ACE COMBAT Skies Rewritten   作:遠い空

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この話はウスティオ傭兵サイドです。


真の目的

[1995年3月31日1454時/ヴァレー空軍基地/格納庫]

 

 

 

 

 場所は離れ、サンド島より遥か北東に位置するウスティオ共和国。

 ベルカ戦争開戦により真っ先に侵攻され、5日足らずで領土の90%を占領された。

 ベルカ軍のほとんどは戦闘に長けた熟練部隊で、武器の性能も他国よりも優れていた。

 ベルカの電撃的侵攻により、ウスティオ軍は対処できず大半以上が壊滅し、ウスティオ軍総司令部はノルデンナヴィクにある世界最大の傭兵派遣会社、マクミラン・マーセナリー社から傭兵を雇うことにした。

 この雪山の中に位置するヴァレー空軍基地はウスティオ軍最後の砦であり、傭兵達を集わせ守りを固めていた。

 

 

 格納庫にひとりのパイロットが自分の愛機F/A-18Eを眺めていた。

 このパイロットこそ、スカーフェイス隊2番機、スラッシュのコールサインを持つ、若き傭兵時代のジョン・ハーバードである。階級は少尉だ。

「ハーバード、機体を眺めてどうした?スパホが気に入ったか?」

 そこに顔に傷のついたパイロットがやってきた。彼は自分の顔を部隊名にしたパイロットだ。

 彼こそ、ユージアクーデターでユージアを守ったパイロット、スカーフェイス隊隊長フェニックスのコールサインを持つソロモン・ラグテンコだ。階級は少尉である。ハーバード少尉と同い年で、傭兵になってからの付き合いである。

「俺にとっては思い入れのある機体だ。オーシア空軍時代に愛用した機体だからな。傭兵になってからいろんな国の機体に乗ったが、スパホが一番だ。」

 ハーバード少尉は愛機について語る。

「初めて乗った機体には思い入れが強いからな。俺もこのフランカーが愛機だ。ユークの奴らが新しいフランカーを開発中らしいが、俺はこのフランカーがいい。性能よりも戦闘機に対する愛が重要だ。」

 ラグテンコ少尉はF/A-18Eの隣に並んでいた青紫迷彩のSu-35に手を添えた。

「こいつの魅力はこの独特のエアインテークだ。この形状は他の戦闘機ではまず目にしない。MiG-29も似たようなもんだが、フランカーと比べたらフランカーが上だ。それに何よりカナードがあるのがいい。カナードがあることによってよりスマートに、よりカッコよく見える。それから…」

 ラグテンコ少尉はフランカー愛好家であり、特にSu-35のこととなると話が止まらなくなってしまう。

「ラグテンコ、語りすぎだぞ。お前はフランカーのことになると止まらなくなるから途中で止めないと大変なことになっちまう。」

 ハーバード少尉がラグテンコ少尉の長話を止めさせる。

「別にいいじゃねぇか。好きな時に好きな愛機について語ってもよ。」

「語るのはいいが、できるだけ短くまとめろよ。聞いてる方が飽きてくるぜ。」

 するとひとりの女性パイロットがやってきた。

「あんたら何騒いでんの?そろそろ撮影の時間だよ。エプロンに来ないと戦死扱いするわよ。」

 彼女はスカーフェイス隊3番機、エッジのコールサインを持つ女性パイロット、ケイ・ナガセだ。彼女も階級が少尉だ。清楚な外観とは裏腹にかなり男勝りな性格である。彼女もハーバード少尉と同い年で傭兵になってからの付き合いである。当たり前だが、のちのウォードック隊2番機とは別人である。

「ったく、きついジョークだぜ。今行くぜお嬢さん。」

 ハーバード少尉がジョークで返す。

「今度お嬢さんって言ってみなさい。あんたのたまたま蹴り飛ばすわよ。」

 ナガセ少尉はニンマリしてさらにきついジョークで返す。

「それだけは勘弁だぜ!本当に死んじまうよ!」

 ハーバード少尉は股間を手で隠しながらヘタレた声で怖気付く。それを見てナガセ少尉はクスクス笑う。

「おっかねぇ、ナガセにゃあかなわねぇな。」

 ラグテンコ少尉は顔を青ざめる。

「ん、なんか言った?ラグテンコが隊長だからって容赦しないわよ。」

 ラグテンコを見てニンマリする。

「いやぁ…、何も言ってねぇよ。(見た目はかわいいのに、中身はバケモンだな)」

 3人は楽しく雑談しながらエプロンに向かった。

 

