まどマギ【助けたい】少女   作:yourphone

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全てを終える。……?

鈴音ちゃんと共に立つ。視線の先、マミさんと杏子ちゃんがワルプルギスの夜が産み出した使い魔たちを相手に苦戦している。

 

「まどかちゃん、さやかちゃん。二人は避難して」

 

だけどまずやることは、魔法少女になってない二人の安全の確保。

 

「ええ! なんでよ! っていうか私あんたに命令されたくないんだけど!」

「危険だから。それにこれは命令じゃなくてお願い。……うーん、なんか違う。ちょっとわたしのキャラ思い出せない」

……あのねぇ。馬鹿言わないでよ

あっれぇ? わたしってもっとこう、ギャグチックな……こんな格好いい事言うような……うーん。

 

「私は賛成よ。まどか、さやかと共にここから逃げて」

 

お、ほむほむが良いこと言った。

 

「で、でも……」

「大丈夫。今までで一番……上手く行ってる。ここまで来て貴女を失いたくないの」

「……分かった。さやかちゃん、行こう!」

 

やっぱりまどかちゃんはメインヒロイン。

 

「で、でもまどかぁ!」

「ほむらちゃんたちの足手まといになっちゃうから!」

「~~っ! 分かったわよ! 負けたら容赦しないからね!」

 

そう言い残して、二人は走っていった。

 

「……負けたら死ぬんだけどね」

「そもそも負けませんわ。(わたくし)と、朱音さん。二人だと勝てませんでしたけど……こんなに居れば十分ですわ!」

「……うん、鈴音ちゃん。後で夢の話教えてね。多分それわたし覚えてない」

「生きてればですわ!」

 

三人で走り出す。

 

カチッ

 

時が止まるけど、もう隠し事は無し。

 

「ほむほむ! 何処まで止められる!?」

「っ!?……貴女が担げば、三人共最前線まで間に合うわ」

「了解!」

 

触手を一本使って固まっている鈴音ちゃんを担ぐ。……流石にわたしが触っても時間停止空間には来れないか。

 

「動けてビックリした?」

「……えぇ、少し」

「あ、少しなんだ」

 

そう言うとほむほむは、

 

「貴女ほど、予測不可能な魔法少女は居ないから……何でもありでしょう?」

 

と言って笑った。

うーん……何か、何だかなぁ。

 

カチッ

 

時が動き出す。

 

「よっとぉ!」

「へ、ふわぁっ!?」

 

鈴音ちゃんを投げる。その先には三角形の使い魔。

 

「え、ちょ、はあぁっ!」

 

鈴音ちゃんは空中で体制を建て直し、槍で使い魔を刺し殺した。

 

「おー、流石鈴音ちゃん……」

「ほら何でもありじゃない」

 

ほむほむが横を通りすぎながら耳打ちしてきた。くすぐったい。

 

「あ~か~ね~さ~ん~!」

「ごめんって!」

 

鈴音ちゃんに謝りつつ、周りを見回す。

さっきのはマミさんが撃ち漏らした使い魔だった……いや、と言うよりマミさんから命からがら逃げ出せた運の良い使い魔だったみたい。

 

「くっ……これじゃあキリが無い!」

「マミさん! 援護します!」

 

マミさんの前には大量の使い魔。

わたしだけでワルプルギスの夜と戦う時には、使い魔を呼び出す黒い槍を吸収するから分からないけど……他の魔法少女が戦ってるとちょっと笑えない量になる。むしろ気持ち悪くなってくる。

 

具体的には、目の前が真っ暗になってる。まっくろくろすけかっ! ってぐらいに。

 

「朱音さんっ! もういいの!?」

「鈴音ちゃんは杏子ちゃんの方に向かって! 大丈夫ですよ!」

 

使い魔の海に飛び込んだせいで、鈴音ちゃんの返事は聞こえなかった。

 

「掛かってきなよぉっ!」

 

触手はまだ完治してない。五本を1メートル出せれば言い良い方。

自己修復には時間と……魔力が必要。

 

カチッ

 

時間はほむほむが止めるからそこそこ有る。わたしが認識していれば時間停止は効かない。―――逆に言えばわたしの知らない所で止められるとどうしようも無いけどね。

 

「っと、今の内に」

 

時間停止していると、わたしからの干渉はほとんど『出来ない』と言える。時が止まってる物にナイフは刺さらないし、魔力の流れみたいなのも止まってるから吸収出来ない。

唯一出来るのが『止まってる物を動かす』事ぐらい。ほむほむと違って触れてもこっち(時間停止空間)に連れてこれないからね。

 

近くの使い魔を出来る限り一ヶ所に集める。

 

カチッ

 

「うわっとと」

 

時が動き出しちゃったから、急いで触手で簀巻きにする。

……一本で簀巻きって言わないんだけど?

