数千年の時を経て、最近萌えを取り込み始めた。GOW3参照。少しギアーズの人物もはいっています。
今日は滅多に人が来ない白玉楼にお客様が訪ねて来られました。西洋の冥界の神ハデスという方だそうです。うう、緊張します。
霊界を管理する役割の幽々子様に御用があったようです。なんでもこちらの地獄の管理者に話を通したい。との事ですが…。
私としては見た目が怖くてどうも近寄りがたい雰囲気です。鍛えた大柄な身体に腰巻をつけ、顔を覆い隠すような兜をかぶり、瘴気のような黒い霧を吐いています。全身には沢山の針が刺さっており、全身から放つ強い力により圧迫感を感じます。重苦しい雰囲気のなか、訪ねて来られたハデス様が地に響くような重低音の声を幽々子様に掛けられました。
「こちらの死者の魂を管理するのが女性とは思わなんだ」
「ありがとうございます~。でも私もまだ管理人になって数百年程しか経っていませんし、ここは死者の魂が裁きを受ける準備をする場所なんです」
「そうか、まあそれは良い。私の仇がここにいると聞いて来たのだが、どうやら閉じられた特殊な世界で私は入れないようなのだ。管理者から伝わらなかったか?」
「紫の事かしら?いいえー。何も聞いておりませんよ」
「ふむ。まあ良い。こちらの冥界の者にも話はしてある」
こちらの冥界?というと映季様のことでしょうか?私も幽々子様の斜め後ろで話を聞かせて頂いておりましたが、ハデス様がここへ来た用件はとても重く、奥さんの仇をとる為だそうです。自分も一度殺されてしまったそうですが、信仰により蘇った時、仇はすでにどこかに消えておりずっと探していたそうです。それはさぞお辛かったでしょう。
「最近東洋に関心を持った鍛冶神へファエストスによると、こちらの冥界を地獄というそうだな」
「ええ!!その人よく知っていますよ~。『鍛冶☆神へぱい★すとす』ですよね?こちらでも神って呼ばれていて、すごく可愛い少女の人形を作っていますよね~」
「うむ?少女?私はよく知らないが…」
私は幽々子様の言った言葉で思わず噴きだした。客人の前だったので慌てて口を塞ぎましたが「ブフォ!」っていうのは聞こえてしまいました。台無しじゃないですか!なんですその『鍛冶☆神へぱい★すとす』って人は?幽々子様、またネットの聞きかじりですよね。そういうサイトの常連じゃないですよね?もしかして幽々子様の部屋に飾ってある、あの動きそうな『プリティギリシャガール ぱん★どら』っていう少女フィギュア作者じゃないですよね?神ってそっち方面の神様ですか?
ものすごく緊張しながらお客様の対応をさせて頂いていたのですが、今のを聞いてこの方の兜ジャギヘルメットに見えて来ました。
ですがハデス様は真面目な方でフィギアとか全く知らなかった事です。少女フィギュアの話で盛り上がったらどうしようかと思いました。危うく天罰が下る所でしたね。『ハデス』というお名前も死後の世界の代名詞として一神教の新約聖書にも乗る程だそうで、スゴイ神様みたいですね。『へぱい★すとす』さんと一緒にしてはダメですね。
それに強面な外見と違い会話は紳士的でお上手です。幽々子様は桜が綺麗とか、団子美味い!パスタ美味い!とかホントどうでもいい世間話が多いですが、そんな幽々子様の脈絡のないお話にも乗ってくれています。相手が怒らないかとこちらがヒヤヒヤするほどです。相手は神様なんですよ幽々子様…
私は居づらくなってお茶を入れ替える為中座をし、新しいお茶を持ってきた時、お話はもう終わりそうでした。
「冥界、たしかこちらでは地獄であったな。仏教では六道に分かれたりと東洋のあの世はなかなか難解だ。もう何千年も過去になるか…人に火を与え、人は神を崇め暮らした古い時代だ。強きが全ての単純な世界であったのだが…いや、言う事ではないな」
