魔法科高校の劣等生の映画は見ましたか?
入場者プレゼントの小説第一弾が手に入らず、小説第二弾は朝一番の映画を見に行って手に入れました。
今週も出るようですが、財布と相談ですね(笑)。
ではお楽しみください。
2020/10/20:文章を修正しました。
二人の攻防に観客席の生徒達は揃って息を呑む。
歓声を上げる余裕もなく、将輝と禅十郎の一騎打ちに誰もが目を奪われていた。
禅十郎が近づくにつれて、将輝の攻撃が更に正確さを増す。
僅かな攻防の中で将輝は禅十郎のスタイルの弱点を理解し始めていた。
禅十郎が両手だけで自身の魔法を打ち破っている。蹴り技もせずに足は移動の為だけにひたすら動かしているだけであれば、おのずと予想が出来てくる。
それが確信に変わると、将輝は近づいてくる禅十郎の足元をひたすら狙い始めた。距離が近づけば、より正確に相手との距離感を把握しやすくなり、攻撃の隙が無くなるだけでなく禅十郎の高速移動の妨げる。
その一方で禅十郎も将輝の攻撃にキレが増すにつれて、更に動きが洗練されていた。最速で無駄のない動きになるよう逐一体の動作を修正しつつ、魔法による身体能力の向上によって将輝の攻撃をすべて捌きつつ進み続ける。
『
その光景を第一高校の代表メンバー達は本部のモニターで見ていた。
「流石……としか言えんな。あれほどの攻撃を受けて後退しないとは」
「一条選手も負けていません。あれ程魔法を使用しているにも拘らず、更に精度が上がっています。狙っている個所からして彼の弱点に気付いたかもしれません」
摩利の言葉に鈴音は賛同しつつも同時に将輝を称賛した。
「どんな鍛え方をすればあれ程の胆力を……」
「これ、本当に新人戦の試合なの?」
他の上級生達の多くは二人よりも驚いていた。
「市原先輩。あれ程激しく動いて篝の体力がもちますか?」
その中で服部は冷静に現状を分析していた。
彼の言う通り、将輝は魔法を発動しているだけに反して、禅十郎は魔法を発動しつつ、体を激しく動かして将輝の攻撃をひたすら捌いている。
躱すまたは両手のドレッドノートで受け止めるスタイルになっている訳は服部も知っていた。
まず、ドレッドノートを全身に纏った場合、自己加速術式と並行して使用することが難しく機動力が大きく削がれてしまうのが最大の要因だった。現に一回目の試合ではドレッドノートを全身に纏った時、ただ歩くだけで同時に発動できたのは単純な魔法のみだった。
それを悟らせないような動きをしている為、プロでもない限りそれに気付くことは難しい(余談だがエリカはそれに気付いていた)。
しかし今回はそうも言っていられない。もしドレッドノートを全身に纏えば、それはただの動きの遅い的であり、将輝にこちらのモノリスを攻撃する余裕を持たせてしまう。
それを避ける為に、自己加速術式を発動させながらドレッドノートを両手のみに纏って特攻をかけるしかなかった。
それが禅十郎と達也が考えられる将輝への対策であった。
だが、あれ程長く続けるにはかなりの体力と集中力が必要となり、いずれどちらも切れてしまうのではないと服部は懸念している。
当然、服部と同じことを考えている上級生は少なくなかった。
「分かりません。彼の体力の限界までは把握していませんでしたので」
ここで禅十郎の体力トレーニングはすべて免除したことを鈴音は後悔した。禅十郎の非常識さに慣れ過ぎたことがここでアダとなってしまったのだ。
「そこは大丈夫よ。もしバテたら禅君のお兄さんに笑われるもの。禅君はそう言う所は抜け目ないわ」
