最近、外の世界の銃や鎧を装備した4人の男女が紅魔館を訪れた。多分また幻想郷へ紛れ込んだんだろう。
全員大柄な身体で、私の背丈程ある銃を持っている。紅一点の女の人もだ。全員戦士なのだろう。言ってはなんだがめちゃくちゃ格好良い。
私達も最近幻想郷へ来たばかりで現世の兵士の武器などは知っていたつもりだが、こんなごつい武器使っていたのかしら?チェーンソーとかついてるし。
今は女も銃を持って戦うようになったのかな。とにかく興味を持ったので、4人を館に入れて話を聞いてみる事にした。
開口一番に男の一人に『お譲ちゃん、ここの主はどこかな?』って言われて内心むかっとしたが、外見が幼いため仕方ない。私がここの主で吸血鬼一族ということをじっくりと話すと、あまり真剣に捉えていないのか、
「ああ、ああ、分かったから嬢ちゃん、取り敢えずここがどこか教えてくれねえか?」
といった感じだ。こめかみがひきつるのを感じながら我慢強くここが幻想郷と呼ばれる隔離された世界であること、人妖がルールを決めて共に暮らしていること等を話すと驚いた様子だった。私が本物の吸血鬼か?聞いてきたのでもちろん、と答える。
するとベアードという男がいきなり十字架を押し付けてきたので、あわててぶん殴ったが腕に十字の火傷傷がついてしまった。痛くて涙目になる。
痛みでぷるぷる震える私をみてフランが爆笑していた。むかつく。
重装備の大の男をぶっ飛ばしたのでそれなりに信用はしただろう。しかしベアードという男もあれだけぶっ飛んだのにあんまり効いてないな。
『クリルじゃねえ!マジモンの吸血鬼だぜ!』とか言ってめちゃくちゃ喜んでるし。咲夜もマッスルな野郎の勢いに戸惑っている。なんていうかアメリカンテイストを感じる。
他の4人はともかく、アーニャっていう女の人はなかなか格好良いわね。うん。武装も似合ってるし強き母親って感じ。独身らしいけど。
ドムって人は戦死したはずなのに気がつくとここにいたらしい。あの世だと思っていた幻想郷の森の中で友人のマーカスといきなり再開してびっくりしたそうだ。ああ。多分死神が仕事してないんじゃないかなー。
パチュリーが興味深そうにベアードが背負っていたロボットを見ている。ここに来る途中で壊れたらしいがベアードは材料さえあれば簡単に直せるらしい。
素行が悪いだけじゃないらしいわね。ベアードの方も魔導書などに興味津々だし。取り敢えず外の人間は霊夢のところへ送るのがいいでしょうね。まあ一晩ここでゆっくりすればいいわ。博麗神社に送る前に、外の話も聞きたいし。
マーカス達から久しぶりに聞く外の話は衝撃的だった。なんでも化石燃料に変わる資源の奪い合いの世界大戦中に、地下から化け物が出てきて人類虐殺を始めたらしい。私が居た時は聞いたことなかったけど、世間の話題とあまり関わり持たずに暮らしていたからなあ。過去の二度の大戦も我関せずだったし、第三次世界大戦が起きてることなんて知らなかった。取り敢えず外の世界はえらい事になっているようだ。
4人はCOGっていう組織の兵士で、ローカストっていう化け物と長い間戦っていて、今は戦後処理をしている最中だったそうだ。その時に幻想郷に迷い込んだのだろう。幻想郷の結界は粗がありすぎる。あのスキマ妖怪、仕事しろよ。
マーカスの隣ではアーニャが、膝にフランを乗せて話している。母親のようでフランも撫でられてまんざらでもないようだ。いつもの狂気はどこいった?成熟した大人の魅力だろうか。母親とはこんな感じだったのだろうか…。咲夜ではこうはいかない。アーニャのような大きな胸もないし。
