アクセル・ワールド〜過疎エリアの機動戦士〜   作:豚野郎

6 / 15
またまた投稿が遅れてしまいました!
マジですいません!m(_ _)m

これからなるべくスピードアップするつもりです!

あと、登場するMSの要望などがあったら、承ります。


変革のカレー

side yuto

 

「時間ね。ちゃんと煮込めたかしら……」

「大丈夫だよ姫島さん。ちゃんとレシピ通りに作ったんだから」

「家族以外に作るのは始めてだから、少し緊張するわね…」

 

 目の前の圧力鍋の蓋を開ける。中には大量のビーフカレーが煮込まれていた。うむ、これはなかなかのできだね。

 いつもならこんなに大量に作らないが、今日は家に友達を四人程招き入れているから特別にたくさん作った。手間こそ掛かったものの、それ故のやり甲斐と言うのもあるし、何より最近仲良くなった女子の姫島さんが手伝ってくれたこともあって、それほど苦じゃなかった。

 最近ハマっているVRゲームのことを話し合う予定なんだけど、腹が減ってはなんとやら。先に腹ごしらえをしようという僕の提案からこの状況は生まれた。リビングの方からは僕が持っている三十年以上前のTV用FPS(R-18)ゲームをプレイしている他男子三人のにぎやかな声(たまに悲鳴も混ざっている)が聞こえてくる。楽しそうで何よりだ。

 

「さ、皆お腹空かしているだろうし、早いとこ持って行っちゃおう」

「そうね。……ふふ」

「ん?どうして笑うの?」

「ごめんなさい。あまり深い意味は無いわ。…ただ、佐藤君って優しいな、って思ってね」

「そうかな?当然のことだよ。…人には義理と人情と礼儀を尽くすのが当然。僕はただそれを護っているだけさ」

「なんだかおっさん臭いわね」

「そ、それは酷いよ……」

「ふふ、冗談よ。冷めないうちにさっさと持って行きましょう」

 

 トレイに載せた五人分のカレーをリビングに持って行く。テレビ前に溜まっていた三人を呼び、さっき物置から引っ張りだして来た大型テーブルにカレーを置く。

 姫島さんがテレビの画面を見て表情をほんの少しゆがめる。

 

「…ちょっと、あの画面、どうにかならないの?」

 

 どうやらゲームのストップ画面のことを指しているらしい。そこには、毛を剥いだサボテンの様に顔を穴だらけにしたプレイヤーの悲惨な阿鼻叫喚の表情がドアップにされている。うん、長年プレイした僕でもあんなプレイヤーの顔は見たことが無い。

 

「あっ、ごめんごめん。今消すから」

 

 六矢君がテレビの電源を消す。あとで聞いた話、六矢君VS裕雅&空徒君で対戦をしていた所、弾数が尽きた六矢君がリスボーンによる弾数確保を狙って手刀で突撃して、ハチの巣になった瞬間がただいまの画像らしい。

 席に着いた所で、全員で合掌をし、最初の一口を口に放り込む。

 

「…………………うまい」

 

 誰かがそう言った。美味しくて何より。

 

「案外、旨く作れたものね」

「そう言えば、姫島って料理できたんだ。意外だな」

「なっ……!料理くらいできたっていいじゃない!な、何か悪いことでもっ?」

 

 そこまで言ってないだろ、とちょっかいを出した華水希君が両手を上げる。顔を赤くして怒っている姫島さんは何処となく小動物みたいで微笑ましい。

 すると、転校前から付き合いが———というより、一緒にこっちに引っ越して来た裕雅がカレーを頬張りながら喋りだした。

 

「姫島よりも俺は、佐藤が料理を出来ることに対して驚きだな」

「え?裕雅知らなかったの?」

「ああ。俺と二人で遊ぶ時は飯を作るなんて言ったことが無いからな」

「そうだっけ?」

 

 あっ、そう言えばそうだったかもしれない。ひねくれた性格のせいで喋り方もひねくれている。まあ、相変わらずだし、僕はもう慣れているけど。

 

「悪かったよ。今度、何か作ってあげるからさ」

「……やめろ、気持ち悪い」

 

 裕雅が本気でいやそうな顔をする。こいつは一体何がしたいいんだろう?