真由美はそう言うが、やや歯切れが悪い気がした。それがいっそう彼らの不安を煽っていた。
「ここで話し合ったところで試合はもう始まっている。後は選手に任せるしかない」
皆が不安に感じている中、克人は淡々と事実を述べた。
「普段は適当な態度だが、自身に課せられた使命を途中で投げることはしない。あいつはそう言う男だ」
克人の言葉に疑いを持つ者はおらず、ここにいる上級生は不安の声を上げるのを止める。
真由美も禅十郎を信じて試合を眺めることにした。
(問題は体力とか集中力の持続じゃないんだけど……。『あの事』は言わない方が得策よね。一条君ならありえそうだし……)
先程、歯切れが悪かったのには別の理由があったのだが、真由美はそれを口にしないことにした。
一方、観客席では。
「おかしい……」
「雫、どうしたの?」
隣で試合を見ていた雫がポツリと漏らす言葉を隣にいたほのかは聞き逃さなかった。
「何か気になることでもあったの?」
それは近くにいた深雪も同じだった。
「うん。なんだか一条選手の射撃の精度がだんだん上がってる気がする」
「そう? 初手であんな遠くから正確に狙うだけなんだからあれぐらいできると思うけど?」
「エイミィの言う通りだけど、それを受けてる彼もとんでもないよ。あれ程の攻撃を受けて一歩も引かないんだから」
同じく近くにいたスバルの言葉に何人かのチームメイトが首を縦に振る。
「あれはいつも通りだよ」
「あ……いつも通りなんだ」
「実家の道場でもっと酷いことやってるから。アレぐらいだったら禅なら問題なく捌ける」
雫にとって禅十郎のあの姿はいつも通りらしく、アレより過酷な訓練とはいったい何を前提にして禅十郎は鍛えているのだろうかと、その場にいた多くの者が困惑した。そしてこの瞬間、禅十郎は完全に雫に任せた方が良いと彼女達の気持ちは一つとなっていた。
「あ、そっか。そう言う事なんだ、相手は彼だし納得」
突然何かに納得する雫にほのかは戸惑った。九校戦が好きなのは分かるが、雫がここまで色々と話すのは珍しいのである。
「雫、何に納得したの?」
勝手に一人で納得している雫に深雪は困惑しているチームメイト達を代表して尋ねた。
「一条選手の攻撃の精度が上がった理由。アレは禅の悪癖が原因」
「悪癖?」
今度は一体何をしでかしたのだろうかと深雪は困惑する。
「九校戦で一度も見せなかったから治ったのかと思ってたけど違った。これまでの試合の方が普通じゃなかったんだ」
「え?」
深雪でも雫の言いたいことが把握できなかった。
先日までの試合が彼にとって普段とは違っていたとはどういうことなのだろうか。
「雫、皆にも分かるように教えて」
流石に話に追いつけなくなったほのかのお願いに雫は我に返り、言葉が足りなかったと自覚した。
「うん、昔の禅はこういう試合形式になると悪い癖が出るの」
「それが今までの試合ではなかったことが普通じゃなかったのね」
深雪が訪ねると雫は頷いて肯定する。
「禅は強い相手と戦う時、勝敗より勝負そのものを楽しもうとするの。勝っても負けても死ぬわけじゃないから勝敗よりも中身を充実することに夢中になる癖が出ちゃうんだ」
試合結果よりも試合内容を満足しようとすることを優先するのが普段の彼のスタイルと言われて、ピンとくる人はこの中にはいなかった。恐らくここにエリカがいれば「妙な違和感はそれか」と呟いただろう。
「九校戦では勝敗を優先してたってことだよね。それってチームにとっては良いことだと思うけど? だって勝てば総合優勝に繋がるんだし」
英美の指摘に多くが頷いた。試合の結果が団体の結果に繋がるのだから、勝敗を優先することに何の問題があるのだろうかという疑問を浮かべる者が殆どだ。