「それでその人を見つけたらそうお伝えすればよろしいんですよねー」
「そうだ。そして隔離された世界より放り出してほしい。そしてもう一つ、この場所の彷徨う亡霊はその世界のものだな?これらは世界へ行けるのか?」
「はい?ええーっと集まってくるだけなんで分からないですが、幻想郷にいける私も亡霊なので…行けるかと」
「一人、私の尖兵とするが良いか?」
「え、ええ。尖兵ですか?いいと思いますけど」
戸惑う幽々子様でしたが、ハデス様はある亡霊を引き寄せ、なにか力を加えました。すると雲のようだった魂が変化し男性の身体を形作ります。現れた男はスキンヘッドのいかつい西洋人でサングラス、ロングコートを身につけていますね。うっすらと光に覆われていますが、外見は生者と見分けがつきません。元亡霊だった男は、生前の自分の身体が戻ったのをみて驚いているようです。
「お、おお。なんだ!?何がどうなった?」
「ある亡霊よ。彷徨う苦しみから開放してやったのは私だ。お前に一つの役目を与える。閉じた世界へ入りクレイトスと言う男を探せ。殺せるなら殺せ。助けとして亡霊の軍を操る能力を与えてやる。その閉じた世界とやらは…ここにいる管理人に聞くが良い」
そう言ってハデス様が片手を振ると、周囲に剣や槍を持つ無数の骸骨の戦士が浮かび上がりました。ちょっと何ですかこれ?まだ次々に湧いてくるんですけど!全員骸骨でめっちゃ怖いです!!言ってみれば『ハデス様の軍勢』なのでしょうか。
「何だこりゃ…すげえな。お、おう。何がなんだか分からないが、あの苦しみから開放してくれたんだ。その分は働こう」
「ふむ…では東洋の死者の魂の管理人よ、この男を置いていく。よろしく頼む」
ハデス様はそうおっしゃられて、白玉楼を去られました。なんというか神様にしてはとても律儀な方ですね。ああやって関係各所回られているんでしょうか?夜道で出会ったらおそらく気絶するほど外見は怖いですけど、見た目で損されてますね。お見送りをした幽々子様はふーっと溜息をつかれ、座り込みました。
「はぁー。緊張して肩がこっちゃった。映季様から訪問されるとお話あってびっくりしたわー。紫ったら神様が来る事知っていたら教えてくれたって良いのに、あら、妖夢、そんな肩肘はらなくていいのよ。あんな神様を倒す人なんだからきっと相手もすごい神様よ」
そうですよね。神様同士の争いに入れる訳無いですもんね。私としては八雲紫様はネットとか『へぱい★すとす』みたいな変な事を幽々子様に教えるので、ちょっと控えて欲しいです。
「おい、そこの姉ちゃん達。よく分からねえがあのものすげえ奴の命令だ。閉じた世界ってやつに行く方法を教えてくれ」
後ろに骸骨の軍団を従えたスキンヘッドの男の人がこちらへと声をかけます。この人もいかつい容貌なんですがハデス様を見ていた為、全然怖くないですね。むしろ後ろの人達をどうにかして欲しいですよ。元亡霊のこの男の人の名は、グリフィンさん。なんでも外界で会社をしていたそうですが、大きな戦争で巻き込まれ、死んでしまった人のようです。
白玉楼と幻想郷は霊的にはつながっているので、その事を男に人に伝えるとぞろぞろ骸骨達を引き連れて白玉楼の階段を降りて行きました。あれ…もしかして…あのまま幻想郷に現れたら大変な事になりませんか…?
「あれ…消えるのかしらね」
悠々子様も心配そうです。能力と言ってましたし、スペルカードのように一定時間すぎれば消えるんじゃないでしょうか?あの骸骨達が手分けしてクレイトスさんを探すんでしょうかね?百鬼夜行もびっくりなんですが。