魔法少女リリカルなのはViViD Saiyan   作:伝説の超サイヤ人になりたい。

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イクサ参加、修行旅行へ。

「丁重にお断りします」

 

 デバイスを通じてのビデオ通話。相手は“ツンデレコーチ”のノーヴェ・ナカジマ。

 

『な、なんでだよ?』

「なんでも何も」

 

──イクサ!合宿があるんだ!お前も来るよな!

 

「なんて急に言われて『はい、行きます』なんて言うと思いましたか?」

『そ、それは……、アインハルトも来るぞ』

「だから何ですか?」

『───…』

「要件は終わりですか?…なら失礼します。おやすみなさい」

 

 これが昨日の夜の通話だった。

───だったのだ。

 

「よう」

「行きましょうイクサさん!」

「」

 

 翌日。

 インターホンが鳴り扉を開けると───アインハルト、そしてノーヴェの二人が立っていた。

 イクサは絶句した。

 

「俺は断った筈ですが?」

「………そうだったか?」

「おい待て目を見て話せ」

 

 イクサに指摘されてノーヴェは顔を背ける。

 ノーヴェと違いアインハルトはジッとイクサを見据えて言う。

 

「行きましょうイクサさん」

「断る」

「行きましょうイクサさん」

「嫌だ」

「行きましょうイクサさん」

「話を聞け」

「行きましょうイクサさん」

「ノーヴェさん、どうにかしてください」

「いいぞもっと攻めろアインハルト」

「行きましょうイクサさん」

「まともなのは俺だけか……」

 

 

 

 

「…はぁ、一応聞くが何故?」

「今回の合宿には管理局の魔導師ランクAやそれ以上の方が来られると聞きました」

「…ふーん、それで?」

「きっと良い経験になる筈です」

「そうか」

「はい、だから一緒に」

「頑張れ。じゃあな」

「──っ!」

 

 扉が閉まる前に足を入れて阻止してそのまま扉を掴み無理矢理開けようと力を込める。

 気が付けばアインハルトは大人モードになって筋力強化の魔法を掛け、おまけにまだ未熟でつたないが“気”も込められている。

 

「諦めろアイン!俺は行かん!!」

「いいえ!私は諦めません!イクサさんと共に合宿に行くんです、ノーヴェさん!」

「任せろ」

「おい待て、きたないぞ!」

 

 声を上げて扉を引き合う三人。

 そして

 

「───何をしているの?」

 

 イクサの母が動きだした。

 

「か、母さん」

「騒がしいようだけど、どうかしたの?あら、アインハルトちゃんこんにちは」

「はい、失礼しています」

「お前」

 

 サラッとイクサの隣に立っているアインハルト。イクサが自分の母に意識が向いた瞬間を見逃さず玄関に入っていた。

 その後ろには、家にあと一歩で入れるってところで立ち、優しげな笑みを浮かべるノーヴェがいる。

 

「こんにちは。ご無沙汰しています」

「まあ!お久しぶりですノーヴェさん!どうぞどうぞ中へ」

「はい、失礼します」

「か、母さん」

「何しているのイクサ。せっかく二人が来てくれたのよ」

「……はぁー」

 

 イクサは左手で顔を隠しため息を吐いた。

 

 

 

「実はこの度、ウチの子らやその関係者達で集まって合宿を行う事になりまして」

「『ウチの子』っというとあの女の子達?」

「はい。それでアイツらとも仲の良いイクサも一緒にどうかと思いまして」

「まあ!いいじゃないイクサ行ってきなさいよ!」

「………は、はは、はは…は。わかったよ」

 

 イクサは知っている。己が母は優しくちょっと抜けていしたまに突飛な事をしたりするトコもあるが強い意思の持ち主だという事を。今回も拒否は出来ないしさせないだろう。伊達にサイヤ人の妻をしてない。

素直に仕度する為自室に向かうイクサにノーヴェはちょっとだけ意外そうな顔をする。対してアインハルトは満足そうに笑う。

こうして、イクサは抵抗虚しく合宿参加となった。

 

 

 

 

 

 着替えにタオルや歯ブラシなどの日用品に資料集にノートやペンなどの勉強道具も詰めたリュックを背負ってヴィヴィオの家。高町宅にノーヴェやアインハルトと共にやって来た。

 

 今回の旅行合宿の動向を認めてくれたヴィヴィオの二人の母、高町なのはとファイト・T・ハラオウン。

イクサはこの二人に挨拶していた。

 

「本日は急な事となりながらも参加を許可していただき有難うございます」

「え?前から来るって聞いてたんだけど?」

「───」ギロッ

「───」ブンッ

 

 睨むイクサに顔をそらすノーヴェ。

 無鉄砲なノーヴェの行動にイクサはノーヴェの警戒度を上げる決意をした。

 

「あ、あはは…」

 

なのははそんな二人の様子に苦笑を浮かべた。

 

 

 

 

 

 その後軽い自己紹介を終えた後に車に乗り、次元港で待ち合わせしていた二人の女性。スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスターと合流、共に次元船で目的地の『カルナージ』へ向かった。

