アクセル・ワールド〜過疎エリアの機動戦士〜   作:豚野郎

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さよならサトウ

 スカートの有無を言わせない合図と共に戦闘が始まる。

 牽制のためにビーム・マグナムを構えた瞬間、横っ腹にいきなり強い衝撃が走った。不詳の自体に何の反応も出来ない俺は、埃をまき散らしながら床を無造作に転がる。蹴られた………!?

 遅れて何事かと顔を上げる。……そこには悪魔———もとい俺の親、ウイング・ゼロが今にも俺に襲いかからんとばかりに手に携えた明るい緑色に輝く<ビーム・サーベル>を振り上げていた。まあ、勿論振り下ろすよねー。

 

「って、あぶねえっ!」

「…チッ……」

「舌打ちした!今、完全に舌打ちしたぞ!こりゃどういうことだ審査員!!」

 

 審査員が何故か考え事をしている。これって即失格じゃないのかよ!?

 

『って、あぶなっ!』

『…チッ……』

『舌打ちした!今、完全に舌打ちしたよ!これってどういうことですか審査員!?』

 

 向こうも同じ感じ。尻餅をついたアルケーに親であるエクシアが実体剣、<GN・ソード>を突きつけている。ああ、格好まで俺と一緒だな。

 

「ちょっと、これって明らかに『卑怯』な行為だよな!?」

『そうだよ!どこに迷う理由があるのさ!』

『………………』

 

 なぜに沈黙!?どう考えたって反則だろ!?

 

「はい、審査員」

『………何よ』

「俺は顔を向けただけで、はい、と言ってもいなければ頷いてすらいません」

「そういうこと自体が卑怯なんだよ!いい加減理解して学べ!そして自重しろ!」

『そうだそうだ!』

『うるせぇ!だまされるお前達が悪いんだよ!…あっ、これはだましてないからね?』

『だましたって言ったよ今!』

「審査員、判定は!?」

『そうだよ!これは決定的な反則だ!』

 

 俺達の必死の抗議に審査員がようやく口を開く。

 

『………ギリギリで』

「「『『ギリギリで!?』』」」

『———セーフ……?』

「『ふぁ!?』」

 

 なんでこうなる!?ってか何故に語尾に『?』がつくんだよ!おかしいだろ!

 

『声に出していない分、まだセーフよ。…………多分』

「TABUN!?おい、誰だこんなヤツを審査員にしたヤツ!」

「騒ぐな。まあ、そういうことだ。覚悟しろノルン」

 

 更にもう一度<ビーム・サーベル>を俺に叩き付けようとするのを決死の転がりで回避する。なんだこいつら!?裏で暗躍でもしてるのか!?

 

『こうなったら出来る所までやってやる!ノルン、こっちきて!』

 

 アルケー(いつの間にか追加装甲はげてる)がエクシアの斬撃を振り切り、誰もいない方向に走り出す。俺もそれに習い、アルケーに向かって走る。

 集合した所で、手短な作戦会議を始める。

 

「二人が間合いを詰め切れていないうちは射撃で迎撃をして、格闘の間合いに入られたら君の<NT-D>で大立周りをしてくれ。そこを僕が闇討ちする」

「おう、了解した」

「君にかなり任せっきりになると思うけど……」

「構わないさ。それに………」

「それに?」

「………どうせ、勝てやしねえよ」

「…そうだね」

 

 どうあがいたとしても、勝率は〇,〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇一パーセントも無いだろう……。まあ、だからといって、そうやすやすと負ける気はないんだが。

 

「へこんでも仕方ないよ!人生はやるかやるか!ほら、行くよ!」

「ああ」

 

 息を合わせた様にエクシアとゼロがこちらに走り込んでくる。すかさず<ビーム・マグナム>をゼロにむけて射つ。隣ではすでにアルケーがエクシアにむけて<GNバスター・ライフル>を射ち始めている。こちらも遅れを取るわけにはいかない。

 

「お前、ちゃんと狙っているのか?」

 

 牽制とは名ばかり。ゼロにあっという間に取り付かれてしまった。この<ビーム・マグナム>は反動が強いためそもそも、ちゃんと狙いを定めて射つことが出来ない。というか、ちゃんと両手で反動を押さえて精密に射てる様に左手を添えるための取手みたいなのがあるんだが、見ての通り俺の左手は邪魔な強化外装が取り付いていて、添えるどころか何かを持つことすらままならないため、正直この取手には存在意義がない。

