お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!!   作:先詠む人

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どうもこんばんは&こんにちは。人によってはおはようございます。
テストが終わり、インフルも完治し、レポート課題も全部提出したので時間が取れた先詠む人です。

今回……事態が動きます。
再びシリアス編突入です。それと今回視点変更激しいです。


第3部 光と闇
初めてのキスは……


 ………(地獄)を見た。

 

 

 

 俺があの船で親父に救われる前の、深海棲艦に船が襲われる前の、俺の左目がまだ普通に光を映していたあの日の。

 

 

 

「イタッ!!!」

 

 幼い頃、あまりはっきりとは覚えてはいないけれども俺は誘拐されたことがある。

 

「おい出せ!!」

 

 シートにたたきつけられた衝撃で眠りが浅くなり、野太い男の声で目が覚めた。

 

「わかってる!!」

 

 そういう女の人のような高い声が車の中に鳴り響くと同時にタイヤが空転して発生する甲高い音と同時に車は発進。幼い俺は誘拐された。

 

 そのまま車はとても速いスピードで道路を駆け抜けていく一方で俺はその慣性のせいでシートに押さえつけられていた。

 

 そしてそのまま俺をシートにたたきつけた男は俺に馬乗りになり

 

「悪いね坊主。これも全部お前の親父のせいなんだ。」

 

 と言って狂気に満ちた顔で俺の顔を思いっきり殴りつけた。

 

 

 

 

 

 世界一杯に星が散り、そのまま目の前が真っ暗になる。

 

 そのまま俺の意識は暗転した。

 

 

 

 

 そこからの記憶はあやふやでおぼろげなものしかない。

 

 何となく覚えているのはただひたすらに体中が痛かったことと、首輪をつけられ汚い床にたたきつけられた後にその首輪に紐をつけられてまるでペットの犬を扱うかのように扱われたこと。

 

 ただ、唯一はっきりと覚えているのは目の前で数人の男たちから口には出せないような酷い目にあっている少女を救おうと手を伸ばし、それを不快に思った白いスーツを着た男に首を絞められ、そのまま左目にナイフを刺されたこと。

 

 正直、そんな口では簡単に言えるけれども実際に考えたらどう見ても大けがなのに生きていられたのは運がよかったとしか言いようがない。

 

 だけど、この夢を見ながら俺はふと考えてしまった。

 

 あの時……あの時、俺が手を取れなかったあの少女は一体何を思ってあの場にいたんだろうか…と。

 

 そう。俺はそう()()()()()()()んだ。

 

 夢のなかの俺が立っている地獄が()()()()()

 

 あの日おぼろげに俺が見ていたボロ臭い床はそこかしこに水草が生えたもはや廃材としか言いようがないものへ。

 闇色に染まっていた空間が深い水の中のような暗いものへ

 そして目の前には…………

 

「ヨウヤクキタノネェ………コレデテガトドクワァ……!!」

 

 あの日の少女の面影を残した顔の右半分が赤黒い結晶のようなもので覆われている深海棲艦のように真っ白な肌を持つ全体的に白と黒色(モノトーン)な女性が立っていた。

 

 女性は顔の右半分の口は穏やかなままで、そして残り半分の左側の口を狂気に触れたかのように三日月形に変え、俺の首元へ手を伸ばしてくる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ………」

 

 私が目を閉じてキスをしようとあとほんの少し。勇気を出して近づけば唇と唇が引っ付きそうな距離まで顔を近づけた途端にお父さん(あなた)が苦しみだした。

 

「どうしたの!?」

 

 慌ててそう優しく声をかけながら近づけていた顔を離す。その時、お父さん(あなた)に起きている謎の現象に気付けたのは偶然なのかな。

 お父さん(あなた)の左目、あの赤くてきれいな目が濁りながら光を放っていた。

 

 左目を中心にお父さん(あなた)の顔中に黒い靄のようなものが広がっていく。それが広がっていくのと同時にお父さん(あなた)の顔色はどんどん白くなっていっている。

 

「だめ!!」

 

 もう躊躇も何もなかった。このままだとお父さん(あなた)が手の届かないどこか遠くへ行ってしまいそうだったから。

 

