「それじゃあさようならです、マミさん、まどかちゃん」
「また一緒に戦いましょうね」
「またね、朱音さん!」
二人は見滝原市に住んでるからわたしとは別。
さよならして帰ろうそうしようって事で帰ろー。
自転車に乗ってゴー♪
信号に阻まれずサイコー♪
戻ってきたハヤイー♪
鈴音ちゃんだハイホー♪
倒れてるヤバソー♪
………………ちょっとまておれ! いやわたし!
「鈴音ちゃん!?」
路地裏で倒れてる鈴音ちゃんに駆け寄る。
「鈴音ちゃん、鈴音ちゃん!」
「あ…………ぅ………… あ か ね、さ ん……」
鈴音ちゃんはごみ捨て場のごみ袋に埋もれていた。良く見つけられたね、わたし。
で、どうする!?
鈴音ちゃんは変身すらしてないのに服がボロボロで傷だらけ。
病院? 無理、ちょっと遠い!
家? それだ! でもどっちの家に!?
「あーもう! 鈴音ちゃん、わたしの家に行くよ!」
「ょ……けて……!」
「!?」
とっさに鈴音ちゃんを抱えて横に転がる。
直前までわたしの居た場所に大剣が降り下ろされ、ごみ袋が四散する。
「ちっ」
「…………誰?」
そこに居たのは一人の魔法少女。紫のパーティードレス。背中が大きく開いている。
「縄張り意識の無い、そいつと、お前を、殺しに来た」
一言一言はっきり発音する少し男っぽい子だな。
要するに、強そう。
「理由だけを端的にありがとう。さよなら!」
鈴音ちゃんを抱えたまま後ろに走り出し―――
「ダメヨォ?」
金髪長髪ストレートの外人っぽい魔法少女に行く手を阻まれた。
「ニガサナイワァ、ヨ?」
「…………貴女、日本人とのハーフ?」
「? No、ヨ」
「にしては発音が日本語っぽいし鼻が低いしなにより……」
服装を改めて眺める。
「あからさまに着物じゃない」
「Oh, ジャパニーズキモノヲムゲニシナイデ!」
と言いながら腰に差した刀を抜刀する。
危うく斬られそうになったから大きく後ろに跳ぶ。何か堅いものにぶつかる。
「いたっ」
「…………」
「ってなんだ、貴女か」
大剣担いだ魔法少女。……ん、堅い?
………………これには突っ込まない方が良いね。同じ女のよしみで。
ばっと離れて距離をおく。
「この状況、私なら、そいつを置いて逃げる。何故そうしない?」
「友達だから」
問いかけてきたから即答してあげる。
大剣に刀か。どっちもリーチが長いから逃げるのは困難かも。なんかやたらに路地裏広いし。
「鈴音ちゃん、わたしが助けるからね」
「……まだ……あと……ひと……り……!」
「分かった。だから喋らなくて大丈夫。わたしが、何とかするよ」
鈴音ちゃんを背負う。ただこれ、機動力は上がるけど背中から攻撃されたら鈴音ちゃんに当たるんだよね。
だから、背をマンションにくっつける。
正確には、鈴音ちゃんを、だけど。
「……ふん。無駄だ。私たちからは、逃れられない」
「ソモソモォ、ドウシテヘンシンシナイノデスカァ?」
「強すぎて鈴音ちゃんまで巻き込んじゃうから」
「アララァ」
「ほぅ?」
まぁ、はったりなんだけど。でもそれに対するそれぞれの反応で大体どう考えてるか分かる。後は…………じゃあ、
ビシッと金髪ちゃんを指差す。
「『変身出来ないのぉ、可愛そうに獲物ちゃん』って傲慢に考えた」
表情が歪んだ。当たらずとも遠からず、かな? まさか図星じゃ無いだろうけど。
次に大剣ちゃんを指差す。
「『厳しいな、まだ攻撃はさせない方が良いか』ってところかな?」
「……読心でも出来るのか?」
「まさか」
恐らく三人目は遠距離攻撃。じゃなきゃ三対一とはいえ鈴音ちゃん相手に無傷は無い。
けど、パッと見ても見当たらない。なら居るとしたら……上。
「ふっ!」
「「 !? 」」
ダダダッと限り無く高速で反対側の壁に移動する。
「速い……が、無意味だ」
「チョットビックリシチャッタネ。ケド、『ムイミ』ダネ」
「けど、これで鈴音ちゃんは狙えないでしょ?」
「そう、思うのか?」
「違うの?」
…………てっきりあっち側のマンションの屋上に居るのかと思ったけど、違うのかな?
