魔法科高校の劣等生と優等生、加えて問題児   作:GanJin

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はいどうも

もうすぐ十二月、今年もあとわずかです

それでは、お楽しみください

2020/04/08:修正しました。


意外な人と対談しました

 その日の夜、禅十郎は自宅の屋根に上って空を眺めていた。

 ここでの夜風はなかなか気持ちいいもので、のんびりしたり、考え事をしたりする時にはぴったりの場所だ。ここは禅十郎のお気に入りの場所なのだ。

 

「禅、間違ってもそこで寝るなよー」

 

 下から千景の声が聞こえた。

 

「うるせぇー、そんなことするかー」

 

 心地よい風の所為か、間の抜けた声で返事をする。

 

「ま、寝ても放置するから、別にいいけど」

 

「そうかよー」

 

 千景は立ち去ったのか、もう下から声が聞こえてくることは無かった。

 

(……面倒な人に目を付けられたなぁ)

 

 そのまま禅十郎は目を瞑り、夕方の続きを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

「あー、やっと終わったー」

 

 会議が終わった後、禅十郎はフロントのソファーでぐったりとしていた。

 

「随分と疲れた様子だな」

 

 その様子を見て荻は呆れていた。これで次期社長を任せられるのか一抹の不安を覚えるが、能力は備わっているので社員としての素質は十分にある。後は経験と学習で何処まで上り詰めることが出来るかだ。

 

「あの中で平常心でいる時点で無理だろ。会頭と七草のおっさんならともかく、会ったこともない十師族の当主全員と会うなんざ、俺みたいな高校生には荷が重いっつうの」

 

「今は結社の一員として来ているんだ。愚痴は聞いてやるが、同情はしないぞ」

 

「けっ、この薄情者」

 

 禅十郎は溜息交じりに悪態をつく。

 

「あの面々の前で喋らされて、噛まない様にするだけでしんどかったんだから大目に見ろや」

 

「言い訳は聞かん。嫌なら慣れろ」

 

 それでも荻はバッサリと切り捨てた。仕事に関して彼はかなり厳しい性格であるが、その手腕は高く評価されている。加えて部下の面倒見がいい為、毎年非公式で行われているランキングで『上司にしたい人物』ぶっちぎりの一位なのだ。

 

「仕事の鬼かよ。たく、とても娘の前では見せたくない姿だな」

 

「見せるつもりは毛頭ない」

 

「さいですか……。親バカめ……」

 

 最後の方は小さな声で呟いた。彼は妻だけでなく子供達も相当溺愛している親バカなのだ。それは結社内でも知られており、そんなギャップに魅かれる者が続出しているらしく、一部の者からかなり嫉妬されている。主に結婚できていない者が中心に。

 

「何か言ったか?」

 

「何でもねぇよ。ああ、そういや親父はこの後別の会議があったっけか。俺はどうすりゃいいんだ?」

 

「自力で帰れ」

 

「は……?」

 

 まさかの完全放置。車で送る気はないらしい。

 

「金は後で返してやるから、ついでに皆に横浜土産でも買っていってやれ」

 

「めんどくせぇ」

 

「それと今日は遅くなると千鶴に伝えておいてくれ。次の会議の予定が少しズレそうだ」

 

「荻、お前どんだけ人をパシリに使うつもりだよ。自分の事は自分で言えよ。俺に言伝を頼んで、千鶴姉から誤解されても知らねぇぞ」

 

 流石の禅十郎も黙ってはいられず、このまま「はいそうですか」と頷けなかった。

 すると荻は禅十郎の言葉に、少々考え込む。

 

「確かにこういうことは自分で言っておくべきだな」

 

「昔の千鶴姉に戻られたら、俺らにも被害が出るんだからちゃんとしてくれよ」

 

 昔の千鶴は色々とやらかしていたこともあり、あの隆禅でさえも手を焼いた案件があったのだ。

 

「……まぁ、そうだな。確かにアレは少々酷かったが、初めての恋愛だったんだから仕方がない気がしなくもないが」

 

