魔法少女リリカルなのはViViD Saiyan 作:伝説の超サイヤ人になりたい。
それは運命だった。
太陽の光の様な明るい金色の髪、紅と翠の
でも、だからこそ出会えたのだ。誰でもない
そしてイクサさん。あの人にも───
私、ハイディ・
困惑する私に管理局員であるティアナ・ランスターさんと同じく青い髪のスバル・ナカジマさん、そしてノーヴェさんの三人が諸々の説明をしてくださいました。
途中から問答へと切り替わり、話をして一段楽着いた所でスバルさんがとある事を話されました。
「いやー、それにしても良かったねアインハルト。偶然見つけてくれた人がいい人で。もしも下心のある悪い人だったら大変だったよ」
「見つけてくれた人?」
「おい、スバル」
「えぇ、いいじゃん」
「あ、あの…?」
私の顔を見てからノーヴェさんはしょうがないと言った様子で話されました。
「偶々街歩いてら倒れてるお前を見つけたらしくてな、管理局か救急車か連絡しようとしてた所で」
「私が辿り着いたの」
ノーヴェの話を途中で補足するティアナさん。
「そ、その方は?」
恐る恐る尋ねる私にノーヴェさんが答えた。
「イクサって名前の一般市民さ。連絡先は聞いてあるから落ち着いたら感謝の礼でもしとけ」
「───あの人が?」
「んん?もしかして知り合いなのか」
「あ、えっと、その…ぅぅ」
「あ、ああ〜。なるほどなぁ」
言い淀む私に察した様なノーヴェさん。その様子にスバルさんとティアナさんも気付いたようだ。
「ノーヴェ、もしかして?」
「まぁ、うん。多分、だけど以前に襲い掛かった事があるんだろう」
「………はい」
「そんな話聞いてないわよ」
「あたしもだよ」
頭を抱えるノーヴェさんとティアナさん。スバルさんだけが微笑みを浮かべながら私を見ている。
「後で聞いておくよ」
ノーヴェさんがそう言い。
「え?だって聞かれませんでしたから」
「お前なぁ…」
その日の午後。
大学院を終えた放課後、ノーヴェに呼び出されたイクサが悪びれる気もなくそう答え机に広げたノートにペンを走らせている。
辺りにはノーヴェの他に昨日知り合ったティアナやスバルの他にも様々な女性が居たが皆苦笑いを浮かべている。一人ばかり中世的な外見をしているが男はイクサ一人。とても居心地が悪い。そりゃあ気を逸らす為に勉強にも集中しますわ。
「……ハァ」
けれどそんな男の精神構造など女性のノーヴェに理解できる訳も無くため息を溢すがイクサは存じ得ぬと机に目を向けて教材片手に勉強に集中する。
「お前な、話の途中ぐらい手を止めろよ」
「今更そんな硬い事言い合う仲ではないでしょう?」
「親しき仲にも礼儀あり、だぞ」
「異世界の諺、でしたかそれ?」
確か“チキュウ”って
カケラでも構わないからその才能を分けて欲しい。
「それで、要件はそれだけですか?」
「それだけってお前。大丈夫なのか?」
「……、何がです?」
「いや、アインハルトに襲われたんだろ。怪我とかしてないのか?」
「いえ、普通に
「………」
油断してたとはいえアインハルトに敗れたノーヴェがイクサの言葉に沈黙する。
───普通に撃退した。
それがどれ程難しい事かコイツはわかっているのだろうか?そんな考えがノーヴェの脳裏を過ぎる。
例え自身が傷付こうとも勝つ、そんな不退転の覚悟をアインハルトは持って挑んている。実際ノーヴェは自分の一撃を受け止められ
「……?」
急に黙ったノーヴェにどうしたのか、と机からノーヴェへと目を移したイクサが見える。
