騎士王がロキファミリアに入るらしいですよ 作:ポジティブ太郎
「抑えろっ! フィン達が来るまで耐えきるぞ!」
緊迫した声で叫ぶのは美麗のエルフ。
新種モンスターの脅威に屈する事なく団員達に喝を入れる。
そう、遠征団員の中で最低Lvである少女が一人戦っているからだ。
団員達も少女の戦う姿に感化されていた。
「はああああああああッッッッ!!」
銀の剣閃が煌めく。芋虫型のモンスターを一刀両断。
少女――アルトリア・ペンドラゴンの猛攻は止まらない。
押し寄せてくる数多のモンスターをたった一人で足止めしていた。
彼女の得物である『シュナイダー・ブレード』は
が、剣は摩耗する。腐食液に耐えるとしても切れ味の低下は防げない。
属性故の弊害。アルトリアは少しずつ戦いづらさを感じ始めていた。
(まだ一撃で倒せはします‥‥‥が、数が多い。一体ずつでは埒が明かない。ここは‥‥)
アルトリアは活路を見出していた。彼女の視界に映るのは一本の槍。
下位団員が使っていたであろう変哲のない槍。持ち主の団員は本営で治療を受けているのか、ここにはいなかった。
持ち主に直接借りを入れると告げる事が出来ない事に後ろめたさを感じつつ、アルトリアは槍を手に取った。
再び加速。モンスターの側面に回り込む。そこには、相手取っていた8体のモンスターが一直線上に並んでいた。
呼吸を整えながら、アルトリアは上体を反らした。右足を突き出し、槍を持つ右手は後ろへ。
投擲の構え。全身から迸る力の奔流。次の瞬間閃光が弾けた。
風を切り裂きながら飛翔していく槍。一体、また一体とモンスターの体皮を貫いていく。
最後の一体を貫いた後も槍は彼方へと飛翔していった。
戦闘の終了が告げられた様に思われたが、再び地が揺れ動く。
本営の方角からの声が一段と大きくなっていた。
アルトリアは、直ぐ様異変を感じ取り本営へと走り出した。
同刻。アルトリアと対極の位置で新種と戦う男――フィン・ディムナがそこにいた。
「っと! キャンプに戻ってみればこの有様か‥‥。全く恐ろしいねダンジョンは!」
困った顔で嘆息しながらモンスターの脚を切り落としていくフィン。
彼もまた本営で起こった異変に気づき直ぐ様引き戻してきたのだ。いや、彼自身既に新種とは遭遇していた。
カドモスの泉水の回収中に突如起こった
全てを鑑みて、クエスト達成よりも退却を選んだ彼の英断が功を奏したのだ。
「必ずしも倒す必要はない。反撃する力さえ残さなければいいのさ」
モンスター倒せば腐食液と共に爆散してしまう。ならばと、敢えて脚を切り落とすに留めることで敵を戦闘不能にしていた。
彼もまた感じ取っていた。地の揺れと異質なまでのダンジョンから放たれる狂気を。
アルトリアと同様に彼の足はベースキャンプへと進みだしていた。
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本営には、団員一同が終結していた。そして見ていた、悪夢の光景を。
極彩色の女怪物。先の芋虫型のモンスターよりも何倍もの大きさ。
歪な触手を揺らめかせ、こちらを見据える紫紺の瞳。
正しく未知の『怪物』そのものだった。
「‥‥‥退却だ」
「――フィン!?」
静かに告げられた言葉に驚愕を示す一同。
フィンは手で言葉を制し話を続ける。
「勿論ただでは引かないさ。――アイズ」
「ん? なに、フィン?」
「奴は君が倒すんだ」
再び驚愕する一同。その顔には「団長は何を言ってるんだ」とハッキリと書かれていた。
フィンの言葉の真意を察したのは、ガレス、リヴェリアの首脳陣。そして。
「フフッ。流石に君には敵わないなアルトリア。アイズを頼んだよ‥‥‥」
「勿論です。直ぐにそちらに行きます」
既にアルトリアは、アイズの隣に立っていた。
瞳は『怪物』へ。既に戦闘の心構えは整っていた。
団員達――特にベートがギャアギャア叫んでいるのは無視して、アルトリアはアイズへと向き直る。
「‥‥アイズ邪魔でしたか?」
「ううん。そんな事ない、よ」
「そうですか。‥‥アイズ。この戦いが終わったら、少し話があります」
「‥‥うん?」
アルトリアの切り出した言葉に不思議そうに首を傾げながら、アイズは呟く。
怪物の耳を劈く様な咆哮が51階層に響き渡る。
その声が合図となり、戦闘の火蓋が切って落とされた。
フィン側の動きが全く描写できませんでした。
あくまでアルトリア主体の物語ですので、そこはどうかご容赦を!
執筆の速度は変えられるか定かではありませんが、投稿は続けますので今後とも読んでいただければ幸いです。
次話 遂にあの技が炸裂する‥‥予定です