それだとかなり厳しくなるけど。…………。
「あぁ、なんだ。ビックリした。そういうことか」
「……む?」
「エット、コワレチャッタノカナ?」
「鈴音ちゃん、ちょっとここで寝てて。すぐに終わらせるからね」
「…………気を……つけて……くださいまし」
うん、鈴音ちゃんもかなり回復してきたね。
鈴音ちゃんを下に降ろす。コンクリートが冷たいかもしれないけど我慢してね。
「やけになったのか?」
「フッフーン。イマダッ、ヤッチャッテー!」
金髪が何か合図を出す。
ドサッ
上から何かが落ちてきた。
「アハハハハハハ!」
そして、わたしの笑い声。
けど、わたしは笑ってない。
笑ってるのは、もう一人のわたし。笑いながら小脇に抱えてた誰かを放り投げる。
「な、何!?」
「フタリ!? ッテ、ナルミ!」
分身って本当に使えるね。兎に角、予想通り三人目は遠距離攻撃持ちで、マンションの屋上に陣取ってた。
ここ、思ってたより撃てる範囲が広くて反対側に移動した後の鈴音ちゃんも簡単に撃てるよ。危なかった。
さて、これで三人目を気にする必要は無くなった。
「どういうことだ!」
「さっき、移動したでしょ? その時に分身したの」
「ブンシン…………ニンジャメ! ナルミノカタキ!」
金髪ちゃんがやけにノリノリで攻撃してくる。
大剣ちゃんはあっちのわたしに任せて、変身。
「デヤァッ!」
「真剣白羽取り!」
刀は両手で挟み込むように掴む。刀はわたしに吸収された。
「わ、ワタシの刀が!」
「脆い脆い!」
ふ、武器が無くなった魔法少女は弱いものだね。なんて。
足払いして首もとにナイフを叩き付ける。あっさり気絶した。
大剣は振った後の隙が大きい。懐に潜り込んで鳩尾掌底。
「ごふっ」
「からの~、押さえ込み!」
大剣ちゃんを押し倒し、口と口が触れ合いそうになるまで抱きつき、首もとにナイフ。
「「 はい、わたしの勝ち 」」
ハモる。きっと二人にはエコーがかったように聴こえたかもね。
「く……あ、貴女だって! あいつの本性を知ったら突き放す!」
「なんで?」
大剣ちゃんが吠える。から、聞いてあげる。
「あいつの魔法よ! あいつは幻覚、いや、幻惑の魔法を使うのよ!」
「それが?」
互いの息がかかる距離。意外といい匂いだねこの子の口臭。
「分からないの!? 貴女は騙されてるのよ!?」
「有り得ないよ」
「ほら見なさい! あいつのチャームにかかって――」
「うるさいよ。あんまりうるさいと……その、キス、するよ?」
「!?」
うっは恥ずかしぃ。どっちも顔が真っ赤だ。
「そもそもわたしにそんなの効かないし」
と、頭を後ろから叩かれる。
で、大剣ちゃんとわたしのお互いの息がかかり鼻が触れ合う距離。
そこに衝撃が加えられればどうなるかは一目瞭然。
「んむっ!?」「んっ!?」
ズバアッと離れる。
「は、な、な、なぁ!?」
「なっちょっ、ごごごごめん!?」
「クッハッハハハハ!」
わたしぃ! いや、おれ!