「ほらさっさと吸収されちゃってよ!」

「ティロ・フィナーレ!」

 

右横をマミさんの必殺技が通り過ぎる。

当たっても効かないとはいえ、結構ひやひやもんだね。

 

「そういえば。マミさん、グリーフシードは!?」

 

振り向いて大声で尋ねる。

マミさんはにっこり笑って、取り敢えず一個取り出して見せてくれた。

親指を立てたグッジョブで返す。

 

カチッ

 

「さてさて、よっと!」

 

向きを変えつつ、回転切り。ってあーもう。ほむほむの時間停止と被った。

うーん。どうするか……。

 

「『無し無し結界』……は意味無いし。ケータイもまだ必要じゃない。となると……触手、ナイフ、後は……」

 

そうだ。分身があるじゃん。

 

カチッ

 

「ってことで!」

「効率二倍!」

 

分身して使い魔たちをバッサバッサと切り捨てて行く。

どうも使い魔自体を魔力として吸収するのは時間がかかる。だったらさっさと消し飛ばしてワルプルギスの夜から直々に魔力を貰おう。

 

「そっちはお願い!」

「こっちは任せて!」

 

自分同士の意志疎通。二手に別れて使い魔を殲滅していく。

……大丈夫なの?

 

 

―――いや、キリがない。切っても切っても使い魔が出てくるんだけど。

 

「ぐっ……わたしは特攻する!」

 

叫んで、使い魔を踏みつけて跳躍。

 

カチッ

 

ナイスタイミング!

使い魔を台にして、飛んで飛んで、とにかく上へ。

 

良い具合に上空に来れたから、全体を俯瞰(ふかん)する。

 

カチッ

 

ふーむ、上から見ると使い魔は『W』の形になってる。

マミさんとわたしで右側を、杏子ちゃんとほむほむで左側を攻めてる。……鈴音ちゃんは泥の軍団を使って被害の拡大を防いでる。

 

「うん、意外と良い感じだね」

 

ちなみに、黒い槍がわたしの背中に刺さりまくってる。その衝撃で浮かび続けてるんだけど……そろそろ鬱陶しいかな。

 

「とはいえ、魔力は必要だし」

 

カチッ

 

宙で固まる黒い槍を掴んで落下を防ぐ。そして黒い槍の上に立ち、ワルプルギスの夜と向かい合う。

 

「…………」

 

――――――うん、何か言おうと思ったけど特に何も無かった。

馬鹿でしょ

カチッ

 

時が動き出すと同時にジャンプ。

 

―――アハハハハハハ!

 

ワルプルギスの嗤い声が響く。頭に響き、心に鉤爪が刺さる。

 

けど、もう惑わされない。わたしには仲間が居る。

 

「わたし()()はそう簡単にやられないよ?」

 

返答は炎。全てを溶かす獄炎。ただしわたしには効かない。

 

「あっついなぁもぉ!」

 

形無い炎を踏める訳もなく、落ちていく。炎なんて良いから槍を使ってよ。

 

―――キャハハハハハハハハハハ!

 

うーん、わたしの弱点だよね。防御の面で見たら最強なんだけど、反面派手な攻撃が無い。精々が触手を纏めた手ぐらい。

それだってさっき破られたし……うーん。

 

使い魔の群れに落ちる。ついでに分身も消す。お疲れ。

 

「うっらぁ!」

 

とにかくナイフで使い魔を切り裂く。

 

カチッ

 

時が止まる。ちょいちょい休めるのは良いんだけどね。

 

「どうするかな。そこそこ使い魔は減ってるけど」

 

分身、吸収、触手に『無し無し結界』。後はナイフにケータイ。これがわたしの持つ手段。

たったこれっぽっちだけど、どうにかしなきゃ。

 

カチッ

 

やっぱり一番は吸収かなぁ。触手を使って張り付いて、全力で吸収しかないか。

 

「よっと」

 

手当たり次第に使い魔を切る。よしっ、じゃあ次の時間停止で実行するかな。

 

カチッ

 

分身! あっちは残って使い魔の殲滅。わたしは飛び上がり、触手を出す。

 

ま、どっちもわたしなんだけどさ。

 

「よっ、ほっ、やっと!」

 

なんとかワルプルギスの夜の頭を掴む。

 

カチッ

 

「ま、間に合ったぁ……」

 

―――アハハハハハハ?

