『はい、もしもし?』
「あっ! やっと繋がった!」
とある休日の吉井家にて。私はいつものように遊びに来ていたのだが、通帳を何度も見返して仕送りが来てないとうるさいアキ君が、国際電話を掛け始めたのだ。無事に繋がったみたいだけど。
相手はアキ君の母親――おばさんだ。今はおじさん共々出張で海外に行っているため、日本にはいない。あの人、私には優しいんだけど息子のアキ君には結構厳しいんだよね。
アキ君のテレビゲーム機で一人遊んでいる私をよそに、吉井親子の交渉は続いていく。
「父さんはどうしてこんな人と結婚したの……?」
自分の両親の力関係を直に聞かされ、がっくりと項垂れるアキ君。
吉井家は女性陣が権力を握っている。そのため大黒柱であろうおじさんはともかく、長男のアキ君は一番弱い立場にあるのだ。合掌。
今はバカだの電波が悪いだの、会話の内容から察するに、吉井親子の交渉は学校の成績をも巻き込んでいるみたいね。
「そ、そこまで悪くないよっ!」
『それじゃあ……楓ちゃんと代わって』
「「は?」」
何故私なの。というか、どうして私がこの家にいるって知っているのだろうか。
「わ、わかったよ。はい、楓」
「んー」
アキ君から携帯電話を手渡され、渋々通話に応じる。家族の交渉に他人の私が首を突っ込んでいいとはとても思えないが……。
「もしもし、おばさん?」
『楓ちゃん、久しぶり。元気にしてる?』
「えぇ、まぁ」
アキ君の時とは異なり、私の声を聞くなり嬉しそうな声で話すおばさん。
向こうには時間がないということもあり、私は前置きなしで本題へと入ることにした。
「で……用件は?」
『明久の最近の成績を教えて。あの子、さっきから頭の悪い言い訳ばっかりして肝心なことは言おうとしないのよ』
さすがはアキ君の母親である。要求があまりにも率直すぎるわ。
というか、これはなかなか難題ね。少しでも間違った返答をすれば、アキ君の仕送りはお星さまになってしまうだろう。
……仕方がない。私もアキ君の幼馴染みだ。腹を括って、一肌脱いであげましょうか。
「実は……報告できないほどの、成績なんです……!」
『……相変わらず……バカなんだから……!』
「ハイそこ! 僕の成績がそこまで良くないからって大袈裟に嘆くんじゃないっ!」
いや普通に悪いでしょ。絶望的……とまではほんの少しだけ言わないが、どうあがいてもアキ君の成績が酷いのは事実である。
「――だそうです」
『だと思ったわ』
「ちくしょー! まんまとハメられたぁっ!」
嘘をつくなんてとんでもない。ていうかこの場合、下手に嘘をつくとすぐにバレる。
相手は世界一のバカである吉井明久の母親だ。アキ君や私の安っぽい嘘なんて一瞬で見抜き、真相を暴いてしまうに違いない。
絶望したかのように頭を抱え、裏切者だの薄情者だのと再びうるさくなったアキ君をスルーし、私はおばさんと世間話を続けた。そして……
『じゃあ、そろそろ明久と代わってくれる?』
「わかりました。はい、アキ君」
私とたっぷりお話をして満足したのか、おばさんはご機嫌になっていた。その状態を保ってほしいと思いつつ、携帯電話をアキ君に渡す。
話の内容に関しては本当に普通の世間話だったが、私はそのどさくさに紛れてアキ君の現状を報告していたりする。
『それじゃ明久。母さんはアンタと違って暇じゃないから、もう切る――』
「お母様の慈悲の心で仕送りをお願いします」
おばさんが電話を切ると言った瞬間、アキ君は明後日の方向へ土下座をした。もう何度目だろうか。彼の綺麗な土下座を見るのは。
すると自分の息子がこうすることをわかっていたかのように、おばさんはため息をついた。
『アンタって子はつくづく……まぁ、今回は楓ちゃんに免じて助けてあげるけど』
「あ、ありがとうお母様!」
奇跡的に土下座込みのお願いを承諾してもらい、嬉しそうに顔を上げるアキ君。しかし、そう簡単に許すおばさんではなかった。
『ただし、今後もちゃんとした生活を送らないようだったら――玲をそっちにやるからね。だらしないアンタの監視役として』
「…………ハハハ、誰ソレ? ソンナ人イマシタカ?」
玲――吉井玲。アキ君の実の姉で、現在はアメリカのボストンにいるはず。もしかしておばさんも同じところに住んでいるのかな?
