お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!! 作:先詠む人
というか、それ書いてたら長くなってしまった。申し訳ない。
それではどうぞ!!
「………。」
視界をアイマスクのような何かで完全にふさがれた上に手錠をつけられた状態で俺は、何らかの移動手段(稀に揺れが起きたりエンジン音が聞こえることからおそらく車)を使って何回か乗り換えさせられながらどこかに移送されていた。
時雨ちゃんが泣いてから俺の腕の中でそのまま眠ってしまった後、いきなり現れた憲兵服を着た北上さんと憲兵さんたちに取り押さえられた俺は、訳の分からないままにそのまま拘束されてこの状態に放り込まれたから何がなんだかさっぱりわからない。
「ついたぞ。おら、さっさと歩け!」
数十分後、俺は今度はどこかの床に乗物から尻を蹴り飛ばす形で放り出され、背中を蹴り飛ばされた。
「いってぇ…。そうやって急かすんならせめてこのアイマスクか何かを外してくれよ!!前が見えねぇから足元に何があるのかすらわかんねぇよ!!」
俺が前につんのめりながらそう叫ぶと
「貴様は黙ってろ!!!」
と何か棒みたいなもので思いっきり叩かれて無理やり黙らされ、そのまま手錠を引っ張られる形でのろのろと誘導される方へと歩かされた。
数分間歩き続けると
「この部屋か?」
「そうだな。確かにこの部屋に放り込めとのお達しだ。」
「だが、この部屋って……。」
「わかっている。だが、この指令書は確かに元帥のサインが入っているから正式なものだぞ?」
「そうか。なら仕方がない…のか?やはりここで一応痛めつけて置いて指一本も動けないようにした方が良いんじゃないのか?」
「そうだなそうするか。どっちにしろこいつは
そんなわけのわからない。狂気に満ちた会話が続いた後、俺の視界はアイマスクのようなもので隠された影響で真っ暗だったのが顔面へと放たれた一撃により
ふと気づくと、俺は見覚えがある岩場で釣竿を持って座っていた。
『た~す~け~て~。く~わ~れ~る~。』
なぜか体が思うように全く動かなかったから、そのまま暫くの間ぼーっとウキが浮き沈みしているのを見ているといきなりどこかから小さい声が聞こえて、この体の持ち主は俺の意志を無視して声の聞こえた方を向いた。
『ん?カニ……に襲われてるなんか小さいの…?』
助けを呼ぶ声の聞こえた先にはネコのぬいぐるみを持った小さい何かがカニに圧し掛かられていて、必死に助けを求めていた。
(あ…………これってもしかして
俺はその光景を見た時点でそう結論づけた。
もし、俺の予想が正しければ……
『………幻なんかじゃなさそうだし取り敢えず助けるか…。』
少しの間、目を手で擦ったりしてそれが消えることなく助けを求め続けていたためにそう言ってこの体の持ち主は立ち上がり、その小さいのをカニから引きはがした。
『大丈夫か?』
『はい、だいじょうぶです…ってあなたはわたしがみえるんですか?』
『見えるんですかって見えるも何もこうやって触ってるし助けれたし……。』
『……………。それならわたしをたすけてくれたおれいがしたいのであしたろくじぐらいにこのばしょにきてください。』
『………は?え~っとそれってどういう『わたしはここであしたまってるのできてくださいねー!!』………行っちまったし。……あ~もう訳わかんねぇ!!』
その場でこの体の持ち主、すなわち記憶の中の俺は頭を掻いた後に釣竿を握りなおして岩場に座りなおした。
(………それで結局その日は坊主で。釣竿片手に一人暮らししている家に帰る途中で銀行でお金をおろして大学に学費を振り込んでから、そのまま帰ったんだったっけか…。)
勿論、細かいところは覚えていない個所もあったが、大体俺の記憶通りに視界は動き続けてその日は冷蔵庫に残っていたご飯と八百屋で安く譲ってもらったくず野菜を使った野菜スープと一緒に食べて寝た。なんか見られている気がするもそちらをみてもだれもいないという奇妙な体験をする……ということもあったが。
そして場面は変わって翌日。
昨日小さいのが言っていた内容が気になった俺は好奇心の赴くままに朝早くからあの岸壁に来ていた。すると
『きてくれましたね。それじゃあいきましょう。』
楽しそうな笑顔を浮かべながらそこに昨日の小さいのが猫のぬいぐるみで縄跳びしつつ待っていた。
『まぁ、お礼の内容が気になったからな…。それでお礼って一体何を?』
『それはいってからのおたのしみです。』
そう言ってから歩き出した俺を猫のぬいぐるみをぶんぶん振り回しながら先導するかのように前を歩く小さいのにつれられて、俺は赤レンガの塀が続いている大きな施設の門が見えるところまでやってきていた。