「それが禅のストレスになってたとしたら?」
その一言に誰もが目を丸くする。禅十郎はストレスとは無縁な存在だと思っていたと全員の顔に書かれていた。
「禅ってああ見えて責任感が強いから渡辺先輩の事故とか新人戦の結果で途中から試合を楽しむより勝つことに意識が向いてたんだと思う。今思えば、勝っても満足できない不完全燃焼な試合ばかりであんまり楽しそうな顔はしてなかったし、自棄食いとかしてたから間違いないと思う」
これまでの功績を振り返ってみれば、新人戦男子の試合結果を支えていたのは禅十郎が中心だった。確かに十分な結果を出している者はいたが、禅十郎のように圧倒的な勝利をもぎ取った選手はほぼいない。
あの圧倒的な勝利がチームメイトの士気を高める為に無理をしたのだとしたら、どうしたって試合を楽しめるはずがない。ただ勝つ為の方法だけを考え、試合に取り組むのは禅十郎にとって作業と同義だ。好きな事も作業となれば嫌気がさすのは当然であり、ストレスが溜まってもおかしくはなかった。せめてもの救いは相手と全力で戦う事が出来たくらいなのだ。
「でも、今の禅は試合を楽しんでる。あんなに激しい攻防を繰り広げてるのにずっと笑ってる。やっぱり禅って生粋のバトルマニアだよ」
雫の言葉に多くがモニターを凝視して禅十郎の表情を見た。
将輝の攻撃で砂煙が上がっていたり、禅十郎の動きが活発過ぎて見えずらいが、時折見える彼の表情は確かに笑っていた。モノリス・コード初戦のような集中している顔とは程遠い満面の笑みだった。
緊張感のないと思うかもしれないが、何故だか彼が笑って戦っている姿を見て不安を抱く者はいなかった。
「だけど雫、どうして試合を楽しむことが悪癖なの?」
問題はそこにあった。雫は何故それを悪癖というのか、深雪には分からなかった。
「禅にとって試合を楽しむってことは相手の全力を引き出した上で自分の全力とぶつけることなの。……もし間違っていなかったら、この後の展開が大変なことになると思う」
その一言はチームメイトの不安を煽るには十分すぎるものだった。
そんな会話がされているとは露知らず、禅十郎は依然として自身のペースを落とさず、進軍する。
(ああ、マジでスゲェな)
禅十郎は将輝の実力に驚いていた。ただただ驚き、歓喜していた。
本来なら余計な事に気を取っていられる精神的余裕は無い。一瞬でも気を抜けば、あっという間にハチの巣になる状況下で禅十郎は無意識に笑みを浮かべていた。
たった五メートル進むだけで将輝の射撃精度が驚くほど上がり、世界が変わるような感覚を体中で感じていた。先程まで避けられる攻撃が少し近づくだけで僅かに掠れる。攻撃が当たるまでのタイムラグが徐々に短くなってくる。
(まだだ! まだイケる!!)
しかし対処できない訳ではない。限界に達していれば既に負けている。
禅十郎は感覚を限界まで研ぎ澄まし、無駄な動作を限界まで削り続けた。将輝の攻撃のタイミングを見逃さず、全神経を研ぎ澄ませ、着実に攻撃を捌き続けていく。
このやり取りの中で、自分に少しずつ変化が起きている実感が湧いてくる。
(イイな……。イイぜ、イイぜ、最高だよ、お前!!)
今の状況を禅十郎は馬鹿みたいに楽しいと感じていた。
一つのミスが敗北に変わるにも拘らず、闘争心が昂っている男は永遠と続くこの打ち合いを少しでも長く味わおうとしていた。強い奴と競いたい、戦いたいと言う欲求が彼の闘争心を更に掻き立てる。
(もっとだ! もっともっともっと俺を楽しませろ! 一条将輝!!)