 私はお父さん(あなた)の首筋にしがみつきながら勢いよく浅い呼吸を繰り返すお父さん(あなた)の唇へ自分の唇を重ね合わせた。

 

 必死に口の中で暴れまわるお父さん(あなた)の舌を私のものと獣のように絡め合わせた。

 

 ファーストキスの味はレモンの味って昔どこかで聞いたことがある。

 ………だけど、私のファーストキスの味はレモンでも何でもなく…………()()()の味だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今お父さんの純潔が奪われてる気がする。」

 

「さっちゃん何言ってるの?」

 

 山風が佑太の部屋で()()()()獣のように佑太と熱いキスを交わしているのと同時刻。

 寝るのがまぁまぁ遅かったせいで睦月型の姉妹全員で集まっている寝ている部屋の一室でみんな一緒になって川の字で寝ていた皐月が唐突にむくりと起き上がってそう言いだした。

 

 文月がその言葉に疑念を覚えているが私も胸騒ぎが止まらない。

 

「……皐月、行くか?」

 

 私も皐月と同様にむくっと体を起こして部屋の入口の方を指さし、そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、眠いんだが……」

 

「眠いよぉ~」

 

 父上の部屋へ行くには階段を2階分上がって、奥の方へ少し行かなくてはならない。

 

「いいから今は静かにして!」

 

 皐月がそう声を文月と長月の2人にかけるもあまり効果がなさそうだ。

 

「……う~ちゃんお部屋に帰っていいっぴょん?」

 

 と、考えていると卯月がそう言って声をかけてきた。その問いにどうこたえようか考えていると皐月が

 

「いいけど?」

 

 とあっさり良いと言ってしまったので

 

「じゃあ、帰るっぴょん。」

 

 そう言って卯月はあっさり欠伸をしながら部屋へ帰って行ってしまった。

 

「気を取り直して、行こう菊月。」

 

「……あぁ。」

 

 階段を上がりきって父上の部屋まであと少しというところでぴちゃぴちゃというやけに水っぽい音が父上の部屋から聞こえた。

 

「…………」

「……………」

「………………」

「…………………」

 

 その場にいた全員が顔を見合わせる。

 

 最初に動き出したのは私だった。

 

「ッ!!」

 

 父上の部屋の扉が開いていることをいいことに空いている扉の枠の前に立つ。そして私が見たのは

 

「!!!!」

 

 ほほを上気させ、何故か着ている着物を完全に腰のあたりまではだけさせ、何故か全く動かない父上の口を思うがままにむさぼりながら腰を振るう最近来てすぐだというのに父上にべたべたしている山風だった。

 

 それを見た瞬間、私の中で何かが切れた。

 

「………」

 

 無言で右手を横に突き出す。すると

 

 《ガシャコン!マグナム!!!》

 

 私の頭の中にしか聞こえないアナウンスで手の先から銃の絵が描かれている光の板が飛び出し、私の周りを一周光のリングを描きながら回ったところで描かれている銃の絵が銃そのものに変わった。

 

「距離、角度よし!!」

 

 両手でそれを構えて私は

 

「Fire!!!!!」

 

 ()()()を動いている山風のこめかみめがけて発射した。

 

 放たれたゴム弾はきれいな弾道を描きながらいまだに父上の上で動いている山風へ直撃する。

 

「あぅ!!」

 

「着弾確認!!」

 

 そうして直撃したゴム弾を確認した瞬間、

 

「何してんのこのおバカ!!」

 

 私は右側から飛び込んできた皐月に取り押さえられた。きれいに腕を固められたせいで痛い……。

 

 そのまま床に顔がつくように押さえつけられ、動けなくされるがその間に文月と長月が部屋に駆け込む。

 そして文月が山風の様子を確認していると文月が慌てた様子で声を上げ、この場にいないはずの人の声が聞こえた。

 

「さっちゃん急いで夕張さん呼んで!!お父さんがけいれんしてる!!」

 

「お父さん!!大丈夫じゃないっぽい!!!お父さん!!!」

 