姉の存在そのものを認識しようとしないアキ君だったが、おばさんにバカ呼ばわりされた途端、今度は泣きそうな顔で叫び出した。
「お願い母さん! 僕にお慈悲を! こっちは楓一人で間に合ってるから!」
『あぁ、それに関しては大丈夫よ。玲も楓ちゃんに会いたがってたし』
「大丈夫な要素がどこにもないんですが!?」
『そんなに一人暮らしを続けたいのなら、今の生活を改めることね』
「か、母さん! お願いだから息子の声にも耳を傾けて――」
ツー、ツー、ツー……
アキ君の懇願も空しく、おばさんは通話を切ってしまった。
……頑張ったねアキ君。精神的にはズタボロのようだけど、仕送りは手に入るから安心して。
「あはは……大丈夫だよね? ちゃんとした生活を送らなかったら、って言ってたもんね?」
「さっ、行くわよアキ君。今日は野菜のバーゲンセールがあるんだから」
「放して楓! 僕は今それどころじゃないんだ!」
「心の準備なら後にして。早くしないと晩飯の材料がなくなるし」
「そもそも楓があそこで余計なことを言わなかったら、こんなことにはならなかったんだよ!?」
「……今すぐ帰ってきてもらおうかな――玲さんに」
「やめて! これ以上僕を絶望のどん底に陥れないでぇぇっ!」
これが吉井家の――私とアキ君の日常である。
「いやー、まさか秀吉から誘ってくれるなんてね」
「わ、ワシは男じゃからな。女子をリードするのは当然じゃろう」
アキ君といつもの日常を過ごしてから二時間後。私は妙に緊張した秀吉に誘われ、映画鑑賞という名のデートに出掛けていた。
そう言えば、アキ君も今日は瑞希と島田さんとデートするって言ってたなぁ。本人は慌てて誤魔化していたが、今更そんなものに引っ掛かる私ではない。すぐに暴いてやったよ。
「っ……」
……ダメだ。秀吉が可愛い。さっきから顔を赤くしてるし、近寄ると距離を取るし、さっきなんて試しに抱き着いたら変な声を出したし。
「それで、何を観るの?」
「そうじゃのう……」
映画館に着いたのはいいが、どれを観るのかまでは決めていなかったようだ。前に雄二からもらったペアチケットも特定の作品専用じゃないし、これは時間が掛かりそうだわ。
いくら秀吉が男だからって彼一人に任せるのは酷なので、私も受付の近くにある当館のスケジュール表を見てみることにした。
「どれが良いかな……」
現実と虚無が戦う怪獣映画、邪眼と理不尽の亡霊が戦う映画、むさ苦しいおっさん共が無双する映画、魔法少女が世界を救う映画……。
なかなか癖のある作品ばかりだ。普通のラブストーリーもあるにはあるが、今挙げた四つの存在感が強すぎるせいで空気になっている。
こんな時は相手の好みに合わせた方が良いかもしれないが、その相手である秀吉も口元を引きつらせながら決めあぐねていた。
「癖の強い作品ばかりじゃのう……」
「来る時期を間違えたね――ん?」
「げっ……」
お互いに見合った作品がなかったので映画館を出ようとしたら、瑞希と島田さんという花を両手に携えたアキ君が現れた。
「楓ちゃんと木下君もあの恋愛映画を観に来たんですか?」
「あの恋愛映画? 今話題になってるアレ?」
確か世界の中心で何とやら、だったわね。存在感が薄いせいで忘れてたよ。
「ていうかアキ君、ここでデートするなら先に言ってよ。そうすればこんな鉢合わせは起きなかったのに」
「それはこっちの台詞だよ。秀吉とデートなんてただでさえ羨ましいのに……!」
どうしてこのバカ馴染みは私を睨みつつ、ポケットから爪切りのような何かを取り出そうとしているのだろうか。後ろで女子二人が悲しそうな表情をしていることにも気づかず。
