ACE COMBAT Skies Rewritten   作:遠い空

20 / 28
機内の案内 後編

[1995年4月2日1723時/アークバートⅡ/機長室]

 

 

 

 

 一方、一通り案内が終わった機長らは雑談をしていた。

 食堂ではウォードック隊員たちはアルタイル隊隊員と、機長室ではハーバード親子が自分たちの活動や昔話など、色々長話をしていた。

「いきなりぶっ飛んだ作戦だなぁ。まぁ、確かにベルカの反撃手段を奪ういい作戦だ。」

 ハーバード基地司令官はハーバード機長の立案した作戦内容を聞き感心していた。

「この作戦はクルーの主要メンバーと何度も話し合いを重ねて考えた作戦だ。まだいくらか修正箇所は残っている。なかなか難しいところだよ。」

 ハーバード機長は作戦の立案にかなり苦労した様子だ。

「ところで物資とかはどうなったんだ?」

 ハーバード機長が尋ねる。

「ああ、友人からの情報だと積み込み作業は完了したそうだ。秘密裏に進めるから今日の深夜にセントヒューレット軍港を出るらしい。あと4日くらいはかかるんじゃないかな。」

「そうか、それは良かった。戻ったら皆んなに知らせ…ん、メールか?」

 ハーバード機長は胸ポケットからN.Phoneを取り出す。

「その薄っぺらい四角い電話にはメールもついてるのか?便利だなぁ。」

「それだけじゃないぜ。カメラで撮影、インターネットに接続してサイトの閲覧やテレビ電話、さらにはこうやって立体映像を出すこともできる。」

 ハーバード機長は実演する。

「ほっほぉ〜、こりゃ凄い!未来の電話はここまで進化するのか!」

 ハーバード基地司令官はN.Phoneに驚いていた。

 ハーバード機長は立体出力された状態でメールを開いた。

「ふむ、少し面倒なことになったな。」

「どうしたんだ?怖い顔して。撃墜リストに誤差が出たとか聞いてあるが?」

「私たちがやってきたことによる史実とのズレが表面化してきたようだ。作戦に影響が出なければいいが…。」

 ハーバード機長は顎に手を添える。

「その様子だと、私たちは帰った方がいいかもな。」

 ハーバード基地司令官は息子を気遣った。

「いや、気にしないでくれ。せっかく来てくれたんだから、もう少しのんびりしていって大丈夫だよ。」

「そう言うわけにはいかない。厄介な問題が発生したんだろう?だったら今はその事を優先しなさい。」

 息子の返事に対し、ハーバード基地司令官は問題を優先するよう答える。

「すまないな親父。それじゃあ、ウォードック隊員たちを呼んで船舶格納庫に向かおう。」

 ハーバード機長らは機長室を出て食堂へ向かった。

 

 

 

 

[1995年4月2日1724時/アークバートⅡ/食堂]

 

 

 

 

 その頃、食堂ではウォードック隊員4人とアルタイル隊員3人が戦闘機パイロットの経験談を語っていた。

「俺はテロリストがうじゃうじゃいる戦場でベイルアウトしてな、そこが敵地のど真ん中ってわけよ。俺は手持ちの拳銃と座席に付けられていたアサルトライフルを手に敵に見つからないように隠れながら敵地の脱出を計ったんだよ。途中で敵に見つかって怪我しながらもなんとか戦線に辿り着いたんだ。あん時は死ぬかと思ったぜ。」

 ヒヤマ大尉は過去の経験談を話していた。

「ちなみにこいつは何度もこんな目にあってるんです。パイロットとしての腕は怪しいですが、強運の持ち主です。何があっても必ず帰還する男です。」

 アレンスキー大尉がヒヤマ大尉について付け加える。

「隊長!一言余計なことが多いぜ!」

 ヒヤマ大尉がツッコむ。

「しかし、あんたスゲェんだな。何があっても必ず帰還するって惚れちまうぜ。」

 バートレット中尉がヒヤマ大尉に感心する。

「ブービー、だからと言って機体をボロボロになって帰還するなよ。確かに『機体は消耗品、パイロットが生還すれば大勝利』って教えたけど、コストがかかるんだからな。こいつは訓練でも任務でもいつも機体をボロボロに帰ってくるんです。俺としてもこれから先が心配で心配で…。」

