「いいか!両手剣は基本的に振り下ろししかしない武器だ。リーチと重量、この二つを活かせるのはこれだけだ!徹底的に鍛えろ!これだけでいい!」
教官の教えを基に黙々と素振りを続ける。既に腕は疲労で震え、汗は際限無く滴り落ちる。
「動きを止めるな!足を動かせ!剣を振れ!動きを体に染み込ませろ!」
右肩の上に持ってきた剣を左下へ振り下ろす。そのまま勢いに任せて、左側で縦に一回転させ、左肩の上へ。
この動作を左右両方で行う。両側で剣を回すのだ。
これが風車という技法。両手剣の基礎であり、真髄なんだとか。この技術によって、隙を大きく減らす事が出来る。
実際に教官達の模擬戦を見たが、片手剣を持った教官を寄せ付ける事など無く、風車の有用性を俺たちに証明した。
この技術は、歩法と組み合わせることで、様々な攻撃が放つ事が出来て非常に発展性がある。
「……99!……100!よし!訓練終了だ!」
……いつの間にか訓練は終了していた。考え事をしていたせいか時間が経つのは早く感じる。
「今日の基礎訓練は終了。次回は2日後だ。しっかり体を休めろよ。」
今日の訓練は終了のようだ。中々にキツイものである。
次回は2日後か……。体を鈍らせてはいけないな。自分でトレーニングでもするか。
「ああ、そうだ。言い忘れたが、お前たちは多分、明日は体がガタガタになる。自分でマッサージなり、公衆浴場行くなり、何らかのケアをしておけよ。自分の体のケアが出来ない奴は冒険者には向いていない。それを覚えておけ。いいな?
良し!全員解散!」
訂正しよう!明日は休養日だ。終日。絶対に!
「ふぅー。やっぱり風呂は、いいな!」
現在俺が居るのは、都市北部の養成学校付近にある公衆浴場だ。
初の基礎訓練を終えて、くたくたな俺とアレンはとりあえず汗を流すことに決めた。
公衆浴場は、少しの料金で清潔な湯に浸かれる、市民の娯楽の場だ。冒険者の街ということで、この都市には公衆浴場は沢山ある。
数多くある公衆浴場の中でも、ここを選んだには理由があるのだ。
『日本人×お風呂=牛乳』
この方程式は日本人にとっては普遍的なものだろう。
熱い風呂と冷たい牛乳。
その組み合わせは最高だ!
此処は、その日本人的感性を多いに満たすことの出来る場所なのだ!
ただ、アレンにはその良さが分からないらしい。
牛乳なんて子牛の飲み物で人間の飲み物なんかではないと、俺に力説していた。
一度、湯から上がり牛乳を飲んで、また入り直す。
ある種の贅沢だ。
「また入るのか?飽きないな。ワタルも。」
「毎日入りたいもんだな。アレンはそうは思わないか?」
「冒険者になって、稼ぎまくれば入り放題だろうな。……お前ほど入りたいわけじゃないが。」
「冒険者か……。どんなもんなのかね?」
ギルドでの2年間に及ぶバイトは、俺に冒険者になろうと思わせるには充分な時間だった
モンスターとの命のやりとり。ハイリスクハイリターンな職業だ。
命を賭けるほどの職なのか。
「どんなもんって、それを学びに行ってるんだろ。学校に。知ってたらわざわざ学校なんざ行かないだろ。」
「……!それもそうか。」
アレンらしい返答だった。
「……なぁワタル。冒険者で思い出したが、一緒にパーティー組まねぇか?」
「パーティー?ああ、構わないぜ。」
「良かったぜ。断られたらどうしようと思ってたんだ。」
「寧ろ、俺から誘おうと思ってたぐらいだ。」
「そうかそうか。……改めてよろしくな!ワタル!」
「ああ、こちらこそよろしく!アレン!」
「早速だけどよ、面白い情報があるんだ。」
「面白い情報?どんなんだ?」
「あんまり回りの奴に聞かせたくないな。冒険者学校の奴がいるかもしれない。」
「そんなにヤバイのか?」
「まあある意味ヤバイな。」
「そこまでなのか。……くだらないことじゃないよな?」
「ああ保証するぜ。……ちょっと耳貸せ。」
「そこまでする意味あるか?まあいいけどよ。」
「冒険者として依頼を受けたり、迷宮探索に出たりするには、冒険者資格が必要だろ?」
「そうだな。確かに必須だ。」
冒険者にはランクがある。
下から、F、D、C、B、A、AA、Sの並びだ。
ランクFで受けられるのは、簡単な採取や討伐依頼だけだ。
逆にランクSなら、他国の王族などからの依頼を受けることも多い。
また、ランクB以上は
ちなみに俺は冒険者養成学校を卒業することでランクDの資格が得られる。DからCに上がるには
中々難しいようだが、クリアしたパーティーは殆どがランクB以上に成長する。要は未来があるかを確かめる為のクエストなのだ。
ただ、冒険者資格を得るには2種類の条件がある。1つは年齢。20歳以上であれば、ギルドでしかるべき手続きをとることでランクFの冒険者になれる。もう1つは、冒険者学校を卒業すること。これには、年齢制限は無い。しかしながら、俺達にとって卒業はまだまだ先の話だ。
「取れるらしいんだ。冒険者資格。」