『男子世界最強に最も近い男』、その称号が誇張でも何でもない本当の事実だって事を改めて理解させられた。そして『最強』の頂きの高さを知った。イクサにとってアインハルトはなんて事のない相手に過ぎないのだと。
「ノーヴェさん?どうかしましたか?」
「……いや、何でもねぇよ。要件だったな。それは──」
「ノーヴェ!!」
タッタッタッ、と軽快な足音と共に明るい声が響く。「おっ、来た来た」と声の方に振り向くノーヴェにつられて首を向ければ、
「と、スバルさんにティアナさん。それに、イクサさん!?」
ヴィヴィオ、リオ、コロナの仲良し三人娘。制服姿な事から学院が終わって直で来たのだとわかる。
予想外だと思われる様な反応をするヴィヴィオにイクサは片手を上げて挨拶しノーヴェにだけ聞こえる様に話す。
「合わせる気ですか、アイツと」
「流石にわかるか」
ヴィヴィオがノーヴェやイクサの座るテーブルに近寄るとイクサは一度口を噤む。ヴィヴィオやリオにコロナが礼儀正しくイクサに挨拶してからノーヴェとヴィヴィオが会話する。その間、イクサはリオとコロナに何かドリンクを頼むか尋ねる。
そうしていれば、碧銀の少女が現れる。
アインハルト・ストラトス。覇王クラウスの血を継ぐ末裔で先祖返り。覇王の容姿に武技、そして部分的にだが記憶を引き継いだ少女。
ノーヴェの紹介を受けアインハルトにヴィヴィオが自己紹介する。アインハルトもヴィヴィオに続いて自身の名前を教えながらヴィヴィオと握手を交わす。
ノーヴェが二人の出会いに何かを期待する様に見詰める隣でイクサは一人思う。
(不満、そうだな)
天然か、それともワザとか、内心を表に出さない様にしているのだろうがイクサにはアインハルトの表情が複雑そうな顔に見えた。
「二人共格闘技者同士、ごちゃごちゃ話すより手合わせでもした方が早いだろ。場所は押さえてあるから早速行こうぜ」
「「……」」
ちゃんとした説明とは言えないノーヴェの言葉にアインハルトとヴィヴィオの二人は困惑気味だが、有無を言わせずに強引に話を進めるノーヴェにイクサは苦笑いを浮かべつつ自分には余り関係無いなと気配を消して離れようとするが。
「勿論お前も見に来いよ、な?」
「……」
「な?」
「…わかりました」
強引に押し切られてしまう。そしてイクサが声を発した事でアインハルトが漸くイクサの存在に気が付く。
じっとアインハルトから視線を向けられるがイクサは気付かないフリをした。
そして一同が移動したのは区民センター内のスポーツコート。ノーヴェが貸し切ったのか自分達のグループ以外には誰も居ない。
そこでスポーツウェアに着替え両手両脚にプロテクターを身に付けた二人が体をほぐしている。
「んじゃ、スパーリング。4分1ラウンド。射砲撃と
二人共構えるのを確認してから審判を務めるノーヴェがルール説明をし、片手を上げて。
「レディー、ゴー!」
振り下ろした。
ノーヴェの声を開始の合図にヴィヴィオが駆け出す。アインハルトの懐に入り込み鋭いアッパー、ガードされても果敢に続けて攻める。ヴィヴィオの拳や蹴りをアインハルトが受ける度にドッ! やガッ! 、バン! といった打撃音が響く。
周りの人達はヴィヴィオが予想外に強い事に驚いている。
「……楽しそうね、ヴィヴィオ」
「ええ、ほんとにそう」
果敢に攻めるヴィヴィオの顔は笑っている。本当に格闘技が好きでアインハルトとの手合わせを楽しんでいるのだとわかる。
(確かに、楽しそうだな。───
ヴィヴィオとは反対にアインハルトの表情は暗い。アインハルトの記憶にある『
けれど性格も笑顔も───何より実力が違う。