 

 

 

[1995年3月31日1500時/ヴァレー空軍基地/エプロン]

 

 

 

 

 今日はマクミラン・マーセナリー社の傭兵達が全員ヴァレー空軍基地に到着したので、作戦前の集合撮影を行うことにした。

 単純に記念撮影でもあるが、戦場で必ず全員生き残るという意思をブレさせないための撮影である。

 傭兵は軍人と違い、捨て駒のような扱いをされている。今回ヴァレー空軍基地に集まった傭兵達も御多分にもれず、上からはそう見られている。だが、彼らは捨て駒のような扱いを嫌っていた。己を超える敵と戦いたい奴もいれば、金だけに執着する奴、単純に破壊が好きな奴など様々いるが、共通するのは必ず生き残るというモットーを持っていることだ。死んでしまえば自分の望む目的が達成されないからだ。

 彼らは毎回戦地に赴けば集合写真を撮り、生き残る意思を固め、すべての任務が完了すれば最後に生き残った者だけで撮影する。

 残念ながら毎回戦地に赴くたび戦死者は必ず出てしまう。最後の撮影では半分以上の傭兵が撮影現場にいないのが現実だ。

 史実のベルカ戦争でも、まともに生き残ったのはスカーフェイス隊3人を含め数名だけである。ちなみにベルカ戦争最後の撮影日は国境なき世界壊滅後の1996年1月1日に撮影されたものである。

 なぜベルカ戦争終戦後ではないかというと、ほぼ壊滅したウスティオ空軍の支援のため、契約期間が1995年いっぱいまでになっていたからである。

 そのため、国境なき世界のクーデター壊滅作戦に円卓の鬼神ら傭兵が参加できたのである。もちろん、スカーフェイス隊も参加した。

 

 

 エプロンにぞろぞろ傭兵達が集まる。背景にはマクミラン・マーセナリー社のロゴが描かれた幕が張っていた。

「あんたがガルム1か?俺は新しくガルム隊2番機に配属されたラリー・フォルクだ。作戦中はピクシーと呼んでくれ。」

 F-15Cで片羽を失った状態で帰還したパイロット、片羽の妖精ことラリー・フォルク少尉がひとりの男に話しかけていた。

 この男こそ、ベルカ戦争でベルカ人に畏怖を、連合軍に敬意を受け、のちに円卓の鬼神と呼ばれることになるガルム隊隊長エドガー・アイザック少尉だ。とにかく寡黙な男で、基本的には何も喋らない。

「…そうか、俺の隊の2番機だな…。こちらこそよろしく頼む。好きに呼んで構わん…。」

 アイザック少尉は無愛想に答える。

「おっ、おう…。そんじゃあ、あんたのことは相棒と呼ばせてもらうよ。こっちこそよろしくな、相棒。」

 フォルク少尉は無愛想な返答に戸惑ったが、呼び名を決めて返事を返した。

 アイザック少尉は一言返事し、空を眺めていた。

「今日は綺麗な青空だ。雪景色と西日が合わさっていっそう眺めがいいな。」

 フォルク少尉が空を眺めて呟くが、アイザック少尉は黙って空を眺めていた。

「皆さん、並んでください!集合写真を撮ります!」

 カメラマンが集合をかける。

 マクミラン・マーセナリー社の傭兵全員が2列に並ぶ。

 全員が並び、カメラマンが合図をして写真を撮った。

 

 

 この写真には傭兵達の生き残るという意思が込められている。

 

 

 ハーバード機長が写真立てに入れていた写真もこの写真だ。

 

 

 ハーバード機長の目的には未来を変える他にも、仲間の傭兵達を全員生き残らせるという目的も入っている。

 

 

 このことはハーバード機長以外誰も知らない。

 

 

 これが、ハーバード機長の真の目的である。

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回はウスティオの傭兵サイドのシナリオを書きました。次も内容的には傭兵サイドになると思います。そろそろ説明文的な内容で飽きているところだと思いますので、戦闘シーンがあるシナリオにしたいと思います。
次回もいつになるかわかりませんが、よろしくお願いします。
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