 まあ、そのせいでかすりもしないままゼロに斬りつけられているんだけど。だからといって、何もしない俺ではない。すぐに邪魔っ気な左腕のナックル状強化外装、<アームド・アームズVN>で受ける。最近気がついたのだが、どうやらこの強化外装には対ビーム特性があるみたいで、このようにゼロの<ビーム・サーベル>やビーム系の射撃武器ならある程度はじくことが出来る。

 

「…ああ、めんどうくさい」

「がっ………!」

 

 流石レベル5のハイリンカー。効かないと解ってからの行動が早い…!すぐに回し蹴りをかましてきた。

 

「ノルン、大丈夫!?」

 

 俺が横に吹っ飛んだ気配を感じたアルケーがエクシアから一瞬、注意をそらす。それを見逃さなかったエクシアがアルケーに斬撃を入れる。どす黒いオイルを撒きながら、アルケーの上半身が中を舞う。体力は残っているのか、辛そうにアルケーが起き上がる。

 

「大丈夫かアルケー!」

「正直だいじょばない……あっ、エクシア君。少し待ってくれる?最後まで喋らせてぶほぉ!!」

 

 容赦のかけらも無いエクシアがアルケーを蹴り飛ばす。真っ赤な上半身がボールの様に転がる様はまさに地獄絵図。

 

「よくもまあ、俺に歯向かおうなんて気が起きたもんだな」

「……はい、すみませんでした………」

 

 敗北を確信したアルケーが無惨に懺悔する。ちなみに俺はこの状態でゼロのビームサーベルを受けている。

 

「………でもねエクシア。…それでも…それでも僕は…………前より成長できたと信じている」

 

 

 

おまけ

 

「はい、作者のどうでも良い気まぐれで今回から始まりますおまけコーナー!司会を務めさせてもらいます、佐藤です!」

 

 パチパチパチパチパチ………

 

「基本はすばらしいゲストとの雑談や今回の小説の感想などを面白おかしく進めて行くように見せて、適当に登場キャラクターのプロフィールを紹介したりしなかったりするこのコーナー。今日もすてきなゲストをよばせて頂きましたー!最近学校で友達になった小和田 六矢君ですー!」

 

 キャー。パチパチパチパチ………

 

「………どうも」

「いやだなぁ小和田君。一言目からそんなにテンションが低いと視聴者さんに良い印象を抱いてもらえないですよー」

「そういうお前も、なんでそんなにテンションが高いんだ?あれか?こういうイベントになるとやたらとテンションが上がっちゃう、あれ的なタイプなのかお前?」

「はいはい、質問する側がこっちだってことに早く気づいてください小和田君ー。さて小和田君に質問です!ただいまのあなたの趣味はズバリなんでしょう!?」

「趣味ってほどじゃないけどまあ、強いて言うなら読書と散歩ですかね」

「じじいみたいな趣味ですね憧れちゃいますよー。はい、次の質問行きましょー」

「さっきからお前の言葉に刺がある様な気がするんだけど……」

「気のせい気のせい!それじゃあ、小和田君に今回の感想を聞いてみましょう!どんな感じでしたかー?」

「どうって、別に………いつも通りでした」

「もっと気の効いた感想が言えないんですか小和田君ー?そんなおつむの悪い感想ばかり言ってると視聴者さんが楽しくこの小説を読んでくれないじゃないですかー」

「嫌なヤツだなお前!」

「はいどうでもいいことはさておいて、もっとまともな感想とか無いんですかー?んんー?」

「………強いて言うなら、なんでいつもあんな訳の解らんタイトルをしているのか少し気になるけど……」

「それにはちゃんとした理由があって、当然お気づきの方もいらっしゃると思いますが、このタイトルが良く解らなくなるのは、歴代ガンダムシリーズの各話のタイトルのパロディだからなんです!こちらをご覧下さい!」

 

 

第一話 リクヤは一足先に大地に立ちました = 機動戦士ガンダム一話より『ガンダム大地に立つ!!』

第二話 ジャブロ上空に可能性の獣を見た = MS IGLOOより『ジャブロー上空に海原を見た』

第三話 追撃!転校生サトウ = ターンAガンダムより『追撃!泣き虫ポゥ』

第四話 果て無き泥試合(デスマッチ) = ガンダムSEEDより『果て無き輪舞(ロンド)』

第五話 変革のカレー = ガンダム00より『変革の刃』

今回  さよならサトウ = Zガンダムより『さよならロザミィ』

 

 

「こうなっております」

「へーすごいやー」

「それじゃあ尺も埋まって来たので、今日はこの辺で。次回をお楽しみにー!」

「じゃあねー」

 

 

 




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