そしてその事実がアインハルトに現実を押し付ける。彼女が望んでいるのは戦場だ、戦乱の世を生きる王同士の信念の決闘だ。
だがそれは絶対にあり得ない、不可能な話だ。何故なら異常なのはアインハルトの方なのだから。彼女が求めているのモノは今の時代には無い、遠い過去にのみ在るのだから。
それがたまらなく哀しい。求めていたモノはとっくの過去に消え失せ、有るのは時代遅れの
そして真面目な彼女は思い至る。目の前の
なんて皮肉だろう。
「……」
そんなアインハルトの考えを見抜けたのはイクサだけ。けれどイクサに何もできない、してやるつもりもない。イクサのスタンスは何も変わらない。
そんな事よりもイクサには気になる事があった。
ヴィヴィオが一方的に攻めてる様に見えるが、全ての打撃をアインハルトは巧く捌いている。その姿にイクサは僅かにながら自身の姿が重なった気がした。
「気にしてるのか?」
「……?どうかしたの?」
ぼそりと呟いた小さな言葉にスバルが反応する。「なんでもありませんよ」と返すイクサに暫く目線を向けるも、時期にヴィヴィオとアインハルトの二人へと戻した。
イクサが思い出すのはアインハルトがイクサに襲い掛かった夜。アインハルトの覇王流を観察する為に防御に徹底していたあの動き。今のアインハルトからはあの時のイクサの防御に近しい動きを感じる。明らかに意識されている。
それも終わりを見せる。
ヴィヴィオの勢いの乗った拳を躱して反撃の掌底がヴィヴィオの胸へと打ち込み吹っ飛ばす。威力は高く、だがダメージは極限まで削り、方向、そして吹っ飛び具合まで調整された掌打を受けたヴィヴィオをシスター服に身を包んだディードという女性と、外見と服装から中性的な容姿の女性オットーの二人に受け止められる
ヴィヴィオは二人の腕の中で荒れた息を整えながら対戦相手の少女に想いを馳せる。見事な技だ、強いと素直に思える。
凄い、そんな称賛がヴィヴィオの胸を興奮で埋める。
「お手合わせ、ありがとうございました」
けれど。その想いはアインハルトには伝わらなかった。仮に伝わったとしてもアインハルトには届かなかっただろう。
ヴィヴィオに背を向ける去ろうとするアインハルト。何かやってしまったのか、とヴィヴィオは慌ててアインハルトを呼び止める。アインハルトはヴィヴィオに振り返る事なく背中越しに言葉を返す。
落胆、今のアインハルトの胸を占める感情はそれだけだった。目の前の少女にその表情を見せない為の気遣いも含めたその行動は返ってヴィヴィオを追い詰める。
そしてヴィヴィオの「私、弱過ぎました?」の言葉に突き放す様に返された言葉。
───趣味と遊びの範囲内では十分かと。
一瞬、ショックから何も言葉が出なくなるヴィヴィオ。身勝手な八つ当たりの様な言葉を何も知らない少女に放ってしまった自己嫌悪に苛まれながらアインハルトはヴィヴィオの再戦の申し込みに困った様なノーヴェに視線を向ける。
きっと口を開けばもっと傷付けしまうと思ったアインハルトの気遣いにノーヴェは来週。もう一度、今度はスパーリングではなくもっと本気な模擬戦として約束を取り付けた。
「……、わかり、ました」
きっともう関わらない様、断って欲しかったのだろうがヴィヴィオへの罪悪感から模擬戦の約束を了承するアインハルト。時間と場所はお任せします、そう言い残しアインハルトは足を進める。最後に一瞬立ち止まってイクサを見て、目が合うが何も告げる事なく今度こそアインハルトはこの場を去った。
ヴィヴィオの側に駆け寄りアインハルトのフォローに入るノーヴェを見つつ、気不味くなった雰囲気のまま本日はお開きとなった。