まどマギ【助けたい】少女   作:yourphone

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ん? 完結した筈では?


本庄朱音という魔法少女

 私を知るには、まず私の姉の本庄朱音の事を知らなきゃいけないわ。すこーし長くなるかもしれないけど、いい?

 

 本庄朱音。平凡な家庭で産まれた平凡な少女。

 本当に普通の少女……ただ、精神的に弱くて少し夢見がちなだけ。

 幼い子供はイマジナリーフレンドを作るでしょ? 朱音はそれが凄く得意だったのよ。朱音が1人でするおままごとはそれはまぁ結構な規模だったわ。

 まあ、それで、ある時怖い目にあってね。トラウマになるわけ。そしてそのトラウマから自分を守るために、1つのイマジナリーフレンドに……全部押し付けた。そしてそれ以来イマジナリーフレンドは作らなくなった。

 

 要は二重人格って奴よ。都合の悪いことはこっちの責任、楽しいことはあっちの出番って感じでね。

 幸い、両親は理解を示してくれて二人とも可愛がってくれたわ。

 ただ、大きくなるにつれて朱音はもう1つの人格の事を忘れていった……。

 そして、運命の転換期が訪れるわ。

 

 それは12歳の誕生日。朱音は早生まれで中学校に入るちょっと前くらいの日なんだけど。

 そう……なんていうか……バグ? 或いは女神のミス? 分からないけど、変な記憶を思い出すの。

 その記憶は魔法少女の事を色々と知っていた。どうすればなれるのか、どういうことが出来るのか、どういう、運命なのかも。……ええ、魔法少女が最後にどうなるか知っているわ。知った上で魔法少女になったのよ。

 おかしいって言われても……話を戻すわよ。

 朱音は記憶を別の人格として処理したわ。本庄蒼太という男の人格として。おかしくならないように『前世の記憶』っていう設定まで付け加えて。

 ついでに秘密裏にもう1つ人格も生んで合計4つの人格。漫画みたいでしょ?

 

 それで色々とあって──無かったかも──魔法少女になれた訳。

 幸いだったのはインキュベーターの調査に引っ掛かる前にインキュベーターと接触出来たこと。もしも多重人格だって知られてたら契約してくれなかったかもしれないわね。

 あと、蒼太の人格のおかげで少しは精神的に成長していたこと。そうじゃなければ契約前に諦めてたかも。

 

 で、魔法少女となって得た魔法は……え? 長い? こっからがサビだから待ちなさいよ。

 こほん。

 それで、朱音の固有魔法なんだけど『魔力の吸収』『分身』『透明化』の3つってところね。そう、それぞれの人格がそれぞれに固有魔法を貰ったの。

 特に強力な『魔力の吸収』の魔法は蒼太の人格のもの。男だから本来は魔法少女になれず、けれど少女の身体ゆえになれてしまった彼は、自力では魔力を作れなかった。その為の魔法。

『透明化』は隠れた人格のもの。自分自身にすら気付かせない、悟らせない無意識の現れ。

 そして『分身』。これは……朱音が作った人格のもの。朱音の代わりに悪意を受け止めて失意を飲み込む分身。それが固有魔法として現れてしまったもの。

 

 朱音は魔法少女としての才能はかなり低いけど、固有魔法でなんとか戦えていけたわ。

 けど、そう……どこまで話そうかしら……そうね、じゃあざっくりとはしょるわ。

 

 朱音は仲間たちとワルプルギスの夜との戦いに挑んで、勝ったわ。

 

 え? 飛びすぎ? そんなこと言われても詳しく説明してたらもっとややこしいし。

 とにかく、確か5月の終わり頃にワルプルギスの夜と戦ったのよ。激戦というのに相応しい戦いで、人格の1つや2つは持ってかれたわ。

 

 で、ワルプルギスの夜を倒したあと、朱音のソウルジェムは異常な事になったわ。

 ワルプルギスの夜から奪った許容量を越えた魔力と、限界を越えて溜まった穢れがギッチギチに入ったの。穢れを浄化しようにも溢れるぐらい増えた魔力が邪魔してグリーフシードは意味をなさない。ま、そもそも全部浄化するとなるとグリーフシードが10個以上は必要になったでしょうね。消耗してた仲間たちにそんな余裕は無いわ。

 ……。朱音を助けるための人格は、1つ賭けにでることにした。

 ワルプルギスの夜の巨大なグリーフシードをソウルジェムと見立てて、新しく身体を造る。魔力の代わりに穢れを使う。人格は自身のものを移して、必要な穢れと魔力は朱音の余剰分を持っていく。

 

 そうよ。それが私、本庄乙女。元・朱音の『妹』としての人格。

 

 人型の魔女……と言われても否定出来ない。だって私の心臓は硬い石で、身体は見ての通り液体状の穢れを固めたもの。不定形でやろうと思えば別の身体にだってなれる。顔を増やせるしのっぺらぼうになってもいいしなんなら身体を増やせる。魔女結界みたいなのも作れるし使い魔なんて何体だって産み出せる。

 けど同時に私は世界から穢れを吸い取る巨大なグリーフシードでもある。

 だけど。だけどね、あくまで、私は、『穢れを扱う魔法少女』。そのつもりよ。

 

 

 

 

 

 ───これでいいかしら、超ベテランの七海やちよさん。

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