その門は鉄でできていて、中の様子を外から見えないようにするためか鉄板か何かで完全にふさがれており、そのすぐ横には銃を持ったがっちりとした感じの男たちが立っていた。
『………これってどこからどう見てもヤバイ系の施設じゃないか?お前一体何者なんだよ?』
記憶の中の俺がその門が放っている異様さに怖気づいてそう小さいのにいうと、
『ひみつです。』
その小さいのは俺の方を振り向いて蠱惑的な笑みを浮かべながらそう言い、
『こっちに裏口があるのでそちらから行きましょう。』
そう続けた。
『……(行くか行くまいか…でもお礼の内容が気になるし………)了解。』
俺はこれやっぱり危険なんじゃないかな…と少し迷ったが、結局お礼の内容が気になったから小さいのの先導に従って門から数百メートル離れたところに巧妙に隠されていた小さい門をくぐってその門の向こう側へと入りこんだ。
もしこの時、俺が小さいの(今となっては妖精さんとわかるけれども)に続いてその門をくぐらなければ今の生活はなかったって確実に言える。他のことは違ってもそれは断言できると思う。
『なぁ、ここって何の施設なんだ?』
その時の俺からしたら謎の施設に侵入してから数分後、
『それもふくめてあとのおたのしみです!』
『いや、俺場合によったら殺されるかもしれないんだけど?』
そんな風にはぐらかそうとする小さいのに対して先ほど見た門の前の様子を見ながら俺は突っ込みを入れた。
『それはないです。』
すると、その小さいのは即座にそう断言した。
『何で?』
勿論その時の俺には理由がわかるはずがない。だから理由を聞こうとしたときに小さいのは振り返って
『ここがこうしょうっていってもくてきちです。あとはなかまにひきつぎますんで。』
と言うとすぐ近くの建物の扉を思いっきり持っていたネコで叩いた。
鉄板にネコが当たる鈍い音が周囲に小さく響いた。すると、建物の扉が内側から開けられ始めた。
『ここが目的地?中に誰も……ってなんかいっぱい居たぁぁぁぁぁ!!!?』
開き始めた扉の隙間から建物の中を覗いた俺の視界には、一瞬誰もいない謎の機械が乱立する施設の様子が見えた。だが、その次の瞬間そこにはいっぱいのスパナやナット、ドライバーや魔法のステッキ?を持った小さいのがたくさん出てきて俺は驚きのあまり叫んでしまった。
『ねこもちからおはなしはきいてます。たかなしゆうたさんですね。こちらにきてこのきかいにさわってください。』
驚く俺を無視して話は進んめられて行く。
建物の中から出て来たさっき急に増えた小さいのの一人が佑太にそう言うと、他の小さいのたちが俺のズボンのすそを引っ張って何かの機械の方へ連れて行った。
『え?え?え?』
困惑しながらも俺はその小さいのの誘導に従ってその機械のディスプレイの手のひら型の絵が描いてある箇所を触ってしまった。
………そう。
<REGISTRATION COMPLETE>
<WARNING>
<今後は先ほど登録されたユーザー。タカナシユウタにしか建造ができなくなります。もし指定ユーザーが死亡などして建造ができるものがいなくなればこれまでに建造した艦娘たちの艤装をすべて使用不可へ設定を変更します。以降のことはユーザーガイドをご覧ください。>
<なお、初期艦をランダムで建造開始します。残り20:00>
<バーナーを使用しますか?>
俺が手のひら型の文様が出ている画面に触った直後、一瞬俺の体を緑色の光線がつつみ、それが通り過ぎた後に画面はそのような表示へと変化した。それを見ると小さいのたちは
『これで、あのくそやろうにむちゃくちゃなけんぞうをさせられなくてすみます。』
『どこでこんないいひととであったのかしりませんが、ねこもちもいいしごとをしたものです。』
『つくってすぐにもとめていたかんむすさんがでなかったと、ぎゃくたいされてかいたいされるあのこたちをみてられませんでしたからね。』
『それにこのいまのじょうきょうをかいけつするにはこうするしかなかったですしね。』
と、好き勝手様々なことを言いだし始めた。
『え?ちょっと待ってどうゆうことこれ?艦娘?ってここもしかして鎮守府!?』
小さいのたちのそんな様子を見ながら全く訳が分からないまま得体のしれない機械に登録させられた佑太は表示されたあるワードから今いる場所を予想して顔を青ざめていた。
『鎮守府』。そこは21世紀初頭に何の前触れもなく現れた深海棲艦と呼ばれる謎の存在と唯一闘える力を持った艦娘と呼ばれる新型兵器を建造、指揮、管理する建物と世間では言われていた。