アキ君に暴力を振るうのは不本意だが、嫉妬でめんどくさくなりそうな瑞希と島田さんのためだ。ここは実力行使といくか――
「……雄二。何が見たい?」
せめてもの優しさで、アキ君を楽にしてあげるべくハイキックを繰り出そうとした瞬間、聞き覚えのある物静かな声が耳に入った。というか声の主である翔子が気配もなく現れた。
「俺は……無力だ……!」
――手枷で拘束された、雄二を引き連れて。
「……どれが見たい?」
「早く自由になりたい」
あまりにも切実な要望に目頭が熱くなりかけるも、秀吉の前で泣きたくはないので必死に堪える。アキ君も少し引いてるからね。
翔子はできるだけ長い時間、雄二と一緒にいたいようで黙示録の完全版を選択した。
「オイ待て! それ三時間二十三分もあるぞ!」
「……二回見る」
「一日の授業より長いじゃねぇか!」
いくら私でも、そのチョイスは絶対にない。それをするくらいなら現実と虚無の怪獣映画を三回見た方がマシである。
すると翔子にはもう一つ選択肢があったらしく、今度は平和と戦争を選択した。
「オイそれ七時間四分もあるぞ!」
「……二回見る」
「なんで二回に拘るんだ!? それに十四時間八分も座ってられるか!」
これも酷い選択肢だ。しかも一回で普通の映画二~三回分の時間もあるから、私やアキ君だと序盤で寝るのがオチだろう。
納得のいかない雄二は手枷を付けたまま逃げ出すも、翔子はどこからともなく取り出したムッツリーニも使いそうなスタンガンで彼を気絶させ、それを引き摺りながら受付へと向かった。
「……学生二枚、二回分」
「はい。学生一枚また気を失った学生一枚で無駄に二回分ですね?」
またってどういうことだ。まさかこのやり取り、週に何度も繰り返されているのだろうか。だとしたらよく持っているわね、雄二の身体。
「仲の良いカップルですね……」
「憧れるよね~」
「はっきりと気持ちを伝えられるところは尊敬に値するのう」
「……短いのにしよう、映画」
「……そうね」
このあとアキ君達は今話題の恋愛映画を、私と秀吉はおっさん共の無双映画を寝落ちすることなく無事に最後まで観切ったのだった。
「だぁーかぁーらぁー、なんで私の行く先にアキ君がいるのかなぁ!?」
「そっちこそ、どうして僕の行き先を知っているかのように先回りしてるんだよ!?」
映画館を後にした私と秀吉は、この前オリエンテーションで手に入れた商品券を使おうと、喫茶『ラ・ペディス』に訪れたのだが……
「このバカ久!」
「このバカエデ!」
再びアキ君のグループと鉢合わせしてしまった。しかも席が空いていなかったこともあり、この通り相席となった。最悪だわ。
最初は睨み合う程度だったが、次第に言い争い、軽い取っ組み合いへと発展し、今に至る。これでもできるだけ店内には迷惑を掛けていないつもりだが、いつまで持つことやら。
「幼馴染みってこんなに息が合うものなの?」
「息が合うにしても、ここまで酷くはなかったと思います……」
「良くも悪くも息が合う、ということじゃな」
心外にも程がある。
「はぁ、はぁ、もうすぐクレープが来るわね……」
「仕方ないから、ここまでにしといてあげるよ……」
気づけばお互いバテバテの状態になっていた。ただのケンカなら負けることはまずないのに、じゃれ合いレベルだと必ずこうなる。
秀吉はチョコ、島田さんはバナナ、瑞希はストロベリーのクレープを食べ、何も頼まなかった私とアキ君は水を飲む。
私もアキ君ほどではないが財布に余裕がないし、そこまでクレープが食べたいわけじゃないからね。後でパプェでも頼むさ。
