「貴様、何者だ?」
ランサーが警戒のためか、己の武器の切っ先をこちらに向け質問した。セイバーもランサーと同様に構え、ライダーは腕を組んでこちらを見ていた。
「何者って言われても、サーヴァントとしか言えないのだが?」
何を言っているんだ?という感じで俺は質問に答えた。
「けど、一応自己紹介はしておいたほうが良いかな?」
そう言って、片方の足を少し後ろに下げ、
「お初にお目にかかります。俺は間桐雁夜のサーヴァント。クラス名は言わないが、以後お見知りおきを」
そう挨拶をした。一応執事をイメージした挨拶だったんだが、どこか悪いところあったかな?
「クラス名を言わない?貴様、どういう意味だ?」
「俺のクラスは自分で言うのも何だが、ややこしいんでね。話さなくても良いかなと思って。それにわざわざ敵に自らの情報を出すのは気が引けるし。まぁ同盟を組むといったことが有れば、同盟相手には話すけどね」
「クラスがややこしい?お前はキャスターかバーサーカーのどれかじゃないのか?」
ランサーの問いにそう答えると、ライダーのマスターの少年がさも当然な質問をしてきた。
「残念ながらそのどちらでもない、八つ目のクラスだ。といっても俺は
「八つ目のクラスだと!?そんなの聞いたことがないぞ!!」
俺の答えにセイバーが驚きゆえか大きな声で反論してきた。まぁ、普通はそうだよな。
「見たことも聞いたこともないのなら、今お前らの目の前に奴がそうだ。この世に
セイバーの反論にそう答えた。
「なぁ、征服王。あいつには誘いを・・・・」
「ほほう!!どのクラスでもないサーヴァントとは珍しい!どうだ?余の配下にならんか?」
ランサーがライダーに話題を振ろうとしたが、その前に俺を勧誘してきた。さっき両方から思いっきり断られたのに、本当に度肝を抜かされるよ。
「おま、さっき総スカンを食らったばっかりじゃないか!少しは考えろよ!」
「馬鹿もん、試しもせんうちに諦める奴があるか!」
物は試しとはよく言うもんだ。これが師匠に仕える前ならば考えてただろうが、
「勧誘してくれた事はとても嬉しいんだが、俺はもう仕えている人がいるんでね。あ、マスターにもだが、マスターに仕える前にある人に仕えているんだ。その人を裏切るつもりはないのでね、なのでお断りさせていただこう」
そう丁重にお断りさせていただいた。そんな話が終わった丁度いいタイミングで
「そうか、よりにもよって貴様か。一体何を血迷って私の聖遺物を盗み出したのかと思ってみれば、まさか君自らが聖杯戦争に参加する腹だったとはね。ウェイバー・ベルベット君」
「ケ、ケイネス先生……」
そんなやり取りが行われていた。今の会話ではどうやらライダーのマスターの少年とランサーのマスターらしき人物は師弟?関係のようだ。そしてライダーは本来、ウェイバーという少年ではなくランサーのマスターが契約するはずだったらしい。
「致し方ないなぁウェイバー君。君には特別に私が課外授業を受け持ってあげようではないか。魔術師同士が殺しあうということの本当の意味、その恐怖と苦痛を余すことなく教えてあげよう。光栄に思いたまえ」
「あ…あうう……」
恐怖のあまりか、ウェイバーは震えながら尻餅をついた。そんな彼の肩にライダーはポンと手を置き、
「おう、魔術師よ!察するに貴様はどうやらこの坊主に成り代わって余のマスターになる腹だったらしいな!だったら片腹痛いのぉ!!余のマスターたるべき男は余とともに戦場を駈ける勇者出なければならぬ!!姿を晒す度胸さえ無い臆病者など役者不足も甚だしいぞ!!!」
本来契約するはずのお前よりも、今お前が馬鹿にしているこの少年のほうが自分のマスターにふさわしい。そう言った皮肉にも聞こえた。
この人はそういう人だった。でも、ともに戦場を駈けるって言ってもその少年の場合はどちらかと言えば無理やり連れてきて来られてるって感じがするんだけど。
「全く、この戦争には腰抜けばかりが多くて困るのう。おいこら、他にもまだ居るだろうが、闇に紛れて覗き見をしている連中は!!」
「ど、どういうことだ?ライダー?」
ライダーの言葉にウェイバーは少し戸惑った様子でライダーに聞いた。
「セイバー、そしてランサーよ。貴様らの真っ向切っての競い合い、誠に見事だった!!あれほどの清恍な剣戟を響かせては惹かれて出てきた英霊がよもや余一人ということはあるまいて」
そして腕を振り上げ、拳を握りしめるとライダーは振り払うように地に流した。
「聖杯に招かれし英霊は今ここに集うがいい!!なおも顔見世を怖れるような臆病者は征服王イスカンダルの侮蔑を免れるものと知れ!!!」
ライダーの大声が周りに響いた。
「嫌々、他の奴らは情報収集のために隠れてるんだからそんな挑発で出てくるとは思えないけど」
(でも、一人だけ心当たりあるんだよなぁ~、こういう挑発に対して耐性がない人が)
ライダーの行動に対し突っ込みを入れながら思っていると、
「我を差し置いて”王”を称する不埒物が一夜のうちに二匹も湧くとはな」
(あ~この人も呼ばれてるのね)
声を聴いただけですぐわかった。傍若無人で傲慢だが、神を嫌い人を愛している裁定者。
英雄王ギルガメシュ、まさかこんな形で会うなんて夢にも思わなかった。