負けるのがいやだった
負けて怒られるのがいやだった
なにより、ソイツの期待に応えられない自分がいやだった
―――――
「・・・俺の部屋か」
空は既に白みはじめていた
「よくやってくれたなケンイチ」
声のほうへ振り向く
「流さん、あんた・・・」
聞きたいことが山ほどあったが頭がガンガンして考え事が出来そうな状態じゃない
「いずれすべてを語るときが来る、カム。今日は代表戦があるんだろう? もう少し休んでおけ、レスト」
抗議したいところだが、疲れているのは事実なので仕方なく時間までもう一眠りすることにした
―――――
「剣一くんおっそーい! あやうく遅刻だよー!」
入谷がぴょんぴょんと跳ねて抗議する
「悪い、なんか寝れなくて・・・な」
「むぅ・・・前日ちゃんと寝なきゃだよ! とりあえず最初の試合見に行こ!」
がっちり腕を掴まれて引っ張られていく相良
(まったく、頼りになる姉御ですこと・・・)
こんなときクロスファイアあたりならこんなちゃちゃを入れてくるはずだが
今日はなにやらおとなしい
「クロスファイア?」
『・・・ケンイチ、どうやら向こうで力を使いすぎたようだ』
「今日はいけそうにないか?」
『なんとかならんことはないが・・・』
「うーんだとするとサブで行くしか・・・」
そう言って相良がケースを見る
「ん? こんなカード入れたか・・・?」
―――――
『マナノミダレヲ追ッテ来テミレバ・・・コノ場所デナラオレサマノ悲願モ・・・』
相良たちのすぐ近くで息を潜める者が一人
「試合始まる前にお手洗い済ませておかなきゃ」
『・・・コイツデ良イカ』
影が伸び、少女が振り向くとそこには
「うわああ!クリーちゃ」
少女の絶叫が掻き消され静寂だけが残った
否、そこに残ったのは・・・
―――――
『数か月ぶりの代表戦だ! 盛り上がって行こうぜ!』
会場は興奮した全文明のメンバーで溢れていた
「まあ火文明は相変わらずなのな」
「しょうがないよ。あのあとメンバーの争奪もリセットされちゃったし・・・」
オーディエンスの希望で開会式は大幅にカットされ早速試合が始まるらしい
「初戦は俺だな!」
「ケンイチくん、がんばってね!」
入谷に見送られ舞台へと昇って行く相良
対面から現われたのは現自然文明の王
「よろしくお願いしますね・・・フフ」
「よろしく頼む」
『それでは! デュエマ! スタァアアアト!!』
―――――
自然の王、もとい女王
おとなしめな雰囲気はスノーフェアリーのそれを思い起こす
儚げな眼差しとは裏腹にその瞳の奥には自然の持つ力強さを感じさせられる
「フェアリーミラクルでマナを増やします」
だが我らが相良も負けてはいない
「ミツルギブースト召喚! マナに送ることでそちらのコートニーを破壊する!」
「ああコートニー・・・」
順調にマナを伸ばし切り札を出す準備をする
「この調子で行くぜ!」
「ふ、ふふふ・・・」
怪しげに笑う自然の女王
「先に切り札を出すのはこちらですよ」
超次元ゾーンに浮かび上がる黒い影
『なんだあれは・・・』
『カードが書き換わっていくぞ!!』
さきほどまで超次元ゾーンにあったエウルブッカが別のカードになった
すり替えたり上書きしたのではない、まるで浸食され生まれ変わったかのように・・・
「いきますヨ 龍覇ザ=デッドマンを召喚でス」
そのカードは、いや、そのクリーチャーは・・・
クリーチャーワールドで見たあのドラグナーだった
続く!