所謂、リアルがかなーり忙しいというやつです。
どうにか次話は一週間後には仕上げたいと思います。
どんな物事でも、思っていると時が経つのは何かと早いものである。
約束や試験や試合、遠足やデートなど色々とその日が近づくにつれ、思うもの。
楽しみだったり、恐怖だったり、緊張だったりと、理由は人それぞれ。
まぁ、マクロスの中で言うのも何か抵抗があるが、空は快晴である。
日差しを受けて、早乙女アルトは臆すことなくS.M.Sに来た。
やってきた約束の日、早乙女アルト入隊テスト当日。
早乙女アルトは確かな意思を瞳に宿し、S.M.Sに足を踏み入れた。
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マクロス・クォーターハンガー内。
整備士がどこかめんどくさそうに、しかし愛おしそうに機体を整備している。
そんなS.M.Sでの日常的な光景の中、白い二つの機体が並ぶその下。
パイロットスーツに着替えた二人は来るその時がもうすぐだというのに、雑談をしていた。
「へぇ、ランカちゃんが」
「ああ、今頃歌っている筈だ」
その知らせをアルトから聞いたのは入隊試験が始まる直前……
ゼノンはいつもの服装のままだが、アルトはパイロットスーツに着替え自身の機体に乗る前の時だった。
発進まで後少しという時に、アルトが話しかけてきたのだ。
「ミス・マクロスか……」
たしか一番最初のミス・マクロスのコンテストは出来レースだったような気がしたな。
けど一般投票で番狂わせでリン・ミンメイが優勝したんだっけか。
そしてそれが物語の鍵になるなんて思いもしなかったな……。
「伝統なんだよ、一応な。
あ、あとゼノンにも会いたいって言ってたぞ」
「俺に?」
なんでまた?
「ああ。お礼がキチンと言えなかったから、って」
「あぁ……あの時無理やりオズマ隊長に連れて行かれたからなぁ」
「そうだよなぁ……
隊長に連れて行かれる時ゼノンにまだ何か言いたそうだったのは覚えてるよ」
ハハッと笑い合っているとスピーカーからオズマの怒鳴り声が響く。
『お前達、何をモタモタしている!!
すぐさま発進準備だっ!!』
そのあまりの大音量にキーンと耳が鳴る。うるせ。
「おうおう、耳が潰れちまうじゃねぇか。
さてアルト、覚悟はいいか」
「とっくに出来てるさ」
互いニヤリと笑いあい、拳を合わせる。
そのまま背を向けそれぞれの機体に乗り込んだ。
ゼノンはコックピットに乗り込む。
開いていたハッチが閉まり、真っ暗なコックピットに立ち、目を瞑り、で呟く。
「リンク」
その呟きと同時に、体の隅々まで感覚がシャープになる。
「各機能オールグリーン、トレース良好……」
頭の中に直接状況が伝わり、腕を動かし確かな感触を確かめる。
振動が伝わり、カタパルトへの移動が開始される。
各チェックを終えると、まるでタイミングを計ったように丁度カタパルトに到着する。
目を開く。
その目はF91のモノと同じになり、視界に映るのは果て無き宇宙と無限の星々。
隣のカタパルトにはアルトが乗るスーパーパック装備のVF-25。
向こうもコチラに気づいたのか、ニヤリと笑みを浮かべながら親指を立てた。
コチラもそれに返すように親指を立て……そのまま親指を下に向けた。
それを見て、アルトは一瞬呆けるも同じく親指を下に向け不適に笑った。
ここでオペレーターから通信が繋がる。
「どうもゼノンさん、専属オペレーターになったラム・ホアです。聞こえますか?」
「ああ、良好だ。流石はフォールド通信だな」
そう、実は突貫でフォールド通信機をF91に組み込ませてもらったのだ。
突貫、とは言ってもUG細胞のお蔭か、
通信機器そのものをコックピット内部の何処かに接触させれば勝手に取り込んでくれるので楽でいい。
困ったのは終わった後で整備の奴らとルカからどうやったらそんな短時間でできるんだ、
と問い詰められた時はマジでやばかった。あの血走った目は尋常じゃない。
整備といえば、F91専属の整備員が付くこととなった。
ルカ・アンジェローニである。
やはり異世界の機体ということで目を光らせて俺に取り次いできたのだ。
まぁ、詳しく打ち合わせをするのはこの入隊テスト後なんだけどね。
「でしょ~、ゼノンさんの世界じゃその粒子のせいでまともな通信ができなかったんでしょ?」
「ああ、レーダーとかも高濃度に散布されるとロクに機能しなかったからな」
まぁ、このΩ粒子じゃなくてミノフスキー粒子だけどね。
「その点じゃ心配無しです。
じゃ、あんまり話すと怒られるので、発進どうぞ」
「了解。ガンダムF91発進」
カタパルトとは言ってもバルキリー用の物を使わせてもらっているので、
MSのような射出装置は無いのでその場からスラスターを噴かして発進する。
アルト機もほぼ同時に発進し、横に並ぶ。
程なくして戦闘宙域に到着。
アルトから通信が入る。
「相手はゼントラン三人で構成されるピクシー小隊、年はまだ若いけど腕はベテラン、か……」
「ピクシー小隊……妖精(ピクシー)ねえ……」
ゼントラーディの女性三人で構成されるピクシー小隊。
クァドラン・レアで編成されるS.M.Sの中でも腕利きの部隊である。
さて、ここでなぜこの場にゼノンがいるのか疑問に思っただろう。
今回は早乙女アルトの入隊テストじゃないのか?と。
確かに今回は早乙女アルトの入隊テストでもある。
今回のテスト、厳密に言えばアルトとゼノンの入隊テストである。
なんで?と思うのも無理はない。
ゼノンは既に入隊済みなのに何故テストを受けなければならないのか?