 

「エリオ・モンディアル、よろしくイクサ」

「私はキャロ・ル・ルシエ。そして飛龍のフリードだよ。よろしくね」

「イクサだ、よろしく」

 

 ヴィヴィオがアインハルトに紫色の髪の友達の少女、ルーテシア・アルピーノを紹介している間、イクサは薪を持って現れた二人と話していた。

 赤髪の長身少年、エリオ・モンディアル。ピンク色の髪の短身少女、キャロ・ル・ルシエ。そしてキャロの後頭部に隠れてイクサを伺う可愛らしいサイズの翼竜、フリード。

 

「あれ?どうしたのフリード?」

「これは、怯えてる?」

「…む?」

 

 キャロの後頭部からヒョコっと顔を出したと思えばまた引っ込める。

 そして時折威嚇するなどと、完全に警戒している。

 

「あれ〜?大丈夫だよフリード。ごめんね」

「いや、気にしなくてもいい」

「ほら、大人はトレーニングでしょ。子供達はどこに遊びに行く?」

「折角だしイクサくんも一緒にする?」

「……?いえ、自分は管理局員では無いので」

「じゃあ、一緒に川に行くか?水着も持ってきたんだろ?」

「まぁ、言われた通りに持ってはきましたけど」

「じゃあ、ノーヴェと一緒に子供達を観ていてくれるかな?」

「……わかりました」

 

 イクサはカバンからタオルと水着を取り出そうとして肩に手が乗る。

 乗せたのはなのはだった。

 

「子供達に、手を出したらダメだからね?」

 

 瞳は閉じている為わからないが少なくとも表に現れてる満面の笑顔の様に優しくは無いだろう。

 それに対してイクサは、

 

「無論、理解していますよ」

 

 さも当然だと微笑んで答える。

 

「それでは行ってきます」

「……うん、楽しんでおいで」

「はい、失礼します」

 

 水着とパーカーを持って着替え室に向かうイクサの背中をなのはは呆然と見つめていた。

 

「??…なのは?」

「凄いね、あの子」

「???」

 

 愛娘やその友人達にノーヴェやイクサが見えなくなってからフェイトと共に歩きだしたなのはは隣の親友にも聞こえない程の小さな声で呟いた。

 

「ちょっとだけブル、ってきちゃった」

 

 

 

 

 

 

 

 海パンを履きパーカーを羽織ったイクサが川岸に来た時、子供達は皆既に遊んでいる。どうやら一人出遅れた様だった。

 

「…………」

 

 イクサは頭痛がし、眉間に右手を当てて俯いた。

 そして再度顔を上げる。視界には水着姿の少女達。

 リオ、コロナ、ルーテシアなんかは別に問題無い。幼げな少女らしい水着だ。

 

 だが、問題はヴィヴィオとアインハルトだ。

 ヴィヴィオはビキニ、アインハルトはバンドゥ。

 どちらも二人には年齢には早過ぎる。親は何を考えているのか、何とも思わないのか心配になった。

 

「お、やっと来たなイクサ」

「ええ、まあ、はい」

「ん?どうかしたのか」

「──あの二人の水着に疑問を持ちまして」

「ん?……ああ」

 

 イクサの視線の先を辿り全てを理解したノーヴェ。ノーヴェにはイクサの言いたい事が理解できた。

 

「まあ、貴女も中々大胆な物を着てるようですがね」

「………なっ!?」

 

 イクサの言う通り、パーカーを羽織ってはいるものもチャックを閉めず前を開けてるので中の水着が見えている。

 

「う、うるせぇ」

「??? 自分で着たのでしょう?」

「うぐっ」

 

 自分で用意して自分で着たのに何を恥ずかしがっているのか。女心がわかっているのかいないのかよくわからないと言われているイクサには理解できなかった。

 自分はガサツで女らしくない、だなんて言っているが実際はかなり乙女乙女しているノーヴェ。そんなノーヴェはなにも考えずに前々から選んでおいた水着を準備し終わった後にアインハルトも誘い、アインハルトを誘うならイクサも誘おうとしたのだ。男性から見た自分の水着姿に付いて考えてもいなかった。

 

 ノーヴェは首を傾げるイクサの視線から逃げるようにそそくさと離れ、川遊びで疲れて息切れしたアインハルトの所へ行った。

 逃げたノーヴェから視線を外して木々の葉陰に座り、川遊びしているヴィヴィオ達元気娘を見る。

 アインハルトは既にダウンしているのに関わらずまだまだ元気一杯に川遊びを楽しんでいるヴィヴィオ達。

 

「ふーん、あれは慣れた動きだな」

 

 川を元気一杯にはしゃぎ遊び泳ぐヴィヴィオ達。

 確かに水泳は肉体作りや体力作りには効果的だ。魔力量の問題から必然的な短期決戦が求められるイクサも以前、修行時代は良くしていた。というかさせられた。

 

