大洗"学園"の、ある自動車部員の物語   作:けんとん

2 / 20
※注意※

・ガルパンの二次創作作品です

・大洗、その他数校の学校が共学化している設定です

・男子は全員オリキャラですが、主人公以外のキャラの名前には元ネタがあります

・恋愛要素あります

・メインヒロインは梓 理由?かわいいからに決まってるじゃん(真理)





本編
第一話 黒塗りの高級車に乗ったヤクザが追突してきた


 

 

「戦車道、かぁ…」

 

 

生徒会からもらった資料を読み終えて、1年の組章を付けている私立大洗学園指定の学ランではなく、緑色のツナギを着た青年はため息をついた。

 

 

光岡 研人(みつおか けんと)。

 

 

父親が自動車の設計士、母親はトラックドライバーの家庭に生まれた男子。

幼少期から車に囲まれて生活していた彼が、車に興味を持つのは自然なことであった。

そのため、自動車部がある大洗学園を志望校とし入試に合格。

4月から大洗の地に立ち、晴れて男子自動車部の一員となった。

これで自分も好きなだけ車と過ごせる。そう思っていた。

 

――あの生徒会(ヤクザ)に部活ごと脅されー もとい、説得されるまでは。

 

 

 

 

===

 

「と言うわけで、今年から戦車道復活させることにしたから。戦車の整備よろしく。」

「……はぁ?」

 

1学期が始まって間もないころ、生徒会室に呼び出されていた3年の組章を付けた学ランの青年――男子自動車部の部長、片山 達也(かたやま たつや)は生徒会長の無茶振りに怒り半分、呆れ半分といった顔をしていた。

「会長がおっしゃっている通りだ。男子自動車部の面々には、戦車道にて使用予定の戦車の整備をしてもらう。」

――いや、言ってることの意味は分かる。

生徒会長の横にいる、片メガネのショートカットの生徒会副会c……いや違う、生徒会広報の河嶋 桃はそう繰り返す。

 

「うん、言いたいことは分かるんだ。 でも、何故自動車部が整備を?」聞き返す。

「いやー、だって乗り物のプロフェッショナルだし、エンジンとかの整備もできるんでしょ?」

 

確かにそうだ。

自動車部の面々は、皆が皆自動車が大好きでこの部活に入ってきた奴らばかりだ。エンジンを整備できる男、板金加工に詳しい男、自動車塗装に明るい男……。

でも、戦車だなんて。

 

 

「お言葉ですが生徒会長さん、僕たちはあくまで自動車のプロフェッショナルであって、戦車というのは…」

「ふーん、じゃあ今年の部費70%カットで」

「なっ…!」

自動車部は車という工業製品を扱う部活である以上、運営に部費は必要不可欠である。これは脅し以外の何物でもない。横暴だ。

 

「それに」

会長が付け加える。

 

「自動車部、君らさ、目立った実績も何もないじゃん?もともと今年度の部費は多少なりともカットしようって思ってたのよ」

「…それは、確かに」

 

これには反論ができなかった。ラリー、ジムカーナ、メイクレースと様々な分野で参戦していたが、自動車部はこれといって大きな実績も打ち立てられずにいた。

理由はそれだけではない。入学を志望する生徒の減少だった。

 

 

 

――5年前。

年々入学希望生徒が減少している大洗"女子"学園は、ついに学園の共学化に乗り出した。

その年こそ入学希望者が増えた――主にハーレムを目論んだ不純な理由だが。……しかしその波はすぐに小さくなった。

1世代前の遺産という印象は中学生、しかも男子達たちにとって「ダサい」以外の何物でもない。

 

入学する生徒の減少に伴って、生徒やPTA、文化省からもらっていた学園運用費も年々減少してきた。

そうなるといの一番にコストカットされる場所、それは実績のない部活動にも充てられていた部費であった。

 

 

 

「……やらなくちゃダメなんですか」

「ごめんね。私達にもいろいろ事情があるから。」

 

河嶋と同じく生徒会長の横にいる、髪の毛をポニーテールにした――体のある一部が大きく成長しているお蔭で、男子生徒の恰好の妄想対象になっている生徒会副会長、小山 柚子が申し訳なさそうに言う。

