お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!! 作:先詠む人
文が降りてくるって怖いですね。
「なっ………あっ………あぁぁぁ!?」
ある日の昼。俺は、目の前で起こっている事実を信じられずに顎が外れるんじゃないかと思うぐらい驚いていた。
そんな俺に対して
「ふわぁ~、すごいね電ちゃん。」
「そうなのです。この新型の艦載機はすごいと思うのです!!」
「父上!!あれってどう考えてもドラゴンではないのか!!」
「ユータ。このカード関係のものをすべて見せてくれないか!!!」
純粋に感心する文ちゃんと電ちゃん。そんな二人をほっといて俺に驚いた表情で迫ってくる菊月。
そして、興奮した様子でこちらに詰め寄ってくるGraf Zepplin。一部の駆逐艦の子たちからはグラ子さんと呼ばれる彼女がいつものクールさをどこかに投捨ててまで俺の体を揺さぶっていた。
「ちょっ!!!おちつけ!!取ってくるからちょっと待ってくれ!!」
「むぅ、すまない。取り乱した。」
結局、俺が揺さぶられて前後に高速で揺れる視界の中、必死にグラ子の肩をたたいたことで揺するのをやめてくれた。
「………頭がいてぇ………」
俺はガンガン揺さぶられたせいで痛む頭を右手で支えながら自分の部屋へと歩き出した。
(…………てか、なんでこんなことになったんだっけ?)
途中何度も倒れながら自室にたどり着き、一昨日あたりにそれまでに住んでいた部屋を引き払って持ってきた山のように積み上げられた荷物の中から紋章のようなものが書かれたカードケースが入れられた箱を探し出した。その後に、箱の中身のカードケースを見つめながら俺はそう思った。
(え~っと、確か昼飯食った後の……)
さっき、昼御飯を食べた後に持ってきた荷物を雷ちゃんや五月雨ちゃんの助けを借りながら片していると、
「お父さんこれってなんですか?」
五月雨ちゃんが、ぱっと見た感じでは黒いカードケースを持ってきた。
「ん?……ちょっと見せて。」
そのカードケースに少し思うところがあった俺はそれを五月雨ちゃんから受け取った。
「あぁ、懐かしぃ!!これって龍騎のカードデッキじゃん!!!」
受け取ったカードケースを反転させてみると、そのカードケースの表側にはドラゴンの頭部を模したような紋章がケースの中心に描かれていて、その面の四隅には雷のような紋章が浮かび上がっていた。
「龍騎?お父さん何それ?」
俺が久しぶりに見つけたそれに対して興奮しているのを見て雷が疑問に思ったのか聞いて来た。どうも五月雨ちゃんも同様に疑問を抱いていたらしく、表情に疑問符を浮かべていた。
「あぁ、龍騎って言うのは……っとその前に確認したいんだけど。テレビで日曜日の朝にプリキュアってやってるのを雷も五月雨ちゃんもみてるだろ?その前にやってる仮面ライダーって番組はわかる?」
俺がそうたずねると、二人はうなずいた。
「その仮面ライダーって番組のシリーズの一つ、仮面ライダー龍騎って番組に出てくる仮面ライダーの一人のことだよ。」
「へぇ~、それでそのかーどでっき?でなにするの?」
「この中に入っているカード1枚1枚を使って戦うんだ。……かなり前に買って失くしたと持ってたけどまだあったんだ……。」
俺が、雷の質問に答えて一人なお興奮していると、
「ユータ、貴様ここに居たのか。Admiralが用事があるらしくて呼んでいるぞ。」
そう言いながら最近この鎮守府に新しい提督を追っかける形で着任したGraf Zeppelin級航空母艦一番艦のGraf Zeppelinさんが部屋に入ってきた。
「あ、すみません。お手数おかけしてしまって………あ、そうだ。お手数をおかけしたついでにもう一つお手数をおかけしていいですか?」
「は?…まぁいい。聞いてやろう。」
「ありがとうございます。それじゃあちょっと艤装を展開してくれませんか?」
「艤装を?よくわからないが……展開したぞ?」
「よし、じゃあこのカードを……」
「おい!お前何をす……やめろ!!!」
<Shoot Vent>
俺が以前見たGraf Zeppelinさんの艦載機を飛ばす様子から龍騎のあるモーションを思い出したのでそれをノリでやろうとした……のは間違いだった。
グラーフさんの艤装にカードデッキ内に入っていたカードを適当に取り出して読み込ませようとしたのは……本当に間違いだった……。
「あいたぁぁぁぁ!!!!」
カードを読み込ませた瞬間、本来艤装から鳴らないはずのその音声が流れた。そしてその次の瞬間、俺の頭の真上にあるドラゴンの頭を模した打撃武器が出現して重力に沿って落ちて来て俺は悲鳴を上げた。