そして各鎮守府は海軍のもとにあり、勝手に侵入した場合銃殺刑に処されることもあるということも、あるメディアが艦娘の実態を探ろうと許可を得ずに勝手に敷地内に侵入してクルー全員が銃殺刑にされたという報道史に残る大事件のせいで有名になっていた。
一応、ニュースとかでよく『~~鎮守府が奪われていた◯◯海域を取り返しました』などとやっていたので俺も名前程度は知っていたが、その実態は先述したほどの激しい情報規制のせいで謎に包まれていたため具体的な中身を知らなかった。
そして、俺が小さいのたちに何が目的でこんなことをしたのか問いただそうとしたとき
『侵入者だ!!』
『工廠でアラートが出たぞ!!!』
『小銃の安全装置を解除しておけよ!!!場合によっては重火器を持った秘密部隊が潜入して交渉を占拠した可能性がある!!』
『!!!???(声にならない声)』
俺が立っているすぐ近くに置いてあった無線機?のような物からそんな通信が入ってきて俺は絶句した。
さっき出て来た”侵入者”という単語。それと”工廠”という単語の二つからこの通信の内容で銃を持った誰かがここに駆け込んでくるということが分かった。
しかもその”侵入者”の言葉の対象は俺と言うあまりにも認めたくないおまけつきで。
『もしかして俺、銃殺されんの…?』
そうして訳が分からな過ぎて呆然とその場に崩れ落ちた俺の肩によじ登ってきた小さいのが
『たたかわなければいきのこれません。それにわたしたちとかんむすさんがあなたをぜったいにまもりますから。』
そう言ってから
『そういんせんとうようい!!!』
とその場にたくさんいた小さいの全員へ向けて叫んだ。
すると何人かの小さいのはどこからか引っ張り出してきたミニチュア飛行機みたいなのに乗り込み、そのほかの小さいのたちもかなり昔にどこかの辞典で見た軍艦とかに積んであったような砲塔に”決闘”と書かれた鉢巻をつけて引っ付いた。
そして…………
『突入!!!』
『うてぇーーーー!!!!!』
緑色の銃を持った男たちがこの建物になだれ込むかのように入ってくるのと同時に入口の方へと向けられた大量の砲口が火を噴いた。
そこから暫くの間はこちらの蹂躙が続いたと言っても過言ではなかった。
これは後で知った話だけど、あのときに妖精さんたちが使っていたのは模擬弾と言う殺傷能力がない弾であっても当たり所が悪ければ大ケガをすると言われていた戦艦の艦娘たちの主砲だったからだった。
その砲塔から飛び出す砲弾で工廠と言う狭いフィールドへの入り口に憲兵たちは入ることは叶わず、さらにその間を縫って入口から外へと飛び出してくる艦載機たちが応援が来るのを妨害する。
そうやってこちらが優位に立っていた。そう、あの男が無理やり
戦艦の艦娘たちが艤装を纏った瞬間こちら側を防衛していた妖精さんたちの一部が消え、艦載機たちも空母の艤装の方に召喚されたことで消失した。
その直後だった。あの男の指示で戦艦の艦娘たちがこちらの方へ実弾を発射し、工廠の半壊と引き換えにこちら側のバリケードは完全に崩壊した。
それと同時進行で憲兵たちが半壊した工廠へと突入。
半壊した工廠の隅の方で非日常にいきなり放り込まれたために混乱しきって震えていた俺を拘束しようとした……その時だった。
『お父さんを放すっぽい!!!』
さっき俺が触らされた画面があった方からいきなりブザーが鳴ったのと同時に、金色の髪の犬みたいな少女が飛び出してきて、俺を押さえつけて銃口を突きつけようとした憲兵を殴り飛ばした。
『え…?』
完全に殺されると思っていた俺は再び起きた急展開に固まってしまっていて、
『フフ~ン。お父さん夕立をほめてほめて~!!』
混乱しきった頭で俺の胸に頭を擦り付けて来た少女に言われるがまま頭を撫でていた。
『な………』
『なんで………』
『一体何が…………』
その場の全員がなぜか完全に固まっていた。そんな時に
『おい!横須賀の方から老いた方の元帥が!!』
一人の憲兵がそう叫びながら走ってきた。
『チッ!あの老いぼれが今来るとかだるいだけだ!!今取り込んでいるから追い返せ!!!』
その叫びを聞いてさっきまでいなかった白い服を着た男が走ってきた男にそう叫び返して引き返させようとすると
『残念ながら、その必要はないよ。』
渋い声でそう言いながら、後ろの方に和傘を持った長針の黒髪の女性を連れた年とともに数多くの経験を重ねてきたような黒い服を着た男性がこちらに歩いて来た。
『君が私のことをどう思っているのかよ~くわかった。それとこの状況……やはり君は彼女たちの指揮を執るに価しない人間だったみたいだね。』
そして、その男性は今もなお夕立に頬ずりされている俺の方を見て
『彼は?』
と、近くにいた憲兵の一人に尋ねた。すると、その憲兵は