 

「ねー、頼むよー。やってくれたら、昨年度と同じ額の部費を出してあげるからさー」

 

 

「…ちょっと時間をください。自動車部の奴らに聞いてきます。」

 

 

 

反応は様々だった。

生徒会の横暴に怒る者、予算が無いのなら仕方のないという者もいたが……。

 

 

大半は、戦車という男の憧れを整備できるというこれまでにないであろう体験に心を躍らせていた。

「マジっすか!」「戦車!戦車だ!」「ってかこの学校、戦車道やってたんすねー」「どんな戦車なんだ?」

片山は一度部員を黙らせ、そして少し小さな声で、

 

「これは俺達にとってチャンスだ。戦車の根幹…つまりエンジンや装甲といったものの整備経験が、自動車の整備にも生かされる筈だ。皆、やってみないか?」

『おうよ!』

 

…数人浮かない顔をしている者がいるが、まぁいいだろう。

 

 

それに…

自分も少し…心躍っていたのだから。

歴史の教科書でしか見たことのない、未知のものであり、過去の産物である戦車という兵器ー いや、乗り物を整備できるのだから。

 

 

 

===

 

学園の学生寮の一室で、研人は部長のセリフを脳内で反復させる。「これは我々にとってチャンスだ」

 

確かにそうかもしれない。戦車は男のロマンだ。

しかし自動車の知識が生かせるとしてもエンジンと板金の一部分であり、履帯に至っては自動車には存在しないものだ。

更に、整備した戦車に乗り、闘うのは自分たちではない。“女子”であるからだ。これが自分たちが選手になるというのであれば決心がつく。だが…

 

 

「やってみよーぜ。あの部長と生徒会長の言う事だし。」

そう諭したのは、研人のルームメイトであり、同じく自動車部の1年部員でもあり、そして高校に来てできた最初の友達でもある、本田 牧人(ほんだ まきと)だ。

彼の性格を一言で言うなら、流される男。

ルームメイトなって最初の夜に、自動車に対する熱い思いを語る研人に流され自動車部に入ってきた。

そのため自動車部の部員としては珍しく、車に対する知識があまりなかった。

 

だがこの本田という青年は。

 

「それに、戦車だぜ戦車!しかも第二次世界大戦当時の年代物ときた!それを俺達が扱える!こんなの天国だぜ!」

 

――そう、戦車オタクであった。

 

「どんな戦車があるんだろうなー?ドイツのパンター?アメリカのシャーマン?それともソ連のT-74?ああああワクワクしてきた!」

こんな調子である。

 

「な!研人もやるよな!戦車道の手伝い!」

「…ああ」

 

今度は俺が流されてしまった。まぁこれでおあいこだ。

 

 

===

 

数日後。

車1台の収納と小さな作業スペースがある、小さなガレージにて。

 

「男子自動車部の奴ら、戦車道の件で生徒会に脅されて整備やらされるんだって。かわいそー。」

オレンジのツナギを着た、色白の女子自動車部の部長――ナカジマは、そう言う。

 

「そうみたいね。なんでも、協力しなきゃ部費がカットされるって話だって」

同じくオレンジのツナギ――上半身はタンクトップだが――を着ている、ホシノが返す。

 

「ひどいね。いつもの生徒会のやることだよこりゃ。」

2人の会話に整備中のトヨタ・アルテッツァの下から返答するのは、褐色肌とクセっ毛が特徴的なスズキ。

 

「でも先輩、私達もやばいんじゃないんですか?彼らがそう迫られたってことは、新入部員のいなかった私達もー」

女子自動車部唯一の2年生であるツチヤが全てを言おうとした所で――。

 

 

「当然だよねー」「当然だ」「当然です」

 

 

生徒会長(ツインテールチビ)生徒会広報(片メガネおバカ)生徒会副会長(ロケットおっぱい)の3人が、異口同音を放つ。

 

 

程なくして、女子自動車部も戦車道に協力――もとい、戦車道を受講するハメになってしまった。

 

 

 

 

===

 

 

「ねーねー、澤さんは選択科目、何取るの?」

 

「うーん、今まで華道にしようと思ってたんだけど、戦車道、やってみようかな…」

 