しかし、そんなことをひっくるめて自分の妻と向き合っているのは流石の一言だった。正直、あの時、千鶴が初めて惚れた男が荻であったからこそ、丸く収まったのかもしれない。

 

「とにかく、お土産はちゃんと買っていってやれ。昼飯代も出してやるから」

 

「だから何でもかんでも俺にやらせるなや」

 

「上司が部下を使って何が悪い?」

 

 何か問題でもあるのかという顔で荻は言う。

 

「だから……人使いが荒いって言ってんだよ」

 

 それから荻は隆禅のもとへ行き、禅十郎は一人になった。

 

「あー、昼飯何にすっかなぁー」

 

 時刻は既に正午を過ぎており、禅十郎は何処かで軽く済ませるつもりでいた。

 

「横浜といえば中華街なんだけど。うーん、中華か……」

 

 ここ最近、そっち方面の人物と嫌な思い出があるため、足を運ぶ気になれなかった。

 その人物も表では中華料理を営んでいるらしく、かなり評判のある店のようである。興味はあるが、食いに行くよりぶっ潰しに行きたいという思いが強かった

 

「中華がダメならラーメン……。あっ、いっそ家系ラーメンにでも行ってみるか。いや、でも麺類なら蕎麦も良いよなぁ。天ざる食って、シメに蕎麦湯……。でもガッツリいくならラーメンと餃子」

 

 料理を食べることは禅十郎にとって最高の楽しみであり、何を食べるか想像するだけでにやけが止まらなかった。

 これからの楽しみに想像を膨らませていると背後から誰かが近づいてくる足音を耳にする。間違いなく自分に迫ってきており、敵対しようとしている気配はない為、普通に背後に目を向けた。

 そこにいたのは初老の男性だった。

 

「失礼いたします」

 

 丁寧なお辞儀をするその男性見て、禅十郎は驚いた。この男性も以前資料で見たことがある人物であるが、今日会うとは思いもしなかった。

 

「まさか、四葉の執事長であるあなたに声を掛けていただけるとは思いもしませんでした」

 

 その男性の名は葉山忠教。四葉家の先代当主から仕えている執事であり、序列第一位の執事長でもある。

 

「おお、私めのような雑輩をご存知とは光栄に存じます」

 

「あなたを雑輩という御仁はいませんよ。私の祖父や九島老師でさえ一目を置く人物を知らないのは、魔法師社会にいる私のような若輩者を除けば余程の世間知らずくらいでしょう」

 

 あまりにも謙遜しすぎだと思った。葉山は最も四葉の当主に近しい存在であり、禅十郎からしてみれば十分な大物である。何せ、彼は四葉が起こしたあの出来事にも関与しているのだから。

 

「それで私にどのようなご用件でしょうか?」

 

「はい、突然のことで申し訳ありませんが、主が少々お時間を頂きたいとのことです」

 

 唐突のことに禅十郎は開いた口が塞がらなかった。葉山の言う主とは、四葉家の現当主、四葉真夜のことだ。そんな超大物人物が自分と会いたいとはどういうことなのか。理由は無きにしも非ずだが、こんなに早く接触してくるとは思わなかった。

 

「その理由は?」

 

 それでも禅十郎は麻痺していた頭を可能な限り使って返答する。

 

「私めも存じ上げません」

 

 そんな質問をしても無意味なのは分かっていた。先程の会話を聞かれていたと考えれば、このタイミングで話しかけてきたのも納得がいく。

 どうやっても拒否は出来ないと諦め、禅十郎は真夜と会うことを決意した。

 その後、禅十郎は直ぐに部屋に案内された。

 葉山が扉を開けた瞬間、禅十郎は会議室での感覚を再び味わった。あの時と同じようにそれが目に入った瞬間、本能で感じ取った。四葉真夜という人の皮をかぶった怪物に。何度見ても、背中がヒヤリとする。外見の美しさも然ることながら、それ以上に彼女の存在自体に禅十郎の本能が危険信号を発していた。

 

「どうぞお掛けになって」

 