「い………いてぇ…ってえ?」
落ちて来たものを見て俺は完全に固まり、その一連の流れを見ていた部屋に居た全員も固まっていた。
「い……今貴様何をした?」
そして、十数秒後に辛うじて一番最初に復帰したグラーフさんが、俺の肩を揺すりながらそうたずねたのだった。
それに対して俺が渇いた笑いで返事をしたせいでグラーフさんは俺を急に引きずる形で執務室に連行。
そのまま提督が呼んでいた理由である俺の荷物の総量に関係する話をさっさと終わらさせられ、そのまま今度は埠頭に連れて行かれたらその場にいた文ちゃんたちや、俺のことを心配して追っかけて来た電ちゃんと合流した。
「貴様、さっき一体何をしたんだ?言え!!」
「ちょっ!!近いですって!!!!グラーフさんただでさえクールビューティー系な人だから苦手なんで勘弁してください!!」
埠頭に着くなり、いきなり胸ぐらをつかまれて顔を近づけられ、詰問された。
「む。熱くなり過ぎたようだな。すまない。」
「ふ~。説明します、説明しますよ!それでもあの現象が起きた具体的な理由は俺自身もよくわかってないってことを先に理解しておいてください。。」
「わかった。」
「カクカクシカジカ」
「マルマルウマウマと言うわけか。」
「わかっていただけたようで何よりです。」
取り敢えず簡単にグラーフさんに説明して、俺はやっとつかまれていた胸ぐらを解放してもらった。
「それだったら俺はここで…」
俺はそう言ってその場から急いで逃げ出そうとしたが、俺のズボンのポケットから
カラン
と言う音を立ててカードデッキが落ち、その中からあるカードが飛び出したことで再びグラーフさんにつかまってしまった。
「ユータ、このカードは一体なんだ?」
「げ!!!」
「一体何なんだ?」
グラーフさんが俺がデッキが落ちたのに気付いて慌てて飛び出したカードを含めて拾っている最中に、俺の手から掠めるかのようにとって行ったそのカードには
『Advent』
と言う文字と一緒に黒い龍の絵が描かれていた。
そのカードは……
「………召喚のカードです…。出ない方が良いと思いますが…。」
仮面ライダー龍騎に出てくるライダーたちが鏡の中に住んでいるモンスターたちと契約した際に手に入る、その契約したモンスターを召喚するカードだった。
そして、今グラーフさんが持っているのは仮面ライダー龍騎の主人公の鏡で反転させた存在であるミラーワールドの真司が契約したドラグブラッカーのカードだった。
「ふむ、さっきの例もあるしやってみるか。」
俺がやんわりしたその警告を無視してグラーフさんはそのカードを自分の艤装に読み込ませた。
<Advent>
「………艤装から音が鳴っただけだな。」
「ええ……そっちの方が個人的には良いですが………ってあれ?水面がおかしい?」
そんな会話をしながらふと海面を見た俺はあることに気付いた。
本来空の色を映して青く染まっている海には、一部線のように大きな黒いものが走っていた。
その線はまるで意志があるかのようにこちらに迫ってきていて……迫ってきていて?おかしくね?
「……なん……だと!!」
「なっ………あっ………あぁぁぁ!?」
そう思った瞬間だった。海面が大きく隆起して黒い龍が飛び出してきた。
その結果、俺はグラーフさんに詰め寄られて慌てて自分の部屋に置いてあるすべてのカードデッキをとりあえず持って合流。それから色々と試した結果………
「これはいいな!!」
……いやだってそのライダー銃撃戦専用だからそうなるの必然だし……。
因みに文ちゃんたちはグラーフさんが興奮して不気味な様子になったタイミングで俺が自室の方に帰るように言ったからかもういなくなっていた。
そんなことがあった後で妖精さんを捕まえて聞いてみたところによると、
「むかしのばんぐみをみてぐらーふさんのぎそうっぽいなとおもったんで、よこすかのなかまがかいぞうしたらしいです。」
だとのこと。
その後、うちの近所の鎮守府には夜戦でも艦載機や砲弾を飛ばしてくる空母がいるって恐怖の噂がたったらしいけど俺は何も知らない!!知らないったら知らない!!
感想、評価を楽しみにしています。
文中に出てきたグラーフさんは、発表された直後に仮面ライダー龍騎みたいな発艦方法だなとパロネタが作られたことがあります。
先詠む人はその頃から情報とか画像スレは見ていたのでその事を知っていました。
それで今日学校から帰るときにバスのなかで寝てしまって、グラーフさんが仮面ライダー龍騎の契約モンスターを召喚すると言う謎過ぎる夢を見てしまい、それが頭から離れなかったんで書いちゃいました。
活動報告で述べているように忙しいので次の更新はいつになるのかわかんないです。すみません。