騎士王がロキファミリアに入るらしいですよ   作:ポジティブ太郎

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予定より進度は遅めです。
予定通り話を進めるのって大変です(汗)


第十七話 冒険の夜明け

 ダンジョン17階層。【ロキファミリア】団長フィンの判断により遠征は中断された。

 51階層での『異常事態』(イレギュラー)の発生。新種モンスターによる被害は大きく、団員の治療と物資の不足によって遠征を続けることが困難になったのだ。

 上位団員達は戦い足りないと憤っていたが、下位、中位団員達にとっては心から休める一時であった。

 

 この安全が確約された安息の地にてアルトリアは、追い詰められていた。

 

「ねぇ、アルトリア。昨日、アイズと一緒に戦ってたモンスターどうなったの!? 何か凄い音がした後、光がピカーーーって。あれって何!?」

「確かに何なのかしらアレ」

「気になりますね」

 

 ヒュリテ姉妹とレフィーヤがアルトリアを取り囲んでいる。

 昨日の一件の詳細を聞くためだ。

 

 アルトリアは、猛烈に焦っていた。

 勢い余ってエクスカリバーをぶっ放してしまったが、よくよく考えてみればロキとの約束を見事に破ってしまった。あれほど再三の忠告を受けといて、だ。だが、幸い自分が事の犯人だとは気づかれていない。

ならば、まだ誤魔化せるのではないだろうか。

 

 仲間に嘘をつき騎士道に反した行いをしてしまうことを恥じる傍ら、事の大義名分は我にありという相反する思いが生まれつつあった。

 

「いえ。私は直ぐに気を失ってしまって‥‥‥」

「えっ。あれはアルトリアが「私は、知りませんね」

 

口を開くアイズを皆まで言わせず、白を切るアルトリア。

 疑いの目を向けていたティオネ一行も追及を止めた。

 代わりに顔を赤らめモジモジと体を揺らしながらレフィーヤが口を開く。

 

「それにしても、やっぱり凄いですね! アイズさんの『魔法』!」

「そう、かな?」

 

 レフィーヤの心からの称賛に、アイズは照れくさそうに髪を擦る。

 アイズの『魔法』は確かに稀有な物だ。オラリオの冒険者の中でも類を見ない『希少魔法』(レアマジック)であることは間違いない。だが、アイズは考えていた。

 

 アルトリアが最後に使った『魔法』。いや、『スキル』。

 前者か後者かは分からないが、あの技は明らかに異質なものだった。まるで、世の理を否定するかの様な一閃。

知りたい。その力の秘密を。

 

 内心考えに耽るアイズの元にアルトリアが声を掛けた。

 

「アイズ覚えてますか? 戦いの後に話があるって言ったこと」

「うん。覚えてる、よ」

「早速ですが、今から話があります。‥‥‥場所を変えましょう」

 

 そう言うとアルトリアは、アイズの手を握り森へと歩み出す。

 突然の事で困惑するアイズだったが、一つだけ気付いた。

 少女――アルトリアの横顔が普段より険しい事に。

 

 

*************************

 

 大樹がお生い茂り、地面からは透明な水晶が顔を出している。

 聞こえてくるのは風の音。草枝の重なりが作る層の間から差し込む光が心地よい。

 実際は、天井に埋め込まれたクリスタルによる光なのだが、本物の太陽と錯覚するほどだ。

 

 その森のなかに佇む二つの影。場には異様な緊張感が立ち込めていた。

 

「――アイズ。あなたは、何を死に急いでいるのです?」

「ッ! そんなつもりは」

「そう思っているのはあなただけだと思います。49階層でのフォモールとの戦闘でも、あなたは無駄に危険を犯した。フィンから聞きました。アイズにとっては『いつものこと』だからって」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 アルトリアの指摘に返す言葉がなく、アイズは黙り込む。

 

「‥‥‥‥私には、‥‥どうしても叶えたい『悲願』(ゆめ)がある」

 

 やがて、ポツリ、ポツリとアイズの口から言葉が溢れる。

 

 アルトリアは分かった気がした。なぜ自分がこうまで真剣になっているのか。

 憤りのない怒りを感じずにいられないのか‥‥。

 そう、似てるのだ。彼女(アイズ)と自分は。

 嘗て自分が願い成し遂げられなかった夢。祖国【ブリテン国】の救済。

 王としての責務を果たすことが出来ず、只々滅びゆく国を見ることしか出来なかった。

 結果、自国の救済のため聖杯を求めて周りが見えなくなっていた。今では士郎に諭され、自分を見無失うことなくいられたが。

 きっとアイズは助けを求めているのだ。以前の自分と同じように‥‥。

 だから、私は‥‥‥。

 

 

「アイズ。結果を求める事は確かに大事です。ですが、一番大切な事は今まで何を成し遂げてきたか。その過程が一番大切なのではないでしょうか?」

「―――――――――――――――ッ!」

「必ず結果はついてきます。貴方の『悲願』(ゆめ)はきっと叶います。だから、急がないで下さい」

 

 以前、士郎が自身を諭した言葉。彼の受け売りなのだが、アイズには効いたらしい。

 先の詰まった表情から一転し迷いが消えていた。

 普段から希薄なその表情が崩れる。まるで、張り巡らされた氷が溶かされていくかの様に。

 アイズは思いっきり破顔した。

 

「うん。ありがとうアルトリア‥‥‥!」

「いえ、これからもお互いがんばりましょう」

 

 アイズの心は幼少の頃に少し戻っていた。ダンジョンに潜るため心の奥底に封じ込めていた【自分】。

 だが、今のアイズの笑顔は幼少の時のままだった。

 長き束縛から開放された喜びを表している――そんな屈託のない笑顔だった。

 

 

*******************

 

 迷宮都市オラリオ。その都市の象徴である白亜の巨塔――バベルの前に白髮の少年が佇んでいた。

 古びた茶コートを身に纏い、腰元には一本の支給用の短剣(ナイフ)

 一目で分かる駆け出しだ。これが、彼にとって人生初の『冒険』。

 そして、彼の人生が大きく揺れ動く日。

 彼は走り出した。まだ見ぬ『未知』と出会うために。

 ダンジョンに美少女との出会いを求めて。

 

 

 

 二つの物語が交差する時――本当の『冒険』が始まる。

 




前話のあとがき詐欺になっちゃいました。ごめんなさい!
本来は、白兎との邂逅まで書くつもりが‥‥‥。
ですが、アイズとアルトリアのやり取りは抜かすわけにはいかなかったのでお許しを。
次話で書き上げます。作者の嘘は三度まで‥‥‥。2回分はとっておきます(笑)

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