 部屋のソファに座っている真夜に促され、禅十郎は軽く礼を言って椅子に腰を掛けた。

 この動作をするだけでも、禅十郎はかなり緊張していた。慣れていないのも理由の一つだが、どうも彼女を前にすると一つ一つの動作を気にしてしまう。

 禅十郎は幼少の頃から体術、魔法、勉学はみっちり扱かれてきたが、マナーのレッスンは皆無と言っても過言ではない。武術を習っていれば自然と身につく、と周りが言うが結局何も分からずじまいであった。

 故に自分の行動一つで相手の機嫌を損ねることだけは絶対に避けねばならないと、禅十郎は心の中で決意していた。

 

「ふふ……、そんなに緊張しなくても良いのですよ?」

 

 そんな禅十郎の心を読んだかの如く、真夜は妖艶な笑みを浮かべてそう言った。これでも自分が何を考えているか分からないように振る舞える自信はあったが、こうもあっさり見敗れられるとは思わなかった。

 流石に色々と化かしあいをしてきた年長者にはかなわないようだ。

 

「……御気遣い感謝します」

 

 一度は見栄を張ろうかと考えたが諦めた。そっちの方が気が楽になり、慣れないことの所為で余計なヘマをする可能性がぐっと下がるからだ。

 

「会議室でも私達の前で話をするのをかなり緊張していらしたわね」

 

「ええ。二、三人であればともかく全員となれば話は別ですから」

 

「頑張っていたようですけど、少なくともあの場にいた私を含めて二、三人は気付いていたでしょうね」

 

 まだまだ未熟だと言われているような気がした。それでも自覚はしているのでそこまでショックではなかった。

 

「まだまだ修練が足りないようです」

 

 すると、ここまで案内してきた葉山が二人の前に飲み物が置かれた。真夜には紅茶の入ったティーカップを、禅十郎には緑茶の入った湯飲み茶碗が置かれる。禅十郎は自分が紅茶を好まないことを知っているのかと疑問に感じたが、気にせず茶を一口飲んだ。

 

「ほう……」

 

 場違いな感想であるのは分かっているが、上手い緑茶だと思った。

 

「あら、お口に合いました?」

 

「ええ、私が知っている中でもここまでの味を出せる人は片手で数えきれるくらいですよ」

 

 禅十郎がそう言うと葉山は恭しくお辞儀した。流石、真夜に直接仕えるほどの人物だと改めて認識させられた。

 だが、別に緑茶を楽しむためにここに来たのではないため、禅十郎は早速話に入ることにした。

 

「それで、今回はどのようなご用件でしょうか? 依頼でありましたら、私ではなく結社に直接連絡をしていただきたいのですが……」

 

「いいえ、今回は仕事を依頼ではありません」

 

「では何故……」

 

「あなたと直接話がしたかったから、ではいけないかしら?」

 

 この一言に禅十郎は困惑した。四葉の当主が裏の仕事を少しばかりしている程度の高校生に何の話があるというのか。興味本位で呼び出すようなことはしないのは間違いない。つまり、こちらでも予想していることに関することなのだろう。

 

「話というのはあなたの甥と姪の達也と深雪さんのことでしょうか?」

 

 禅十郎は自分の予想をあっさりと口にした。どの道、この手の駆け引きは向こうが上であることは間違いない。無理に隠すこともせず、堂々と話をした方が気後れしなくてすむと思い、自分から切り出すことにした。

 

「あら、やっぱり気付いていたのね」

 

 向こうも隠す気はないらしい。

 

「最初は憶測でしたが、先日の、ブランシュの件で確信しました」

 

「参考に聞いてみましょうか。何処で気付いたのかしら?」

 

 真夜は興味を抱く眼差しを禅十郎に向ける。まるで禅十郎の事を隅から隅まで調べるような、そんな目をしていた。そんな目に一瞬背中に悪寒が走ったが、軽く深呼吸をして禅十郎は口を開いた。

 

「そうですね……。最も大きな要因は四葉の情報操作が完璧すぎた、からでしょうね」

 

「そう、完璧すぎたと」

 