「戦車道かー!じゃあ私も戦車道にしてみようかなー」

 

選択科目の説明会を終え、1年○組に戻ってきた女子生徒3人は、選択科目をどれにするか、でしゃべっていた。

 

「そう。せっかくの高校生活だし、人生でやらないようなこと、やってみたいしね。」

ショートカットで、ちょっと背が高い生徒である澤 梓はそう口にする。

 

「ふーん、澤さんって優等生っぽいよね。特典の事言わないし」

黒髪ロングでいい体つきをしている女子――山郷 あゆみが返す。

 

「私は絶対戦車道にするからね!だって学食のスイーツ券たくさんもらえるんだし!」

「私も~。あのスイーツ、けっこうおいしいのよねー~。」

2人が続けて返す。元気な方は大野 あやで、おっとりしているのは宇津木 優季だ。すると梓が、

「ねぇ、せっかくだからあなたたちも戦車道取ってみない?」

「…あい?」

「…」

 

クラスの中でも少し浮いている2人に声をかけていた。

その後、あゆみとあや、それに有季を加えた4人による説得によって2人とも戦車道を受講することになった。

 

 

…この小説を読んでいるガルパンフリークの皆様方には語るまでもないとは思うが、さきの会話で言語不自由な返答をした方が坂口 桂利奈であり、無言を貫き通していたのが丸山 紗希である。

 

 

 

 

===

 

あくる日のお昼休み、生徒会室にて。

 

「こうするしか、無かったんですよね、会長」

「ああ。本当はどっちの部活にも、最後の年ぐらい自由にやらせてやりたかったけどねー…」

「仕方のないことだ。それに、万が一にも戦車道の全国大会で優勝すれば来年もー」

「かわしま、それ私達3人だけの話だからね。生徒会以外に言っちゃ駄目だよ」

「分かっています」

 

コンコン。

ノックの音。

 

「入れ」

 

「失礼…します」

明るい栗色のショートカットで、でも今は目の色が消えかかっている少女ー西住 みほと

 

同じように明るいオレンジの髪を巻いた、まさしく今時の女子高生とでもいうべきー武部 沙織と

 

育ちの良さを感じさせる、黒髪ロングに長身の持ち主ー五十鈴 華

 

 

この3人が、意を決して生徒会室に入ったみほの選択科目を、戦車道以外のものにするために。

結果は――言うまでもないだろう。

 

 

 

…後に彼女たちが、第63回全国高校生戦車道大会において優勝し、「奇跡の立役者」となる物語はーいや、

"彼ら"も含めて、「奇跡の立役者」となる物語は、ここから動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 




はじめまして。今回が処女作となります、けんとんです。
「ガルパンに出てくる戦車の整備、どんなに自動車部がチートでも無茶だろう」→「じゃあ整備担当として機械に強い男子を出そう」
という妄想から生まれたお話です。

基本的には原作に沿って進んでいきます。


<設定>
大洗は共学です。 でも最近共学化したのでいかんせん女子校のイメージが強く、生徒会長はずっと女子でした。本編同様、廃校の危機です。

<光岡 研人>
主人公です。割と振り回される役割です。でも決めるときはきっちり決めてくれます。頭は中の上です。名前の元ネタは知る人ぞ知る国内の自動車メーカーです。

<片山 達也>
男子自動車部の部長です。 ドライビングテクニックが部内No.1という理由で部長になりました。女子自動車部にもその技術は知れてますが、ある理由により女子が苦手です。頭は上の中です。名前の元ネタはかの有名なF1ドライバーです。

<本田 牧人>
研人の友人です。(まだ登場してませんが)秋山殿と同じぐらいの戦車オタクですが、戦車道に関しての知識はそれほどでもなく、戦車以外の知識に関してはからっきしです。名前の元ネタは超有名な自動車メーカーと、最近復活したそのレーシングチームです。頭は下の上です。 あと、割とイケメンです。

<澤 梓>
メインヒロイン。 梓はかわいい。(真理)

<河嶋 桃>
メタル豆腐、もといポンコツ。 作者のひいきで出番が多いです。

<その他登場人物>
基本的には本編と同じような性格ですが、語尾がおかしい可能性があります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。