 

よじ登る。とにかく全身で掴まれる場所まで行かなきゃ。

 

―――キャハハハハハキャハハハハハァハハハハハハ!

 

ん? なんか、重力が曲がって……ちょ、右に落ちる!

 

―――アハハハハハハァァァアァァァア!キャハハハハハハハハハハャハハハハハァァァア!

 

あ、違う。これワルプルギスの夜が正位置になろうとしてるのか。逆位置だったから正位置になるために回転してる、と。

 

 

 

 

え、それってかなりまずいのでは?

 

カチッ

 

よしっ、ほむほむナイス! 今の内に回転の中心部分にまで行かないと軽く落ちる!

 

触手を上手く使ってワルプルギスの夜を登る。

 

もうちょっと……ここは胸元らへんかな? 残念ながらワルプルギスの夜の中身は機械仕掛けなんだ。

何が残念、よ

カチッ

 

後は全力で掴まるだけ。触手も使って接地面積を増やす。

 

魔力吸収。ここからは―――

 

「根気比べだよ!」

 

―――フ、アハハハハハハハハハハハァアハハハハハハキャハハハハハギャハハハハハァァァア!

 

ワルプルギスの夜の回転に合わせて頭が上になるようにする。でないと頭に血が昇るし。

 

ん、触手を増やせるな。三本追加。

 

―――ァァァァァァァァァアァァァァァァァァァア!?

 

んん? 分身が消えた。殺された……訳じゃなさそうだ。こっちに全力を出す為に消えた。へぇ、そんなこと出来たんだ。もっと早めに知ってれば日常生活ももっと楽になったのに。

 

と、下に居た使い魔たちが戻ってきた。大方、おれに魔力を吸われているのに気付いたワルプルギスの夜が引き剥がしにかかったんだろう。

 

「って! おれじゃなくてわたしはわたし! おれじゃないの!」

 

使い魔たちが遠くから攻撃してくるけど、無駄無駄ァ!

そんなちまちましたのじゃ、むしろわたしを強くするだけ。

 

―――ァァァアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!

 

よし、かなり魔力を吸えた。触手追加、十本。

 

―――ァァァアァァァア!

 

動きが止まった。さて、どうなるのかな?

 

―――ァァアハハハハハハッッ!

 

カチッ

 

時が止まる。後ろを見ると、使い魔たちが視界を埋め尽くしていた。

その使い魔たちの向こうから声が。

 

「本庄朱音っ! これ以上はまずいっ!」

「ほむらちゃん!?」

「この時間停止が終わったら、ワルプルギスの夜によって世界が壊れてしまう!」

「えぇ!?」

 

そんなレベル!? 流石に予想外!

 

「ど、どうすれば……」

「どうにか、どうにか動きを制限出来れば、或いは!」

 

動きの制限……やるしかない、か。

 

「ほむらちゃん! ティロ・フィナーレでわたしを撃ってってマミさんに!」

「え?―――分かったわ!」

 

お願い、間に合って。ほむほむ、時間停止頑張って!

わたしも何かしなきゃ。

 

「えっと、グリーフシードは……持ってないんだった」

 

魔女から吸収する魔力で十分だったから……。

 

 

「ティロ・フィナーレ!!」

 

ズドンッ

 

急に後ろから衝撃が。つ、潰れる!

 

カチッ

 

全力で吸収。わたしに触れる物は―――全部わたしの物だ!

 

魔力をフルに使って触手を展開。

 

ワルプルギスの夜に緑のケーブルが纏わりつく。

同時に皆の全力の攻撃がワルプルギスの夜を襲う。

 

それでもワルプルギスの夜は進む。まだゆっくりだけど少し……一瞬でも攻撃の手が緩めば、恐ろしい事になる。

 

「……もう…………ちょっと……!」

 

加速的に増えていく魔力を、全て触手に変換。宿り木のように―――喰ってやる。

 

「と……ど………………けぇ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ワルプルギスの夜は緑に包まれた。




おや、まだ続きそうですね。
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