 

 

side rikuya

 

「ふー、食った食った〜」

 

 いただきますをしてから三十分。一ミリ残らずカレーを食尽した(勿論鍋の中も)俺達は本日の御食事会の本題に入ろうとしていた。

 

「確認だけするけど、サトウ達が転校して来た当日。俺とサトウみたいにカラトとハタケヤマも決闘して、結局カラトが勝った訳だよな?」

「……ああ、そうだ」

「間違いはないな」

 

 そこまでは解っているし、負けた本人も認めていることだから、信頼も出来る。だが、ここで問題になってくるのが、カラトが勝利を得た経緯だ。話さなくても顔を見ただけでひねくれ者だって解るくらいクズ野郎なこいつのことだ。まともに勝ったとは到底思えない。

 学校でそれをカラトに言ったら売り言葉に買い言葉で、じゃあ、目の前でもう一回見せてやる、と言ったので今日、皆でサトウの家に集まって俺とヒメジマとサトウで二人の戦いを見届けてやろうと言う話になったのだ。

 そもそも、なんでこんなに決闘にこだわるのかと言うのがまあ、流れ的にこうなってしまったんだが。俺達が建てることになったレギオンのマスターはカラトとハタケヤマの二人のうち、勝った方にしようと決めたのだが………まあ、俺も含め三人とも卑怯者の下には付きたくないもので。じゃあ、ヒメジマを審査官として、ついでに俺とサトウを加えた四人でバトルロワイヤルをして、最後に生き残ったやつをレギオンマスターにしようと言う話になったのだ。

 

「確認した所で何か変わる訳でもないんだし、早く始めるわよ」

「はいよ。んじゃ、準備は良いな?」

 

 全員が頷くのを確認する。

 

「「「バースト・リンク!」」」

 

 頭の中に雷の打ち付ける音が駆け抜ける。頭の天辺と爪先からみるみるうちに黒い装甲が身体を包んで行く。仮想の地に足がついた感触を得る。

 

「トリントンステージか……」

 

 足下は平らだが、もろくて埃が舞いやすいのが特徴。重量系は、少し踏ん張るだけで足が地面にめり込んでしまい、動けなくなる。これ、豆知識。

 サトウの家はマンションの二十五階。ステージを構成するために使うソーシャルカメラがマンション内には存在しないため、地形データの習得が出来ず、今俺達がいるのはただだだっ広い床だ。ベランダのあった場所から下を見ればほら、目がくらむ程の断崖絶壁。どんな頑丈なアバターでも落ちれば昇天間違い無しの無料サービス付きです。送料無料。買うなら今ですよ。

 離れてこそ居るものの、アバターの配置は食卓の席の場所と同じ。右隣にカラト(ウイング・ゼロ)、正面にサトウ(ヤークト・アルケー)とハタケヤマ(アヴァランチ・エクシア)とヒメジマ(ディクライン・スカート)。戦闘の審査員であるスカートは離れた場所に移り、ルールの確認を始める。

 

『私の見た限りで卑怯な行為をしたものと、戦闘に全く参加していなかったものは即失格になるから、それだけ気をつけなさい』

 

 ずいぶんとアバウトだな……。まあ、間違いは無いんだけどね。

 すると、エクシアが異議を唱えたいと言わんばかりに挙手をする。

 

『意義あり。あのさぁ……所詮世の中、勝てば良いんですよ。それが戦(いくさ)なら尚更。それをどうこう言われる筋合いは無いと思いますー』

『次にそのようなこと口にしたら即行失格にするわよ』

『すみませんっ。やっぱりなんでもないです!』

 

 転校して来てから日が経ったと言うのに、なかなかどうして。こいつのキャラが未だに把握できないんだよな。ただ、解っているのは、こいつが幼女好きの卑怯者と言うことだけ。

 しかし、バトルロワイヤルのデスマッチと言えども、このまま闘えばレベルの高い卑怯者二人が勝つことに代わりは無い。そこでだ、あえて俺は……

 

「ゼロ。ここは一時休戦として、先にあいつら二人を片付けてしまわないか?」

 

 ウイング・ゼロに同盟の誘いをかける。むこうはこちらに顔を少し傾けるだけ。むぅ、何かが引っかかるが、了解と見て間違いないだろう。

 向かい側の二人も同じ様にペアを組んでいる。要するに、一時的な『親子ペアVS親子ペア』だ。なんだか幼児向け朝番組のうさんくさいキャッチフレーズみたいだな…。

 

「はい、準備は良い?勿論良いでしょうね?———それでは、スタート!」




前書きにもありましたが、これからどんどん小説を投稿して行くつもりです。
三週間に一回は投稿できたらと………。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。