 ジョンソン大尉がバートレット中尉についての苦労話を話す。

「大丈夫だって隊長!俺は必ず生きて帰還するって!」

 バートレット中尉はジョンソン大尉を励ます。

「ブービーがそう言ってくれると嬉しいが、くれぐれも墜ちるなよ。特に機体を少しは大切に扱うこと!」

「あいよ!」

 ジョンソン大尉は注意し、バートレット中尉が返事をする。

「どの時代も隊長務めは苦労しますね。」

 アレンスキー大尉がジョンソン大尉の苦労に共感する。

 楽しく話していると、食堂の自動ドアが開きハーバード親子が現れる。

「ウォードック諸君、そろそろ帰るぞ。」

「アルタイル諸君も付いてきてくれ。見送りに行こう。」

 ハーバード親子が指示を出すと、ウォードック・アルタイル両隊員は食堂を後にし船舶格納庫へ向かった。

 

 

 

 

[1995年4月2日1730時/アークバートⅡ/船舶格納庫]

 

 

 

 

「今日は私のワガママを聞いてくれてありがとう。貴重な経験になった。」

「アルタイル隊の皆さん、パイロットとしての経験談を聞けて嬉しかったです。今後の訓練や任務にも参考にさせてもらいます。」

 ハーバード基地司令官とジョンソン大尉は今回の体験について礼を言った。

「どういたしまして。これからも元気でいてくれよ親父。」

「いえいえ、こちらこそ先輩方の話を聞けて光栄でした。これからの訓練・任務を頑張ってください。」

 ハーバード機長とアレンスキー大尉も礼を返した。

 最後は船に乗って出発するところを敬礼し見送った。

「行っちゃったな。もう少し話聞きたかったな。」

 マクドネル大尉が呟く。

「ああ、行っちまったな。あの人が話に聞いてたラーズグリーズ育ての親、ジャック・バートレットさんなんだな。スゲェ話しやすかった。」

 ヒヤマ大尉も便乗して呟く。

 ジャック・バートレットは環太平洋戦争以後、軍には戻らず平穏な暮らしをしていたが、彼は2020年の環太平洋戦争公開以後ラーズグリーズの育ての親として名前だけ公開され広く知れ渡り、彼がラーズグリーズに教えたことは教科書に載るほどである。

 特に『機体は消耗品、パイロットが生還すれば大勝利』という教えはパイロットを尊重する教えとしてパイロット育成に一躍買った。

 ちなみにこの教えをバートレット中尉に教えたのはジョンソン大尉である。ジョンソン大尉も以前のウォードック隊隊長から教わっていることから本来はウォードックの教訓だったのである。

「さてと。マクドネル大尉、管制室に向かおう。少し厄介なことになってしまってな。」

 ハーバード機長がベレゾフスキー主任のメールについて話す。

「了解です。確かに早く解決させたほうがいいでしょう。」

 ハーバード機長とマクドネル大尉は管制室に向かった。

「タイムスリップ関係の話だろ。俺にゃサッパリわからねぇ話だよ。」

 ヒヤマ大尉は愚痴る。

「まったくだ。さて、俺たちもやることやるか。」

 アレンスキー大尉はそう言ってヒヤマ大尉と格納庫を出た。

 

 

 

 

[1995年4月2日1737時/アークバートⅡ/管制室]

 

 

 

 

 ベレゾフスキー主任が改めてハーバード機長とマクドネル大尉に詳しく問題点を説明した。

「なるほど、確かに厄介なことですね。本来は墜落する運命の人が生きているとなれば、史実より戦力が大きくなることは避けられないでしょう。ましてや元々実力の高いベルカ空軍ならなおさらでしょう。Z.O.E.が操縦するADF-02ならともかく、人間が操縦するR-100は大軍戦や長期戦に持ち込まれたら厄介です。今回のバタフライエフェクトの影響はこれからもっと大きくなるはずです。」