「普通に商品券を使えばいいと思うのじゃが……」
「まだまだ余裕があるのにね……」
聞こえない。まだ商品券に余裕があるから使えばいい、なんて声は聞こえないわよ。
「それにしても、まさかダブルデートに発展するなんてね……」
「ほぇ? ダブルデート?」
どうやら自覚がなかったようだ。というか、ダブルデートと言う単語そのものを知らないような顔をしているのは気のせいだろうか。
幸いにも瑞希がダブルデートの意味を知っていたようで、私に聞こえないようこっそりとアキ君に教えていた。いや聞こえてるけどね。
「えぇ!? やっぱりこれデートだったの!?」
「自覚がなかったようじゃのう」
「いや、もしかしたらとは思ってたけど……」
アキ君のことだ。デートとは男女のペアで行うものであり、それ以外はデートじゃないと考えていたに違いない。実際、今回のアキ君は両手に花とはいえ、雰囲気がそれらしくなかったからね。
そんなことを考えていると、何を思ったのか瑞希と島田さんはアキ君に自分のクレープを『あーん』で食わせようとし始めた。
せっかくなので私も秀吉にやってもらおうと思い、秀吉に提案しようとしたところで、店の奥から飛んできた二、三本のフォークが、瑞希と島田さんの持っていたフォークを見事に弾いた。
「酷いですっ! お姉さまの甘いクレープを、その口を付けたフォークごと薄汚い豚に与えるなんて、美春許せませんっ!」
誰かと思ったら清水さんだった。しかもその後ろにいる店長らしき人の反応を見る限り、どうやらここは彼女の家らしい。
「……出るわよ、秀吉」
「ど、どうしたのじゃ水瀬?」
このままじゃ流れ弾が来る。不思議そうにしている秀吉の腕をやや強引に引っ張り、カウンターに商品券を置いて店から出た。
『ディア・マイ・ドウタァアアアア――ッ!!』
その直後、店内からこの世のものとは思えない魂の絶叫。出るのが少し遅かったらどうなっていたかと思うとゾッとするわね。
「公園は落ち着くねぇ~」
「そうじゃのう」
喫茶店を後にしたのは良いが、行き先を決めていなかった私達は、しばらく歩いたところにあった公園のベンチで休憩することにした。
身体が少しくっついているせいか、秀吉の顔が赤い。良い反応をありがとうございます。ムッツリーニがいたら連写確定である。
「やっと二人きりになれたね」
「う、うむ……」
今度は私から目を逸らす秀吉。私も私で普通に恥ずかしいのだが、彼がそれ以上の反応をしてくれるので取り乱すことはない。
恋人同士ならこういうシチュエーションでキスの一つでもするのだろうが、私と秀吉はまだそういう関係じゃない。なので、
「手、握ってもいい?」
「か、構わんぞ」
手を握ることにする。よく考えたら秀吉をからかうことはあっても、ちゃんと手を握ったことは一度もなかったのだ。
アキ君の手は小学校の頃に成り行きで掴んだことがあるけど、彼と違って秀吉の手は身体が丸ごと包まれるような安心感がある。人目も気にせず、指と指を激しくこすり合わせたいほどには。
「……恥ずかしい?」
「当然じゃろう……」
だからこそ、胸のドキドキが止まらない。前髪で目元が見えないから表情は読まれないだろうが、口元は丸見えだから気を付けないと。
……よしっ、休憩終わり。平気なふりしてたけど、私も限界だ。顔も熱くなってきたし、秀吉にそれがバレる前にここから退散しよう。
秀吉の手を握ったまま立ち上がり、動きがぎこちない彼をリードするように公園から出――
「えっ?」
「はっ?」
「むっ?」
「あれっ?」
「へっ?」
――ようとしたところで、またしてもアキ君のグループと鉢合わせしてしまった。会遇にも程があるでしょ、これ。