『侵入者です。ですが、あの感じだと彼が建造機を動かしたように思われます。それと彼のことを妖精さんたちが守ろうとしていたので、もしかしたら例の妖精さんたちが言っていた適格者かと…………』
と、元帥に答え始めたから
『お……おい。貴様…何をそんなにぼろぼろと言っていr『黙りなさい。』……。』
白い服を着た男がその憲兵を黙らせようとしたが、男性の圧倒的な貫禄を載せた声で黙らされた。
『君がしてきたすべてのことはすべて明るみになっているんだ。それに…大和。例のものを。』
『はい。』
そう言うと和傘を持った女性は懐から何かの紙を取り出し、男に突き付けた。
『君には召喚命令がかかっている。すぐに大本営に来てもらおう。彼に従っていた君たちもだ!!!』
黒い服を着た男性がそう言うと、建物の陰などから急に出て来た俺を殺そうとした憲兵たちと一緒の服を着た男たちが出てきて、白い服を着た男や俺を殺そうとしていた憲兵たちを拘束して連れて行った。
『…………。』
俺はその間夕立になすがままにされていて、現実に頭が完全に追いついていなかった。
それもそうだろう。
前日まで一般人だったのにいきなり銃撃戦に巻き込まれてしまいには命を取られそうになったのだ。むしろ尊厳を失うような状態で気絶しなかっただけマシだったに違いない。
『君が……』
「……い、大丈夫~?」
そこで俺の意識はこの記憶と言う映像から現実へと引き戻された。
「ん…んん………。」
目を開けると、そこには北上さんが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
どうも気を失った後にかなりこっぴどくやられたみたいで顔を含めた体中に激痛が走るし鉄臭い。
しかも、利き腕の骨を折られたのかどうかははっきりとわからないが利き腕である右手の感覚が無かった。
「う~ん、全然大丈夫じゃなさそうだね…。それにしてもあいつらよくもやってくれたね~。まぁ、これだけやらかしたのなら最前線に的代わりに送られるのは確定だろうけど。」
俺が辛うじて反応したのを見て北上さんは何やら黒い笑みを浮かべながらそう言った。
「あ、そうそうこれ飲みな~。」
そう言って、北上さんは俺の口元に何かを当てて流し込んできたが………
「んぐぅ!!」
体を痛めつけられているせいで全然力が入らない俺にいきなり流し込んだもんだから、気管にその液体が入ってきて盛大にむせるハメになった。
「何すんですか!………ってあれ?」
「おぉ~、流石我が艦隊のマッドサイエンティスト作の治療薬だね~。一気に傷が治ってるよ。」
不意打ち気味に攻撃されたに近かった俺はつい全力で北上さんに突っ込んでしまったがその時に気付いた。
「怪我治ってる……」
「これで話ができるね~。じゃあ、着いてきて。」
なんか、どう考えても全治半年レベルのけがを負わされていたのにそれがほぼ完治のレベルまで治っていた。
訳が分からない。
きょうは本当に訳が分からないことだらけだ……。
俺は北上さんの後ろをついて行くことにした。
……………俺が目を覚ました部屋の奥の方に置いてある掃除箱の方から唸るような声が聞こえてきた気がしたけどそれは自業自得だろうと敢えて無視した。俺の精神衛生を守るためにも……。
前を歩く北上さんの制服に赤い斑点がついているのはおそらく朝ごはんを食べたときについたケチャップのシミだと信じて…………。
しばらく歩いて、北上さんはある部屋の前で止まった。
「ここに君に用事がある人がいるよ~。それじゃあ、私はこれで~。」
そう言って、北上さんは俺の肩を叩いてその場を離れようとした。だけど、
「え?一緒に入らないんですか?」
普通案内役って対象者と一緒に入るもんじゃないの?と思って聞いてみた。すると、
「え~、やだよ~。私これから大井っちと一緒にランチしてくるんだも~ん。」
との答えが返ってきたから俺は
「……あ、はい。」
としか、言いようが無かった。
「それじゃぁね~。大井っち~♪大井っち~♪」
その俺の反応を見て北上さんはスキップしながら廊下を駆け抜けていった…。
「………ってマジで行ってしまったし…。」
扉の叩き方とかそう言うのをどうすればいいのか全く分からない俺は、その十数分後に大和さんがやってくるまでの間ずっとその場にただ立ち尽くしかないのだった……………。
感想、評価を楽しみにしています。
後アンケートしてます。
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そろそろ、第一部は完結。
後はほのぼのを書いていきます。
それと同時進行で、練習的に三人称で書いてた1話も修正しようと思います。