 マクドネル大尉は意見を述べる。

「ちなみに、ベルカ空軍生還者について調べたのか?」

 ハーバード機長がベレゾフスキー主任に問いかける。

「生還者についてはこの時代のベルカ空軍データベースの情報と史実のデータを照らし合わせて調べました。ほとんどは長らくベルカ海軍防空任務に就いていますが、一部は戦力増強のためベルカ内陸から派遣された部隊がいます。流れからしてしばらくは内陸に戻らなそうですが、どうでしょうか?」

 ベレゾフスキー主任が生還者について説明する。

「我々の作戦に影響はない可能性が高いかもしれないな。しかし、何が起こるかわからない。派遣された部隊以外にも何らかの事情で内陸に派遣される部隊もいるだろうな。それを考慮して少し作戦を修正しよう。物資・燃料は親j、いやサンド島基地司令官から4月7日に到着するだろうと言われた。作戦は到着のズレや準備があることを見込んで4月10日に実行しようと思う。ベレゾフスキー主任は史実の4月10日のベルカ空軍の動きやイエリング鉱山とアヴァロンダムの情報について調べてくれ。」

 ハーバード機長はベレゾフスキー主任に任務を与えた。

「了解しました!徹底的に調べます。」

 ベレゾフスキー主任は同僚や部下に指示を出しコンピュータにのめり込んだ。

「さて、私たちも作戦について考えよう。」

 ハーバード機長はそう言ってマクドネル大尉と部屋を後にした。

 

 

 

 

[1995年4月3日0103時/セントヒューレット軍港/貨物船ドック]

 

 

 

 

 セントヒューレット軍港はオーシア海軍が所有する軍港が存在し、さらに大きな工業地帯が日夜問わずフル稼働している。

 深夜のセントヒューレット軍港は工業地帯がライトアップされ、工業地帯マニアからは人気の名所となっている。

 そのセントヒューレット軍港の中に『西オーシア海上運輸株式会社』という海上運輸会社が存在する。セレス海側の大手海上運輸会社だ。

 主に石油燃料や貨物の運輸が中心で、外国の運輸以外にもサンド島の燃料供給を担当している。

 立地的にサンド島から海上による燃料供給や物資供給ができるのはセントヒューレット軍港が一番近い。さらにサンド島を担当しているため、この会社はオーシア空軍との繋がりも深い。

 サンド島の燃料供給はこの会社のタンカーによって運搬するが、物資供給は基本オーシア空軍から輸送機で運搬することが多い。

 今回は秘密裏に事を進めるため、燃料・物資共にタンカーで深夜に運搬することになったのである。

 貨物ドックには今回2隻のタンカーを運航する担当者40人と社長が集まって出港前のブリーフィングをしていた。

「いつも通り、サンド島に石油タンカーで燃料を運搬するが、今回は貨物タンカーを使って物資の運搬も行う。それと理由はよくわからないが、オーシア空軍のお偉いさんから今回の運搬は秘密裏に行ってほしいと言われた。サンド島に何かあるみたいだが、それは軍の機密らしいから見たとしても口外しないでほしい。口外すれば処罰の対象になるし、最悪会社が潰れる恐れがある。慎重に行ってくれ。質問のある者は?」

 質問は特になく、解散して担当者は担当のタンカーに乗った。

「今から出港すれば、4日でサンド島に到着する。貨物タンカーは石油タンカーの後に付いてくれ。」

 石油タンカーの船長は貨物タンカーの船長に無線で連絡する。

 貨物ドックから2隻のタンカーが出港する。軍港付近は深夜でも輝き、工業地帯は美しくライトアップされ、金属工場は赤く染まっている。

 セントヒューレット軍港の象徴であるセントヒューレット大橋の下をくぐると、夜の黒いセレス海が広がり空には星が輝いている。

 月齢は上弦の三日月のため、月はなく周りは星の光以外宇宙空間のように真っ暗である。

 2隻のタンカーは闇夜の中、サンド島へと向かって行った。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
用語集を更新しました。

用語集(2030年 兵器編)
《N.Phone》
《エアロコフィンシステム》
《Z.O.E.(ベルカ戦争後)》

用語集(1995年 兵器編)
《コフィンシステム》
《Z.O.E.(ベルカ戦争以前)》

以上を更新しました。
これからも応援よろしくお願いします。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。