「「……何か言うことは?」」
その日の夜。いつものように吉井家にて、私とアキ君はテレビゲームをしながら今日の出来事について話し合っていた。
「いや先にそっちから言ってよ!」
「はぁ? どう考えてもアキ君から話すべきでしょ!」
あの後、地獄と化したであろう喫茶店から抜け出した私と秀吉は、宿命の如く行く先々でアキ君のグループと出くわし続けた。
いくら何でも酷すぎる。特定のグループとどこに行っても必ず出くわすなんて、お互いの考えが完璧に一致でもしていない限りあり得ない。
しかし、私とアキ君はそういうのをあまり認めない傾向が強い。だからこうして可能な限り、穏便な話し合いへと持ち込むのだ。
「普通に考えてさ、連続で出くわすなんてあり得ないから!」
「こっちの台詞だよバカ! いつも自分が正しいみたいに言ってさ!」
「ふんっ! バカだなんて、バカの頂点に立つアキ君にだけは言われたくないね!」
「今度は頂点!? 至高といい、究極といい、極限といい、どれだけ僕をバカにすれば気が済むんだ!」
マズイ。いつものように話が脱線し始めている。何かないかと周囲を見回していると、現在進行形でプレイしているテレビゲームが視界に入り、咄嗟に一つの解決方法を導き出した。
「こうなったらコレで白黒付けるわよ! 何か文句はある!?」
「格ゲーか……異議なし!」
晩飯を作ることも忘れ、今回の件はどっちが悪いかを決めるべく、私達は朝まで格闘ゲームに没頭したのだった。
ちなみに秀吉とのデートは一応上手くいったと思う。アキ君のグループと出くわさなければ、良い雰囲気になっていた場面もあったしね。
《吉水コンビの幼馴染み相談所》
「水瀬楓と」
「吉井明久の」
「「幼馴染み相談所っ!」」
「はい、まさかの二回目ですっ!」
「ではさっそく、ハガキの紹介といきましょう!」
「はいよ――あれ? ハガキがないんだけど」
「『突然で悪いが、相談に乗ってほしい』」
「……僕が読む日は来るのだろうか」
「『俺には小学校からの幼馴染みがいるのだが、最近彼女からの要求が急激にエスカレートし始めていて困っている。腕組みと称して関節技を極める、婚姻届に俺の実印を押す、それを市役所へ届けに行く等々。どう対処すれば良いのか教えてもらいたい』」
「……き、気のせいかな? 一部他人事とは思えないんだけど」
「前半はともかく、後半は法律的にも危ないわね。彼女が」
「差出人の心配はしないんだね……」
「普通に見れば危ないことこの上ないんだけど、文章だけだとイチャイチャしているのを危険な表現ではぐらかしているような気がしてならないんだよね」
「あぁ、確かに」
「それでは彼の希望通り、サクッと解決方法だけ言います」
「やっぱり過程は教えないんだね……」
「――彼女の要求を、可能な限り受け入れましょう。そうすれば彼女も落ち着くでしょうし、あなたにも平穏が訪れるに違いないわ」
「どうしてだろう。まともなことを言っているはずなのに、その二人の現状が全く解決しない気がするのは」
「以上、『俺は無力だ(十七歳)』さんからのおハガキでしたー」
「何があったの!? 彼の人生に、一体何があったのぉぉっ!?」
「これで二回目だね。次で最後なんでしょ?」
「そうね。このコーナーは次で最後よ」
「……このコーナーは?」
「そうよ。これ以外にも、まだやることが残っているからね」
「もしかして、そのやることにも僕は協力しないといけないの?」
「さぁ、どうだか。まぁ何にせよ、次で最後だから安心して」
「その安心しては信用できないよ……」