騎士王がロキファミリアに入るらしいですよ 作:ポジティブ太郎
今話は戦闘はありません。ほのぼの回です。
「遠征ですか?」
フィンの問いかけに対し、困惑するアルトリア。
遠征とは長期的にダンジョンに滞在しモンスターを討伐、ドロップアイテムや
魔石の回収を行いながら、団員たちの成長の場を与えるものだという。
特にこの【ロキ・ファミリア】では、オラリオでも随一の到達階層を誇るらしい。
フィンからの遠征についての説明を受けたアルトリアは、
「もちろんです。是非行かせてほしい。」
今後、待ち受ける『未知』への興奮を表情に滲ませながら提案を飲んだ。
「アルトリア、あなた......どうなってるの?」
「なんで、Lv.1なのにフィンに勝てたの?」
ティオネ、ティオナの双方から質問攻めに遭うアルトリア。
少し困りながら、アイズに縋るように振り返るが......
少女はいかにも聞いていないような素振りをしつつ、耳だけはこちらに傾けていた。
強さの秘訣を探る一心だったとはいい、友人の思わぬ裏切りにアルトリアは
ショックを受ける。
この場にいる全員を納得させるには、自分の過去を打ち明けるしかない......
前方にいるロキに打ち明けていいか、と視線で許可を求める。
ロキは難しい顔をしたが、やむを得ないと首を縦に振った。
そして、フィン達に話した内容をこの場にいる者達に打ち明けるのであった......
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ほとんどの者達がアルトリアの語る内容が理解できず
頭の上に疑問符を浮かべたような顔をしていたが、
彼女の戦闘経験は自分たちよりも圧倒的に多い、ということだけは理解していた。
あの洗練された技と駆け引きも納得がつく。
「う~ん。よく分からないけど、アルトリア王様だったんだ!」
とティオナが目を輝かせながら、興奮していた。
アルトリアの服装ーープレートアーマーも気になっているようだ。
「とても、信じられないけど団長に勝ったのは事実だし信じるしかないわね」
フィンに勝ったのにも説明がつくとティオネ。
「................」
アイズは口を閉ざしながらもアルトリアの世界への関心を深める。
少女は心の内でもっとアルトリアとの親交を深めたいと考えていた。
その後、団員たちの質問にアルトリアは全て答え、団員達との親交を深めていく。
特にティオナは幾度となく質問をしていたが、そんな彼女に面倒に思わず
最後まで話に付き合っていた。
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団員達との会話の後、特にすることもなく手持ち無沙汰になっていた。
ロキからは、「もう今日はダンジョンに行っちゃいかんで~」と念を押されている。
彼女自身は疲れはなく、まだ体を動かし足りなかったがロキの心配を無下にはできないので
従っておくことにしたのだ。
そんなこんなで暇を持て余す彼女。そこへ、
「アルトリア。 今、時間ある?」
アイズが声をかけてくる。
「はい。 今は暇ですが」
「今から、オラリオを二人で見て回らない?
アルトリア、まだ都市はそんなに観光してない、よね?」
アイズが二人で遊びに行かないか?と提案する。
「そうですね。では、行きましょうか」
特にすることもなく暇なアルトリアは同意する。
それに一度都市を観光してみたいと思っていたため、ちょうど良い機会だ。
行く場所について話し合いながら、二人は『黄昏の館』後にした。
北のメインストリートの商店街。ここは以前行ったことはあったが店を見ることはなった。
まず立ち寄ったのは、小さな雑貨屋。
人入りは多くはなかったが、種類豊富な商品が並べられている。
普段は『戦闘狂』や『剣姫』と畏れられているアイズは、小さなじゃが丸くんの置物を
食い入るように見つめていた。こんな姿は普段の彼女を目にしている者ならば想像もつかない。
一方、アルトリアも愛らしいライオンのぬいぐるみに目を奪われていた。
終いには、見るだけでなく表情をすっかり緩ませ、手で撫でながら愛でてしまう始末だ。
その様子からは、もはや王としての威厳などは微塵も感じられず、一人の少女の姿そのもの。
そうして二人は、それぞれ買い物を済ませ次の場所へ向かう。
オラリオの中心に建てられている巨大な白亜の塔『バベル』に二人は来ていた。
「アイズ。疑問に思ったのですが、なぜバベルに来たんですか?
今日はダンジョンには潜りませんよ」
ダンジョンに潜らないのになぜバベルに来たのか、と疑問を感じるアルトリア。
「ダンジョンじゃないよ。今日行くのは
ついてきて、とアイズはバベル内へと入っていく。
アルトリアも『
バベルの上の階に行くため『魔石』の魔力を浮力に転換させた台座に乗って、バベル4階まで
登っていく。この時アルトリアは、かつて士郎と都内のデパートで乗ったエスカレーターを
連想させていた。
台座から降りると、そこには数々の武器が並んでいる武具屋があった。
「バベルには、武器を売っている店があるんですか」
アルトリアが呟く。
「武具屋だけじゃない、よ。」
アイズがアルトリアの呟きに応える。
『バベル』は、武具屋だけでなく、治療設備、簡易食堂、魔石換金所などの
公共設備も充実している。そして、今いるのは、数多くの商業系ファミリアのテナントの
中でも最大級ーー【ヘファイストス・ファミリア】のテナントにいる。
武具の価格は破格の値段だが、冒険者であれば誰もが身につけたい装備が山ほどある。
アルトリアは店の
刀身が鮮やかな銀に輝いている
目を疑った。桁を数え間違えたと思い数え直すが価格は否として変わらない。
「アイズ。........この武器値段が違いませんか?」
いまだに信じられず、隣に立っているアイズに声をかける。
「あってる、よ」
アイズの一言で信じざるを得なくなるアルトリア。
それに、とアイズが言葉を繋げる。
「私の武器はもっと高かった、よ」
その一言にアルトリアは、呆然と立ち尽くすのであった。
この店の前では無一文同然のアルトリアには武器など買えるはずなどなく、
二人で
『バベル』から出ると空はいつの間にか赤く染まりきっていた。
時間が経つのは早いものだとアルトリアは感慨深く感じている。
「アイズ。今日は誘ってくれてありがとうございました。
また一緒に来ましょう。」
アルトリアは今日一日楽しませてもらった
「うん。 また行こう、ね」
アイズはアルトリアの言葉を自分でも驚くほど嬉しく感じていた。
同時に
こうして二人は、夕日を
ホームへの帰路につくのであった。
2話ぶりの日常回でした。
次回は変態女神の出番があると思います!