アーニャは顔に似合わず女性的マッチョなのでなんとはなしに威厳を感じる。怒ったらチェーンソーでバラバラにされそうだ。
私はフランと背丈が似ているので抱っこはできないから羨ましい。私がするとベアハッグになってしまう。
パチュリーとベアードが、技術的な議論しながらもロボットを直して持ってきたが、驚くことに宙に浮いている。どういう原理だろう。ロボットの仕組みをみたパチュリーは満足そうなのはいいのだが、勝手に動いて正門を溶接してしまったらしく、美鈴が入れなくなって泣いていた。何をやってるのかしら。
私達の時間となる深夜。4人は与えた部屋で寝静まっている頃だろう。私はふと紅魔館の敷地内で小さな振動を感じた。
気配をたどり、私はベランダから敷地を見下ろすと遮蔽物で身を隠しながら移動する人影を見つけた。人型の異形、どこかの妖怪か?と思ったが手にはあのCOGと同じような銃を持っている。
小さな振動でCOGの4人も気づいたのか、GoGの4人は既に目覚めて大広間へ移動し戦闘態勢を整えていた。
広間に入った私に気づいた4人は一斉に銃口を向ける。
「あれは私の知り合いじゃないわよ。あなた達と同じような武器を持っているし、そちらさんの知り合いじゃないの?」
落ち着いた私の言葉に銃口を下ろす4人。
「ああ、夜はお得意か。すまねえな嬢ちゃん、どうも罠があると思っちまってよ」
ごりごりと頭をかくマーカス。
「あの振動は俺たちにゃ馴染みがある。地下からローカストが出てくる前兆だ、ここで出会うとは思わなかったがね」
「ふーん、じゃあ侵入者なんだ。大丈夫よ。フランも喜ぶわ。私はベランダから見せてもらうわね」
私はそう言って微笑む。おそらく気配に敏いフランも真っ先に気づいただろう。
そう言った瞬間、外から銃撃音と大きな衝撃が響いてきた。フランが遊びはじめたのだろう。
「フランちゃんか?あー、兵士としちゃ、吸血鬼だとしてもあんまり嬢ちゃん達には出て欲しくないんだがな」
そうドムがつぶやく。そのまま4人は外へ飛び出していった。
フランが力任せに対象を破壊をしているのとは対照的に、4人の闘いは兵士として理想的な戦い方だった。
遮蔽物に隠れ移動しながら効率よく仕留めていく。被害を最小限に、攻撃を最大にする闘い。闘志を燃やす戦士の闘いでなく理詰めの戦術的な戦闘である。接近戦では銃に付けられたチェーンソ-で敵をぶった斬り、息の根を止める。十数人のローカスト達は数十分もすると見事に息の根を止められ、全滅した。
被害は館に数多くの銃痕と美鈴が育てていた花壇がぐちゃぐちゃになったが仕方がない。私の後ろで美鈴がまた泣いているのは放置。フランは武器についてあるチェーンソーが気に入ったのかドムから無理やりひったくるとローカストの身体を切り刻んでいた。
「ほら、フランちゃん、そんなので遊ぶとばっちくなるからお風呂入りましょう?」
チェーンソーを使い倒し血しぶきを浴びて真っ赤になったフランから、アーニャがなだめて武器を取り上げる。大人である。私もアーニャのようになりたい。大人しく頷いてそのまま風呂場へと連れられていくフラン。
くそ、フラン、姉の言う事は聞かないのになぜ他人の言う事は聞く。おっぱいか?でかいおっぱいがええのんか?美鈴の言う事もわりと聞くし、やっぱりおっぱいで判断してるだろ。
私は理不尽な怒りを溜めながらも、ローカストの死体を見てみる事にした。人間とは全然違うわね。血は赤い。外見が凶悪なので舐める気もしないけど。武器はCOGとほぼ同系統のものをつかっている。またはどちらかが敵の武器を奪って使用してるのでしょう。
どうしてこいつらがこの幻想郷に現れたのか。まあよく分からないけど楽しいじゃない