 いつもののんびりとした様子はそこには全くない。完全に焦っているのが目に見えて分かった。

 確かにベッドの上の父上を見るとものすごく体が上下に動いているのがよく分かる。それをどこから現れたのかはわからないけれども夕立さんが必死に抑えていた。

 そのお父さんがけいれんを起こしている様子は昔睦月型の全員と六駆の4人全員を恐怖の渦に叩き込んだエクソシストが出てくる映画の悪魔に取りつかれた人が暴れるシーンを思い出させた。

 

「わかった!!」

 

 そう言って皐月は私の拘束を離して階段の方へ走り出す。

 そのタイミングの出来事だった。

 

「新年早々朝からうるさいわねぇ~…………って何してるの!?」

 

 叢雲さんが目をこすりながら隣の部屋から出てきて私たちの様子を見て目を見開いた。かと思ったら一瞬だけフラッと倒れかけ、その次の瞬間別人のような気配を出しながら父上が今もなお痙攣しているベッドの方へ駆け寄った。

 

「大丈夫……じゃないわねどうみても。間に合えば……いいんだけどっ!!」

 

 そう言いながら叢雲さんは父上の口の中に手を躊躇なく突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢の中で目の前に唐突に表れたあの日の少女の面影を残す深海棲艦のような女性は俺の首をきつく絞めた。

 

「ガッ!!」

 

 夢の中のはずなのに呼吸が苦しい。そんな風に首を絞められると体は酸素を求めて口を金魚のようにパクパクしだす。

 それを狙っていたかのように女性はその開いた口に

 

「フンッ」

 

 顔の右側にある結晶体を伸ばしてねじ込んできた。

 

 結晶体が気道を完全にふさごうと喉の中で膨張するせいで呼吸が全くできなくなる。必死にその結晶体を引き抜こうと手を添え、引っ張るが全く喉から結晶体が抜ける様子がない。

 

(……まずい……このままだとマジ死………ぬ)

 

 薄れゆく意識の中で俺は

 

「アナタ()()ガ救ワレルナンテ許サナイ。」

 

 ありったけの怨念を込めたかのようなその言葉を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 唐突に目が覚める。

 

 体中にものすごい疲労がたまっている感じがするも、それを気にする余裕が俺にはなかった。

 なぜなら

 

「おぇ!!げぇぇぇぇ!!」

 

 喉元からものすごい強烈な違和感、そして吐き気を覚えたからだった。

 体を横にして胃の中のものを全部吐きだすかのような勢いで咳き込む。そんな俺の背中を

 

「お父さん大丈夫ぅ~?」

 

 不安げな表情をしながら文ちゃんがさすっていたが、それに気づく余裕なんてなかった。

 無意識のうちに左手を左目のあたりに添えて額から流れ出る脂汗を拭う。その時にポタっという何か液体がベッドのシーツの上に落ちる音が鳴った。

 

「…………?」

 

 その音が気になったのと同時に体の奥の方にあった気持ち悪さが抜けていくのを感じた。

 

「………お………お父さん………。」

 

 何かにおびえているかのような夕立ちゃんの声が聞こえる。

 

「どうしたの?」

 

 そう言いながら俺は夕立ちゃんの方を向こうとして、向くことはできなかった。

 その瞬間、俺は左目から大量の血を噴き出し、口からは大量に血を吐いてそのまま意識を再び闇の中へ放り込まれた。

 

 

 こうして、俺が決断を迫られる運命の年である今年は始まった。

 何が原因なのか誰も全くわからないのに、体に大きな傷もないのに俺が瀕死の重体になるという最悪の形で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……危なかったわね……。」

 

 そう呟きながら吹雪と一緒の部屋にある自分のベッドに倒れこむ。

 運よく、この叢雲の体がすぐ横の部屋で起きた騒ぎに気付いて目を覚ましたから対応できたけれど間に合わなかったらあの子はあのままあの子じゃなくなっていてもおかしくなかった。

 しかもよりによって深海棲艦になるという形で。

 

 顔中に奔る靄と、なぜか開いている左目を見た瞬間すぐにわかった。「あ、これはマズい」と。

 

 昔、私たちが始まりの5人として分裂し、当時まだ海上自衛隊だった今の海軍と接触する前に一度立ち寄った海沿いの村であの症状を見たことがある。

 