 真夜は禅十郎の言葉に興味深いと思ったのか笑みを浮かべていた。

 後ろで控えていた葉山もやや眉を吊り上げており、禅十郎の言葉に興味を示していた。

 

「申し訳ありませんが、二人のパーソナルデータを調べさせていただきました。内容を見た時は拍子抜けしました。あまりにも内容が普通すぎて別人のパーソナルデータを見ているようでした」

 

「パーソナルデータは所詮データ。本人のことを直接知る術ではないでしょう?」

 

 真夜の指摘は最もだ。似ても似つかない全くの別人であるならともかく、二人の情報は必要最低限に一致していた。

 

「確かに、いくら深雪さんが魔法師としての実力が高く、あれほど端正な顔立ちをしても、達也が二科生とは思えない実力をもっていたとしても、普通の人ならここで諦めます。まぁ、どこかの誰かさんは、未だに探りを入れているようですが……」

 

 そちらの方はあまり大きな成果が出ていないようである。ブランシュの一件の後、自分の友人を興味本位で調べるなと忠告はしておいたので、しばらく活動は自粛しているだろう。

 

「でも、あなたは止めなかった」

 

 真夜の言葉に禅十郎は頷く。

 

「私の勘違いで片付けてしまえばそこで終わりでしたが、残念ながら私は多くの情報を知り過ぎていた。今回もその情報があったからこそ二人の事を調べ上げることが出来ました」

 

 それからまた一口飲んで喉を潤わせ話を続けた。

 禅十郎の口から出た言葉は真夜にとって意外なものだった。

 

忘却の川(レテ)支配者(ミストレス)。あなたの双子の姉、四葉深夜殿と直接会うことがなければ、私は二人が四葉の者だと気付きませんでした」

 

 これには真夜だけでなく葉山も意外だと言いたげな目をしていた。それを証明するかのように、先程までは年長者としての余裕と言わんばかりの態度であったが、一瞬だけ目を見開くのを確認できた。

 

「昔、姉さんと会っていた……。そんな情報は無かったわね」

 

 ちらりと後ろに立っていた葉山に目を向けると、彼も頷いていた。

 

「九重寺で一度だけお顔を拝見させていただいています。四葉が掴めなかったのは、当時の私が取るに足らないただの小坊主だったからではないでしょうか?」

 

 小坊主という言葉を聞いて真夜は吹き出してしまった。

 

「取るに足らない小坊主ね……。まぁ、今回はそういうことにしておきましょう」

 

 そう言うと真夜はティーカップに口を付けた。

 

「それにしても随分と頭が回るのね。断片的な情報と誰も見向きもしない些細な疑問点を見つけて真実に辿り着いてしまう。頭の切れはあなたのお父様以上かもしれないわ」

 

「いえ、そんなことは」

 

 禅十郎にとってこれは当たり前のことだった。ちょっとした疑問点にぶつかると答えが出るまで考えてしまう。そんなことをしてきたからこそ、周りから問題児と言われていたのだが、未だにそれを気にしたことは無かった。

 

「それは味方であれば心強いけれど、敵となれば脅威となるわね」

 

 くすりと笑みを浮かべる真夜のこの一言に禅十郎はその意図を理解できないほど馬鹿ではなかった。

 

「四葉殿、先に断っておきますが、私はこの情報でそちらに何かを要求するつもりはありません。二人のことが世間に公表されるまで私の口から誰にも口外しないことを約束いたします。望むのであれば正式に契約を結んでも構いません」

 

「あら、どうして? これぐらいなら見返りくらいいくらでも出しましたのに」

 

 真夜の言葉に禅十郎は首を振った。

 

「いえ、私は四葉家とそのような関係になるつもりはありません」

 

「貸し借りの関係は築きたくないと……?」

 

「時と場合によりますが、今はあなたと深い関係にならない方が今後の私の生活に影響が少ないかと思いまして……」

 

「今のあなたにとって私と関係を結ぶのは不利益だと言いたいのかしら?」

 

 こちらを見つめる真夜に禅十郎は先程とは打って変わって臆せずに答えた。

 

「今後のことを考えれば、四葉とのパイプを持つことは利益のある話であると重々承知しています」

 

