ACE COMBAT Skies Rewritten 作:遠い空
[1995年3月30日1430時/サンド島近海/小型船]
アークバードⅡは無事着水に成功し、人工衛星に見つからないように機体上部のみ光学迷彩をかけた。その後サンド島上陸のため、機体上部にある船舶格納庫から小型船を1隻出した。
アークバードⅡ全乗員56名のうち3名が小型船に乗った。乗っているのはハーバード機長、アレンスキー大尉、マクドネル大尉の3人だ。
「どうやら私たちを迎えに来たようだな。」
サンド島に小型船を走らせている中、サンド島側から1隻船がやってきた。
「こちらサンド島基地司令官ビリー・ハーバードだ。あなた方を迎えに来た。我々についてきてくれ。」
船についているスピーカーからハーバード基地司令官の声が響く。
「こちらアークバードⅡ機長ジョン・ハーバード。我々を受け入れてくれたことを感謝します。」
ハーバード機長は船内のマイクを使って応える。
2隻の船はサンド島に向かっていった。
[1995年3月30日1441時/サンド島基地/来賓室]
「どうぞ遠慮なく座ってくれ。」
ハーバード基地司令官はアークバードⅡから来た3人をソファーに座らせた。
「うーむ…。本当にあなたはあの馬鹿息子のジョンなんだな。見た目は私より年上の爺さんだが、顔の特徴が同じだ。特に鼻の穴がデカイからなぁ。」
「よくわかってるな。流石は親父だ。鼻の穴がデカイのは、ガキの頃に指突っ込んで鼻をほじってたからな。」
「ああ、その通りだよ。まったく、あの頃は注意しても言うこと聞かずにほじりまくっていたからな。お前がガキの頃が懐かしいよ。ところで、今は何歳なんだ。」
「我々は2030年からやってきた。私の年齢は62歳だ。親父は昨日誕生日だったんだね。55歳の誕生日おめでとう。」
「年上の息子に誕生日を祝われるのは変な気分だなぁ、はははははは!」
見ての通り、ただの親子の楽しい会話である。
(機長はあんな人物だったんだなぁ…)
(年上の息子が、年下の父親と会うっていうシチュエーションを小説以外で観れるとはなぁ。痺れる展開だ!)
取り残された2人はハーバード親子の会話を見ながら、心の中で呟いていた。
「そういえば、この頃の私は傭兵をやっていたんだよな。」
「ああそうだ。あの馬鹿息子は何を考えてるのか!空軍に入って上司にケンカ売って、空軍やめたと思ったら、今度は傭兵ときた!まったく理解できん!」
「あれには理由があったのさ。私はただ戦闘機で空を自由に飛びたかった。でも、傭兵になって酷い戦争や国のために戦う兵士を見て気が変わったんだ。『国を守る信念』とはなんなんだろうかってね。まぁ、そこから色々あって、私は生まれた国を守る仕事に就いたのさ。」
「お前もいろんな人生歩んだんだなぁ。じゃあ、今のあいつは自分自身と戦っているわけだ。…父親ながら、あいつのことを理解できんとは、情けない話だ。」
「親父は何も悪くないよ。今親父にできるのは、この時代の私をそっと見守るだけでいいんだよ。それだけでも嬉しいからさ。」
親子の会話はさらに奥深くなる。取り残された2人はそろそろ限界だった。
「あのぉ…ハーバード機長、そろそろ本題に入りませんか?」
アレンスキー大尉が感情を押し殺しながらハーバード機長に話しかける。
「あっあぁ、これはすまなかった。何年か振りに親父と会ったからつい話が弾んでしまってなぁ〜。はははははは!」
アレンスキー大尉とマクドネル大尉はハーバード機長の無邪気な様子に呆れていた。
[1995年3月30日1441時/サンド島基地/沿岸部]
来賓室でハーバード親子が感動の再会を果たしていた頃、サンド島沿岸部ではアークバードⅡを興味深く観ている野次馬が集まっていた。
「なーんだありゃ?アークバードとか言ってたが、あれが未来のアークバードなのか?なんか機体の上半分が蜃気楼みたいに歪んでっけど…。」
バートレット中尉は双眼鏡でアークバードⅡを興味深く眺めていた。
「アークバードっつったら、あれだろ?オーシアが打ち上げた馬鹿でかい宇宙ステーションみたいなやつだろ?未来のアークバードは大気圏内でも行動できて、着水機能を備えつけてるのか?しかも何だ?映画で観る光学迷彩かあれ?スゲェな…。」
ベイカー中尉がアークバードⅡの機能について驚いていた。
というのも無理はない。
アークバードはオーシアのSDI(戦略防衛構想)計画のもと、1980年に打ち上げられた大気機動宇宙機である。巨大航空機技術はオーシアオリジナルであるため技術的に難があり、大気機動宇宙機というよりも宇宙ステーションに近い立ち位置であった。
本来なら武装して軍事転用するはずだったが、技術的にうまくいかず、最終的に衛星兵器SOLGを開発して軍事転用することにした。SOLGは1995年現在も開発中で、アークバードを使って宇宙空間で組み立て作業をしている。
そのアークバードが2030年には大気機動宇宙機以上の役割を果たしているのだから驚きである。
「あいつら、未来から来たとか言ってたが、信用していいのだろうか?あいつらはこれから起こる事全てを知っている。」
スヴェンソン中尉はアークバードⅡの存在を信用していなかった。
今は何もしないだけで、いつか敵になると思っていたのだ。敵になってしまったら技術的に敵わないのだ。
「スヴェンソン中尉の言う通りだ。迂闊には信用できない。あんなオーバーテクノロジーの塊が敵に回ったらとんでもない話だ。とても敵う相手ではないだろう。ハーバード基地司令官は何を考えて受け入れたんだ?」
ジョンソン大尉はハーバード基地司令官の行動が理解できなかった。
というのも、アークバードⅡの機長とサンド島基地司令官が親子だという事をまだ知らないので無理もない。
まだ何も知らされていないサンド島のクルーやウォードックたちは不安でならなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
アークバードの設定をwikiで見て、1980年に打ち上げしていたことを初めて知りました。ちょっとそれで設定が狂ってしまいましたが、なんとかうまいことまとめたつもりです。
アークバードの項目を用語集に追加しておきます。
これからもよろしくお願いします。