感情の昂りは動きの繊細さを欠かせるどころか、より洗練させることとなり、第三高校のモノリスへと着々と近づいていくのだった。
並みの学生なら禅十郎の動きを見れば脅威を覚えるだろうが、将輝は一切動じることなく禅十郎の迎撃を続ける。
(まったく、噂通りの化物だな)
禅十郎について友人や彼の母親から将輝はそれなりに耳にしていた。
彼と同じ学校だった人からの又聞きで、時々何を考えているのか分からない妙な奴だったらしい。
幼い彼と会った母親曰く、良く言えば好奇心旺盛な不思議な子、悪く言えば落ち着きのない子だったらしい。
他にも色々耳にしたが、この九校戦を通して確実に彼について分かったことがある。それは勝負事において一切の妥協はしない、ということだ。
相手が格下だろうが、格上だろうが関係なく持てる手札で勝負する。勝ちに来るためにあらゆる手段を使ってくる。
現に禅十郎はこちらに攻撃してこないが、今の将輝には彼を迎え撃つことで精一杯だ。
一つでも隙を見せれば、あの速度でこちらに攻めてくるだろう。そうなればこちらもただでは済まない。
その為に坂田がいるのだが、あの弾幕の中で彼が出来る事はなく、今は傍観するしかない。
現状、相手の行く手を阻んではいるものの、この状況は長くもたないと将輝は予測していた。
まず、相手の心が折れる気配がしない。離れているここからでも禅十郎から放たれる闘争心が伝わってくる。勝利を勝ち取ろうと全力で向かってくる。
モノリス・コードの全試合の中でも比較にならないほどの攻撃を彼は全て捌いていた。確実に当たったと思える攻撃でさえも、彼は紙一重で避け、僅かな隙を逃さずに前進しようとする。
あれほどの戦いへの熱意ならば例え均衡が崩れて自身に軍配が上がっても、あの男は最後の瞬間まで噛み付いて来るだろう。
(なんて男だ、こいつは)
将輝は禅十郎を九校戦で出会った誰よりも脅威であると認識した。だというのに何故か将輝は彼がどれだけ出来るのか見てみたいという興味が心の底から湧き始めていた。
この九校戦で初めて自分が押されているという感覚があった。ここまで拮抗した戦いを繰り広げてくれる強者が目の前に現れ、今もなお彼の力の底が見えてこない。
より早く魔法式を展開させ、間髪入れずに攻撃し、四方からほぼ同時に当たるタイミングを狙った。それを禅十郎は空中で体をねじり、ギリギリの所で躱して見せた。
(アレを避けるか!!)
それを目にした将輝はいつの間にか口元を綻ばせていた。
ここまで本気で攻撃しても倒れずに果敢に立ち向かってくる男を目の前にして、将輝は何も感じないはずがなかった。
魔法師としての実力は高くとも、彼も年頃の少年だ。勝負に全力で向かってくる相手を、適当にあしらうことなど出来なかった。ここまで闘争心を掻き立ててくれるような男を目前にして余力など残して良いはずがない。
今まで感じたことがない渇きを満たしてくれる相手が目の前にいるならば、全力でぶつからなければという欲が心から湧き出てくる。
(ジョージ、坂田、悪いが少しつき合ってもらうぞ)
この試合には作戦があるのだが、もう自分がどう動こうと支障はない。
既に作戦の殆どの準備が出来ている。ならば、少々我儘になってもいいだろうと将輝は思った。
(俺は……こいつを全力で倒したい!)
