最近。どこからか大人数の妖怪らしき者達が地底に越してきたので騒々しい。軍隊アリのように統制がとれていて見たことのない武器を持っている。
まあ住む処は自分達で作ったりしているし、こちらに危害を加えてくる訳でもないのだが、馬鹿でかいミミズのような生き物で地底を掘って拡張するのはやめてほしい。うるさくて眠れない。妬ましい。
ヤマメやキスメは新参者が新しく作った宮殿のような建造物に出かけて歓待されたらしく最近は入り浸っている。向こうの主はミラさんっていう女性らしい。
勇義なんかは遊びに行ってよくミラさんの部下と力試しをしていたらしいが、最近向こうのラームっていう奴と殴り合いのケンカをして来たらしく、ボコボコの顔をしながらスッキリした感じで帰ってきた。何仲良くなってんだ妬ましい。
「いやあー。滅茶苦茶強いわあれ。身長も倍以上あるし肌も鉄みたいに硬いし。しかも私と同じ女らしいぜ?」
それ女?それを部下に持つミラさんもどんな人か非常に気になる。ミラさん家は、ほぼ全員が『らんさー』とかいう連発式の銃を持っていて家を護っている。射撃の訓練を見ていると私の弾幕ぐらいの数の鉛玉が一斉に的に命中する。あれは並の妖怪なら耐えられない。あれで弾幕勝負はして欲しくない。なんかチェーンソーもついてるし。
たまに大きな恐竜みたいなのがのし歩いてるのを見かける。と思えばそれは「ぶるまっく」という乗り物のような動物だったようで、こいしが勝手に乗り込んで歩きまわり、私のお気に入りの地底にある掛け橋を踏み抜いた。妬ましいどころじゃなく殺意を持った。
こいしの能力でぶるまっくが勝手に暴走した事になり、セラさん所の下っ端が掛け橋を直してくれたのだが、デザインがおどろおどろしくなってしまった。
昔の地獄になってきたような気がした。こいしには後でゼロ距離から弾幕を浴びせることにする。
ある日、キスメに誘われて一緒にミラさんの家へとおじゃますることにした。私も流石にこの新参者の事が気になっていたためだ。
ミラさんは女王様然とした人で、「ろーかすと」という種族らしい。
元いた場所では、身体を変質化させ、仲間に襲いかかってしまう病気が広まり、滅亡の危機に瀕していたようだ。
種存続の為の闘いを何十年も行なっていたが、一歩及ばずに敵に殺され気がついたら多くの部下とともにここへやってきたらしい。ミラさんも死後の世界と思ってたようだ。かなりハードな人生を送ってきている。私が嫉妬できないぐらいだ。
ミラさんは長年戦っていた「ぐらんどうぉーかー」、分かりやすく言うと人間達はあんまり好きじゃないらしく、いずれ侵攻する予定らしい。
その時の笑い方は悪の女王様っぽかったな。
でもここの幻想郷はミラさん達の故郷とは違い、人妖が混じって暮らす場所なんだよ。とキスメが話すと、ミラさんはほうと興味深そうに話を聞いていた。
ミラさんも出来れば闘いはしたくないようだ。意外とここの生活に馴染んでるし、別に戦わなくてもいいんじゃないだろうか?
その後、「てれびじょん」とか、遠くと会話できる「つうしんき」とか色んな機械を見せてもらった。おそらく機械好きの河童がみれば狂喜乱舞すると思う。だけど私達には使い方や仕組みは全く分からなかった。人間を捕まえて保存できる保冷庫とかは食人系の妖怪には良さそうだったけど。
ミラさんはちょっと上から目線の喋り方だけど、キスメにお菓子をくれたりするし、悪い人ではないようだ。
ミラさんが引越してきてしばらくたって、私は地霊殿のさとりから相談を受けた。なんでも地上で頻繁に大きな地震が起こるらしいがそれが地霊殿のせいにされ、苦情が来ているらしい。どう考えても地底拡張しているミラさんのあのバカでかいミミズのせいです。と心で考えていたら、流石さとり妖怪。筒抜けだった。こういう時さとりは便利だな。妬ましい。
ミラさんの処へ苦情内容を言いに行くさとりん。今までさとりが一度もミラさんの所へ訪問したことがなかったのは、ミラさん以外の心が読みにくく、なんか金属を引っ掻いた音が聞こえるからあまり行きたくなかったらしい。あー。なんか下っ端の顔って昆虫っぽいもんね。
だが私的にはさとりの妹こいしから受けた被害の方が大きい。すっかりぶるまっくライダーとなったこいし、何箇所かある私の憩いの掛け橋をすべてぶるまっくで踏み抜いてくれた時は私は一晩中ヤマメの胸で泣いた。嫉妬どころか激怒を操る能力がつきそうだ。以前のゼロ距離弾幕のお仕置きは効かなかったらしい。
ミラさん工兵部隊が直してくれるのはいいんだが、愛想のない仮設の橋みたいになるんだよ。おい、さとり、私の心読んで無視すんな。
こいしとさとりは、最近ミラさんに紹介してもらったベルセルクさん、通称ベルセル子ちゃんの部屋に放り込もうと思う。勇義と相撲したりする人なんだけど、鋼鉄の女戦士にふさわしい外見。まあミラさんいわく性別の差異は薄いらしいんだけど、目を合わせたら叫び声を上げて襲い掛かるからっていつも目隠しされている。
それでも気配を感じて突っ込んでくるからまじ怖い。弾幕は弾くわ壁をぶち破るわでどうみても女に見えない。あれとぶつかり合う勇義も大概おかしい。
さとりがぶるぶるしている、私の心に浮かぶベルセル子ちゃんの姿を見たんだろう。
「ごめんなさい…」ってやかましいわ。姉妹揃ってベルセル子ちゃんの部屋に放り込んでやる。せいぜいKAWAIGARIされるんだね。
こいしのやった事を思い出してさとりに怒りをぶつける私だが、ミラさん家が慌ただしいのを見て怒りをひっこめた。いつになく真剣な顔したミラさんは、部下にいろいろ指示を出している。一体どうしたのだろうと聞いてみる。いつもの女王様然とした態度で話してくれるミラさん。なんやかんや言っても優しい。
「ここの地上を調べようと斥候を出したのだが、攻撃されたようだ。その敵対者はどうやら我が見知ったものらしくてな」
そういってニヤリと笑うミラさん。どこのお馬鹿さんだ。ミラさん家にケンカ売ってくる馬鹿は。肉団子にされて食べられるぞ。妬ま…しくないか。
暴れるのも悪くはないかと考えていると、顔をきりっとさせたさとりがミラさんに言った。
「私に任せてもらえませんか?ここはあなた達が住んでいた惑星セラではありません。これ以上ローカスト一族を傷つけないように話してみます」
「ん?うむ。まあ我もここへ来て日が浅いし数もまだ揃っておらん。ここにはセラのようなイミュルシオン…ああ、我が前に言った病気の元はないしのう。交渉できうるなら越したことはない。お主達のような変わった知的生物もいることだしな。だが交渉失敗なら武力行使もやもうえん」
なんかよく分からないが、また能力でミラさんの心を読んだんだろう。さとりは心を読めるのをミラさんは知らないが、どうやらミラさんは心情はあまり戦いたくないようだ。まだ宮殿も増築中だしせっかく作ったものを壊したくないんだろう。妬ましいがさとりは交渉役としてはこれ以上ない人選だと思う。
だがミラさんと仲良くなって、こいしの事を許してもらおうという魂胆が透け透けだ。妬ましい。私もぶるまっくで地霊殿に突っ込むぞ?