告白―――― 意味:心の中の思いや秘密を打ち明けること。また、その言葉。
魔法少女の心の闇。
一周目の最後。
それでは、どうぞ。
純香さんの部屋。今回も鈴音ちゃんとは別々に。
純香さんと向かい合って座る。
「それで、そのぅ?」
「失礼な事を聴きますが、貴女は何者ですか?」
「はい? 何者、とは?」
魔法少女の事かな? 確か純香さんは魔法少女の事を知ってたし。
「……歴戦の商人ならまだしも、貴方の様な子供があの出迎えに驚かないとは思いません。しかし、貴女は驚きませんでした」
「えぇ」
成る程。ちゃんと驚いたんだけどなぁ。何回見ても慣れそうにないし。
「魔法少女……でしたか。しかし、貴女以外の子たちは驚きました。故に、魔法少女ということは貴女が驚かない理由にはなりません」
「ん……それは……」
ちっ、逃げ手を封じられたか。でも、正直に言っても……
「どんな突拍子の無いものでも聞きますわ。……もう一度聞きます。貴女は、何者ですか?」
「っ……」
どうする……いや、ここは……
「多分信じて貰えないですけど、それでも?」
「二度も同じ事を言わせるのですか?」
「……なら。これでわたしは二週目です」
「はい?」
「わたし自身の魔法ではないですけど、間接的にタイムリープしたんです」
「……詳しく教えていただけますか?」
教えた。おれの記憶とわたしの経験を、ほとんど。
純香さんはじっと静かに聞いてくれた。
「……転生、ですか」
「正確には前世の記憶があるだけですけど」
「その五人の魔法少女の中に鈴音は?」
「居ません。わたしも、鈴音ちゃんも」
「貴女の知る未来を変えよう、と?」
「はい。それがわたしの使命です……なんて」
恥ずかしくなったので少しごまかす。けど、
「いえ、立派な事です。どんな形であろうと人助けは素晴らしい事ですから」
「…………そうですか」
純香さんは肯定してくれる。
そっか。間違って無いんだね、わたしは……でも、本当に?
「鈴音ちゃんが見たって言う夢の話は聞きましたか?」
「えぇ。あの子が私に泣き付いて来るなんて有り得ないはずですのに」
「鈴音ちゃんの為に嫌われる……ですか。いや、良いんです。それも一つの愛情ですし」
「そう、ですか。……いえ、それは良いんです。それより、夢の話でしたね。確か、鈴音が……死ぬ……まさか」
「はい。鈴音ちゃんが見たのは、恐らく一周目の
そう言い、
バンッ!
純香さんが机を叩く音に驚く。
「貴女はっ! 鈴音を見殺しにしたんですか!?」
「っ…………」
言い返せない。
「鈴音が――親友が死ぬのを見て! なんでそんな澄ました顔を出来るのですか!?」
「……澄ました、顔?」
右手で口元を触る。……無表情。むしろ、微笑んでさえ…………。
「何ですか……その
助けなかった……わたしは、鈴音ちゃんを助けられなかった……何故?
――――――それはね?
「鈴音ちゃんは五人の中に居なかったから」
「なっ…………」
「……違う…そうでしょ」
「……?」
「…違う…嘘つき……違う……」
「朱音、さん?」
「人殺し、違う、人でなし、違う違う、友達一人助けられない臆病者、う……、元から助ける気が無かったんでしょ、違う……違う、違う違う、違う違ウ違う違ウ違う違ウ違ウ違ウッ!」
「朱音さんっ!」
抱き締められて、我を失っていたことに、気付く。
「あ……ご、ごめんなさい……取り乱しちゃって……」
「良いんです。こちらこそ、貴女が何も感じてないだなんて、そんな酷い事を言ってしまいました。決してそんなこと、それこそ有り得ない事なのに……」
「―――― 違う」
あぁ、そうか、家で気付いた違和感は……記憶だけじゃなくて……
「わたしは、鈴音ちゃんが死んだのに……悲しく思わなかった……友達の為に…悲しめなくて……!」
「…………」
もう、駄目だ。止まらない。止められない。ここで
「鈴音ちゃんが死んだって聞いても! 悲しいより、そうか、しか無くて! おかしいって分かるけど、だからなんだって、そんなの、『やり直したんだから大丈夫』だって、そうなって! わたしは、わたしは! もう、もう人間の心が、無いんじゃないかって! 鈴音ちゃんが、一周目のわたしの最後は、魔女みたいだったって! わたしは、もう、鈴音ちゃんの友達でいられない――――」
「馬鹿をお言いにならないで」
ピシャリ、と。頬を叩くように言い切られる。
「鈴音の夢の話の最後、覚えていますか?」
「……わたしが暴走して、」
「魔女や魔法少女を倒していった。……笑いながら、
「それ、は……」
「私は、貴女が自分で言うほど非情な人間だとは思いません。貴女なら鈴音の友達として一緒に過ごしても安心です」
「……それだとまた、鈴音ちゃんが」
「大丈夫です。今度こそ守ってくれるでしょう?」
「…………」
頷く。厚かましくて、言葉には出来ないけど、今度こそ、必ず。
「困ったら相談しなさい。貴女の母親に言えない事でも、私なら言えるでしょう?」
「……うん。ありがとう、純香さん」
感謝の意味も込めて、強く抱き締め返す。
願わくば、二度とこの人を悲しませませんように。
願わくば、純香さんと鈴音ちゃんの仲が良くなりますように。
懺悔――――意味:犯した罪悪を神仏の前で告白し、悔い改めることを誓うこと。
または、過去の悪事や過ちを悔いて他人に告白すること。
ふぅ、これで一段落。朱音は二週目をどう過ごすのでしょうか。