二人が闘争心を燃やし始めている最中、観客席では雫が禅十郎の悪癖について語っていた。
「篝君の闘争心が伝染する?」
深雪は困惑した顔で雫に尋ねた。
「うん。皆が言うにはそうらしい」
「らしいって、雫は経験した事が無いの?」
「ないよ。そこまで熱心に競い合ったことが無いから。というよりいっつも競うと手を抜かれてたし……。あの時だって、ワザと負けるし……。負けると不機嫌になるって私そこまで負けず嫌いじゃないもん……。前だって……」
途中でブツクサと不満を口にする雫の姿にほのか達は困惑した。
「ね……ねぇ雫、どうしてそれがマズいの?」
話題を元に戻す為の英美の質問に何人かが首を縦に振って流れを作ろうとする。
「え? あっ、うん……大変のは禅の闘争心が伝染して相手が強くなるから、らしい」
「へっ?」
答えは返ってきたが、誰もが理解不能と言いたげな顔になる内容だった。
「禅は始めから全力で挑んでいるように見えて、実際は相手に合わせて徐々にペースを上げていくタイプみたい。本人は自覚が無いみたいだけど……。禅を相手にしてると自分の力と同じ力で返していくから相手は少しずつ本気を出していって最後には余力を残さずに全力で叩き潰したいって思いが強くなるって禅の家族が言ってた」
「じゃあ、一条選手が本気になるってことじゃん! それってヤバいじゃん!」
英美が慌てている様子に雫は首を縦に振った。
「大抵の人は伝染する前に禅の気迫で委縮しちゃうから大丈夫なんだけど……うん、やっぱり一条選手は大丈夫じゃなかった」
「「「「えっ?」」」」
画面を見ていた雫が突然諦めを込めた声色になったことにほのか達は揃って試合に目を向ける。
そこに映っていたのは、空気弾の発動の回転スピードを上げる将輝とそれを捌き続ける禅十郎の姿だった。
それだけならこれまでと変わらないのだが、確実な変化が起こっていた。先程まで同時に展開したのは十二、三連発くらいであったが、画面に映っているのは更に多い十八連発。それらが間髪入れずに放たれる。
「一条君に伝染したようね」
「うん、しちゃったね」
深雪は苦笑いしており、雫は呆れて溜息をついた。
「二人共、呑気に言ってる場合じゃないよ!?」
伝染したと言うことは、ただでさえ新人戦に出場する選手の中でも屈指の実力者の力が余力を残さず全力になったということだ。
それがどれほど危険なのか、分からない二人ではないはず。何故こうも落ち着いていられるのか、誰もが困惑していた。
「「だって禅(君)だよ(なのよ)」」
短い回答だが、それを言われると誰も何も言い返せなかった。
永遠と二人の打ち合いが続く中、一高のモノリス付近でも戦端が開かれていた。
吉祥寺の前に立ちふさがるのは達也。幹比古は達也の後方にて何時でも援護を行えるようにしている。
吉祥寺は新人戦メンバーの中でも指折りの実力者であり、楽勝ではないが、即席メンバーの二人にやられることは無いと考えていた。
だが、現実は彼の予想を大きく上回った。
二人の連携が予想以上に高いのである。確実に自分を倒すまでとはいかないが、相手に決定打を与える隙が無かった。
不可視の弾丸を使おうとすれば術式解体で無効化され、相手の動きを止めようと思えば、古式魔法の幻術で狙いを逸らされる。
達也の使う魔法は現代魔法であるからまだしも、幹比古の使う古式魔法はほぼ触り程度の知識しかない吉祥寺にとって苦戦を強いられていた。
(それ以前に、どうしてこちらの動きが読まれてるんだ!?)
最も驚愕させられているのは、達也の『勘の鋭さ』であった。
吉祥寺の手札は不可視の弾丸だけではない。様々な魔法を駆使して応戦している。
それを達也はまるで未来視のごとく、術式解体で打ち消していくのである。
救いがあるとすれば、一高側も決定打がない為に一進一退の攻防を繰り広げていることぐらいだ。
だが、それも長くは続かなかった。
三人の意識を相手から逸らすほどの出来事がこことは別の場所で起こったからだ。
彼らの動きを止めたのは、三高のモノリスの方から聞こえる大きめの衝撃音。
それに目が移ったは三人は試合が大きく変化したことを察知した。
ある者はその光景に驚きを隠しきれず、ある者はそれを冷静に分析し、またある者は自身の勝利を確信した。
同時刻、その光景を真由美達は目にしていた
「うそ……」
誰が言ったかは分からないが、その一言が周りの気持ちを代弁するには十分だった。
三高のモノリス付近で、将輝と坂田を前に倒れる禅十郎の姿が彼らの目に映っていた。
如何でしたか?
結局、試合は次回決着ということで……。
最近暑いですから、熱中症には気を付けてください。
そう言って毎年、掛かってる馬鹿がいます。
本当に気を付けてください。
それでは今回はこれにて。