「そう。利益があると分かっていて何故拒むのかしら」

 

 真夜は禅十郎の真意に興味があった。目の前で極上の獲物があるにも拘らず、それを取らない。彼が一体何を考えているのか、真夜は興味深げに禅十郎を見ていた。

 だが、禅十郎が出した答えは真夜を拍子抜けさせるものだった。

 

「折角の同じ第一高校にいるんですから、その間くらい達也とは良い友人でいたいんですよ。あいつと敵対するのは喧嘩の時だけで充分です」

 

 禅十郎は混じりっ気のない笑みを浮かべてそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

「へくしゅっ!」

 

 くしゃみをして禅十郎は目を覚ました。どうやら完全に寝てしまっていたらしい。一体どれくらい眠ってしまったのだろうか。

 辺りは街灯の明かりしか見えなかった。

 

「あいつ、マジで放置しやがったのか。ていうか、千鶴姉(ちづるねえ)も起こしてくれてもいいじゃねぇか」

 

 ブツクサと文句を言いながら、ゆっくりと屋根から下りて、禅十郎は自分の部屋へと戻っていった。

 寝巻に着替え、ちゃんと睡眠をとろうと布団に入り目を瞑る。

 完全に眠る前に、禅十郎は再びあの対談の続きを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 真夜に今後の関係について、言い切った後、真夜と隆禅や禅十郎の母親について他愛のない話を少しだけした。

 その話で予想外だったのは真夜が親族以外で初めて恐怖を感じた人物は隆禅だったと言う事だ。結社を築く前は、隆禅は教師として九島老師の教えを元に魔法実技を教えていたが、ややスパルタだったらしい。

 昔、隆禅を怒らせて拳骨を喰らったことがあると聞いた時は開いた口が塞がらなかった。

 一通りの話を終えた禅十郎は部屋を後にしようとしていた。

 

「そう言えば、先程のあなたのお父様のお話で一つ気になることがありました」

 

 だが、扉を開けるその前に真夜は禅十郎を呼び止めた。

 禅十郎は扉を開けるのを止め、ちらりと真夜を見た。

 

「事件が終結した当初、いくつか資料を見つけたあなたのお父様は三鏡恭介の人体実験で犠牲となった人数を私達に報告しています。その数は五十六名」

 

「ええ、そうおっしゃっていました。それがどうかしましたか?」

 

 表情を変えずに禅十郎は答える。

 

「あなたも知っての通り、四葉にも独自の情報網があります。当然、当時の事件の資料もいくつか入手することも可能です」

 

 禅十郎は黙って彼女の話に耳を傾ける。続きを待っている様子を装ってはいるが、彼女は何かに気付いていると禅十郎は確信していた。

 

「こちらの調査では人体実験の被害者の数は()()()()と出ているのだけど、これは何かの間違いかしら?」

 

「申し訳ありませんが、それは私には分かりかねます。当時の資料に関して、私は必要最低限の事しか教えられていませんので」

 

 禅十郎の抑揚のない回答に真夜は彼の目を見つめた。

 間違いなくこちらに探りを入れてきている。それに彼女の言葉は間違いなくハッタリであると禅十郎は予測していた。被検体の数は例外なく調べ、その数値はあらゆる機関に流している。一人だけ数が違うのは有り得ない。

 

「そう……。そう言えば、今回はあなたが些細な事に目を向けた事でこちらの秘密を暴かれてしまったのだから、折角だから私も同じ事をしてみましょうか」

 

 妖艶な笑みを浮かべる真夜に禅十郎は心の中で身構える。

 

「十六年前に三鏡恭介があなたのお父様に殺された日、その四日前にあなたが生まれたのはただの偶然なのかしら?」




いかかでしたか?

「会議の続きとか言って、会議の中身書いて無いじゃん」というツッコミは無しでお願いします

その話はまた今度ということで

あと、二、三話ぐらいで終わりにしたいんですけど、書きたいことがどんどん増えていってストーリーの細かな設定がガバガバなんですよねぇ

何とか頑張ってみます!

それでは、今回はこれにて

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