいれないといけない。ばんごうは『36098321』」

「すまない」

「れじあす?」

「なんだ?」

「あとのことはまかせて」

「すまない」

「あやまらないで。ごぶうんを」

「任せておけ!」

 

 

 

 レジアスが地下に向かったのを確認し、俺は監視カメラの映像に細工し、レジアスの姿だけ消去した。また扉等の開閉時間を調整し、エレベーターまでレジアスが誰にも会わないように調整した。

 

 俺が出来る事はここまでだ。あとは任せたぞ、レジアス中将!

 

 あと外ではジェイル・スカリエッティに攻撃されてるとの事だ。しかし俺は一切心配しない。なぜなら、原作とは違い、管理局員には全員BJが支給され、周りには俺の鍛え上げた部隊が鎮座している。もしもこれで本部に被害があれば、「殺す」と伝えている。何故?と思うだろう。これはメンツの問題なんだ。これまで消費した資源に対し、結果を全世界に見せなければならない。

 

 ジェイル・スカリエッティという犯罪者の攻撃にも物的、人的被害にはなしという結果を出さなければならない。休憩時間を削る覚悟で外の様子を確認した。結果は俺の予想通りとなっていたことに安堵し、端末でオーリスを呼び、ドゥーエを引き渡しメンテナンス作業を続行した。そしてドゥーエが知っていたジェイル・スカリエッティの連絡先にハッキングし、彼が持っている過去にレジアスが行ったと思われる違法行為のデータを全て極秘に消去しておいた。勿論俺の休憩時間が大幅に削られた事は言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レジアスside

 

 エレベーターまでに誰にも会わなかった。恐らくアウインが手を回してくれたのだろう。

 

 

 この下に全ての元凶がいる。

 

 

 ワシはもう逃げない

 

 

 ワシはもう悩まない

 

 

 ワシは・・・全てを変える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何だこの空間は?空中に板?が浮いている・・・これに乗ればいいのか?

 

 一枚の板にワシが乗ると、行き成り動いた。そして

 

 

 

 

『何故貴様がここにいる!!レジアス!!』

「全てを変えにきました」

『何だと!!』

『貴様!!何様のつもりだ!!』

「あなた方は偉大ですよ。旧暦の時代、未だ統制の取れていなかった数多の次元世界を平定してた。紛れも無く英雄です。しかし最近のあなた方のやり方には納得できない!」

『何だと!!あの小娘の事か!』

「そうです。アウイン・アルパイン一佐の事です」

『あの小娘は危険だ!』

『そうだ!あの歳であれだけの功績を残している。これから先、この功績を楯に何をするか分からない』

『そのために、今の内に首輪につなげておく必要がある』

「彼女は・・・彼女なりにミッドの未来について考えています。そしてその結果が今のミッド、管理局になります。その彼女が何故反旗を翻すと?」

『『『貴様は何も考えず、我々の言うとおりに動けばいい』』』

「理由も無く彼女を!?」

『あの手の小娘はいずれ反旗を翻す。過去数え切れない人間を見てきた。あの小娘はいつか我々に牙を向く。逆に尋ねようレジアス、何故彼女が我々を裏切らないと言える?』

「彼女には信念があります。ミッドを今以上によくする。そして自分はそれの礎になると」

『笑わせるではないか。なんだその理由は?貴様はそんな子供の夢見たいな理由で小娘を信じるのか?』

「信じます」

『レジアス、今ならまだ戻れるぞ?アウイン・アルパイン一佐を貴様の手で首輪を・・・』

 

 

 彼の言葉は続かなかった。なぜなら、彼の脳髄が浮かぶカプセルが割れてしまったからだ。レジアスが持っている拳銃型デバイスによって。

 

『な・・なんのまねだ!!』

「小娘一人、信じられない管理者等、不要ということですよ」

『や・・やめ!!』

 

 彼のカプセルも割れてしまい、もう言葉を発することは出来ない。

 

『レジアス貴様!!』

「ここに手ぶらで来ると思いましたか?私も射撃訓練は受けておりましてね。こんな大きい動かない的など簡単に当たりますよ」

『何故だ!!何故貴様はここまでする!!貴様も我々と同じく、あの男に「あなた方がいう、小娘を信じたからですよ」何だと?』

「たかが3歳の小娘に諭されたんですよ。今まで自分が信じて進んでいた道が、実は破滅へ続く道だとね」

『・・・』

「だから・・・彼女を信じない大きな膿は、早急に管理局から排出しなければならない」

『ふっ、一つだけ忠告してやる。我々が作り出したジェイル・スカリエッティも最初はそうだった。我々の言葉を信じ、我々も彼の言葉を信じた。しかしあの男は変わってしまった。今や我々に牙を向いている』

「それは彼が悪いわけじゃない。彼の育った環境が問題なのです。あなた方はあなた方の思想を彼に無理強いしてしまった。そして成長した彼はその思想の矛盾点や疑問点がある事に気付いたが、あなた方が彼を弾圧してしまった。自分の考えを一方的に否定されれば、誰しも不満を覚えますよ。それが募りに募り、彼は爆発してしまった・・・」

『・・・』

「これだけは言えます

 

 

 

 彼女、アウイン・アルパインを

 

 

 ジェイル・スカリエッティと

 

 

 

 同じと言うのはやめて頂きたい!!」

 

 

 

 

『お前にそこまで言わせた小娘・・・いやアウイン・アルパインと一度ゆっくり話をしたかった』

「・・・」

『レジアス?お前の信じたアウイン・アルパインが一体これからどうなるか、地獄から見ていてやる』

「はい」

 ワシはカプセルに狙いを定め

『あの若造だった貴様が・・・立派になったな』

「今までありがとうございまいました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      「Hasta la vista」

 

 

 

 

 





 順調に使いたかったセリフを消化しています。

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