説明には少々時間を戻さねばならない。
それは入隊テスト前のブリーフィングの時だった。
「てなわけでオズマ隊長、俺はアルトと一緒にテスト受けますんでよろしく」
「なにがてなわけで、だ!お前は既に入隊しているからテストを受けることは認められん」
「なぜです?確かに俺は入隊していますが、ちょっと特殊な方法で入ったんですよ。
それに、まだ視線が少し痛いのでね……」
そう、当然と言えば当然なのだが隊員の視線が痛い。
確かに入隊したのだが、これは特例であり他の者達のように正規のテストを受けた訳ではない。
その者達から見ればゼノンは「なんだコイツ」てな感じで見られている。
「ふむ……しかしだな……」
上からのお達しでゼノンは既に入隊は済んでいる。
腕も自分がしっかりと皆に伝えたので問題はないはず……。
だがしかし納得していない者もいることは事実、良い機会なのか?
そう考え込むオズマに以外なところから声が掛かる。
「いいんじゃないですか、隊長」
「ミシェル……」
そう、眼鏡の色男ミハエル・ブランだ。
「俺達の殆どがゼノンの実力を知りません。
他の隊員達にとっても示しになると思います。その変わり……」
彼の言う通りである。
ゼノンの実力を知っているのは実際ソレを見たオズマとギリアム、
後で僅かにしか映っていないが、記録映像で見たジェフリーだけ。
確かに丁度良い機会である。
そう思っているオズマはミシェルの提案に乗ることにした。
「どうです?
俺もピクシーと一緒に出てアルトとゼノンのコンビを試すってのは?」
「……いいだろう、許可する」
「ありがとうございます」
慣れた動作で敬礼をし、ルカに声を掛け去って行く。
その去り際にゼノンにニヤリと笑いかけ、足早に去っていった。
その笑みにゼノンは何かあると感じた。
「よし、早乙女アルト、ゼノン・グレイブ両名は自機で指示があるまで待機」
「「了解」」
てな感じで回想終了。
場面は戻る。
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意思が走る。
敵意まではいかないが、それなりに自分達に向けられたモノに気づく。
「来るぞ、アルト……四つの意思がコチラに向かってくる」
ん?あれ?四つだって?
「あ、あぁ(意思?ゼノンは何を……?)」
前方を見つめるF91のツインアイがゼノンの意思に呼応するように青く光る。
「(この感じは……ミハエルか。なるほど。
だが姿が見えないな、気配は感じるが上手く隠れている……さすがスナイパー)
……牽制する」
あの時の笑みはこういうことだったのか。
そう思いながらゼノンは遥か先の光と捉える。
見えるには見えるのだが、それこそ米粒程の三つの光りの尾。
周りの星の光と一瞬見間違えてしまうのではないかというくらい小さな光。
しかしゼノンの眼にははっきりと見えている。
その場から若干上昇し、ビームライフルを二発発射。
無論、当てる気は無い。
お互い射程外ということもあり予想外だったのか、三つの光りが乱れる。
「いくぞアルト!!」
「おう!!」
二機は乱れた隙に一気に接近を試みる。
だが流石と言うところか、赤いクァドランの動きと指示により他の二機もすぐさま立て直す。
思ったより早いな。と考えていると別の方向から視線と迫るモノを感じる。
遠方より青いビームが迫る。
それもゼノンのみに向けられて。
だが感知していたゼノンにその程度の狙撃は脅威にはならない。
スラスターを噴かすことも無く、僅かに体を捻るだけで難なく避ける。
「……俺だけを狙ってきた?