 すると元気に遊ぶヴィヴィオ、リオ、コロナの魔法格闘技(ストライクアーツ)三人娘にノーヴェが話しかける。どうやら『水斬り』なるものをするようだ。

 一列に並んだ三人娘は右腕を引き正拳突きに近い体勢になる。

 

「えいっ!」

 

 そしてコロナから拳を突き放つ。“シュパァッ”と音を立てて水柱と波を上げる。

 

「はあぁ!!」

 

 続いてリオ。コロナよりも大きな波を上げ、距離も範囲もコロナの倍以上だ。

 

「いきますっ!…ふっ!!」

 

 そして最後にヴィヴィオ。他の二人よりも更に強い水柱と波を起こす。

 三人娘の動き、突き出した拳、水の流れから『水斬り』の意味を察して「へぇー」と呟き、続ける。

 

「打撃の威力調べっと言ったところか」

 

 それもかなりコツのいる。今実際にやってるアインハルトがいい例だ。

 アインハルトが行うと水は前へじゃなく上へ広がった。“水中では踏み込みが不可能な為抵抗の少ない回転で最大まで柔らかく打つ”、大体の考えは正しいが。

 

「初動が早い…と言ったところか?」

 

 そしてノーヴェがアインハルトに近づき、ゆっくりと手本を見せながら説明する。そしてノーヴェが実際にやってみせる。

 脱力状態から始め、ゆっくりから加速、そして力を込めてノーヴェが脚を振り上げる。すると『モーゼの十戒』の如く川が割れた。

 (因みにモーゼの十戒は地球の言葉なのでイクサは知らない)

 

 そして説明を聞いて、手本を見たアインハルトが再度『水斬り』を試す。が、いきなり早々出来るものじゃなく先程より少し進んだだけにとどまる。

 

 それからも何度も試すアインハルト、格闘家魂に火が付いたのかヴィヴィオも隣で『水斬り』をする。

 水飛沫がイクサの方にも及んでくるようになった、イクサは立ち上がり距離を取ろうとして。

 

「イクサもやってみろよ」

「…はい?」

 

 ノーヴェに止められた。

 

「お前の弟子がやってるんだぞ?師匠もやってやらなきゃな」

「興味あります」

「「「私達もー!」」」

「私も興味ある」

 

 さっきまで『水斬り』をしていた筈のアインハルトもいつの間にかノーヴェの一歩後ろでイクサを誘う。

 川から上がってきた三人娘とルーテシアも続く。

 

「………はぁ、わかりました」

「よっしゃ」

『やったぁー!』

 

 ノーヴェ、したり顔。子供達、大喜び。イクサ、苦笑。

 歩きだし川に踏み入るイクサ。

 

「ん?おい、上着は脱がないのか?」

「…はい。これは濡れても問題無いので」

「そうか」

「それにこいつらには異性の裸とか耐性なさそうですし」

「………ああ」

 

 キョトンとしている少女達を放ってイクサは川を進む、そして川の流れに逆らうように立つ。

 

『ドキドキワクワク』

 

 少女達の期待の目を全身に受け右腕を引く。

 

(さて、どうしたものか?)

 

 ここでイクサに小さな探究心が浮かんだ。

 あまり大ごとにしたくはない、それに試してみたい事もあった。初めて行うし其れ程大きくはならないだろう。

 そう思考したイクサは体の中で気を練り上げる。

 

「っ」

 

 イクサの体を奔る気の奔流を感知したアインハルトは“どれ程のものか”なんてプレゼントの箱を開ける子供のような気持ちから、師の教えを聞き見て盗もうとする教え子の如き──いや、まさにその通り──真剣な表情で目を鋭くする。

 アインハルトの変化に気付いたノーヴェや少女達もアインハルトを見た後つられてイクサを先よりも真剣に観る。

 

(なんだ?雰囲気が、変わったが)

 

 当の本人(イクサ)は傍観者の変化に戸惑っていた。

 

(……まあ、いいか)

 

 気の流れ、体の中心で気を練り上げそれを身体中に巡回させながら加速させる。そして最後に右腕に螺旋状に回転させながら込め、回転が巻き込んだ大質量の風と共に撃ち抜く。

 

()()()()

 

ドッバアァァンッ!!

 

 ヴィヴィオ達の押しだす波とも、ノーヴェの川を割った斬撃のようなものとも違う、イクサの一撃。

 それは川を“撃ち抜いた”。気で練られた螺旋状の回転エネルギーが生んだ暴力的な風圧をイクサのパンチで放射される。余波はトルネードを作り川の水を巻き込みアーチ、否、トンネルを作る。

それが川をまっすぐ辿り視えなくなってもまだ進む。

 

「………」

『………………………………』

 

「やっべぇ、やりすぎた」と内心で呟くイクサ、初めてやる事だからと力を入れ過ぎてしまった。

 甘かった。

 実験程度だから其れ程巧くはいきはしないなんて自身を過小評価し過ぎていた。

 

 そして遠くで巨大な弾ける音と水飛沫が上がる。

 遠くからでも30メートル以上は上がったとわかる水柱にイクサは頭痛を覚え、二度と浅はかな行動はしないと心に誓った。

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