 当時、どうにか人に馴染もうと試行錯誤を繰り返しながら5人全員合流し、あの子を守るために体の動かし方に慣れていたころのことだ。

 

 始まりはその村で一人の少女が行方不明になったことだった。

 その子を偶然私たちが体の動かし方に慣れるために体を動かしていた時の拠点にしていた洞穴のすぐ近くで私が見つけ、村まで送り届けようとして入口の方までたどり着いたときに異変は起きた。

 

 その少女がさっきのあの子のように顔に黒い靄のようなものを巡らせて痙攣し始めたかと思ったらまるで着ぐるみを脱ぐかのように中から真っ白な深海棲艦が出てきて、どこかからか出した艦載機で周囲を爆撃した。

 

 幸い私はほぼ条件反射で艤装を展開したために無事だったけど、村は壊滅。人々の泣き叫ぶ声があたり一帯に鳴り響いた。

 

 その深海棲艦は私を見てこう言ったわ。

 

「同族カ。ナゼ私ニ敵意ヲ向ケル?」

 

 それに対して私はこう答えたのを今も覚えている。

 

「そうね……あなたを放っておくとあの子が悲しむことになりそうだからよ!!」

 

 私はそう宣言するのと同時に左手に装着している砲口から砲弾を白い深海棲艦へぶち込んだ。

 

 

 この戦いが後に()()()深海棲艦が人を襲い、そしてそれに対抗するかのように艦娘が現れたと教科書にも載っている歴史らしい。

 教科書に載っているどうこうは昔あの子と夢をつないだ時に楽しそうに学校で学んだことを教えてくれる中で教えてくれた。

 

 わずかにカーテンの隙間から入って来る光を光源に痛む手を見る。

 痙攣しているあの子の口の中に手を突っ込んだからかきれいなこの叢雲の手に噛み跡がくっきりとついてしまっていた。

 

「私たちも覚悟を決めないといけないのかもね……吹雪、漣、五月雨、電……。」

 

 そう呟くと同時に無理やりあの子の意識とリンクしてあの子に干渉していた深海棲艦とあの子の意識の中で戦ったせいで受けた疲労のせいで私とこの叢雲のリンクが切れた。

 

 目を開ける。

 周りには1と0が大量に浮かんでいる空間、そしてもともとは同じ存在だった吹雪、漣、五月雨、電()が心配そうに見ていた。

 

「どうだったの?」

 

 大破状態の私の様子を見て吹雪がそう声をかけてくる。

 

「とりあえず追っ払うのは成功したわ。だけどあの子の意識が持っていかれかけた。」

 

 吹雪の問いにそう答えると

 

「………あの子そのまま意識不明になってるみたいだけど。どう責任を取るつもりなの?」

 

 漣がそう言いながら冷たい目をして私を見つめた。

 

「もうこのままデータベースのサーバーとしてどこかわからない施設に軟禁状態になっているわけにはいかない。あの子のためにも………」

 

 そこでいったん4人の顔を見渡す。そして

 

()()()()。」

 

 私がそう告げると周りの4人はそれに追従するかのようにうなずいた。

 

 




 一応、佑太の意識が戻るまでは1回(内部時間で2週間ほど)挟む予定。 
 そのあとは節分の時に鎮守府でやるパーティーで先詠む人の趣味も兼ねた曲で踊らせる予定です。
 その際だけ佑太が変身しますが、それで戦ったりはしません。ただ単にPV見たらダンスシーンじゃなかったのでそれの繋ぎを本家のOPのシーンのマネでつなぐだけです。

それと今回の内容を補足しておきますと
・山風は単に痙攣している佑太の上にいたので腰が動いていただけで決してR-18ではございません。ただ、服の状態などで菊月は誤解したようです。
・叢雲たちはデータサーバーにされていますが意識自体はデータ変換した状態で自由に動けます。
 なので他の叢雲とかに憑りつくことができるのですが、今回集まって話し合った結果動き出しました。

・そして唐突に出てきた新キャラ。これ一応シリアス編でのキーパーソンになる予定です。

 この佑太が意識を失ったことから始まるシリアス編自体は全7回を予定しています。もしかしたらちょっと伸びたり減ったりするかもしれませんが。

感想、評価を楽しみにしています。

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