「何してくれちゃってんのよ!」
「だって二人して顔が真っ赤だったし」
「わ、わ、わわわわたしのぉ! は、はは、始めてをぉ!」
「大丈夫大丈夫、始めての半分だし」
わたしに向かってギャンギャン吠えるわたし。
なんて無意味な事なんだか。でも吠えるよ。
「それより、あっちさんは?」
「むぅ、話を逸らさないでよ。……あっちはわたしより酷いよ」
顔真っ赤なのを通り越して煙が立ってる。へたりこんで顔を両手で覆ってる。しかも何かブツブツブツブツ呟いてる。
「えっと……そのぅ、ごめんね」
「………………………です」
「え?」
「せ、責任は、し、しっかり取って、貰います。あ、あ、朱音さん」
なんで名前を……あぁ、鈴音ちゃんが言ったのかな?
と、
「ヘイ! リッスン!」
刀使いの金髪の子の声が響いた。そっちを振り向く。
「……ちょっと、人質は狡いんじゃない?」
「ニンジャニイワレタクナイネ!」
「ごめん…………なさ……」
金髪の子が、まだ動けない鈴音ちゃんの首筋に刀を添えている。
「サァ、オトナシクコウサンシナサイ!」
「………………むむむ」
どうしようかな。どうすりゃいいのかな。どうしても良いんじゃないかな。
「マズハ、ブンシンとヘンシンをトキナサイ!」
「だ……め…」
「……むむ」
仕方無く言われた通りにする……訳無い。
先に分身を解くふりして『無し無し結界』発動、片方は姿を隠す。
そしてわたしは変身を解く、と。
「これでいいの?」
「フッフーン。デハ、アナタノソウルジェムヲワタスノデース」
「…………ちっ」
卑劣な。それだとわたしと鈴音ちゃんの両方が殺さねかねないじゃん。
「チナミニ、ワタシニナニカアッタラナルミガウツカラネー!」
「ナルミ? …………あぁ」
ちらっと横を見ると屋上に居た銃持ちの魔法少女が構えていた。成る程、やけに気絶から立ち直るのが速いと思ったら。
「……けど、なら……いやでも……うーむ」
怖いのはナルミとかいうあの子の銃が『本物』の可能性があること。
魔法で創った銃ならばどうにでも出来るけど……。
「ハヤクシナサィ!」
「しょうがない、ね」
「…朱……音……さん……!」
ソウルジェムを右手の平に乗せて、前に突き出す。
ゆっくり歩いて近付く。
5m……4m……3m……2m…………
「今っ!」
「んなぁ!?」
ソウルジェムを
同時に、ナルミの銃を蹴り上げる。
わたしのソウルジェムは狙い通りに金髪ちゃんの顔面に当たる。
ドンッと体に衝撃が走る。ソウルジェムの反動のせいだ。
と、同時。
バァンッ!
ナルミの銃があらぬ方向に撃たれる。
何故か、その弾道が見えた。
蹴り上げられた銃口は空を向いていた。
弾は上へ向かって飛び出し、しかし不自然に曲がる。
狙いは、わたしのソウルジェム
バリンッ
ではなく、鈴音ちゃんの、ソウルジェムだった。
「ウ……ソ……ア、アア、ウアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
――――――――――――――――――あはっ」
ここで何となく三人組のステータスを。
大剣の子
強い。とにかく強い。その実力はほとんど一人で鈴音ちゃんを圧倒出来るほど。
ただ、武器が大剣という隙の大きな武器なので三人組をつくっていた。三人組のリーダー。
固有魔法は
ソウルジェムは右耳のイヤリング。
金髪の子
実力は大体さやかぐらいかな? 日本かぶれの外人魔法少女 ……を演じている。
実際はかなり血の薄いハーフ……というか
見た目だけは外人だけど普通に日本語を喋る。着物大好き。
固有魔法は縮小化。刀を一時的に小刀の大きさに出来る。
ソウルジェムは髪止め。
ナルミ
三人組で唯一名前が出てきた子。武器の銃は魔法で作られたもの。朱音は忘れてるけど、そもそも本物の銃を持ってる中学生なんて日本には居ない。(ほむほむは例外)
見た目は陸上自衛隊。ただ、色が黄色なのでまったく隠れられてない。
固有魔法はリンク。銃口と視認した相手を『繋げる』ことで必中となる。リンク先の片方は必ず自分、もしくは自分の魔力で創られた物でなければならない。
ソウルジェムは指環。