いいだろうミハエル、その挑発に乗ってやろう。
アルト!!」
「なんだ!?今忙しい!!」
見ればケツに二機付かれている。確かに忙しそうだ。
「スナイパーを仕留めてくる。暫く任せるがいいか?」
「わかった、さっさと行ってこい!!」
そう叫びながらアルトはガウォークに変形し、迫っていたミサイル群を撃ち落とす。
さらに後方から迫るミサイルをバトロイドに変形、左右に動きながらガンポッドで撃ち落とす。
同時に二機にミサイルを放ち、ファイターに変形し錯乱のため未だ晴れない煙の中へ突っ込む。
それを見てゼノンは大丈夫そうだな、と思い方向転換したその時、再び意思が走る。
僅か遅れて、いつの間にか下に回った赤いクァドランから閃光が走る。
「っと」
その場で宙返りで避ける。
すぐさま体制を直し、迎撃しようとするがさらに別の敵意が迫る。
「ちぃ!」
スナイプ。またもミハエルの狙撃か。行動を遮る、良いタイミングで撃ってくるな。
さらにピクシー小隊隊長クラン・クラン駆る赤いクァドランが放った無数のミサイルが視界に広がる。
だがゼノンは慌てること無くF91の頭部、胸部の計四門の実弾の銃口から火を噴かし迎撃する。
二秒足らずで全ミサイルを撃墜。
爆炎と煙に紛れて、一旦体制を立て直す為に近くの無数の岩陰に隠れる。
そこで事前に聞いておいた話を思い出していた。
確か、ミハエルとクランは幼馴染だって言ってたな。byボビー情報。
なるほど、あのコンビネーションの良さも納得だ。
どうしたもんかな……。
とゼノンが考えている時、ミシェルとクランも同じく岩陰に隠れ分析していた。
「クソッ!!
どうなってやがる、あのタイミングで避けるなんて……!」
スナイパーとして己の腕に絶対の自信を持つミシェルには、
ゼノンがあのタイミングで完璧に避けられたのに対し苛立ちを感じられずにはいられなかった。
まるで背中に目が付いているような……そう思うほどである。
「……そうだな、タイミング・位置・状況、どれをとっても完璧な筈だったのに、避けた」
それはクランにも言えることだった。
そしてクランはゼノンとアルト以外で行った秘密のミーティングでのオズマの話を思い出す。
その話とはゼノンが何らかの超能力者ではないか?というものだった。
オズマ自身も確証が在る訳ではないが、思い当たる節がある程度なのだが……
それを聞いたオズマ以外の隊員は笑うを通り越して失笑モノだった。
しかし、オズマは自機とギリアム機に残っていた戦闘時のカメラの映像の中の、
先日の戦闘の様子を他の隊員達に見せると殆どの隊員達が言葉を失った。
戦闘技術は勿論凄まじいの一言。だが、それは二の次だった。
隊員、それも戦闘員はその戦闘の異常性にすぐに気がつく。
その異常性とは何か?
そう、当たらないのだ。
確実に死角からの攻撃に対し、まるで見えているかのように避けるのだ。
始めの内は単なるマグレか勘かと思ったが、違う。
確実に、そう来るのが分かっていて当たり前に避けているのだ。
誰もが確信した。
そしてそれは攻撃の際にも言えた。
誤射に思えるような射撃に、バジュラが当たりに行っているように見えたのだ。
予測して撃っているのだろうが、そう見えてしまう異常性。
たしかにある程度であれば予測して撃つことなどパイロットでなくともよくやることである。
がしかし、それはどんな熟練のパイロットであっても確実に当たるなんてことはない。
だがどうだろう。
ゼノンの駆るF91の射撃は映像で見る限り文字通り百発百中である。
牽制の射撃を抜けば、ほぼ100%と言ったところか。
「オズマがアイツがエスパーだって話、信じたくないが嘘じゃなさそうだな」
「なっ!?クラン、いくら隊長が言ったとはいえそんな話を信じるのか?」
「そうは言ってもミシェル……」
そんな話をしている時、ゼノンは彼らの直上にいた。
「なぁにをイチャイチャしてんだか……」
イチャついてる、とさすがにゼノンでもそう細かいことは分からないが、
自分に向けられていた意思が随分と弱くなっているのを感じ、来てみればコレである。
だが模擬戦……じゃなかった、入隊テストとはいえそんな隙を見逃す程甘くは無い。
とは言えこのまま撃墜など容易いの一言。
暫く考え、ピコンとアイディアを思いつき早速行動に移す。
ビームライフルを構え何時でも発射できるようにしてから、
たった一言を言う為にクランとミシェルにオープンで通信を繋げる。
「捉えたぞ」
同時にビームライフルを二発放つ。
「「なッ!!」」
あまりの驚きに二人の声が重なる。
避けるだの何だの考えるよりも先に、有無を言わさず咄嗟にスラスターを噴かす。
ここでクランのモニターに右方の駆動系、背部武器使用不可の文字が映る。
対するミシェルのモニターにはメイン武器、スナイパーライフル使用不可の文字。
さらに警告音が響く。
「クソッ!!」
「ちぃ!!」
ミシェルは咄嗟にバトロイドからファイターに変形して逃れようとするも、
その道を青いビームで塞がれる。
同じくクランも別の方向に逃げようとするもやはり青いビームに塞がれる。
そして……
「チェックだ」
響くゼノンの声。
見れば腕を交差させビームライフルをクラン機に、
ビームサーベルをミシェル機に向けたF91が丁度二機の間にいた。
「……はぁ」
「……負けた、か」
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通信を入れゼノンはアルトの所に向かおうとした時、ミシェルから声を掛けられる。
「なぁ、ゼノン」
「なんだ?ミハエル」
「あー……そのミハエルっての止してくれないか?
仲間なんだ、ミシェルって呼んでくれないか?」
「いいのか?最初は敵意剥き出しだったくせに」
「う……」
敵意、というよりは仲間として認めないオーラだったがな。
まぁそれも尤もだ。
異世界から来て、ギリアムを助け、オズマに認められ、仲間になって……。
隊員達の中には気に食わない奴もいるだろう。
それは仕方がないこと。
「だがお前から仲間と言ってくれて俺は安心したぞ、ミシェル」
「ああ。ま、これからよろしく頼むよ」
「素直じゃないな、ミシェル」
「うるさいぞ、クラン」
「仲良いなお前ら」
「「うっさい」」
とまあ夫婦漫才を見て楽しんでいると、自分に向けられたモノではないが明らかな敵意が走る。
この感じは憶えがある。
少し遅れて、アルトが戦闘しているであろう空域付近で赤い閃光が走る。
「バジュラか!」
「何!?」
「アルト達の方か!」
スラスターを噴かし、アルト達の下へと向かおうとした時クランから声が掛かる。
「ゼノン、私達の装備は全て訓練用の物だ。
バジュラには全くと言って良いほどダメージは与えられない……三人を頼む。」
「ああ、当然だ」
ココで説明しておこう。
S.M.S組の装備は全て訓練用の物である。ミサイルも訓練用の特別製である。
対するゼノンの装備は実戦と変わらない物を使っている。
それで大丈夫か?とお思いだろうがそこはご都合主義というやつだ。
簡単に言えば威力を調節しているのだ。
ビームの威力は生身の人に直に撃っても「あちっ」ていう位で済むまで絞っている。
そんな説明をしている内に到着。
ボロボロに朽ち果てたゼントラーディ艦の近く。
そこには丁度バジュラを一匹、見慣れない武器で撃墜したアルト機の姿。
お決まりのポーズをとっている最中だった。
しかし、気配を潜めたバジュラ(大)が後ろに居ることに気づかない。
だが、ココから見れば良い的である。
戦闘用に威力を切り替え、特に焦ること無く狙いを定め、トリガー。
完全に感知外の攻撃。バジュラは青い閃光に貫かれ爆散。
「ようアルト、一匹撃墜したからって油断し過ぎだぜ」
「ゼノンか……助かった」
若干息が荒い、当然と言えば当然か。
だが良い経験になったろう、アルトには。
「さて、バジュラはもう居ない。帰還するぞ~アルト」
「ああ、帰ろうか」
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結果から言おう。
合格。
まぁ当たり前と言っちゃあ当たり前。
何せアルトは分かれた後ピクシー小隊の二機を撃墜してのだ。
スーパーパックに被弾したものの、機体本体には攻撃は届いていなかったのもある。
その後のゼントラーディの武器を使いバジュラの撃墜も評価に入った。
あのポーズはちょっと頂けないが……。
まぁ90点と言ったところか。
ゼノンもエース格を二機撃墜(扱い)で文句無しの合格。
んでもって早速明日隊員としての呼び出しである。
何を言われるんだか……。
ではまた次回。